学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
それから翌日の夜まで、雲川チームの三人はそれぞれの時間を過ごした。
雲川は暗記に集中し、金崎は多少休息を挟みつつも自主訓練を行い、鷹一もそれに少しの間付き合った。
また、鷹一は、所持している連絡先から五人のリーダーに連絡し、挨拶と近況報告、五月一日の試練について意見を交わし合った。
四月の『チーム結成試練』で鷹一が得た物は大きかった。富は富のある者に増々集まるのと同じように、情報もまた同じ性質を帯びていた。鷹一は、情報の扱いは専門分野ではなかったが、それでも彼の持っている『戦闘の才能』が人を惹き付け、結果、多くの情報が彼に集まるのだ。
鷹一は、部屋の浴室の広さと心地よさに感動しつつも、雲川チームの今後の計画について思案した。
(金崎の意欲と成長速度は、初期の俺の予想と期待を大きく上回っている。最低限、試合で囮、上手くいけば任務点要員程度になればと思っていたが……状況次第では秀川・淡路を討ち取れるとはな……)
そこで、鷹一は淡路と秀川、二人の優秀な生徒を思い返した。
(まあ秀川は運が良かった面が大きいが……しかし、淡路に関しては、実力の面もある。条件次第で淡路を取れる駒というのは大きい。それにまだ伸びしろがある……将来的には麻倉・淡路レベルまで成長するかもしれないな)
湯につかりながらも鷹一は、もう一人のチームメイトを頭に思い浮かべた。
(紫苑は、正直予想通り……いや、予想よりは幾分かマシか? 試合では出せていないが狙撃技量に関しては最低限ある。いや、『狙撃』ができる生徒が少ないことを踏まえた上ならば、条件次第では金崎よりも得点能力があるはずだ。相手次第の面もあるが、まだ紫苑の狙撃技量は殆ど見せていない。Bランク程度の相手なら初撃は当たるだろう)
鷹一は、試合での雲川のこれまでの活躍を思い返す。第二試合、杉山に対して狙撃、撃破点にはならず、任務点1点。第三試合、試合開始直後に姫乃に討ち取られる。第四試合、五条に捕捉されるが、逃亡には成功する、しかし佐々木の砲撃に敗れる。累計獲得点数1点。
(…………そろそろ、紫苑にも試合中に成功体験をさせたいし、次の第一試合で活躍させたいが……これはマッチング相手とマップ次第だな。順当に行けば、おそらく第一試合のマップはこれまでとは別のものになると思われる。対戦相手は……今までのマッチングの仕組みから考えて、恐らくBランク帯だろう。Aランク帯に当たる可能性がないわけではないが……Bランクだろう。そうすると、やはりマップ次第か……まあ、まずは、先の事よりも、明日の暗記をしっかりとやらせることだな)
そこまで考えて、鷹一は、雲川の絶望した表情を思い出した。
(少し厳しかったか……? いや情報のアドバンテージは大きい。むしろ寿司で釣ったのは失敗だったかもしれないな。短期的には効果があるが、将来を見据えると悪影響か……? いや、Bランク予算の一部を紫苑の意欲管理に使うと思えば問題ないか。現状、かなりZPに余裕がある。よほど紫苑が散財しなければ問題ないはずだ)
雲川の扱いに悩みつつも、鷹一はより重要な課題について思考を回す。
(それよりも試練と試合だ。試合の方は現在の環境が続くならばBランク維持程度は問題ないだろう。他チームの生徒の成長速度にもよるが、どんなに高く見積もっても今年のうちに俺が対処できなくなるレベルになることはない)
淡々と、鷹一は冷静に自分とBランクの生徒との力量差について思考を巡らせた。
(現状で対処が厳しい相手のほとんどはAランクだ。よく当たる可能性がある相手という意味では、同じBランクの佐々木・マスタングあたりが危険だが……こういった相手とばかりマッチングするわけでもない。まあ、数で攻められたり、戦術能力が高いチームは、個人戦ができない故に厳しいが……それでも試合のルール上、どうしても、浮き駒が出る。個人戦を強いる機会も作れるだろう。それを踏まえれば……Bランク維持という試合目標に関しては来年までは問題ないだろう)
(――むしろ試練の方が厄介だ。何が来るか読めない。『チーム結成試練』も選手としては簡単な試練だったが、リーダーにとっては厳しい試練だったはずだ。実際一人の追放者を出している。今後も試練によっては足元を掬われるかもしれないが……とりあえず毎月試練が発生するとしても、来月のものはそこまで脅威ではないはずだ。六月以降の試練に関わるというのが気掛かりだが……どういったものであるにしろ、俺が干渉できるような試練内容ならば、上手く対処したいな)
決意を新たにしたところで、ふと鷹一は偏っていることに気付いた。
(俺個人の力量に頼りすぎるのはバランスが悪いな。だが、金崎も紫苑も訓練で手一杯だろう……何かほかに……そうだな、もう少し外部の力……他の生徒とも交流するべきか……? 現状でもいくつか窓口はあるが……)
そこで鷹一は先程、連絡を取った五人のリーダーを頭に思い浮かべた。
(飛山・安重は中立的、木下は読みにくいが中立よりは僅かに友好的寄り、蓮・秩父は友好的。……能力的に優秀で人格的にも優れている蓮との関係を進めたいが、蓮は暫定4位、あまり関係を進めると匂坂・飛山との関係に響く。それに、あのチームは内部に問題を抱えている。青井の存在も脅威だ。蓮個人とは友好的でありたいが、蓮チームとあまり近づきすぎるのは危険だな)
