キヴォトスのネゴシエイターは銃を持たない   作:単眼駄猪介

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謎の使命感というか、創作意欲に駆られてガンダムSEEDinサイコ・ザクや妖怪ウォッチSSそっちのけで初めて一万文字書いたよ……

正直、コラボしたらめっちゃ合いそうだと思うのは俺だけなんだろうか?
ビッグオー知らないって人がいたら是非、この作品を通して見てみてほしい

それはさておき、私、駄戦士はブルアカをやってないのでネットやハーメルンで分かる範囲の内容しか知りません
ビッグオーは現在、履修中(テレ玉ァ!)

初めてブルアカ書いたのでにわかマシマシかもしれません
そしてコレ書いてネタ切れです()

ちなみにビッグオーで一番衝撃的だったのは、古谷徹さんが出演してた事ですね……アレがあったので不謹慎だとは思うけど。

ブルアカで好きなキャラはホシノ、イズナ、サオリ、アズサ、アル、ツルギ、アコ、才羽姉妹ッス……

それでは本編どうぞ
本編でテンポとかの関係で入り切らなかった所は後書きで補足しております
ガバは許して(定期)



Stand with the Big O

 

 

かつてキヴォトスには【パラダイムシティ】と呼ばれた過去があり、ヘイローがなく記憶を失った人々がいたという。

彼、彼女らはそれを【メモリー】と呼んだが、だからといって人々全てが失った記憶を探したわけではない。

過去の事などより今を生きなければならないのだから。

しかし、不思議な事にその時代には近代国家の様な文明レベルに関わらずその実、現在のキヴォトスに匹敵する科学力を持っていた。

そして大型の人型のロボットの存在もあいまって、今尚もパラダイムシティの事を調べる者は大人や学生関係なく多い。

だが、その大部分の資料は現在、砂漠化が進んでいるアビドスにありその資料の殆どは砂と共に過去の記憶を覆い隠されてしまった。

かつてパラダイムシティと呼ばれた時代にキヴォトスに何が起きていたのか。

 

それを知る者は一握りの者達と思われる。

 

 

連邦生徒会 会長 ら*%0×:@ の記録より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはキヴォトス。

ヘイローと呼ばれる不思議な輪っかを持った少女達が青春を送り、そして日々ドンパチをしていた。

平穏そうな雰囲気なのに急に物騒なのは何故かって?

それはヘイローがあるが故に、普通の銃弾程度では死ぬ事はない身体である少女達は銃社会に適応し、武力解決する事を良しとする世界であるからだ。

おかげでキヴォトスで銃を持たない奴は全裸でいるよりも珍しいなとと揶揄される始末である。

無論、大きな組織である程そういった手段を取れなくなるが大人ではなく子供達が各自治区の政治や治安を守るという摩訶不思議な場所である事には変わりはないだろう。

さて、そんな世界に放り出された黒ずくめの三人がいた。

 

 

二人を纏める黒い髪をオールバックにした男は名はロジャー・スミス。

女性に見えるが実はアンドロイド、R・ドロシー・ウェインライト、まさに執事といった格好の老人はノーマン・バーグ。

この三人はとあるネゴシエーションを達成し一時の安らぎを得ていたのだが、とある依頼でひょんな事からキヴォトスに飛ばされてきたのだ。

何がどうこうして…というのは野暮だろう。

こんな目にあう時点で碌でもないネゴシエーションだったのは目に見えている。

だが最悪なのは、彼らが放り出されたのは砂漠化が進むアビドスだということ。

寒暖差の激しい砂漠に突如として放り出されたロジャー達にとって、食料と住処は最重要であった。

現在、砂漠化しているアビドスの町だった所を歩いている三人はアンドロイドであるドロシー以外が大量の汗をかきながら歩いていた。

 

「はぁ…はぁ…ノーマン、帰ったらスーツについた砂埃を落として身体を思いっきり冷やそう。いやそうしよう」

 

「賛成ですな……まずはこの砂漠を乗り切らなければなりませんが」

 

「口だけじゃなくて足も動かしたら?ロジャー」

 

