何かがおかしいハイスクールD×D   作:ぼけなす

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あけましておめでとうございます。

いや遅くなってすみません。バイトで大変でしたので……では言い訳は以上で、どうぞ!!


第四十話 一誠VS悪魔

 

 

 

 沸き上がる激情。オレはそれを抑えられずにはいられなかった。

 球体状態になっていたドルマゲスの姿が卵から孵るヒナのように出てきた。

 

 堕天使のような翼に鋭く尖った爪と牙。服は破れ、ゴツゴツと岩のような筋肉と青白い肌で黄色く輝く瞳をしていた。

 

 ミラジェーンみたいな姿だが、アイツの悪魔の姿はまだ妖艶で美しかった。この悪魔の姿ははっきり言おう――――邪悪で醜い。

 

 最低最悪の接収姿と言っても過言でもない。

 

「いくぞクソヤロー!」

 

 ゴゥと背中から翼を広げ、拳を向けた。ドルマゲスは怪しく目を光らせたときオレはその場からすぐに離れた。

 直感で嫌な予感がしたからだ。その結果はオレはそれが正解だと思い知った。

 

「右手が……上がらねぇ」

 

 どういうわけか右手が上がらない。まるで麻酔に射たれたかのように、眠りに落ちたかのように右手がウンともすんとも言わない。

 

「チッ……さすが私の麻酔を回避したか。だがこれでお前の右手は動けまい」

「口調が変わってるぞ。似非紳士はどうした?」

「そんなもの犬にあげたわ!」

 

 犬にあげるって、いつあげたっての。ドルマゲスは黒い球体の魔力をドンドン投げてきた。

 クリスタルに直撃するとその部分が球体によって抉られたような形になった。あれに当たれば大ダメージは免れなさそうだ。

 

(麻酔された右手は気を送ることで回復するが……参ったな。印が結べない)

 

 螺旋丸や千鳥は印無しで使えるがオレは千鳥を刀のようにはできないし、螺旋丸は接近しないと意味がない。何より螺旋手裏剣は影分身がいないと意味がない。

 

「ほほ! とらえた!」

「ヤベ!」

 

 ドルマゲスの左手には隕石のような火の弾ができていた。あれは当たれば火傷しちゃうって!

 

「はい!」

「ぬぉ!? バインド!」

「逃がしませんよぉ! 赤龍帝ェェェェェ!」

 

 隕石クラスの火の弾がオレに直撃した。火の柱に包まれたオレは熱さにこらえ、収まるまで待った。

 今のは効いた。けど、おかげで右手が甦った!

 

 オレは瞬身の術でドルマゲスの背後にまわり、顔面を思いきり殴った。クリスタルを貫き、地面に叩きつけた。

 

「いってー……結構効いたぞ」

 

 初めて受けた炎に火傷したが、次に受けたときは大丈夫だろう。するとドルマゲスが高笑いしながらクリスタルを破裂させて出てきた。

 ヤツの身体が魔力を吸収し、その受けた傷を癒し始めていた。

 

「こぉのエーテリオンの魔力があれば私は無限に再生するのだよぉカスがァァァァァ!」

 

 次に来たのは黒い雷だ。それを回避せず、倍加で強化し耐える。

 

「いぎいィィィィィ!」

「ヒャハハハハハ! そらぁ、次は氷だ!」

 

 今度は凍える息吹が杖から吐き出された。それもオレは耐える。身体が至るところに凍り始めたが、倍加で体温を強化し、耐えきった。

 

「しつこいですよぉ。さっさと死んでくれませんか?」

 

 嘲るドルマゲスを無視してオレは黙ったままヤツを分析した。

 炎、氷、雷。ヤツが使ってきた。おそらく一つ一つが人間が受ければ致命傷だ。ナツでも耐えきるかどうか怪しい。

 オレも初めてこれを受けたらさすがに危ないと思った。まあでも……。

 

「それで終わりならガッカリだがな」

「ヒャハハハハハ! 死ねぇ! 死ねえェェェェェ!」

 

 ドルマゲスから雷の嵐がオレに襲いかかる。雷はオレに何度も何度も直撃し、黒焦げにしようと身を焼き、痺れさせようとする。

 何度も何度も続いた雷だったが、ドルマゲスはやっとオレの異常性に気づいた。

 

「なんで……なんで平然といられるのですか!?」

 

 初めて受けたときよりも大したダメージを受けてないことにドルマゲスは驚愕していた。オレは嘆息を吐きながら理由を説明した。

 

「んなもん順応(・・)した」

「はいぃ!?」

 

 龍にはそれぞれ特性がある。

 

 例えばドライグ。彼はかつて透過という能力があった。

 例えば一期。彼女には氷という概念を操ることができる。

 例えばオレの本当の父親。雷斗さん曰く、ゴムのような特性を持っていた。

 

 要するにドラゴンは生まれたときからそれぞれ固有の能力や体質がある。

 

「その中でオレってかなーり特殊なドラゴンでな。一度受けた害あるものに順応するって特性がある」

「つまり貴様は……一度受けた攻撃が効かなくなると言うのか!?」

「バーサーカーみたいだろ? 不死身じゃねーけど」

 

