「ハハハ!ついにこの日がやってきた!血湧き肉躍るゲヘナ生活の始まりじゃあ!」
「ちょっと、目立つからあまり大きい声出さないで」
澄み渡るような青い空。
春の訪れを告げるそよ風が頬を撫で、俺の門出を祝福する小鳥の囀りが聞こえ……いや、ただの銃声だったわ。相変わらずの治安の悪さだな。
それはさておき、今日は待ちに待った入学式だ。クク、今日からヒナ愛でまくり褒めまくりライフが始まると思うと、もうハイになって意識がトびそうだぜ……(恍惚)
「あはは、ごめんごめん。今日からヒナと学園生活送れると思うとついテンション上がっちゃってさ。……それにしても、ヒナ制服似合ってるね!やっぱ美人だと何着ても様になるな〜」
「〜〜〜っ!!……リンも似合ってる」
あぁ〜癒されるぅ〜照れてるヒナってなんでこんなに可愛いんじゃあ〜……ウヘヘ、この調子でどんどん甘やかして……
うん?いつの間にこんなに仲良くなったのかって?……実はな、なんと家探しの後にヒナの連絡先を教えてもらったのさ!それから入学式までの間、モモトークで話したり一緒に買い物に行ったりして仲を深めてたってワケ。フハハ、このリン様の手にかかればなぁ、ヒナと仲良くなるなんて赤子の手をひねるより楽な作業よ!
「そうかな?ありがと!……あ、そういえばさ、ヒナはもうなんの部活に入るとか決めた?」
「……私は風紀委員会に入ろうかと思っているけれど」
知 っ て た。
うんうん、やっぱりヒナといえば風紀委員会だよね。一応俺が存在することでバタフライエフェクトが起きて、ヒナが風紀委員会に入らなくなるかもと心配してたけどこれなら大丈夫そうやな!
そしてもちろん俺も風紀委員会に入ります。少しでも長くヒナを愛でるためには必要だから仕方ないね。
「風紀委員会か〜、いいね!生徒のために身体を張って治安維持とか、なかなか出来ることじゃないよ!……うーん、俺も特に入りたい部活とか無いしやってみようかな、風紀委員」
「ほ、本当?……でもこの前、身体がそんなに丈夫じゃないって……」
あ、そうそう。言うの忘れてたけど、俺やっぱり紙装甲だったわ。今日までに自分の身体色々調べてみたけど、耐久はカス、スピードとパワーはそこそこある、みたいな感じだった。あの時不良に打たれてたら普通にヤバかったな……まぁそれでも風紀委員会には入りますよ。ヒナを愛でるという使命は命より重いんでね(真顔)
「どうせなら人の役に立つことやりたいし。それに……ヒナがいればきっと大丈夫。俺の勘がそう言ってる」
「……ふふっ、なにそれ」
「ヒナああああああああああああああ助けてえええええええええええええ」
「はぁ……本当になんで風紀委員会に入ったのかしら」
2年後。
俺は風紀委員会に入ったことをちょっぴり後悔していた。
「うぅ、マジで痛ぇ……ありがとう、ヒナ。……あいつら次に会った時は絶対捕まえてやるからなァ!覚悟しておけよォ!」
「……」
どうも。風紀委員会最弱と名高い蒼井リンです。いやー、やっぱり紙装甲には戦闘キツいっすね。ちょっとでも銃弾掠ったら皮剥けるし、直撃なんてしようもんなら痛みで失神しそうになるわ。そんなもんだから未だに幹部でもなくヒラの委員なんだよな。クソォ、ヒナはこの2年で委員長にまで上り詰めたってのに!
……思えばこの2年間、本当に色んなことがあったなぁ。美食研究会に連れ去られてヒナに助けてもらったり、温泉開発部の開拓活動(テロ)に巻き込まれかけてヒナに助けてもらったり、万魔殿からの無茶振りに応えようとして疲労で死にかけてたところをヒナに助けてもらったり……。今となってはどれもいい思い出ですわ。
あ、もちろんヒナを愛でることも忘れちゃいないぜ?そりゃあもう、毎日隙あらば愛でて愛でて愛でまくりよ。
「ヒナ、おはよう!今日も相変わらず可愛いね!」
「えぇ!?ヒナ、今回のテストも満点だったの!?風紀委員の仕事もあるのに勉強も出来るなんてすごいな、俺とは大違いだ……そうだ!今度勉強教えてよ!」
「ヒナ、今日もこんな時間まで残ってたの?身体に悪いから無理だけはしないでね。……でも頑張ってて本当に偉い!ゲヘナのみんなもきっとヒナに感謝してるはずだよ!……よーし、俺も手伝うからサッサと終わらせようっ!」
「ヒナ、誕生日おめでとう!はいこれ、プレゼント!……うん、開けていいよ!……ふふ、そんなに喜んで貰えたならこっちも嬉しいよ!……え?なんで私の欲しいものが分かったかって?……ふふ、どれだけ一緒に過ごしてると思ってるの?それくらいお見通しさ!ヒナの喜んでる姿はいずれ万病に効くからね……って、ちょ、痛い!ごめんって!流石にグーパンは死んじゃう!」
……はぁ、こんな生活もあと1年で終わりかぁ。なんか感傷に浸ってたら泣きそうになってきたわ。こんな時こそヒナを愛でて元気出そう……
「あれ、もしかしてヒナ少し髪切った?なんか昨日より可愛い気がする」
「〜〜〜っ!!……えぇ、切ったわよ」
カァ〜ッ!やっぱりヒナは照れてる姿が1番可愛いねぇ。荒んだ心が癒される〜……でも最近、なーんかヒナの様子がおかしいんだよな。ちょっと危険な香りがするというか、俺を見る目が変というか……うーん、なんて言えばいいんだろうなぁ。
「……ねぇ、リン」
「?……どうしたの、ヒナ?」
「……私、あなたにこれ以上前線に出てほしくないの。……代わりに、私の事務仕事を手伝って欲しいな……って」
マ、マジかよ……これって……
戦力外通告……ってコト!?