せめて雰囲気良くしよう、ロジャーが茶化すがドロシーの辛辣な言葉でまた気まずい雰囲気に逆戻り。

ただでさえ暑苦しい砂漠の気候に元気がないというのに、ダンマリの状態ではどうしようもない。

だが、彼女の言う通り若干足がゆっくりと歩くようになっておりスピードが落ちているのも事実。

アンドロイドであるドロシーとて、砂漠の砂にまみれて壊れるなど御免被りたいところだろう。

 

「老体にはかなり堪えますな…」

 

「そういう意味でもあまり速く歩いても仕方ない。そう思わないかドロシー」

 

「……まあ、そうね」

 

ひとまず、説得に応じてくれたドロシーに安堵しつつロジャーはふと人影を見る。

 

「ん?今、人影が…」

 

気になってそちらの方へ走るロジャー。

急に走り出すロジャーに置いてけぼりをくらうドロシーとノーマンは、やれやれといった様子で彼を追いかける。

 

「やあ、そこのレディ!こんな暑い砂漠を一人でどうしたんだい?」

 

「ふぇっ!?」

 

これは運命の出会いか。

否、これは物語という概念によって引き寄せられた必然だ。

かつて世界を理想通りの物語にしようとリセットを繰り返した、あの女性がしたように。

 

「おっと、すまない。名乗らなければ無礼だな。私はロジャー・スミス。ネゴシエイターだ」

 

「あ、えっとこれはご丁寧に……私はアビドス高校の生徒会長、梔子ユメです」

 

緑色のかかった水色の髪とデカめのアホ毛に目を引くが、少し下を見ると彼女の高校生にしてはあまりにも豊満な体つきにさしものロジャーも思わず目を疑う。

決してやましい意味ではなく、ここまで抜群のプロモーションを持つ女性がいたのかと驚いたからである。

 

「R・ドロシー・ウェインライトよ」

 

「ノーマン・バーグと申します」

 

「えっとその……真っ黒ですねぇ…」

 

まあ、彼女の言いたいことは分かる。

ドロシーもロジャーもノーマンも全員、黒い衣服なのだから。

だがこれはロジャーの美的センスの問題なので、まあとやかく言う必要はないだろう。

まあ、未だにドロシーはお気に召さないようだが。

それはさておき、ロジャーは本題をユメに話す。

 

「あー、非常に情けない話だが我々は迷子でね。しかも食料もなく水もない。そしてここの土地勘もないからかなり困った状況なんだ。良かったら助けてくれないか?お礼は十分にする」

 

「良いですよ!私の高校に少ないですけど備蓄食料があるのでどうぞ!」

 

「ありがとう梔子ユメさん」

 

「ユメで良いですよ〜」

 

快く助けてくれるユメにロジャーは感謝しつつ、しかし彼女が砂漠で一体何をしようとしていたのか少し気になる。

 

「助けてくれるというのに不躾だとは思うが、ユメ君は砂漠で何をしようとしていたのかね?」

 

そんな問いにユメは隠す事でもないとでも言うように質問に答える。

 

「実は砂漠のどこかにお宝が眠ってるって言われてるんです。本当は私ともう一人、ホシノちゃんと探すんですけど、ちょっと今は気まずいんですよね……ひぃん」

 

「お宝、か」

 

探すとなるととてつもなく時間がかかるだろう。

最早、見つけたら奇跡である。

しかしお宝探しなど1学生である彼女が何故そんな事をしているのかが分からなかった。

 

「お宝を探す理由はなんだい?まさかその歳で借金をこさえてたりしてないだろうな?」

 

冗談交じりにロジャーがそう言うが、彼の言葉は的中していたのでユメは分かりやすく驚いていた。

 

「なんで分かったんですかぁ!?」

 

「……嘘だろ」

 

「あはは……砂漠化の影響でアビドスを立て直そうと歴代の生徒会長がいっぱい借金してそれでもこうなっちゃって、後は借金だけが残ったんですよね…」

 

「そうか……いや、待て。学生が何故、街を立て直そうとするんだ?」

 