蓮チームと蓮リーダーについて考えを巡らせた鷹一は、蓮と同様に多方面に優秀なもう一人のリーダーについて思考を向けた。
(飛山は……優秀すぎるな。それにあまり貸しを作りたくない相手だ。安重は野心家だが誠実な面がある。能力も良好だ。契約相手として考えれば理想的。木下は読みにくい相手だが、能力は高く、順位的にも狙い目ではある。少し行動が読みにくいのが気掛かりだが……秩父は能力面では他リーダーに劣るが、人格面では信用できる相手だ。俺が秩父に借りがあるというのも、秩父の人格を考えるとむしろ得だ。他チームとの協力や数が必要な試練なら、望ましい外部協力者だ)
勢力関係について思案を巡らす鷹一は、僅かに苦笑した。謀略や政略など自身には無縁で適性が無いと知っていたからだ。
(戦闘以外は全く自信が無いんだがな。いや戦闘にしても匂坂や青井がいる。そういう意味では俺も、まだまだ足りない面ばかりだな)
そこまで考えて、鷹一は、僅かに気分が落ち込みそうになったが、すぐに温かい湯の心地よさに身を委ねた。
(それにしても……風呂はいいな! 特に浴室が広いのがいい。一時寮はシャワーだけだった。その前は――、……その前? …………いや、普通に収容区画だな。収容区画の設備は大きさも質も異常だった。何より衛生面に大きな問題があった。この風呂は違う……! やはり、Bランクから落ちるわけにはいかないな……Cランクにも風呂があるが小さい。それにBランクは五月から大浴場を使用する権利もある。他のBランク生徒も使用するらしいが……尋常じゃない広さの浴場だ。心理的距離を踏まえても、この風呂より開放感があるだろう。楽しみだ……!)
チーム間の謀略のことなど一度頭から投げ捨てて、鷲島鷹一は、Bランク専用の大浴場に期待するのだった。
★前回のアンケート、沢山の投票ありがとうございます!
①可哀想だからしないになりました。雲川ちゃんはゆっくり休みます。お寿司もあるし、幸せな毎日確定です。
五月以降、雲川は色々と伸びそうな気がします……!
そして、今回もアンケートです……!
★おまけのアンケート
前回アンケート置いたら、いっぱい感想とか高評価が来て嬉しかったので、懲りずに再びアンケートです。
五月最初の週の金崎はどのくらい頑張ってほしいか、というアンケートです。
選択肢は二つあり、それにより金崎の保有パネルやコンデションなどが変化します。
※金崎は現在の状況では必ず少しはトレーニングをしてしまいますので、完全にリフレッシュする選択肢はありません。
①トレーニング&リフレッシュ!
折角の休みですし、トレーニングをしつつも、ちゃんと休んでもらいます。
パネル「退避と掩蔽」「次に備えて」の中からランダムで1~2個習得します。
Bランクランダム交友イベント(良性)を一つ発生させます。
40%の確率で、雲川・金崎間の交友イベント(良性)が発生し二人の好感度が互いに上昇します。雲川・金崎間の交友イベント(良性)が発生した場合は、25%の確率で(つまり10%の確率で)、金崎が天沢チームと接点を持ちます。
コンディション値を回復(8⇒10)します。
②休みをトレーニングにつぎ込もう!
頑張ってもらいます!
上記の2つの白パネルを両方とも習得し、「展開速度③」を習得します。さらに何らかの白パネルを一つ習得します。
コンディション値が低下(8⇒7)します。
※(再掲)コンデション値:0~10まで。4以下でデメリット、8以上でボーナス。
※金崎は、現環境ではコンディションが下がりにくいです。
※雲川チーム内の各自の好感度は高いほど、グランドシナリオやメインシナリオで良い判定が出やすいです。また訓練時や日常の不和イベントを引きにくくなります。試合中の連携能力にも関係します。
※「退避と掩蔽」:試合白パネル。狙撃後、遮蔽物に身を隠したり、その場から離脱を意識する。マップ知識や対戦相手の知識が深まると効果が上昇。
※「次に備えて」:試合閃き緑パネル。第四試合で上村にカウンター射撃を食らったことで閃いたパネル。非撃ち合い戦闘時(側面攻撃・援護攻撃・狙撃など)の射撃後の動作や隙が少し改善される。射撃パネル「硬直緩和②」の互換パネルであり、「硬直緩和②」に必要な進捗ポイントの割引効果もある。「硬直緩和②」を習得することでそちらに統合される。
※「展開速度③」:シールド白パネル。シールドの展開速度が上昇する。現在の環境では重要なパネルであり、正面からの撃ち合いにおける強さのほか、側面攻撃・狙撃に対する対応力にも関係する。シールド黄パネル「展開速度④」の前提条件。
※金崎は急激に成長しているため、五月以降確率で伸び悩みます。その際コンディション値が高いほど、伸び悩みからの復帰が少し早くなります。
※現状の金崎のパネルは次の挿絵の通りです。入学時はパネルが何もない状態でした(黒パネルもない状態です)
【挿絵表示】
金崎にどうしてほしいですか?
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トレーニング&リフレッシュ!
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休みをトレーニングにつぎ込もう!