なんとかネタをひりだしてみた。
バーが赤くなってるし、流石に……ね?
まあ、サブタイトル通りありきたりな展開。
あと意外な人物をブチ込んだしまったから原作シナリオがブレイクというか、滅茶苦茶だと思うけどピクシブ大百科程度の知識しかないし寛容な心で許して
夢というのは厄介なものだと、ロジャーは思う。
良き思い出に浸ることもあれば、思い出したくないメモリーの中に囚われ、悪夢を見せられたりするのだから。
その夢の内容は、一瞬なのかそれとも幻覚なのか。
いや、幻覚にしては余りにも設定や世界がしっかりしていた。
アレはやはり、異世界なのだろう。
それはともかく、そこでの悪夢を見せられて寝覚めのいい朝ではなくなってしまった。
ロジャーはそんな状態に不機嫌さを隠しきれずに朝食を腹に収めていた。
「ろ、ロジャーさん。何か嫌な夢でも見たんですかぁ…?」
険しい顔のロジャーに、まだまだ見習いメイドであるユメは恐る恐る問い掛ける。
怯えた様子を見せるユメに、ロジャーはハッと気づく。
「すまない。久しぶりに碌でもない悪夢を見てしまってな。怖がらせるつもりはなかった」
「そ、それなら良かったです……私の膝枕でもう一度眠ります?」
「いや、それは遠慮しておこう。知られたらホシノ君に殺されそうだ」
「うーん、そうかなぁ…?」
本人がいたらユメを正座させて、もっと自分を大事にと説教するのが目に見えるロジャーは苦笑いを浮かべつつ悪夢の事を振り払って、今日の仕事をノーマンに確認する。
「ノーマン、今日の予定は」
「本日は午前にブラックマーケットでのネゴシエーションの依頼と、午後はカイザーコーポレーションの傘下企業のネゴシエーションの予定があります」
今日も今日とて仕事である。
ロジャーはホワイトな職場を指標にしてるので(自分が働き詰めになりたくないのもあるが)よく予定を入れない日を入れるが、余程の急を要する依頼でもなければある程度は予定を組んで仕事をしている。
ロジャーが身内にも黒い服装に統一しているからって、職場までブラックにするような人物ではない。
まあ、そんな下らないジョークはさておき、午前のネゴシエーションを成功させて昼食を取るべくブラックマーケットを通っていた時に、ロジャーはふと見えたその少女に驚愕した。
「シロコ……?」
アビドス砂漠で記憶を失った迷い子となってホシノ達と見つけた狼の耳を持つ少女。
彼女を大人にしたような姿の長髪の女性を、ブラックマーケットで見つけたのだ。
「いや、そんなまさか。だがしかし…」
自分の目を信じられないロジャーだが、自身の直感はアレはシロコだと訴えており、ロジャーは追いかける事にした。
無論、お付きのドロシーはそんなロジャーと並走しながら質問する。
「どうしたの、ロジャー?」
「シロコを見つけた。いや、厳密にはシロコじゃないかもしれないが……放っておけない顔をしていてね」
「……一応、ホシノに連絡しとくわね」
「ああ、頼む」
離脱していくドロシーを見送り、
路地裏に入るのを見て、誘われていると感じるが臆せずそこに飛び込むように入った。
「貴方は何者」
入った途端に鼻っ面に突き付けられる黒い銃に、ロジャーは冷汗を流しつつ答える。
お互い、分からない事だらけだろうからそう簡単に殺したりはしないだろう。
とはいえ、嘘をつけば足くらいは撃たれるかもしれない。
「ネゴシエイター、ロジャー・スミスをご存知ない?」
「ん、知らない」
武器を待ってないとアピールすべく、手を上げながら少しおどけた口調で名乗る。
それに淡々と答えたシロコだが、彼女の名前を確認するロジャーの言葉でその雰囲気は変わる。
「君は、砂狼シロコ、であってるか?」
「ッ…」
何故知っている、と言いたげに殺意を向けるシロコ。
ここまででロジャーは彼女が自分を知らない事にとある可能性を考えるが、その判断を下すにはまだ情報が足りなく早計だと考えて質問を重ねる。
「小鳥遊ホシノ、梔子ユメ、十六夜ノノミに聞き覚えは?」
「ユメは知らないけど、なんでホシノ先輩達を……」
「なるほど。君は、私にとっては別の世界の未来のシロコということか」
「!?」
冴えた頭でそう答えを出すと、驚愕のあまり目が見開き銃を持つ手が少しばかり震える。
「何故、それを……!」
当然の疑問にロジャーは答える。
「私もまた、別世界……いや、この世界では過去から来ている存在でね。世界は私にまだ何かの役をさせたいようだ」
「……ここは、私の知らない世界。そういうこと?」
「そうだな。同時に君にとっては過去の世界でもある。梔子ユメを知らないということは、君は私がいない世界線の未来のシロコといった所だろう」