……ま、まぁ確かに?俺、風紀委員会の中で1番弱いし?足手纏い的な?……まぁ冷静に考えたらそうだよなー。俺いっつも風紀のみんなに助けてもらってばかりだし。老兵はただ去るのみ、ってか……
つーか、ヒナ耳まで真っ赤になってるし、そんなに俺の弱さに怒りを抱いてたってこと?だとしたらなんか申し訳ないな……うん、決めた。前線は退いて事務仕事こなすマシーンに俺はなる!
「……分かった。これからはヒナの手伝いに専念することにするよ」
「〜〜〜っ!!ほ、本当!?……よかった、これでようやく……」
プルルルル……プルルルル……
「……あ、電話。リン、ちょっと席外すね」
そう言うとヒナは俺がいる病室から出て行った。
いやー、まさかあんなに嬉しそうにするとは。そんなに俺の尻拭いするのが嫌だったのか……ちょっとショック(泣)……とはいえ、これでもう俺が迷惑かけることは……ん?
ガララッ
「先輩?お身体の方は大丈夫ですか?」
そう言いながら病室に入ってきたのは、風紀委員会の後輩だ。目元が隠れたおかっぱに赤いツノ。前世のSNSでも見たことないから原作では多分モブだった子だろう。俺が2年生に進級してから新しく入ってきた子で、ちょっとドジなところがあるからよく面倒を見てあげた。
この子もこの子で可愛いところあるんだよな〜。つい愛でたくなっちゃう。
「わざわざ来てくれたの?ありがとう。身体はまだ少し痛むけど大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「い、いえ!全然そんなことは……それで先輩、一つ聞きたいことがあるんですけど」
「ん?なに?」
「あの……さっき病室の前にいたら聞こえてきちゃって……先輩、前線から退いてヒナ委員長の手伝いをするって本当ですか?」
わお、バレてーら。いやー、そういえばこの子、ヒナの次に仕事で会う回数が多いな。最初は俺が助ける側だったけど、いつのまにか逆転しちゃってんだよな。つまりこの子も俺の尻拭いをさせられてたわけで……うーん、申し訳ない。今はなんかめちゃくちゃ不満そうにしてるけど、心の中では喜んでるんだろうな……不甲斐ない先輩ですいません(泣)
「……本当だよ。ヒナから直々に言われてね。まあ、俺もそろそろ裏方に徹そうかと…」
バァン!
うおっ!?び、びっくりしたぁ〜
なんか爆発したかと思った。モブちゃんが机を叩いただけだったわ……いや、なんで?モ、モブちゃん?急にどうし……
「だ、駄目です!!!……あ、えっと、その…ち、違くて……!……ほ、ほら!私ドジですから!せ、先輩の助けが無いと全然仕事もこなせないし!……それに…先輩と一緒に仕事するの、た、楽しいですし!」
あ、あかん。いい子すぎる(涙)
俺の気持ちを汲み取ってお世辞まで言ってくれるなんて……なんていい子なんや!よし!俺は決めたぞ!もう少し前線で頑張ってみよう!
「君のおかげで気が変わったよ!俺、もう少し前線で頑張ってみ
「ねぇ、なにやってるの?」
ゾワッ
「ヒ、ヒナ?もう電話は終わっ」
「リンは黙ってて。
………ねぇ、貴女どういうつもり?リンは私の手伝いをするってもう決めたの。悪いけどさっさと帰ってくれる?」
「……それって本当にリン先輩が自分自身で決めたんですか!?委員長が誘導しただけじゃ」
「うるさい。これ以上騒ぐならつまみ出すから」
「〜〜〜っ!!……チッ……分かりました。
それじゃリン先輩、また今度ご飯でも行きましょうね♪お大事に!」
「………」
あのー、俺これからどうすればいいんすかね?
ヤンデレ要素強めになっちゃったカモ