ホロライブ・オルタナティブ【リアー・タイムズ】トキノソラを翔ける少女 作:小畑 お爺ちゃん
ベル・オルデナフル・・・
その姿が、足音が、圧倒的な気配が消えたあと
ソラ以外の全員が緊張の糸が切れたかのように座り込んでしまった
湯芽原が震える様にコチラを見る
「上島先輩、良いっスか? 島君は・・・。斬矢は本当に・・・?」
信じたくない
といったように聞いてくる
俺はピクリとも動かない斬矢だったモノに目を向け・・・
再びその視線を逸らす
言葉にする事も出来ず、ただ頷いた
「嘘っスよね・・・? 自分は信じませんよ・・・」
そう言いながら、湯芽原はフラフラと斬矢の身体へと近寄る
「嘘、嘘っス」
そう言いながら、湯芽原は魔術を行使する
治癒、回復系特有の翠色の輝きが踊り場全体をほの明るく照らす
しかし、その効果が目に見える事は無かった
無駄だと、頭の中で理解した上でソラを見た
ベルさんが消えて立ち去った後、ソラが動かなかった時点で望みはないと理解した上で
「ごめんね、将くん・・・。私の力で肉体を完璧に戻す事は出来ても・・・、もう魂がここに無いから・・・」
ソラが辛そうに告げてくる
あぁ、俺は、バカだ
分かりきった事を彼女に訪ねた
「あああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
湯芽原の絶叫が半壊したビルの中で響いた
「・・・・・・・・・・・・」
もう、誰も・・・ 喋る事が出来なかった
その中で斬矢の身体は光となって、ゆっくりと消滅していった
ガランっと斬矢の刀が床に落ちる
持ち主を失い
衣類と共に、ソコに取り残されていた
全員が無言で、崩壊寸前のビルを脱出する
ビルから出ると、外の広場にブルーシートや段ボールが広げられ多くの負傷者が寝かされいた
ソラはそれを見るとコチラを見てくる
その顔を見て、ソラがやろうとしている事を理解した
「待ってる」
そう、1言で彼女の行動を肯定した
ソラは頷きと共に笑顔になった
「ありがとう。将くん!行ってきますっ!」
そう言いながらソラは走り出す
一人でも治療するために
湯芽原もそれを見て、ハッとしたような表情を浮かべる
次の瞬間にはパンっと良い音を鳴らしながら自身の顔を両手で挟み込むように叩いていた
再び、意志が戻った強い表情を浮かべながらコチラに振り返る
コクリと頷いておく
湯芽原もそれを見て走り出す
その顔に、もう悲壮感は無く
誰かを救うという強い想いを見た気がした
取り残された俺と翔は暫くの間、ぼぅ としていた
すると一人の少女が翔へと近付き、声を掛ける
「宝石のお兄さん?」
「えっ?あぁ、キミは・・・」
それは、瓦礫によって身動きが取れなくなっていた少女だった
目鼻立ちは東洋系だが日本人にしては珍しい非常に目立つ黄金の髪をしていた
あの髪色は確か、バターブロンドというのだったか?
何処かの学校の制服だろうか?
随分と着崩したような着かたに至る所にアクセサリーの用な物を付けている
「あの、助けてくれて・・・ありがとう。」
「あぁ、良かった」
そう、翔は言うと優しげにふわっと笑う
「あの、あのねっ・・・」
俺はそんな二人から距離を取って離れた
ポケットを弄るとパッケージが潰れた煙草の箱が出てきた
一本を口に咥えながら抜き出す
ライターで火を点けた
一度、大きく吸い込み
再び、吐き出す
白い煙は青い空に溶けるように風に流され消えていった
「リーダー不在、か・・・」
ボソリ、と
コレから、訪れるだろう
心の何処かでボンヤリと次は俺だろうと考える
斬矢の性格は底抜けの楽天家で、挫けるとか、挫折とか、不可能とか
それらを考えず、スルリと課題をクリアしていく・・・
俗に言う、天才というたぐいの奴だった
負けても、笑って直ぐに努力を再開する
勝っても、慢心せずに勝因を解明する
その上で、仲間を凄まじく大切に扱う奴だった
そのくせ、仲間を知り、容赦無く使う事もした
まさに、リーダーといえる奴だった
いや・・・
おそらく・・・
俺達が、そういう奴に、してしまったんだ
以前、俺達の仲は冷え切った事がある
理由は良くあるモノで、方向性の違いだった
俺はソコから目を逸らし、仲間から距離を取った時期だ
そんな中で、バラバラになりそうなメンバーを必死こいて纏めてたのが斬矢だった
だから、誰もがアイツがリーダーになることに反対しなかった
あいつは満場一致で、リーダーを押し付けられた
そして、そのツケが俺達に追いついた
リーダー不在という
最悪の形で
一度、問題を棚上げする
チラリと振り返ると、
翔が珍しく楽しげに金髪の少女と話している
ソラは治療に走りながら、笑顔を振りまいている
湯芽原もそれに続きながら、満足そうな顔をしている
あぁ、ここは、そういう奴ばかりだ
それに比べて俺はなんと醜いか・・・
軽い嫌悪と自己否定に内心で苦笑を漏らす
弱すぎる自分を呪う
否定を繰り返し、それでもと足掻く
悲惨な、しかし希望の満ちた
ソコに背を向けた
フラリと1人、歩き出す
無性に独りになりたかった
タバコの香りが、俺を連れ出していた
《湯芽原 啓ニ》 ゆめばら けいじ
皆の後輩、湯芽原君 人懐っこい笑みと軽快な喋りが特徴
会話の所々に「〜ッス」と言うのは口癖・・・。の様なモノとは本人談
基本的な戦闘能力は低いものの効力の高い回復魔法と防御系の結界魔術を修得している後方支援タイプ
初期設定では対となるヒロインの候補が居たが尺の都合によりカットされた
「そんなっ、酷いッス!」
ヒロイン設定、原作の二次創作の方では生きてるってよ!湯芽原君!!