何かがおかしいハイスクールD×D   作:ぼけなす

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原作通り――――そして彼の死で一誠は鬼となる。


第三十九話 運命は変わらず……ってか?(by一誠)

(??side)

 

 

 一誠が傀儡達と戦っている頃、エルザは斑鳩を倒し、塔の頂上まで来ていた。

 

 普段の鎧姿ではなく、包帯で胸を巻き、赤いズボンだけ履いてない姿だ。しかしその代わりに彼女の速さは特化していた。

 

 彼女はジェラールの真意がわからぬままだが、エーテリオンで共に朽ちるという覚悟はできていた。

 

「ここで断ち切る……!」

「できるかな? 君に!」

 

 ジェラールの黒いスライムのような魔力がムチのようにしなやかに鳴り、ガードしたエルザごと吹き飛ばした。エルザは壁から突き抜けたが、瓦礫を足場にして先ほどの一撃で砕けた剣の代わりに新たに換装した剣でジェラールに斬りかかる。

 

「ほう……」

「まだまだ!」

 

 スライムで防がれ、さらにエルザを包む球体が現れる。しかしそれを切り裂き、エルザはジェラールを押し倒した。

 

「ジェラール……ここまでだ」

「エルザ……」

「昔のお前は強く優しかった。そんなお前にわたしは憧れ、目指した。だからこの手でわたしはお前を止めたかった」

 

 エルザの手にジェラールが握ってきた。エルザはそれに応じて彼を抱き締める。

 

「すまない……すまないエルザ……」

「いいんだ。これで一緒だ……ずっと」

 

 エルザがそう呟いたとき、ジェラールは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――笑っていた

 

 どす黒く、邪悪な笑みで。

 

 

 そのとき一誠が壁を突き破り、ジェラールを殴り飛ばした。エルザはギョッとして彼がなぜここにいるのか疑問に思った。

 

「影分身を消さなくて正解だった……ジェラール。お前の目的はわかったぞ」

「分身くんがわかったのか? この俺の目的を」

「エルザを探している間にこの塔の力がなんなんのか考えていた。んで、この塔に足りないものをエルザは戦闘中に言っていたことでやっと気づいた」

 

 影分身がそう言ったとき、光が包まれた。エーテリオンが発射されたのだ。

 光が収まったときクリスタルだらけの空間へと変わった。

 

「エーテリオンの魔力。それこそこの塔を真の姿に変える条件だろ」

「ほほほ、正解ですよ赤龍帝!」

 

 ドルマゲスが背後から現れ、影分身を貫いた。影分身は煙となり、杖をクルクル回したドルマゲスはほほほ、と笑っていた。

 

「ここでできた魔晶石をエルザ=スカーレットと融合させ、偉大なる魔導士。ゼレフ様を復活させるのですよ!」

「ゼレフだと!?」

 

 ゼレフ――――黒魔導士で、魔導士の中では知られざる者はいない悪名高き男だ。エルザを生け贄にすることでジェラールとドルマゲスは彼の復活を願っていた。

 

「さて……Rシステムが起動した今、あなたには大人しくなってもらいたい」

「ッ!?」

 

 エルザの身体に縄の跡らしきモノが現れ、彼女を縛り上げた。動けなくなったエルザを魔晶石に埋め込むとズブズブと沈み始めた。

 

「ぐあァァァァァ!」

「さあ、今こそゼレフ復活の――――あでゅ!?」

 

 ドルマゲスが蹴飛ばされ、エルザを引っ張りあげられた。なんとあっさりな救出劇にエルザ自身もポカーンと呆然していた。

 

 そう彼こそが滅竜魔法の使い手――――

 

 

「ナツ!」

「遅くなったなエルザ!」

 

 今、反撃の狼煙があがる。

 

 

 

(一誠side)

 

 

 

 影分身の情報からジェラールの目的は魔力だとわかった。分身はドルマゲスにやられたからこれ以上のことはわからないが、とにかく早くコイツら(傀儡達)をぶっ壊す必要がある!

