オレこと兵藤一誠は怪我人である。足が麻痺で動けなくなり、車イス生活へとシフトしてしまい、しばらく不自由な生活となった。
しかしそれよりも問題があった。そう代償だ。足が麻痺するだけでなくオレの容姿がだいぶ変わってしまった。
細く滑らかな手足に、丸々としたヒップに肩。おまけに肉質が柔らかい。
つまり、だ――――
「さあイッちゃん! このゴスロリを着て!」
「いいえイッセーさんにはシスターが似合います! 健気な顔つきですし!」
「ふ、甘いな二人とも。この子にはスクール水着こそ似合う。健康的な小動物タイプにはスクール水着こそ至高だ!」
――――オレの身体がどうなってるかって?
女の子だよコンチクショー。声も高いし、髪もピンクだし、おまけにアレがなくなり胸もできてる。
――――朱美まどかさんと同じ容姿になっていた……
「ソラさん、あなたはこんな風に苦労してたのですね……変態達に」
黄昏た目で真夏の空を見る。ミンミンとなく青空にソラさんが笑顔で敬礼していたような気がした。
代償の効果は以下の通り。
1:一週間の間に一日ごとに変化する
2:変化するとき痛みは最初だけで後は痛みがない
3:『英雄達の鎧』で借りた力を持つ人の容姿に変化する
つまりオレはこれからソラさん達の容姿に変化するのだ。二日目で2がわかったことは行幸だが、その度に桃亞達に着せ替え人形にさせられてたまらない。
どうやら虚無の心にソラさん達と同じ感情をインストールするみたいだ。要するにその人そのものになってしまうって感じだ。
まさか『英雄達の鎧』のデメリットがここで現れるとは……。
「というか『英雄達の鎧』ってなんなのイッちゃん」
「そうね。私が新たに開発した第二段階ってことね」
「第二段階?」
「そうよ。まあ禁手が第一段階とするなら、『覇龍』を第二段階とすることになるわね。つまり『覇龍』に次ぐ力よ」
黒髪ロングのオレが説明した。
まず、この力は借りる対象となる者達の魔力を自身の体内に召喚させる。召喚した魔力を使って、それをソラさんから学んだ魔法で自身の魔力を融合させる。
そうすることで借りた魔力を持つ者の力が生まれ、使用可能となり、その影響で鎧も変化したのだ。
このことをソラさんは『シンクロ』と名付けており、オレはそれを模倣したに過ぎないのだ。しかし魔力操作が上手いソラさんと違ってオレはヘタなため、こうした代償が生まれるわけだ。
「ということは私やグレモリーさんも可能なの?」
「桃亞ならできるかもしれないがグレモリーさんは無理よ。この力は文字通り繋がる力だ。親しい者じゃないと使えないし、桃亞の力を使っても無駄に代償を負うだけよ」
「ムカッ、それだと私が弱いってことだよね?」
「……悪いが事実よ。あなたじゃ、異世界の『英雄』達には勝てない」
鬼畜で外道な世界で『切り裂き魔』や『閃光』、『混沌の神器使い』に『無血の死神』を相手に桃亞が挑めば秒殺される。それくらい彼と彼女は強大だ。オレでも絶対挑みたくない。
『天使のハーフ、相棒でも異世界を相手にすれば死ぬ覚悟が必要だ。それくらい借りる力は強力すぎるのだ。わかってくれ』
「むー。納得できないなー」
まあ実感できないのは仕方ない。実際会ってみればわかるさきっと。……一人、確実に変態だけど。
四日目、昨日は青髪だったが今日は巨乳のお姉さまだった。困ったことに着ている病服の胸辺りが苦しい。そんなわけで脱ぎ始めると誰かが扉を開けた。
「おーい兵藤。見舞いにきた、ぞ……?」
「匙、勝手にあけない、の……?」
シトリーさんとクロスロードが病室を開ければ、あらまオレがたわわに実った果実を晒しているではあーりませんか。この身体のオリジナルなら叫び声をあげるわけだが、オレはそうはならない。
なぜならオレは変態だ。見られてこそ、なんぼだ。ゆえに問題はない……!
