学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
第四試合を終えた次の日の月曜日。
四月における全てのチーム戦に決着がつき、それにより各チームのランクが決定した。
目標としたランクになれたチームもあれば、そうでないチームもあった。また、現時点で全ての選手がチームに所属していることが学園から発表された。それは、四月の『チーム結成試練』において、学園追放となる選手がいないことを意味していた。しかし、リーダーはそうではなかった。ただ一人のリーダーが選手を最後まで集めることができなかったのだ。彼は五月一日に学園追放となる。
学園からは、『健闘を讃え、五月の試練と試合についても期待する』という趣旨の通知が、残った239人の生徒に送られた。
雲川チームは、初期のチーム目標であるBランクを危なげも無く確定させた。獲得点数は22点、最終順位は12位、Bランクの中でも上位であった。
鷹一をはじめ、チームの面々は結果に満足しつつも五月までのやらねばならないことに取り組んでいた。
五月までのやること――それは新しい住居への引っ越しであった。
現在、新入生が使っている一時寮は四月までの住居であり、五月にはそれぞれランクによって決められた住居へと移動になるのだ。一時寮よりも遥かに待遇が良くなるランクもあれば、悪くなるランクもあった。当然上位陣たるBランクは待遇が良くなる。
新一年生のBランクには専用のマンションが与えられる。全20階のうち、各チームがいずれかの偶数階を専有できるのだ。各階には、利用可能な部屋は六部屋あり、それがBランクの各リーダーに配布される。つまり、Bランクの生徒は全員が個室を持てるのだ。
なお、占有する階は上位のチームから決めることができるが、11位の麻倉チームが決定権をパスしたため、雲川チームが最初の階層決定権を得た。鷹一は、緊急時に安全に脱出できる2階か4階の確保を進言したが、珍しく雲川が『最上階がいい……』と自分の意見を口にしたため、雲川チームの占有階層は20階になった。これで次のランク決定が行われる六月の末までは、雲川チームの面々は夜景の眺めには困らなくなった。
そんな素晴らしい夜景が楽しめる新住居への引っ越し作業のため、一時寮で鷹一と金崎は荷物を纏めていた。
「鷲島、金崎、マンションでもよろしくな。まあ、俺たちのチームは10階だから、だいぶ離れてはいるが」
声をかけるのは渡辺であった。彼の所属している劉チームもまたBランクであった。
「ああ、渡辺。新しいマンションでもよろしく頼む。あまり会う機会は無いかもしれないが何かあったら、世話になるかもしれない」
「俺が鷲島の世話をできるとは思えないが……まあ、同じ一時寮の縁だ、できる範囲で力を貸そう。試合で戦う時以外だけどな」
「そうだな。どちらかというと、試合で当たる方をお互いに心配するべきなのかもしれない……いや、それはまだ先の話か。もし次の試合であったらよろしく頼む」
「正直、雲川チームとは当たりたくないな。鷲島は皆が認める脅威だし、俺からすると金崎も随分強くなったと思う」
「え、ああ、ありがとう……?」
評価されていたとは思っていなかった金崎は困惑しつつも内心で小さく喜んだ。
「当然だ。試合の動きは俺も見てたからな。ああ、いや、これはちょっと上から目線だったかな……実際、入学時は違ったかもしれないが、俺と今の金崎の力量はあまり変わらないだろうしな。まあ、俺も追い抜かれないように頑張るよ」
「お、おう……! 正直、今の俺はまだまだ渡辺の足元にも及ばない気がするけど……でも追い抜くは無理でも、追いつく気持ちで、俺もチーム戦を頑張りたい」
「相変わらず、お前は普通に良い奴だな。金崎も新しいマンションではよろしくな。それじゃあな、荷物も纏めたし、俺は行くよ」
そう言って渡辺は、一時寮を去った。これで残りは鷹一と金崎のみだ。既に早朝から、秀川は荷物を纏め、Aランク用の高級マンションへと旅立っていた。第四試合での恥から誰にも口を利かずに去ったのだ。鷹一は、そのことを少し残念に思いつつも態度には出さなかった。
渡辺が去って、少しして、鷹一と金崎も一時寮をあとにした。一か月の短い間に過ごした場所であり、鷹一には特に感慨はなかった。狭くプライバシーが確保できない場所という意味では悪い印象が強かった。敢えて良かったことを挙げるならば、それは期待以上に意欲に満ちた金崎というチームメイトと出会えたことと、内心で高く評価していた秀川との交流であった。
一方で、金崎にとっては、この一時寮は思い出深い場所であった。鷲島鷹一という尋常ではない選手――ある意味で、この学園における金崎の師匠とも言える相手に出会えた場所なのだから。金崎は、寮室を出る時、一度手を合わせて、それから感謝するように深々と頭を下げた。隣では鷹一は無表情で金崎の行動を見つめていた。
それから、二人はBランクのマンションへと向かった。
金崎は、Bランクの猛者たちと同じマンションで暮らすことと、自分が分相応の立場にいることへの不安を感じつつも、それを出さないように一歩一歩緊張しながら進んで行った。
鷹一は、虚無の表情でただただ歩いた。端から見ればBランクの待遇に不満があるようにも見える表情であったが、内心は逆であった。個室、それも2LDKの広く快適な部屋という情報を得ていた鷹一は、強い歓喜を感じながらも、それをおくびにも出さず、淡々とマンションへ向けて歩み続けた。
弱者でありながらも、真摯さを忘れない金崎。
強者でありながらも、妙なところで世俗的な一面を心に抱える鷹一。
両者の関係は、まだ、はっきりとは定まっていなかった。
★おまけのアンケート
五月の最初の週は試合がなく、授業もありません。
そのため、全てのチームが自由に行動できます。訓練に励むチームもあれば、リフレッシュするチームもあります。戦術や戦略を考え直したり、外交や調略に勤しむチームもあります。
主人公の鷲島も何かやろうとしているようです。
そこでアンケートなのですが、最近感想欄で話題の雲虐をしますか?