「あっ、ロジャーさん達はキヴォトスの人じゃないんですよね。歩きながらですけど、説明しますね!」

 

なるべく日陰を歩きながらアビドス高校に向かうロジャー一行。

キヴォトスの常識を教えられ、ロジャーが一番最初に頭を抱えたのは自身の持ち物の中で最重要のもの。

 

「まさかビッグオーを置いてきてしまうとは……」

 

とはいえ、偶発的な出来事だったので仕方ない所もある。

 

「早くパラダイムシティに帰らなければならないな……」

 

ビッグオーは巨大なロボ、通称【メガデウス】と呼ばれる強力な武器である。

これまでロジャーはビッグオーで身の危険から守ったりやネゴシエーションを放棄して武力行使してくる輩に対して、これで対抗していた。

同じ言葉を話しているのにお話できない頭が残念な人間もいたが、まあ武力行使に出た時点で残念ながらネゴシエーションするに値しない輩である。

主にこんな目に合わせた奴が。

そんな恨み節を内心で吐露していると、ユメが「あっ」と何かを思い出したようだ。

 

「パラダイムシティって、大昔のキヴォトスの事ですか?もしかして学者さん!?」

 

「なに?君はパラダイムシティを知っているのかね?いや、大昔のキヴォトスとはどういう事かね!?」

 

突拍子も無い情報にロジャーは思わずユメの肩を掴んで問いただす。

それに「ひぃん」と少し怯え、それを見てロジャーはハッと気付いて離れて謝罪する。

 

「すまない、ユメ君。こんな所でその名前を聞くとは思わなくてね。その話も詳しく聞かせてくれないか?」

 

「いいですけど……別にそんなに知ってるわけではないですよ?ただキヴォトスは昔、パラダイムシティって呼ばれてた時期があったっていうのと、アビドスがその昔、パラダイムシティのあった場所だとか…」

 

「……まさか我々はパラダイムシティの未来に来てしまったというのか」

 

「ピアノも、ビッグオーも屋敷も全て砂の中ね」

 

「余計に悲しくなるからやめてくれドロシー」

 

また異世界かと思ったら未来だった。

こんなのあんまりだ、と叫びたい気持ちを押し込めてまずは目の前の事を解決していこうとロジャーはポジティブに考える。

とりあえず、今の所は空きっ腹を満たすことからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………先輩、何してるんですか?」

 

「えっと……人助け?」

 

「ちょっとこっち来てください先輩」

 

「ひぃん…目が怖いよぉホシノちゃん…」

 

場面は変わりアビドス高校。

教室でカップ麺を啜るロジャーとノーマン。

ドロシーは食事ができる某青い猫型のアンドロイドではないので教室から見えるアビドスの光景を見ていた。

尚、それを見た梔子ユメの後輩兼副会長である小鳥遊ホシノはいつものクールな顔が酷く冷たいものになってユメを睨みつけていた。

 

「突然押し入ってしまってすまない。私はロジャー・スミス。ネゴシエイターだ」

 

あっという間にカップ麺を完食したロジャーはホシノと呼ばれたピンク髪の少女に謝罪しつつ自己紹介し握手を求める。

それにホシノは渋々といった感じで握手しながら彼女も名乗る。

 

小鳥遊(たかなし)ホシノです」

 

「小鳥遊ホシノ…小鳥遊、で良いかね?」

 

「お好きにどうぞ」

 

「ではホシノ君、ユメ君とは仲直りしたのかい?」

 

「…!」

 

何故、といった顔のホシノにロジャーはさも当然といった様子で説明する。

 

「なに、ユメ君が普段は君と一緒にいると言っていたのでね。仲違いでもしなければ軽装で砂漠にいなかっただろう」

 

しかも水もコンパスもない状態で。

 

「ユメ先輩……」

 

「ひぃん…」

 

またホシノに問い詰められるユメは、助けを求めて視線をノーマンやドロシーに向けるが現実は非情である。

 

「梔子様、流石に擁護しかねますぞ」

 

「………」

 