「つまり、この世界にまだ【先生】はいない…?」
「先生?確かにアビドスには教師となるものはいないが…」
「違う、先生はシャーレの人。私達を助けてくれた…けど…」
「私達…?」
悲哀を感じる表情に、ロジャーはかつて異世界に行った自分を重ねる。
全てが自分の知るものと違い、そして大事な自分のアイデンティティは創作の中のものだった。
一時は狂気に流されてしまおうかと、考えてしまった瞬間もあった自分の苦い過去を思い出したのは、今日の悪夢もあるのだろう。
「なんで、貴方は私を追ってきたの?」
「…自分を見失いかけている、それを経験した事があるから、君を放っておけなかった。それに、私は困っている女性を放っておけない質でもあってね」
暗い雰囲気を少しでも明るくしようと、そう最後にロジャーが言うとシロコは少し笑う。
「ん…おかしな人」
彼の意図を理解したのか、それ以上は言わずロジャーを見る。
銃はいつの間にか降ろされており、ロジャーも上げていた手を下げる。
「ふぅ…さて、ここで話すのもなんだし、私の邸宅に――」
対話できると判断したロジャー。
ゆっくり話し合う為に、自宅へ招こうとするも建物が破壊される音で二人はそちらの方へ視線を向ける。
「なに…!?」
「まさか…」
「知ってるの?」
「そのまさかだと思いたいのだがね…!」
路地裏から出ると、破壊されている方向には巨大なロボットがブラックマーケットの建物を破壊しながら突き進んでいた。
その姿は、
「まさか、このブラックマーケットを吹き飛ばそうとしているのか!?」
「ん…!?」
まさかの言葉にシロコも驚きを隠せない。
あんなデカいロボットにそんか力があるのか、と驚くの同時に異世界ならそれもあり得るかと少しばかり納得もしていた。
「……シロコ君。いや、こちらの世界のシロコと混同してしまうから便宜上、今からクロコと呼ばせてもらうが、少し失礼する」
そう言うとロジャーはクロコをお姫様のように抱えて、左腕につけた時計に合言葉を叫ぶ。
それを呆然と見るしかなかったクロコだが、本日、n回目の驚きが彼女を襲う。
「え…」
「ビッグオー!ショータイム!!」
彼の言葉と同時に、真下から黒き拳が突き出され、ロジャーとクロコを上へと押し上げる。
「君が抱えている悩みがなんなのかは、今の私には分からない。だが、これだけは覚えてほしい」
独りごちるように語るロジャーの言葉に、クロコは圧巻されているのもあって大人しく聞いていた。
というか、放心している。
それでもロジャーの言葉を聞き逃すまいとすぐに思考を回復させたのは、クロコの元々の強いメンタル故だろう。
「ここにいる私が、例えロジャー・スミスを名乗る俳優だとしても、ここにいる私がロジャー・スミスと名乗るのならば、私はロジャー・スミスなのだ!」
清々しいまでの自己主張。
だが、クロコにとってその言葉は自分の中にある罪悪感への一つの光として心に響く。
「だから、君が存在してはいけない存在などではない。例え、私の故郷が四十年前より前に世界がないとしても、私は私の法の下で、自由に生き自由を履き違えた者を裁く。それが今日まで生きてきたロジャー・スミスという人間の信念であり、決断であり、意思表示なのだから」
そう言うと、ロジャーはクロコを抱えたままビッグオーのコクピットに降り、彼女と共にコクピット内に入る。
「ドロシーだったらこんな真似はできなかったな」
「ドロシー…?」
「私の相棒で唯一無二のアンドロイドさ」
この言葉をドロシーが聞いたら複雑な感情で軽くロジャーの顔を引っ叩くだろうが、幸いにしてこの場に彼女はいない。
「さて、この自爆型のロボットの相手は既にしてるのでね。あとは、被害が出ない事を祈るだけだ」
ビッグオーが起動し、操縦桿がロジャーの元に下りそれをロジャーは握り締める。
膝の上にはクロコが未だいるが、ふと自分の状況を思い出して顔を赤らめる。
「あっ、お、降ろして…」
そう言うクロコだが、ロジャーは謝る。
「すまない、クロコ。戦闘となると大分揺れるから申し訳無いが我慢してくれ」
そう言われてしまったら仕方がないと、クロコは大人しくロジャーの服にしがみつく。
ノーマンに後で新しいものを用意してもらわなければと今後の予定を組み立てつつ、目の前の前進する玩具のようなロボットの肩を掴んで動きを止める。
ロジャーは知る由もないが、このロボットは午後からの依頼で頼まれていたカイザーの傘下企業が作っていたメガデウス……と呼ぶにはあまりにもお粗末な自爆型のロボットで、お察しかもしれないがカイザーの技術を不正入手して生まれたものである。