 

「いっくぞドライグ!」

『おうよ!』

 

 オレは影分身で傀儡達とタイマンで辺り、破壊していく。影分身達も倍加していき、消える前に譲渡した倍加をオレに与えた。

 

 そうすることで時間が経つにオレの力は強くなる。今、二百体目の傀儡を倒したとき、大きな音が上から聞こえた。

 

(エルザ達がいるのも屋上――――まさか……)

 

 嫌な予感がした。背後からこん棒をもった傀儡が迫ってきた。

 

 オレはソイツから回避し、両手にオーラをためる。溜めたオーラを放つ前に回転した。

 

「『ドラゴンブラスター』!!」

 

 一掃する形で傀儡を全滅させ、飛翔したオレは天井を何度も何度も突き破る。そして屋上にたどり着いたとき、そこに目に写ったのは倒れたシモンと何度も呼び掛けるエルザの姿だった。

 

 ……オイ、どういうことだよ。

 

「なんでお前が倒れてるんだよ!」

 

 オレはシモンのバイタルを測り、気の治療を試みた。

 

 

――――心拍減少。内蔵破裂、肋骨破損、神経系に異常有り

 

 

「嘘だろ……オイ」

 

 救える手立てが…………ない。

 オレの気による治療は自然治癒力を高めて再生させるものだ。病、止血、体力回復にはこの気による治癒は効果的だ。しかしシモンの傷は到底治せるものではない。

 ましてや神様の奇跡がなければこの傷は治せない。

 

 さすがの内蔵がズタズタで肋骨が砕けちっており、しかも神経系に異常がある。再生させる箇所が多すぎるし、何より内部出血がひどい。

 

『相棒、よせ。コイツはもう……』

「黙ってろ!」

 

 それでもオレは気による治癒を試みた。

 

 無理かもしれない。

 無謀かもしれない。

 愚かかもしれない。

 

 それでもコイツはエルザのダチだ。知らない相手だが、コイツがいなくなれば悲しむのがエルザとショウ達だ。

 死なせてたまるかよ!

 

 オレは倍加した気で治癒を始めた。けれど、治癒力は上がってなかった……。

 どうしてか、上がってくれなかった。

 

「どうして!? オレの力が効かないんだ!?」

「ほほほ、私の呪術ですよ赤龍帝」

 

 なんだと……?

 

「いやね、そこの滅竜魔法の少年が邪魔だったのでね。私の呪術を込めたジェラール様の魔法をぶつけたのですよ」

 

 呪術ってあの呪いとかかけるヤツか。だとしたら解呪させなきゃシモンもずっとヤバいままだ!

 

「エルザ! お前呪術が使えるか!?」

「駄目だ……わたしには剣しか……」

「くそがァァァァァ!」

 

 考えろ。考えろ。考えろ!

 

 思考を止めるな。止めたら死ぬ。コイツが死んだらオレは……!

 

「もう、いい……」

「ッ、シモン!」

 

 エルザの声にシモンが頷いた。シモンは腕を上げ、エルザの頬を触れていた。

 コイツはホントは苦しいんだ。

 死ぬほど痛いのに、死ぬほど辛いのに、コイツは――――笑っていた。

 

「エル、ザ……。生きろ……俺の分まで、生きて……くれ」

「もう喋るな! イッセー!」

「やっている! でも……でも……!」

 

 治癒が間に合わない。呪いにより現在進行形で内蔵が壊れていく……!

 どうしようもない……!

 

「もう、いいイッセー……」

「ふざけるな! まだお前とダチになったばかりだ! 死なせてたまるかよ!」

 

 なぜか……なぜか、心が熱くなっていた。いつもなら静かで冷静なのに、こんなときに限って――――いやアーシアのときのように心が熱くなっていた。

 あのときは心が熱く、頭は冷静だったのに……。

 

「イッセー……エルザの、こと……頼む、ぜ……」

「頼むじゃねぇよ! オレは……オレは!」

「はは……ふざけ、てばかり……だと思ってた、お前だが……どうやらとんでもない……熱血らし、いな……」

「熱血じゃねぇよ……! オレは……」

 

 心が何もなかったはずだった。

 心が痛むこともなかったはずだった。

 

 なのに、今……痛い。苦しい。アーシアのときのようになぜか…………辛い。

 

「イッセー……――――ありがと、う…………――――」

 

 シモンの手が落ちる。命の灯火が消えていった……。

 エルザの泣き声が響き、ジェラールとドルマゲスの高笑いが響く。

 

 オレはプルプルと身体が震えながら立つ。倒れていたナツが起き上がり、何かを咀嚼した。そして、ヤツはジェラールを目にも止まらぬ早さで殴り飛ばした。

 

「うるせー!!」

 

 ナツから溢れんばかりの魔力が出ていた。まさかコイツ……魔晶石を食ったのか!?

