うん、まともなフリードがおかしく見えるのは誰かの仕業。
そしてお気に入りが100を越えました!
ありがたや~ありがたや~。
本日は快晴なり。学校を終えたオレはグレモリーさんのバイトで悪魔と契約した人の家に向かっていた。なんでも願い事を聞くだけという簡単なお仕事だ。
(にしてもアイツウザかったなあ。オレは洗脳した覚えなんてないし)
正道はバイザーを殺して以来オレを敵視し、幼馴染みにオレと関わらせないようにしていた。しかも、オレのことを危険な変態と暴言を吐いていた。それには桃亞も怒ってビンタし、愛莉は「二度と顔を見せるな」と蛇の睨みを聞かせていた。
正道はそれでも納得できず、オレが幼馴染みを洗脳したと勘違いした。
「てか、特典ってなんぞ? 二次の転成者じゃあるまいし」
『案外そうかもな』
だとしたら親父はどうするかわからない。あの人は転成者ならば警戒心を強くし、オレ達家族に危害を加えるならば消すだろう。
物騒かもしれないがこれまで親父はそうやってきた。
「まあ、とりあえずバイトバイト~」
契約した人の家に入るとそこは真っ暗だった。人気のない感じがする。オレは気になってリビングに入ると驚くべき光景が目に入る。
血で壁に貼り付けられた人。
描かれた魔方陣。
揺れる蝋燭。
そんな――――
――――ポスター。
そう悪趣味なポスターが一面貼られたリビングだったのだ。そんなところに白髪の少年と中年のオッサンが話し合っていた。
「あのですね、悪魔は合理的なんてますよ。契約した以上、破棄なんかできやしないのですよ」
「だ、だけどこうしないと工場が! 妻と娘が帰って来ないんだぉ……」
「いや辛いのはわかりますがあなたの奥さん、今まさに浮気してラブホに入るとこ見ました。娘さんもエンコイでオッサンと会ってました」
「うわァァァァァん!」
白髪の少年は丁寧な口調でオッサンに残酷な現実を向けていた。写真があるので完全に事実だろう。哀れなオッサンに魂の救済を。
「アッシは……アッシはどうすればいいんだよぉ……」
「新たな一歩を踏みましょうぜ。そうですね、神父になるのはどうでしょう。俗世とか離れられて心地よいですよー」
「な、なるほど! わかった。君の言う通りに神父になる! うおォォォォォまずはハロワにゴーだァァァァァ!」
暑苦しくなったオッサンはそのまま窓ガラスを突き破り出ていった。ハロワに神父って言う役職あったっけ?
まあいいや。仏を祈ろうが神を祈ろうがその人が救われれば別にいいや。
そんなことを考えていると白髪の少年と目があった。
「ど、どうも……」
「あ、こちらこそ。座っていい?」
「どうぞ」
オレはよっこいせと座り白髪の少年と対面する。キリッとした悪人面なのに、なんか真面目な雰囲気を感じる。服装はどこかの教会の人なのだろうか修道服である。
「あ、自分は兵藤一誠。さっきのオッサンに悪魔の契約内容を確認していたところを来た」
「自分はフリード・セルゼンです。堕天使のはぐれ神父として働いてます」
堕天使側にも神父がいるんだな。意外な事実である。にしてもなんで堕天使側なんだと聞くとフリードは顔を俯かせた。
「いや、自分はどうも『ぶっ飛び狂ったキャラ』として働いていたのですが、自分は。ほら、こう真面目な感じでしょ。上司に反論したのですが覆らされずに、しかもクビにされちゃいまして……」
「あー、上司に逆らったから?」
「いえ、教会の財政難でして、言うことを聞かない人材は切り捨てられちゃいまして。はい……」
うわぁ……リアルだわ。世知辛い世の中の事情だわ。それはもう気の毒としか言いようがない。
「自分には元婚約者がいまして、その人は鬼嫁でして、昔やんちゃしてたらプロレス技で締めるのを何度も何度も夢に出てくるのですよ」
「トラウマ?」
「はい、もうたまに発狂したくなります。もう最近の癒しはアーシアたんですよ……。」
「その人をどうしてるか気になる?」
「最近、自分を追って現在の仕事をやめたのですよ。どうも自分を連れ戻そうと探しているのですよ。それがもう最近のストレスでして」
そりゃトラウマだしな。てか、どんな人か会ってみたいわ。
「大変ですね、その若さで」
「もう、死にたいです……。いくらトラウマの根源とは言え、婚約者に悪いことしたと思いますし、この職業だって安定してないし、いつホームレスになってもおかしくないんですよ……。もうやだ生きたくないこの世に神はいないのか。もういないよね? いなくていいよね……」
完全に鬱になってる。こういうときってとりあえず話を聞いてあげるのが一番だっけ。とにかくオレはこの人の悩みという悩みを聞いているとアーシアがリビングに入ってきた。
「あ、イッセーさん。こんにちわ」
「オッス。ちょっとこの人の悩みを聞いてるところなんだ」
「フリード神父の愚痴ですね。大丈夫です。いつものことですからスルーしてください」
「うん、笑顔でスルーしろって言う人はじめて聞いた。てか、アーシアって意外に鬼畜だね」
まあ確かにこっちからしたら鬱になりそうなくらい悲惨だよフリードの愚痴。しかも堕天使に拾われてからの話は完全なブラック企業だ。なんだよ休み無しの二十四時間勤務って……。
すると突如魔方陣が浮かび、オレとフリードは警戒する。この刻印はグレモリーさんの?