「あの、その……ごちそうさま?」
「わたしより大きい……?」
……やっぱヤメ。オレはオリジナルの得意分野のリボンから砲撃を生み出した。
「ま、待ってくれ! それをどう――――」
「ティロ・フィナーレ!」
「「にゃあァァァァァッ!!」」
クロスロードとシトリーさんは星となった。さて、どう言い訳するか考えようか。
代償最終日、本日の容姿はソラさんだった。銀髪青目のイケメンさんに看護婦さんもメロメロだったりする。……途中で見た『阿部』と書かれた医師の熱い視線に恐怖を覚えた。ヤツに後ろを立たれたら何かを失うはずだ。
「うーん、足の感覚も戻ってきたし、ちょっとリハビリするか」
オレが院内を歩いているとミルたんらしき人がこちらに向かっていた。オレが声をかけると、挨拶してくれた。
「よっ、ミルたん」
「あ。やっぱりイッセーくんだにょ。怪我は大丈夫かにょ?」
「まあな。てか、そのお隣さんは?」
ミルたんの隣には彼女と同じ容姿のマッスルマンがいた。ボディービルダーの人かと思ったがどうも武道に関係してそうな動きをややしていた。
「この人はマッスル戦士のぴーたんだにょ。極悪人だったけど、今は悪の秘密結社に所属してるにょ」
「いや悪人じゃん。てか悪の秘密結社ってなんだよ」
「説明しよう。我が悪の秘密結社『プロテイン』は人類全てをマッスル化させ、筋肉による筋肉のための世界を実現させ、世界を掌握することで平和に一つまとめるのだよキミィ!」
「なにその人類筋肉補完計画。前に千香さんが考えていた人類萌え化計画よりもおぞましいなオイ」
なら正義の味方であるミルたんの敵対関係じゃね?
そう思って二人を見るがどうも険悪な感じはしない。むしろお互いに認め合うライバルみたいだ。
「まだまだ我々は諦めぬ。クラナガンにいるマッスラーズのような世界を我々は目指すのだ!」
「衛くんはそんなこと望んでないにょ。筋肉は支配するための道具ではなく、魅せるための芸術だにょ。そんなことをこのミルたんがさせないにょ」
衛さんって人がマッスルを広めた張本人のようだ。てか、魅せる筋肉ってなに? 暑苦しいと思うのはオレだけ?
そしてクラナガンにマジでそんな組織あるの? ホントなら行きたくねー……。
「あら、今日は男の子なのね兵藤くん」
「まあな。てか、ミルたんの許可なく堂々と富竹フラッシュするな」
「いいじゃない。どっちのミルたんも素晴らしいわ。ちなみに最近の私のマイブームは筋肉よ」
「ここに筋肉信者が誕生していた!」
グレモリーさん、あんたどこまでおかしくなる。このままじゃ、サーゼクスさんも泣くぞきっと。
そう思いオレはスマホでサーゼクスさんへラインを送る。
《グレモリーさんのマイブームが筋肉な件》
送信。
着信。
《暖かく見守ってください。もう跡取りはミリキャスにしようかな……》
グレモリーさん次期当主の地位陥落の危機。なんか物理的になんとかしそうなのはオレの気のせいだと思いたかった。
今日でオレの容姿は元に戻った。足も万全、手も万全。
「さてと、帰るか……我が家へ」
そして明日もばか騒ぎと行こうじゃないか。そう思いながら帰路についた。
「あんら! フリードさん、今日もお疲れ様!」
「主夫の鏡ね!」
おばちゃん連中に誉められたフリードさんが我が家の前で箒を掃いていた。なぜに?
「幸田さんのところに就職しますた」
どうやら親父の組織に入社したようだよワトソンくん。
『英雄達の鎧』
身体の内に召喚した魔力を繋げることによりなれるモード。ソラの持つ『シンクロ』という魔法に似ており、繋げた魔力の持ち主と同じ力を持つ。しかし一誠はソラと違って魔力コントロールがヘタなため、代償が存在しており、軽くて足の麻痺。重くて全身麻痺になることもある。さらに繋いだ魔力の持ち主と同じ身体に変化するようになる。これは『シンクロ』で変化したソラにも起きるものだが、魔力コントロールで抑えられているのでソラには髪の色が変化する程度しかない。
神器使いの魔力(=気)
肉体による身体エネルギーと経験から生じる精神エネルギーを混ぜた力。つまり体力と心の力を融合して使える力。
気
神器使い達が使う魔力と同じ。ナルトで言うチャクラみたいなもの
魔力
悪魔など使える力。作者的にはリンカーコアみたいに内蔵が魔力を集めているのでは、と考えてる。
忍術
ここでは気によって使える魔法。ナルトと同じで印を使うが一誠やシズクなど目では追えないくらいの早さを結ぶことも可能
仙術
気に自然エネルギーを取り込むことで発動する能力。動かないことが重要らしいがそれは自然エネルギーを感じ、取り込むためなのであまり気にすることじゃない。一誠の場合、自然と一体化しやすいためこれが上手く使える
神器
前作に出てきた魂の一部が武器化した姿。破壊できず強力な能力を持つが、失えば持ち主は死ぬ。セイクリッド・ギアとは違う。
ぴーたん
…………前作のとある憂鬱に最後に変態化したマッスル。筋肉に汚染され、人類マッスル化計画など実行しようした悪人だが、なぜだ……憎むどころか呆れがでてくる。なお、人類萌え萌え化計画がどこかの世界で創案されてるとかないとか。
以上が解説です。
そしてフリードが幸田の組織に就職できました。やったね! もうこれで路頭に迷うことないよ!
――――しかし、忘れてはならない。彼の天敵はリストラだけではないことに……。(フラグ)