 魔晶石には炎の他にも属性が混ざっている。それは違う血液を輸血したことに等しいことをナツはしたのだ。

 拒絶反応に苦しむナツだったが、しばらくしてから炎が巻き起こり、その炎がドラゴンを形取った。

 

「まさか……取り込んだのか!?」

 

 そのまさかだよジェラール。ナツは目にも止まらぬ早さ――――つまり高速の早さでジェラールに接近し、殴り飛ばした。そこから魔法と拳の攻めぎあいがあった。

 

「お前が、お前がいるからエルザは泣いてるんだァァァァァ!」

 

 逆鱗に触れた龍は暴れる。ジェラールは星をモデルとした魔法を使っているようだが、ナツはそれを超えていく。

 

 そして上空に上げられたジェラールは大きな魔法式を組み上げ、言った。

 

「俺はこの世界で、ゼレフと共に自由国家を作る!」

「自分を解放できねーヤツが自由になれるわけねえだろ! 自分を解放しろ――――ジェラールゥゥゥゥゥ!」

 

 魔法式を組み立てていたジェラールだったが突如、痛みに気をとられ、ナツの拳で叩きつけられた。

 塔を何層も貫きジェラールの身体が下に落ちていく。

 

 勝負はナツの勝ちだ。勝ったんだ……ナツが!

 

「……やっぱスゲーよお前は」

 

 不可能を可能にする。まさにそんなキャッチフレーズが似合う姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナツは気を抜いたとき前に倒れるがそれをオレが受け止める。

 

「勝ったぞ……イッセー」

「ああ……ホントにお前は」

 

 影分身によって背負われたエルザもナツの勇姿に微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなときだ。ヤツの笑い声がしたのは……。

 

 

「ほほほ、ほほほほほ! これはスゴい。まさかあのジェラールが負けるとはいやはや滅竜魔法の少年はスゴいですねぇ!」

「ドルマゲス……!」

 

 ドルマゲスはニヤニヤしながら杖を地に突き立てていた。

 

 するとゴゴゴゴゴッと塔が揺れはじめていた。これはなんだ……?

 

「どうやらエーテリオンの魔力が暴走したようですねぇ……」

「暴走しただと? まさかさっきの戦いでか?」

「ジェラールが制御していたものですからねぇ。まああなた方達が倒したせいで後数分でここら一帯が消し飛びますよ」

 

 それは不味いな……。オレはナツを影分身に渡して、エルザに言った。

 

「エルザ、脱出しろ。コイツは最後に何かするつもりだ」

「イッセー、お前はどうするつもりだ?」

「コイツをぶっ潰す。まあ最悪殺すことになるけどな」

「駄目だ!」

 

 エルザは叫んだ。一緒に行こう、帰ろうと。彼女はそう言った。

 けれど、それはできない。

 

「コイツをほったらかしにしたらマジでヤバいんだわ。だから一緒に行くのはパス」

「なら、俺も!」

「ワリーがこっから先はR18だ。お前ら未成年者には見せられねー領域だ」

 

 身体を鳴らしているとドルマゲスを中心にエーテリオンの魔力が集まり始めた。力を吸収しているようだな。

 オレは最後にエルザとナツに言った。

 

「大丈夫。――――絶対に帰るから」

「「イッセェェェェェ!」」

 

 影分身は二人を背負いその場から飛び去った。残されたオレは変化していくドルマゲスを見ながら呟いた。

 

「ドライグ、アイツはなんだと思う?」

『さあな。だが、この世界(・・・・)にはない存在なのは確実だな』

「……やっぱり神器か。たくっ……神器使いなんかがなぜこんなとこにいんだよ」

 

 ドルマゲスの杖は神器だ。ドライグがそう証言したということは事実なのだろう。

 それにオレもコイツは赤龍帝と言っていたことが気がかりだった。

 

 なんせオレは一度も自分が赤龍帝なんて言ったことがない。

 

 つまりコイツは別世界――――異世界の住人ということになる。

 

「質の悪い話、セイクリッド・ギアじゃねーしな」

『相棒、どうする?』

「決まってるだろ? んなもんソラさんの教え通り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――問答無用。ぶち殺せ」

 

 オレは禁手化し、仙人モードとなって悪魔のような姿になったドルマゲスに突っ込む。

 

 時間制限あり。生きるか死ぬかの戦いが幕を切った。

 




シモン: 原作通りになってしまった青年……。なんとも救われない結末だ

ドルマゲス: ドラクエⅧのボス。道化師のような格好から悪魔の姿に。


――――次回、一誠がどんなドラゴンなのか明らかになります。
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