ノーマンは無理、と言うだけマシでドロシーはガン無視である。

まあ暗に言えばドロシーもまた擁護できない、といった所であろう。

救いの手は失われたユメは涙目になるが、すぐにホシノはユメから離れる。

 

「まあ、それはいつもの事ですし良いですけど……でも、昨日の、その…ポスターの件はごめんなさい。言い過ぎました」

 

「へっ!?い、いや私もホシノちゃんの事、考えないであんな事しちゃったし……ごめんなさい」

 

普段、互いに遠慮ない関係であったからこそ、こうして早めに謝れたのだろう。

それだけ仲の良さも分かるワンシーンだが、それを第三者のいるところでやるのでホシノとユメは結構恥ずかしい思いをしている。

……仲直りの代償とでも内心でそう言い訳をつけて恥ずかしさを紛らわすのだが。

 

「仲直りのハグはしないの?」

 

「「ブッ!?」」

 

「ドロシー、今は良いところなんだからそこは黙っていてあげなさい…」

 

「そう」

 

ドロシーの遠慮ない言葉に雰囲気がブチ壊されたが、まあ気まずい雰囲気は霧散したので結果的にだが良い方向に向かっただろう。

その波に乗るように、ロジャーはとある事を切り出す。

 

「すまない二人共。…お詫びと食事の礼と言ってはなんだが、私にできることがあれば何でもするぞ」

 

その言葉にユメとホシノは顔を見合わせる。

そしてもしかしてコレはチャンスなのではなかろうかと、二人は考えた。

 

「え、えっと、こんな事を頼むのはアレだと思いますけど…」

 

「その、アビドス高校の借金、どうにかなりませんか?」

 

そんな二人の切実とも言える願いに、ロジャーは熟考する。

 

「ふむ……まずは借金についての資料をくれないかね?それと、闇市のような場所の事も教えてくれないか?」

 

そう、まずは情報から。

その為に必要な(金になる物)は過去の経験から念の為にと身につけていた。

 

 

 

 

 

 

ブラックマーケット、情報屋、そしてカイザーPMC。

行く先々でも一悶着やてんわわんやとあったが、それを語っていると展開が進まないので割愛させて頂こう。

とにかく、ミレニアムの人通りの少ないカイザーPMC社に辿り着きアビドス高校のネゴシエイターとして仕事を始めるロジャーはドロシーを伴ってカイザーPMCの出入り口を通る。

ブラックマーケットでもそうだが、住民は動物を人型にしたような獣人やロボットしかいないキヴォトスにロジャー達は大層驚いた。

しかし、それも慣れてしまえば気になる事ではない。

威圧感あるカイザーPMCの警備ロボの横を臆せず素通りし、受付にカイザーPMC理事長を呼び出すよう伝える。

勿論、事前にアポ取りはしている。

なのでそう時間を取られることなくカイザーPMC理事長の元に案内された。

 

「初めまして、私はロジャー・スミスです。こちらはR・ドロシー・ウェインライト、私の助手みたいなものです」

 

「ふむ。知ってはいると思うが、私がカイザーPMCの理事長だ。では早速、本題に入ろうか」

 

「ええ。アビドス高等学校の借金について、ね」

 

この時のカイザー理事長は遂にアビドスは校舎を明け渡すのかと思っていた。

だがしかし、命の恩人である人達の為に特別サービス込みでのネゴシエーションを開始するロジャーの事を見誤っていた……というのは少し酷だろう。

ネゴシエイター、と言っても子供でさえ当たり前に持っている銃社会の物騒な世の中。

そういった役目を持つ者達はいても、その絶対数は多くない。

そしてほとんどは無名であり、依頼主も大半は手の足りない企業。

キヴォトスにネゴシエイターの居場所はほとんどないのである。

しかし、ロジャーは数多のネゴシエーションを成功させ、なんならネゴシエーションでパラダイムシティを救った男である。

そして用意周到に準備してきたロジャーに、ネゴシエーションでカイザー側が得をするようなネゴシエーションになる訳がないのだ。

 

 

 

 

 

