それは悲劇だった。
それは悪夢だった。
それは絶望だった。
白い制服っぽい魔法服を着たお姉さんが雷斗さんを焼いた後、ピンクの砲撃を無差別に放ちやがった。
防御結界を張っているミカエルさん達は「第五の魔王……!?」とびっくり仰天だ。
「おのれ人間! このナムチャがこれ以上の――――アーーーーーーーーーーーーッ!!」
みなさん、ヤムチャというキャラを知ってるだろうか。最初の爆死で倒れた姿を覚えてるだろうか。
まさに目の前でそれが展開されてた!
「な、ナムチャァァァァァ!?」
「カテレア様! ナムチャがヤムチャになりました! このままだと我々もヤムチャになっちゃいますよ!」
「わかってるわよ!」
次々とヤムチャを作り出す白い魔王。これが人間のすることなのだろうか。
てか、ノエルもなんか参戦していた。…………ナース服で。
「お注射の時間よ!」
「デカッ! なんだよその注射!」
「あんなもんで刺されたら、刺されたら…………興奮するさじゃないか! ヘイカモン、オイラのオケツにリターン来いやァァァァァ!」
「あれに刺されたらこいつ見たいになるぞ。逃げろォォォォォ!」
犠牲者がドM化するという悪夢。もはや変態ハザードは止めらないや。
「そういえばクロスロードは?」
「ギャスパー救いにレッツゴー」
「把握。そういえばクロスロードにオレの血を渡したんだっけ? 飲んだらどうなるんだろギャスパー」
(??サイド)
一誠の懸念は当たっていた。匙はギャスパーに勇気を与えることに成功し、一誠の血を飲ませた。
結果、ギャスパーは強化され魔法使い達を一網打尽にした。
しかしそれだけで収まらないのが一誠の血である。
「きゃあァァァァァ!?」
「な、何よこれェェェェェ!?」
ギャスパーの無数のコウモリ化。それにより動けなくなった魔法使い達だが、それだけでは収まらなかった。コウモリ化したギャスパー達がどこからか持ってきた魔界のスライムを魔法使い達にぶっかけたのだ。
そのスライムは女性の衣服だけ溶かす色欲の権化のような生物だ。そんなものを受けた魔法使い達は異性である匙に見られたという羞恥心と身体を隠すのに必死だった。
「WRYYYYYYYY! この僕は誰にも止められぬわぁ!」
「どうしてこうなった」
遠い目をした匙に子猫は彼に同情するのだった……。
(一誠side)
という展開がギャスパーに起きてそうだなー。
まあ、オレの血出し。変態になってもおかしくないだろう。
そんなイメージをしているオレ達の状況を説明すると先程停止が解除された。今はグレモリーさん達やシトリーさん達が奮闘していた。
グレモリーさんが『マッスルインパクト』を使ったような気がしたが……気のせいだよね? ミタたん第二号とかシャレにならない。
ちなみにアザゼルは五代龍王の一匹を、ファーニブルを内包したセイクリッド・ギアで何かを飲み込んだカテレアと戦っていた。そんな彼に激励した。
「アザゼルー! 負けたらお前の昔書いた『ぼくがかんがえたせいくりっど・ぎあ』シリーズをみんなに見せるぞー!」
「うおォォォォォ!」
「な、なんで力が……きゃあァァァァァ!」
カテレアは吹き飛ばされた。最後の悪足掻きに腕をニューンと伸ばし、アザゼルと一緒に自爆しようとしていた。
「はははははッ! あんたもみちずれ――――」
「『デストロイギガレイズゥゥゥゥゥ』!!」
「…………え?」
え?としたカテレアを螺旋回転したピンクの極太砲撃が呑み込んだ。その直後に爆発し、悲しいことに汚い花火となった。
ひどくね? 散り様が不意打ち攻撃とかひどくね?
ここがセオリー通りならアザゼルがとどめさす番じゃね?
「大勝利なのぉ! イヤッハァァァァァ!」
「カテレアが死んだ!」
「この悪魔が!」
オレとアザゼルが白い魔王にツッコむと彼女はオレ達に向けて言った。
「悪魔でいいよ。悪魔らしくぶっ殺すの。あと勝てばよかろうなのだ!」
「ヤベぇ、こいつサーゼクスよりも悪魔らしい!」
全くである。雷斗さんは胃を痛そうに蹲ってるし。
まあでも大方片付いたわけで敵は減った。あとは殲滅するだけ。そんなときにアザゼルは地面に叩きつけられた。
「がッ!?」
「アザゼル!」
地面に叩きつけられたアザゼルに次にきたのは気で出来た刀だった。それがアザゼルの片腕を切断し、アザゼルは苦悶な表情を浮かべて襲撃者を見据える。
「どういうつもりだヴァーリ、シズク!」
やはりか、とオレは思った。ヤツらのバックには何かがいる。それはアザゼル達よりも大きな組織なのだろうと踏んでいたが…………。
「『禍の団』と繋がってたなんてな」
「へえ、わかるんだ兵藤一誠」
「当たり前だ。なんで今日この日に駒王で会談が行われることを知られていたのか……。それが疑問だった」
旧魔王派のスパイ。それもあり得なくない。だがそれはサーゼクス達が警戒していたはずだ。
だが情報は漏れていた。そしてギャスパーの能力と居場所を知っていた。つまりだ、それは裏切り者がいるってことだろ。
「よってお前ら二人が裏切ったことでしっくりくる。んで、なんで裏切ったの?」
「ふっ、それはアザゼルには与えてくれない者だったから……と言ったところだな」
「そうだね。まあアタシの場合は面白いから、ってところかな」
戦闘狂め、とアザゼルは嘆息を吐いた。どうやらアザゼルを裏切ったのは戦うためらしい。
「いつからだ」
「コカビエルを連れ帰ったときにね。アース一族と戦ってみないかって誘われたから入らせてもらった」
「俺はお前に世界の驚異にはなってほしくはなかったんだが」
「おれには関係ないね。戦えばそれでいい」
迷惑な話だ。てか、白い魔王は何してんだ?
