超逆転裁判   作:枕元バナナ論

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法廷記録は『法廷パート1』の前に追加しておきました。
『』の部分はシステムメッセージ的なイメージです。

2024年9月10日 改稿
①主人公の名前を『法廷パート1』と合わせました。
②文章の校正をしました。

資格習得の勉強が忙しく、9月中に投稿ができるか分かりません。
申し訳ないです。


法廷パート2

5月13日 午前9時00分 地方裁判所 第3法廷

「それでは矢張 正香の法廷を開廷します」

 

裁判長がガベルを振り下ろす。

カツンという小気味いい音が、重苦しい雰囲気の漂う法廷に鳴り響いた。

その音に、俺の心臓が大きく跳ねる。

 

「弁護側、準備完了しておりますかな」

「べ、弁護側、その、準備完了しております」

 

俺はしどろもどろになりながらも言う。喉がカラカラで、声が震えているのが自分でもわかる。

正香ちゃんのおかげで開廷前は少し緊張感が薄れたけど、流石に始まったら緊張が増してきた。

 

冷や汗が背中を伝い落ちるのを感じる。

やれやれ、頭がもう真っ白だよ。何を言おうとしていたのか、全て吹き飛んでしまった気がする。

 

「検察側、準備完了しております」

 

続けて、検察側のスキンヘッドの中年検事が言う。

 

確か、彼の名前は亜内武臣。

ベテラン検事でセンセイも何度か戦ったことがあると言っていた。

 

「……さて、弁護人。是田君でしたな」

「は、はいッ!」

 

裁判長は俺に語りかける。その眼差しは穏やかだが、それでも威圧感を感じずにはいられない。

 

「今日が初めての法廷ということでしたが、大丈夫ですかな?」

「その、もちろん、だ、大丈夫です!」

 

口では強がっているものの、内心では全く違う。うう、やっぱり緊張がすごいなあ。

冷や汗と脂汗が止まらない。なんか、法廷中の全員から突き刺さるような視線を受けている気がするような感じがするなぁ……。

 

「コレダ君、大丈夫かい?」

 

隣から、センセイの声が聞こえる。

心配そうな表情で俺を見ている。

 

「は、はあ、実はちょっと緊張気味です、先生」

 

正直に答えると、センセイは優しく微笑んだ。

 

「なあに、この名探偵が横に控えているんだ。安心しなさい」

 

その言葉に少し勇気づけられる。しかし、俺があまりにも緊張しているからか、亜内検事はニタリと嫌味な笑顔を浮かべる。

その表情に、少し萎縮してしまう。

 

「んっんー……新米弁護士殿はキンチョー気味のようですなぁ」

「!」

「そんな体たらくで、この私、亜内武臣と戦えるのですかねぇ?」

「た、戦えます!もちろんッ!」

 

必死に反論するが、声が裏返ってしまう。情けない。

亜内検事は額をぺしぺしと叩きつつ、嫌味な笑みを浮かべる。

 

「そこで無罪を勝ち取りますと言えないようじゃあ、まだまだですなぁ」

「うぅ(確かに……)」

 

心の中で認めてしまう自分が悔しい。

 

「フッフッフッ、今日も私の趣味、新人いびりが捗りそうです」

 

うう、嫌な趣味。

 

「ちなみに、彼の異名は"新人クラッシャー"らしいね」

 

先生が隣でこそっと教えてくれた。

その情報が、さらに不安を掻き立てる。

 

何をしたらそんな異名で呼ばれるんだよ……。

 

「亜内検事。前置きはそれくらいに。そろそろ、冒頭弁論をお願いします」

 

裁判長の声に、一瞬ホッとする。

しかし、これから始まる本番を思うと、また緊張が高まる。

 

「おお、そうですな。それでは早速説明しましょう」

 

恐らく、冒頭弁論のために作られた書類だろう。

彼は一枚の書類を取り出し、それを見ながら説明を始める。

 

「被害者の名前は『本川玲(モトカワ レイ)』。5月10日午後21時ごろに、勇秀大学のとある研究室で殺害されました」

「ふむ、被害者の身元は何ですかな?」

「被害者はその研究室に所属する学生です」

「なるほど……続けてください」

「第一発見者は彼の友人です。食事に誘おうと研究室に入ったところ、遺体を発見したそうです」

 

亜内検事はスラスラと冒頭弁論を話す。

 