結果、カイザーの不祥事やバレたら不味いとある計画(・・・・・)、そしてカイザーにとって得のする情報、それらを引き出しロジャーはアビドス高校の9億もある借金の減額、返済期日の撤廃、利息の無効化を成功させた。

 

「くっ……帰りはせいぜい気を付けるがいい。銃を持たない奴がどうなるのか、身物だがな」

 

と、ネゴシエーションの終わりにはそう負け惜しみを吐くカイザー理事長の姿があった。

そしてロジャー達がカイザーPMCから去ると、すぐに部下に連絡する。

本来、カイザーローンに連絡しネゴシエーションをするのだろうがあえて、いやアビドス高校の借金を手引きをしたのがカイザー理事長だと理解して交渉の相手にしたロジャー。

そんな彼を危険視しない訳もなく、カイザー理事長は「アレを出せ」と命令する。

 

「【レプリメガデウス】を発進させろ。あの若造は危険すぎる…」

 

ネゴシエイターという職業上、企業の秘密を知ってしまったりといった事は多々ある。

だからこそ、そういった秘密をしっかり守れるネゴシエイターは大変貴重であるし、当然の事でもある。

だがそれは信用があってこその話。

まだ少しばかりパラダイムシティの頃の感覚で動いていたロジャーのミスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発音が響く町中。

人気が少ない場所なのが幸いにして民間人に被害が出ずに済んでいるが、カイザーPMCが送り出した巨大なロボ【レプリメガデウス】こと【カイザーロボ01型】が鞭を振り回し、頭部からミサイルランチャーの弾頭が発射され逃げるロジャーの近くに落ちる。

 

「少々、やり過ぎたかな?」

 

あの計画に関しては調べてみると、杜撰な奴らの多い会社なのでどのみちロジャーでなくとも頓挫するだろうと思っているのでその時まで喋るつもりはないのだが、まあ無名のネゴシエイターなどこうなるのも当然だろう。

パラダイムシティではかなり有名なネゴシエイターだったが故に、少しショックでもあった。

まあ流石に時効だろう。

 

「だからあの計画については言わない方が良いって言ったのに」

 

と、ドロシーは逃走を邪魔してくるカイザーのロボット兵士に石を蹴って顔にクリーンヒット、気絶させながらロジャーを咎める。

 

「今度は手加減するさ。だがまずはあのメガデウスモドキを破壊しなければな」

 

「でも今、ビッグオーはないでしょう?銃もないし」

 

「私がネゴシエーションに銃を持ってこないのは当たり前だろう?それはともかく、ビッグオーはいる。なんとなくだがそんな確信がある」

 

「直感、というもの?」

 

「そうだな、そうかもしれん」

 

私らしくないがな、と軽く笑いつつロジャーは腕時計の装置を起動させ、かの名を呼ぶ。

もしも駄目だったら?

ロジャー・スミスに不可能という文字はない。

……駄目だったとしても、この場から逃げ切るくらいはできるだろう。

 

 

「ビッグオー!ショータイム!」

 

 

地響き。

地響きがこの場を揺らす。

それはカイザーPMCのモニタリング室でも同様に。

 

「なんだ!?この揺れは!?」

 

「ち、地下から急速に何か来るようです!?」

 

もしも、ビッグオーに人間のように意思があったのなら彼は喜んだだろう。

ようやく己の半身とも言えるドミュナス(適合者)と再会できたのだから。

数百年、いや千数百年か?

そんなのはどうでもいい。

あの頃の思い出と共に地下の奥深くに眠りについていた主なき黒い巨人は、ようやく大地に出られたのだから。

 

「来たか!」

 

「来たわね」

 

地面を割って現れたビッグオー。

首元が現れた所でビッグオーに二人は乗り込み、埃を被ったビッグオーのコクピットに座る。

 

「ゲホッゴホッ。帰ったらノーマンに掃除してもらわんとな」

 

「貴方もやるのよロジャー」

 

「…そうだな。たまには私もやるか」

 

「明日は雨が降るわね」

 

「それは酷いぞドロシー」

 

イチャつく二人に反して、ビッグオーは淡々とシステムを起動させる。

 