※ここでは雲虐とは、雲川を休みの間ずっとトレーニング漬けにすることを指します。
なお選択肢は三つあり、それによって雲川の状態・コンディション値・所持パネルが変わります。
①可哀想だからしない:雲川は休みを満喫してリフレッシュします。雲川のコンディション値を回復させます(5⇒8)。雲川は第五試合戦闘中に限り「リラックス状態」を得ます。さらに「友愛の証」を獲得します。10%の確率で「神秘的体験」を獲得します。30%の確率で「探求心」を獲得します
②ほどほどに雲虐する:最低限のトレーニングはやらせます、ちゃんと休みも与えます。50%の確率でランダムな白パネルを1つ習得します。「友情の証」を獲得します。他は現状維持です。
③雲虐!雲虐!雲虐!:休みの間、基本的にトレーニングをずっとやらせます。慈悲は無い。鷲島の時間が浪費されます(鷲島自身の訓練効率低下・鷲島の交友網構築速度低下・鷲島の計画進捗低下)。確率で鷲島への雲川の好感度が低下します。雲川がシールド・試合・機動の各系統の白パネルをランダムで0~3個獲得します。詳細の獲得確率は、20%の確率で0個、50%の確率で1個、20%の確率で2個、10%の確率で3個です。期待値は1.2*3=3.6。またコンディション減少判定を3回行います(50%の確率で1減少×3回)(現在コンディション値5)。
※コンディション値:高いと訓練効率が上昇します。低いと訓練効率が下がり、試合で力を発揮しにくくなります。基本的に0~10の間で推移します。コンディション値5~7はメリットデメリットなし。4以下、8以上でそれぞれデメリット・メリット発生。
※雲川は特性上、コンデション値が下がりやすく上がりにくいです。
※「リラックス状態」:狙撃能力が上昇します。また、戦闘中、条件が満たされると、特殊な狙撃攻撃を行えます。
※「友愛の証」:雲川と天沢チームとの絆の証です。雲川と天沢チームとの友好度が上昇します。また証が破壊されない限り、天沢と雲川が大交流するたびに、5%の確率で、雲川と天沢が相互にパネルを教え合います。
※「神秘的体験」:1つ、または複数の白パネル・黄パネルを得ます、又は、一つの橙パネルの習得条件を緩和できます。左記のどれかを達成時、「神秘的体験」は失われます。
※「探求心」:最も得意な分野のパネルが伸びやすくなり、さらにその分野のパネルを取得中にボーナスが発生します(雲川の場合は狙撃分野パネル)。毎週末10%の確率で探求心を失います。
※パネル:キャラクターの能力をメタ的に表現したものです。キャラシート的な感じなんで、キャラクターたちは把握していません(他人のパネルどころか、自分のパネルすら把握していません。勿論、「なんとなく自分は射撃精度が良いなー」ぐらいはちゃんと把握しています)
※白パネル:ノーマルパネル。 訓練や伝授で学べる一般的なパネルです。比較的多くの生徒が習得できるます。ありふれており、時間をかければ習得可能な物が多いです。Fランク・Eランクの生徒でも数個ほど所持してます。
※黄パネル:レアパネル。少し珍しいパネルです。概ね白パネルよりも強力です。一部のパネルは時間をかければ誰でも習得できるますが、一部は習得するにはパネルを「閃く」必要があります。Dランクあたりの生徒から使うようになり、B~Cランクの生徒は当然のように使ってきます。
※橙パネル:スーパーレアパネル。珍しいパネルです。黄パネルよりも強力です。簡単には習得できません。習得には才能・努力・運・経験などが必要です。Cランクの生徒でも持っている生徒はいますが、概ねAランクで見られるパネルです。秀川とか上村とかはこれを持っています。
※現状の雲川のパネルは次の挿絵の通りです。
【挿絵表示】
※ちなみに……入学時のパネルは次の通りです。
【挿絵表示】
雲川は、これでも頑張っています……
雲虐したいですか?
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可哀想だからしない
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ほどほどに雲虐する
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雲虐!雲虐!雲虐!