フリードは気になって近づくといきなり魔方陣から出てきた拳に頬を殴られた。
「アーシア、無事か!?」
犯人は正道だった。正道は魔方陣から出てきてアーシアが無事かと聞いたが、アーシアとオレは殴られたフリードを心配し、駆け寄った。
「ちょっ、フリード大丈夫? 結構クリーンヒットっぽいぞ」
「……もうやだぁ。悪魔にも問答無用に殺されそうになるし、てか仕事だって言ってるのに人の人格をキチガイ狂人だって断定されるし、同僚にもドン引きされるしぃ……」
「あ、鬱になってる。これはまずい。アーシア、こういうときは『大丈夫』とかなどの励ましの言葉は危ないから気を付けろ。場合によっては自殺を考えるから」
「はい! 大丈夫ですかフリード神父!」
「人の話聞いてた!?」
こんな真面目な人を殴るなんて。
「オイ、正道。いくらなんでもいきなり殴ることはないだろ。この人、今まさに鬱なんだぞ」
「うるさい! そいつは原作では狂人なんだよ。だからアーシアの敵だ!」
「いやどっちかと言うとアーシアの味方だろ。この人の幼い頃の夢は『黒の剣士』なんだぞ。必殺技に『スターバーストストリーム』も考えるほどの純粋な聖職者なんだぞ」
「なんで中の人ネタをここで言っちゃうんだよお前!?」
「いやあァァァァァそれは黒歴史ですよイッセーくゥゥゥゥゥん!!」
あ、ヤベ。黒歴史だったんだコレ。というかなんでこの人、この世界に生まれたんだろ。
どっかの劣等生では主人公のライバルキャラだし、まつろわぬ神の世界じゃハーレム主人公っぽいし。
『相棒、一言いわせてもらおう。メタいわ』
「いやだって婚約者の名前がユウキって明らかに結城なんちゃらさんの苗字だし、それだとフリード神父はキリトだろ。フリードが偽名なのは確実」
『どうでもいいってそれは。そんなことより堕天使が近づいてるぞ。どうする?』
「フリード神父をなんとかしたいけど、そうだな。逃げるか。相手するのダルいし」
ある意味フリード神父の鬱が効いたな。やる気が出ないのでアーシアには申し訳ないが、逃げさせてもらおう。
「アーシア、一緒に」
「あなたみたいなひどい人といたくありません!」
正道がアーシアの手を握ろうとしていたが拒絶させられていた。ザマァ。それでもしつこい正道にオレは腹にワンぱんしておいて失神させた。
それからアーシアにフリード神父のケアを頼むと言って家を飛び出すのだった。
「あ。契約どうしよ。あのオッサンのこと気にはなるし」
『ほっとけ』
了解。それから後からわかったことだが、あのオッサン再婚して佐倉という苗字になり二人の娘の義理の父になったとか。
……その娘が魔法少女にならないことを祈ろう。
アーシアと別れてから翌日。昨日のことで正道がうるさく、アイアンクローで黙らせた後、松田と元浜で遊びに行こうとした。
しかしところがどっこい。松田と元浜は今日は風邪で休みだとか。
「なんてこったい。このままではオレは暇で死にそうだ。イロモノキャラはネタがないと死んでしまう」
『元々相棒は無口なクールキャラだったがな』
「それは昔の話。復讐者じゃなくなったオレは変わったのさ」
『変わりすぎだろ』
ドライグの言う通りかもしれないがオレは確かに変わった。こんな風に友達と遊ぼうと気なることや積極的に人と関わろうとしなかった。この世界の誰もが信用できず、仇である悪魔を殺すまでオレは笑えなかった。
人生――――いや龍生というを謳歌できなかった。しかし親父と出会い、変態のお姉さまやその相方と出会い。オレは変わった。
灰色の世界に色が戻ったのだ。ゆえにオレは今このときを楽しもうと考える。
「んん? そこにいるのはもしや」
オレはおもちゃを見つけた子どものような笑みを浮かべる。ドライグ、今日の遊びは決まったぞ。
その遊び相手とは昨日フリードのケアを頼んだ少女――――
「こんちわアーシア。元気だったか?」
「あ、イッセーさん♪」
アーシアは変わらない微笑を浮かべる。
フリードがまともな小説がこの作品。てか、フリードが狂いっぷりのせいでまともに見られてない件。
なかの人ネタを思いきり使っていこうと思って誕生したのがフリード(普通)さん