 

 

【Cast in the name of god ye not guilty】

 

 

 

「ビッグオー!アクションッ!」

 

ロジャーのその掛け声と共に、ビッグオーの瞳が光る。

30mの巨体が、ズシンと歩き始める。

 

「な、なんだ!?」

 

「め、メガデウス?まさかオリジナル!?」

 

理事長達は動揺し、何が起きてるのか分からない野次馬と民間人は驚く。

そして暴れているロボットを止めようと動いていたミレニアムの生徒達は、突然現れたビッグオーに腰を抜かした。

 

「ま、またアイツらが何かやったのか!?」

 

三者三様の様相を見せるが、渦中にいる本人達はそんな事を知る由もない。

 

「さて、どうしてかドロシー1(ワン)にそっくりの君には私達を待っているお嬢さん方の為にもご退場して頂こう!」

 

「遠慮なしでやりなさい。アレは偽物だから」

 

「言われなくとも!」

 

操縦桿を動かし、カイザーロボの胴体をビッグオーの逞しい腕がカイザーロボを打ちすえる。

 

「な、何をやっとるか!さっさと反撃しろ!」

 

「は、はい!」

 

理事長が慌てて指示し、部下も焦りで手間取りつつカイザーロボに指示を出す。

しかし、歴戦のビッグオーとロジャーには開発されて間もない、しかもメガデウスのレプリカ風情では動きが格段に違う。

 

「おっと、鞭は使わせない!」

 

鞭の付け根である腕を掴み、ビッグオーのパワーでそのまま引き千切る。

そして、すかさず必殺の構えを取る。

 

「バイバイ!」

 

肘にあるパイルがバゴン、と引き絞られ手はカイザーロボを捉え持ち上げていた。

そしてパイルが押し込まれ圧縮され高温の空気が胴体を貫き天にも届かんと熱波が飛ぶ。

そんな物をもろにくらったら無事に済むはずがなく、爆発四散するカイザーロボ。

 

「なんだというのか!?」

 

最早奇声に近い声で喚く理事長。

無慈悲にも彼らの集大成であるカイザーロボ01は、ビッグオーの必殺技【サドン・インパクト】によって粉砕されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数カ月後

 

 

「いやぁ、おじさん本当に助かっちゃたよぉ」

 

「これくらいなんともないさ。これでも軍警察にいた頃に身体は鍛えられているのでね」

 

卒業、入学式と春の行事が目白押しの今日。

入学式の準備に手伝いとして頼まれたロジャーとドロシーは久方ぶりにアビドス高校に来ていた。

正式な手続きで借金をしているアビドス高校が借金を帳消しにするにはカイザーコーポレーションそのものを壊滅させる必要があるため、利息や減額といった方法でしかロジャーは恩返しができなかったがそれだけでもユメ達にとって十分な結果であった。

大人、という点で好感度がマイナスよりのゼロだったホシノの好感度は爆上がりし当初は困惑したユメやロジャー達であったがそれも今ではいい思い出である。

 

「それにしてもホシノのその口調、普段の事を考えると似合わないわね」

 

「それは言わないでよぉ」

 

「後輩の事を考えての事だからあまりいじらないでやれよ、ドロシー」

 

和気あいあいとした雰囲気。

これから二人の入学生が来るまで、適当に駄弁るくらいしかない三人は昔話(というにはまだ少し最近だが)で盛り上がる。

そして話題は入学生である二人に移り変わる。

 

「ノノミ君にシロコ、初めて出会った頃はどちらも一癖……いやシロコの方は二癖もあったな」

 

と、ロジャーが言うとドロシーが続けて言う。

 

「そしてシロコの事を大人気なく関節技を決めて無力させたアレは凄かったわね」

 

「大人気なくとはなんだ。割と命懸けだったんだぞ」

 

「でも何度も挑戦してついぞロジャーさんには勝てなかったよね

ぇ」

 

「愚直に突っ込むだけだったからな。だがアレで搦手やフェイントを本格的に学んで繰り出してきたら流石に無理だろうな…」

 