 ま、親父曰く。古来の龍ではなく『進化していくドラゴン』らしい。

 生き物は変わっていく環境の中で順応していき、進化していった。無限の可能性がオレの中に存在するのだ。

 

「なんにだってなれる男――――兵藤一誠をナメるなよ人間」

「このビチクソがあァァァァァ!」

 

 今度は大きな炎の球体や冷凍のエネルギー球体を投げてきた。ドッジボールくらいの大きさだが、一つ一つが必殺クラスの威力。

 

 しかしオレの身体はどんなに受けても火傷や凍傷しない。水にかけられたという感覚である。オレは飛ぶことをやめず、真っ直ぐ突っ込む。

 

「ならこれでどうだぁ!」

 

 怪しく光る目。麻酔の眼力がオレの視線と交差した。当然、僅かな眠気が生じたが速度は緩めることなく、右手に螺旋丸を作り出す。

 

「ば、馬鹿な……!? 私の眼力が!」

「仙法――――」

 

 螺旋丸が気により大きくなり、運動会のような大玉となる。それをドルマゲスに向けて思いきり、ぶつけた。

 

「『超大玉螺旋丸』!」

「ぐぎゃあァァァァァ!!」

 

 大玉螺旋丸が直撃したドルマゲスは身体を抉り取られ、右腕が吹き飛んだ。それから螺旋丸の衝撃により、螺旋状に吹き飛んだ。

 

「…………やっかいだな」

 

 吹き飛んだドルマゲスだが、プルプル震えながら立ち上がる。大ダメージだったが、どうやらエーテリオンの魔力を吸収して再生し始めたようだ。

 しかも右腕は以前より太く禍々しい手になっていた。

 

「ヒャハハハハハッ。まだだ! まだ死なねぇぞ赤龍帝ェェェェェ!」

 

 エーテリオンの魔力をまだまだ吸収し、ドルマゲスの身体が大きく膨れ上がる。巨人化していくドルマゲスだが、苦痛で顔を歪めていた。

 

 当然だ。人間の器でありながら、ヤツはまだまだ魔力を得て強い力を得ようとしていた。

 

「私の『魔導士の杖』は魔力が有る限り再生させる! そして再生した力は強く強靭な肉体へと生まれ変わる!」

 

 筋骨隆々で身体が五メートルくらい大きくなったドルマゲスはまさに巨人だった。確かにこの姿ならオレが『覇龍』か『英雄達の鎧』を使わないと倒せないクラスだろーな。

 だが、ヤツは唯一のミスを犯したことに気づいていない。

 

「ヒャハハハハハッ。ワタシハもはや、ニンゲンのワクをコエタんだ。キサマなんか……!?」

 

 やっと気づいたことには遅かった。ドルマゲスの身体はピシピシと亀裂が走っていた。亀裂から魔力の光が漏れだしていた。

 

「感謝するぜドルマゲス。お前が全てのエーテリオンを取り込んでくれたおかげでこの塔が消滅するだけで済みそうだ」

 

 ドルマゲスは「ナゼ……」と呟いていた。そんなもん決まってる。

 今のドルマゲスは破裂寸前の水風船だ。エーテリオンの魔力を取り込み過ぎて、しかも人間の身体に入れ続けた結果が起きたのだ。おまけにその亀裂は再生によって塞いだりしているわけだが、割れそうなものが果たして追い付くのだろうか?

 

「さて問題。オレの影分身はみんなを避難させてる間に何をしていたでしょうか?」

『Boost !』

 

 まさか、とドルマゲスが呟いたときヤツの後ろに影分身が籠手で触れていた。

 合計三十四回の倍加。それを譲渡したらドルマゲスくんはどうなるでしょう?

 

「ヤメロ……そんなコトしたら、キサマも……!?」

「ヤベーだろーな」

 

 身体が吹き飛ぶかも。

 八つ裂きになってるかも。

 最悪消滅するかも。

 

 そんな不安があるが、オレは笑っていた。なぜって? 楽しいから。

 

「けどな、オレって壊れてるんだよねー。なんせ、命のやり取りを楽しめとか言う変態のお姉さまに師事されてるわけだから」

「ヤメロ、ヤメロォォォォォ!」

 

 はい、やめません!

 だってもうみんな避難したし、後は塔はコイツとオレだけ。ジェラールはいつの間にか誰かに回収されてたけど、まあいいや。

 また会ったらエルザがなんか言ってくれるだろ。

 

「さあ一緒に逝こうぜドルマゲス!」

 

 譲渡した直後、オレはドルマゲスが破裂した光に包まれた。

 

 




爆破オチなんてイヤー!!(byイリヤさんの名言)←違います。

順応していく、環境に適応していく――――そんなふうに人間や動物は進化していきました。

いにしえだから強い?
古き存在だから強い?

確かに強いと言えば強いでしょう。しかしそれを否定するのが兵藤一誠という少年です。

彼は進化していくドラゴンという設定です。


――――ちなみにソラ(前作の主人公)も順応しやすい少年だったりします(笑)

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