「そして、被告人である矢張正香は彼は殺害した容疑で逮捕されています」

「ふむ、逮捕した理由は?」

「それは2つ理由がありますが、決定的な点としては、彼女に大きな動機が存在したからです」

「ふむう、動機ですか……。一体なんですかな」

 

裁判長は亜内検事に促す。

その時、亜内検事はおもむろに弁護席の俺を見る。

 

「それは……せっかくですので弁護人に伺いましょうか」

「え、俺ですか!?」

 

亜内検事はニヤリと笑いながら、俺の方へ問いかける。

 

「ええ、簡単な質問で弁護人の緊張をほぐして差し上げようと思いましてねぇ」

「そ、それぐらい、よ、余裕です!」

「それでは、自信満々の弁護人殿に、被害者と被告人の関係性を示す証拠を示していただきましょうかねぇ」

 

俺は思わず身を乗り出して、啖呵を切る。

それぐらい、俺だって分かるさ!

「おっとコレダ君、これは答えない方がいいね」

え、えーと。

俺は法廷記録のファイルを開き、証拠を確認する。

「コレダ君、聞いているかい?」

適切な証拠品はこれで……いいはず……!

「……集中力が凄いね」

 

「ど、動機はこの証拠が証明しています!」

 

『選択:矢張正香の携帯記録』

『くらえッ!』

 

「証拠はこの携帯の記録です」

「ほう、携帯の記録ですか」

「この携帯記録には、被害者と被告人のメッセージのやり取りが記録されています」

「メッセージのやり取りですか。それは重要そうです」

 

俺はそのまま論証を続ける。

 

「被害者は被告人とは別の人と交際、つまり浮気をしていたようです。動機としては十分だと思われます」

「ほう、いわゆる二股交際ですか。被告人、本当ですかな」

 

証人席にいる被告人、正香ちゃんに対して裁判長は問いかけた。

彼女は証人席に手をつき、身を乗り出す。

 

「は、はいッ!玲君、浮気していたんです!」

「玲君……被害者ですね」

「そう、玲君!くぅちゃんって子と浮気してたんです!う、ううう」

 

うわーんッ!まるで爆発したような彼女の泣き声が法廷中に鳴り響く。

彼女の目から流れる涙は、まるで滝のようだ。

 

法廷中の視線が彼女に集まり、なんだか居た堪れない雰囲気になる。

 

「ちょっといいかい、コレダ君」

「はい、何でしょうか先生」

「この情報、かなり重要だね。法廷記録に追加しておいた方がいいよ」

「は、はい」

 

確かに重要そうな情報だ。

よし、法廷記録に残しておこう。

 

『法廷記録に証拠を追加した。』

『証拠品:浮気の詳細』

『被害者は浮気をしていた。浮気の相手は『くぅちゃん』というらしい。』

 

「あともう1つ。今の質問に答えたのは悪手だったね」

「え?」

 

悪手……何か今の発言に問題があったか?

俺の発言を思い出していると、検事席から嫌な笑い声が聞こえる。

 

検事席の方に視線を向けると、亜内検事は『しめしめ』と存外に言っているような嫌味で満足気な笑みを浮かべていた。

ま、まさか罠だったのか!?

 

「そう、新米弁護士殿が示してくれたとおり、被告人には突発的な犯行を行うための大きな動機があるのです」

「恋愛問題はいつの時代も殺害の動機となりえます」

「ふむ、確かにそうなりますな」

 

あ、ああ!ヤバい!

正香ちゃんが殺害した理由を証明しちまったぞ……。

 

「し、しまったぁあッ!」

「クックックッ、親切な弁護人ですな」

 

うう、緊張のあまり、つい答えてしまった。

裁判長の心象が少し悪くなったような気がする……。

 

「す、すみません、先生」

「なあに、新人に失敗はつきものさ」

「うう……」

 

な、情けない。

俺は正香ちゃんの無実を証明するはすが、敵に塩を送っちまったんだ。

ううッ。

 

「さて、裁判長」

「何でしょうか、亜内検事」

「被告人の動機も証明されたことですし、そろそろ証人喚問を行いたいのですがよろしいですかな」

「ええ、そうしましょうか」

 

裁判長は頷く。

そして、亜内検事に促す。

 

「それでは、亜内検事。証人を入廷させてください」

「分かりました。それでは第一発見者である別宮トオル(べっく とおる)氏を召喚いたします」




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別宮トオル(べっく とおる)
ベクトル(物理学や数学で用いられる、「向き」と「大きさ」を表す指標)より
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