過去を懐かしむ。

ドロシーと出会った頃の自分だったらする事もなかっただろうとロジャーは振り返る。

かつてパラダイムシティに住む者達は記憶を喪失したが、だからといってその日生きる事以上の事を優先するものはない。

刹那的な生き方、と言えるのかもしれないが過去に執着しても良い事はない。

そういった割り切りもあったしロジャー自身、過去の自分を知りたくないという忌避感があったのもある。

だが今はそういった事を気にすることなく今を生きて充足した毎日だ。

生きる時間も世界も変わったけれども、ロジャー・スミスは後悔しない。

戻り方も分からないし、そもそもキヴォトスには放っておけない物が多い。

特に最近、見習いメイドとなったホシノの先輩とか。

 

「おっと、そろそろ入学式の時間だ。持ち場につこう」

 

「うへ〜」

 

ふと、腕時計を見るとそろそろ入学式が始まる時間であった。

各々の持ち場につき、閑散とした体育館に二人の少女が入る。

砂狼シロコ、十六夜ノノミ、二人が鉄パイプの椅子に着席し気怠そうなホシノが「うへ〜」と漏らしつつ形だけの入学式のアレコレを進めていく。

そして、本番はそれが終わってから。

 

「んじゃあ、堅苦しい入学式は終わらせて入学祝い〜。ロジャーさんがお祝いの料理を持ってきてくれたよ〜」

 

「入学祝いだ。たらふく食べてくれ」

 

体育館の隅からテーブルを移動させ、シロコとノノミの前に置き隠すように覆われていた布を引っ剥がす。

布の下には沢山の料理があり、バイキング方式となっていた。

 

「少しユメ君が誤発注して多めになってしまったが、まあたくさん食べてくれ。持ち帰り用にタッパーも用意してある」

 

「ん、頂きます」

 

「ありがとうございます、ロジャーさん!」

 

透きとおるような青春はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

だがここで闖入者が体育館の扉を破壊して入り込む。

 

「アビドス高校をウチらに寄越せぇ!」

 

「………はぁ、せっかくの祝い事に水を差すような真似はよしたまえヘルメット団の諸君」

 

……どうやら、お祝いのご飯はお預けらしい。

それに腹を立てるのは勿論、食べようと料理を口元まで運んだシロコとノノミ。

あとついでにホシノ。

各々の武器、ショットガン、アサルトライフル、ガトリングガンを構えた三人の威圧感はそれはもう凄まじいものだろう。

 

「今日は手加減できないよぉ〜?」

 

「ん、潰す」

 

「もしかしたら今日でお別れしちゃうかもしれないですね〜」

 

今日も今日とてキヴォトスは騒がしい。

子供達のドンパチが日常的なこの世界で、銃を持たないネゴシエイターは溜息をつきながらも微笑む。

 

「我々はとんでもない世界に来てしまったが、元々とんでもない目にあった我々にとってはある意味でお似合いなのかもしれないな」

 

「どうして?」

 

「世界を文字通りリセットできる奴とネゴシエーションするなんて普通は正気の沙汰じゃないと言われるだろう?そしてこの世界は常に武力抗争が起きる世界。もしかしたら必然だったのかもしれんな。この世界に来たのは」

 

「でも、パラダイムシティの事はまだ気になってるでしょう?」

 

「そりゃあね。でも、彼女達を見てると放っておけないな、と思うのさ。命の恩人というのもあるがそもそもこの世界に流れ着いた意味を知りたくもあってね」

 

「まあ、ロジャーの好きな様にしたら良いと思うわよ。下心がなければの話だけれども」

 

「……さて、そろそろ止めに入ろう。流れ弾をくらうのも嫌だしね」

 

「下心、あるのね」

 

しょうがないなぁ、と無表情なのにそんな雰囲気のドロシー。

それを背にロジャーは前に歩き始める。

臆せず歩いてくるロジャー、そしてヘイローがない故に躊躇するヘルメット団。

 

「今日はこれでお引き取り願おう!でなければ、私の愛車が君達を蹂躙する事になるぞ!」

 