あ、なんか雷斗さんに襲いかかってる。性的な意味で。
ピンクのわっかで縛られて馬乗りされてるし。
『ぐおォォォォォ離せェェェェェ!』
『逃がさない。今度こそヴィヴィオために弟か妹を生産してやるのぉ!』
『人前でヤるか普通!?』
『その方が興奮するから! さあ雷斗くん、キャストオフの時間なの!』
『黙れ淫乱ヤロォォォォォ!』
……何やらあっちはカオスのようだ。電撃をビリビリさせ、白い魔王をビリビリしている。ノエルさんも自ら飛び込んで嬌声をあげてる。
何してるんだあの人達。
「兵藤一誠。戦え」
「いや唐突に何いってるのお前」
「赤と白は戦う宿命だ」
「正月の夜で戦ってるだろ。ちなみに今年の紅白の紅は強いぜ」
「歌じゃなくて物理的な意味でだ。今の君がどれだけ強いかこの目で見せてほしい」
「えぇー……面倒くさ」
やる気なんてない。元から巻き込まれた身で勝手に始めた争いだし、オレは関係ない。
なんでオレが白龍皇と戦わなきゃならないんだよ。
「……そうか。ならば君の大切な人を殺そう」
「いや殺せるはずねーじゃん。桃亞や一期とか強いし、バックにはスゲーのがいるんだぜ」
「それもそうだが、君の大切な人はそれだけか?」
「……どういうことだ」
嫌な予感がした。まさかいくら強いコイツでも言ってほしくなってないことを。
「君の大切な友人、いや君の人間の友人達を」
「OK。その喧嘩買った」
そう言って背後にはまわった。翼を広げ、仙人モードに移行したオレの拳がヴァーリの身体に突き刺さった。
「ドライグ、禁手化」
『カウントダウンはもう始めている。三十秒間、その状態で戦えよ相棒!』
影分身で螺旋手裏剣を作り出し、投げた。仙人モードで最大の奥義で受ければただでは済まない。
しかし、
『Divide Divide Divide Divide!』
機械音が響き、オレの螺旋手裏剣が小さくなっていき、消滅した。
「あれは……」
『半減だ。アルビオンの力は相手の力を半減し、その力を取り入れる。俺の倍加とは反対の力だな』
「螺旋手裏剣が半減され続けて消滅した、ってか? 厄介だな」
残りの影分身の二人でヴァーリに追撃をかけた。砂煙に突貫させ、相手の力量を測ることした。
影分身達の視界では砂煙で隠されていたが、白い鎧の人影が現れ、オーラの砲撃で影分身を消し飛ばした。
(あれがヴァーリの禁手か……。オレとは少し違うな)
『いや相棒だけだぞ。兜がないのは』
まあ自覚してるけど。空中からオレは相手の出方を窺ってるとヴァーリも動かなかった。
どういうつもりだアイツ。
「何、あくまでも平等の立ち位置で戦いたいと思っただけさ」
「後悔するなよ」
『Welsh Dragon Balance Breaker !!』
やっと禁手になり、オレは拳を構えた。
オレとヴァーリ。
赤と白の最初の戦いが始まろうとしていた。
ナムチャ:かわいそうな旧魔王派の下級悪魔。ヤムチャとなったが生きている。その後、謎の組織に拾われ己の肉体美を広める旅に出た。合言葉は『マッスルマッスル』。
『デストロイギガレイズ』:某ドラゴンの必殺技と同じ名前。無数のレーザー光線だが、この技は螺旋したピンクの極太砲撃である。白い魔王のニュー必殺技。
ビリビリ:雷斗の神器。本来帯電した状態で高速戦闘を見せるのだが、今回は変態のお仕置きのみ。
ヴィヴィオ:白い魔王の血の繋がらない娘。最近、覇王な友人ができたらしい。(なお、この覇王は初代覇王の頭皮を見て将来に不安を覚えている)
将来の夢はお嫁さん。
目標は打倒なのはママ。
野望は雷斗パパをゲットだぜすること。
雷斗の苦労が絶えないな……。