では、何故そんなものが動いているのかと言うと、カイザーPMCが不正入手を知り武力排除しようとした所、暴走してしまったのである。
これによって担当部隊は一年間給料減額と、その責任者として理事長も給料を減らされるのだが、まあこれは余談だろう。
「まずは足を破壊する!」
まずは足を止めるためにビッグオーの両目から放つビーム【アークライン】を放つ。
装甲もAIの判断能力もオリジナルどころかカイザーの物にも劣るロボットに、それを止める手段がある筈もなく足が溶断され機動力を奪われる。
だが、せめての抵抗にとロボットらしい2指のアームで殴ってくるがビッグオーがその程度で壊れる筈もない。
「綺麗な花火になって散りたまえ!」
足を失い少しばかり軽くなったロボットを頭上に抱えあげて、そして空高く投げる。
ビッグオーのパワーならば、爆発による破壊を免れる距離まで投げれる。
そして、トドメの一撃を入れる。
「クロコ、ちょっとそこのボタンを押してくれ」
「ん、了解」
ロジャーの頼みでクロコはロジャーの視線の先にあるボタンを押す。
すると、腕が拡張・展開し四つの銃口があらわになる。
「君が最後に見える光の軌跡をその目に刻みたまえ!」
「カッコいい……!」
ロジャーの台詞に目を煌めかせるクロコ。
そんな事は知ったことかとビッグオーはロジャーの操縦通り、四つの銃口からビーム弾が高速で発射される。
腕も回転しているため、さながらビームガトリングとも言うのだろうか。
だが、それ故にクロコはコクピットから見えた光の軌跡を見た。
「【О】……Оサンダー…」
光の軌跡がОの字を空間に刻み、それが消えると全弾ヒットしたロボットは爆薬を炸裂させて派手に爆散した。
ーーー
「ロジャーさんが女の子拐ってきた……!?」
「何故そうなるんだ、ユメ君…」
帰宅後、ロジャーに降ろしてもらったクロコは先生とは違う、男性の温もりと鍛えた身体の感触を思い出して軽く赤面しつつ、自分の不義理を責めて罪悪感に囚われてはロジャーの言葉を思い出しのループで、なんだか一言では言い表せない顔であった。
少なくとも変顔ではない。
彼女の名誉の為にも、これだけは明言しておこう。
「ドロシー、シロコについては…」
「相変わらず血気盛んそうよ。でも、ほとんどシロコね、その子」
「別の世界線のシロコらしい。便宜上、クロコと呼ばせてもらってるが…」
何故、この世界に来たのか。
それは彼女から語られるかもしれないし、本人も分からないかもしれない。
だが、少なくともロジャー達のいるこの場所はクロコに対して害を与える存在でないことは確かである。
「えっと、シロコさん?」
「ん、クロコでいい」
「じゃあクロコちゃん!私は梔子ユメ!ホシノちゃんの先輩だよ!よろしくね!」
「……嘘っぽい」
「ひぃん…」
まあ、雰囲気がそうらしくないからそう思われても仕方ないだろう。
ロジャーは堪えきれず笑いを少し漏らしつつ、ノーマンに予定変更を伝える。
「ノーマン、今日は予定変更だ」
「はい、ロジャー様。ですが、依頼先もどうやら予定変更のようでそもそも空白となっております。いかがしますか、ロジャー様」
「なら、今日は彼女の歓迎会でも開こうか。今日の嫌な思い出はそれで消し飛ばそう」
「ホッホッホッ。腕が鳴りますな」
「芋の皮剥きぐらいは手伝うよ、ノーマン」
「いえいえ、ロジャー様はごゆっくりとしてくださいませ。ユメ殿も最近は厨房をある程度は任せられるようになったので」
「ノーマンの教えのおかげだな」
どうやら、今日という日は記憶に残る楽しい日になりそうだ。
今日が素晴らしい日なのかは当人が自由に決めること。
しかし、ロジャーは思う。
「今日という日が楽しい日になり、それが明日にも繋がればそれが一番だ。その為に少しくらい、楽しい思い出にする為にほんの少し誰かの自由な判断を変えようとしてもバチは当たらない。そうは思わないか、ビッグオー」
格納庫で静かに眠るビッグオーに、そう今日の締めを語るロジャーであった。
読了ありがとうございます。
テレ玉のビッグオーもセカンドシーズンになり、キッカケとしてはいいかな~なんて思いつつ書き上げました。
いつの間にか赤バーになってるの、僕にはホラーでしたよ…()
ホラーだけにテラーってか。
……今のは無かった事に…
それはさておき、感想や評価をくださった方々、ありがとうございます。
見切り発車な拙作に目を通していただけて、作者冥利につきます。
続くかは未だに分かりませんが、本作を楽しんで頂けたら幸いです。