彼のネゴシエーションは、これからも続く………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





【補足】
・パラダイムシティへの認識
資料がほとんど消失し、分かる範囲だけでは個々人でかなり意見が変わる。
なので嘘と真実が混じり合って誤認や噂に信じる意見が多い。


・メガデウスについて
こちらもキヴォトスでは記録の消失によって存在を示唆するような噂ぐらいしかない。
しかし、今回の騒動で存在が確認され各陣営が開発やビッグオーの捜索に躍起になっている。
勿論ゲマトリア、特にベアおばが唾飛ばしながらアリウス生徒達に捜索させている。


・ビッグオーについて
錆びなかった理由?俺に聞くな!()
ピンチに陥る事はあれど、並大抵の攻撃には某マジンガーの如く、びくともしないので恐らく風化に対する耐性もある程度あるかと思われ。
ちなみに輸送には本来、地下鉄が走っていたサブウェイを使うのだが、本作ではキヴォトス各地の地下深くにサブウェイが存在する設定。
多分、温泉部が発見するかもしれない。
ちなみに主役機なのだが、実は量産機というとんでもない描写がある。


・ノーマンについて
なんでいるのか?いないとビッグオーの整備も弾薬補充とかままならないのだよ(焦)
作中ではほとんどノーマンだけでやってたし。
割とビッグオーが親切設計なのもあるだろう。
基本的にはロジャーの屋敷で家事全般を担当しており、主であるロジャーの帰宅を待つのだが何かあれば彼も戦力として武装バイクや重機関銃を持ち出す。


・カイザーについて
詳しくは知らないが、とりあえず悪徳企業なのは分かってる。
ついでになんかキヴォトスを支配する計画があるとかないとか聞いた
展開の都合上、ロジャーに知ってもらう事になってしまったがカイザーの上層部がアレなのが分かってちょっと舐めてた。
まあ実際、ネゴシエイターだし有名になっちゃったし下手に消せないし言わないと契約してるならままえやろ、と放置。


・ロジャー達について
漫画版とアニメ原作があるが、本作ではアニメのロジャー達。


・ビッグオーの敵キャラについて
出番はなし。
そもそも本編終了後だし、ベック入れたら割と洒落にならない事が起きそうなので……
そもそもブルアカの敵キャラ自体、メンドイの多すぎぃ!


・カイザーロボについて
断片的な遺物となったメガデウスパーツから生み出されたレプリカ。
といっても技術的に再現するので手一杯で、性能までは流石に完璧に再現できなかった。
実質、劣化メガデウスである。


・先生とはどうなるの?
数少ない大人の男性という事でよくつるむ。
女先生でもよくつるむが、そうなると女先生がヒロイン化するフラグが立ってしまうので男性……男性でいいよね…?


・今回のネゴシエーションについて
汚い方法で借金背負わせてるので(商売と考えれば当然の行動ではあるだろうが)意趣返し気味に買収とかで情報を引き出している。
ネゴシエイターという職業上、そういった事もあるだろうし実際、作中でも情報屋らしき人物が出たりしてる。
決して【ネゴシエーション(物理解決)】とか思ってはいけない()


・キヴォトスの社会体制についてロジャーの感想
一抹の不安がないわけではないが、思ったよりも子供達は理性的で現実的な選択を選んでいるので好感を持っている。
それを強要させてしまう環境に悍ましさを感じるが、かといってキヴォトスに潜む大人達に統治させればキヴォトスは地獄になるのでこっちがマシ。
過ちを犯せばその時は諌め反省させ償わせるが、度を過ぎた場合はビッグオーを使ってでもお仕置きするらしい。




はい、という感じになります。
ロジャー達の再現度低い気がするのは気のせいだと思いたい()
そしてガチでネタ切れてるので続かない。
なので代わりに書ける人を絶賛募集
共同執筆でも全然構いません

ただ、感想で続きを求める声が百件ぐらいあったり、評価バーが赤くなったら頑張って続き書いてみる
その場合、クオリティとか諸々劣化してる可能性も悪しからず…

読了、ありがとうございました
ちかれた
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