ホロライブ・オルタナティブ【リアー・タイムズ】トキノソラを翔ける少女   作:小畑 お爺ちゃん

19 / 21
二日目の始まり

PiPiPiPiPiPi

 

「っ!?」

 

イヤホンから耳へと直接叩き込まれた電子音に跳ね起きる

スマホを確認すると薄暗い画面には午前4時30分の表記

 

ここはホテルのバックヤードにある倉庫なっている保管室

身体を起こして見渡すと、周囲には積上げられた段ボールの山

そして毛布に包まって雑魚寝するいつものメンバーの姿

 

「くぅあ・・・」

 

欠伸をしながら立ち上がる

昨晩は皆、疲れていたのか・・・

夕飯の後に簡単な親睦会的なトランプによるカードゲームを一通り楽しんだ後は、1人、また1人と就寝していった

 

俺は中盤で退席したので結果がどうなったのか知らないが・・・

おそらく、あのラムという少女の一人勝ちだったのだろう

序盤から開幕ロケットスタートを決めてあっという間に1勝

ひさしぶりにグラムが悔しそうにしていたのが印象的だった

 

キッチンへと入り、ペットボトルの水でタオルを濡らして顔を拭く

そして、1度うがいをして・・・

しっかりと目を覚ます

 

「さぁ、朝食の準備だな・・・。」

 

昨晩の内に仕込んだ白米をコンロにかけて強火でご飯を炊く

隣の寸胴にも火を入れて昆布出汁を取る。ここに削り節を入れ込み、一煮立ち

 

大根を入れていた鍋に更に砂糖とみりんを追加し、ひと煮立ちさせて火から外す

 

そして、個梱包され腐らなかった数少ない食材である豆腐を取り出す

 

それを昆布と鰹節を取り出し黄金の出汁となった寸胴に乾燥ワカメと共に投入し、沸騰したのを確認して味噌を溶かし込む

完全に味噌が溶け込んだを確認したら、火を落とす

 

その頃になるとご飯を炊いている鍋蓋がカタカタと音を立てだしたので火を弱火に変える

 

そんな作業を一通り終えた頃

女性組の一部が起き出したようだ

 

キッチンに彼方さんと舞さんが入ってくる

 

「・・・おはようございます」

 

「おはよぉ〜」

 

「あぁ、おはよう。洗い場にタオルと水のペットボトルを置いてある。自由に使ってくれ」

 

「はーい」

 

「はい・・・」

 

2人はそれぞれキッチンの洗い場へと向かって行った

なにやら、雑談をしているようだが・・・

微妙に距離があるのでその内容までは拾えない

 

それを見送ってスミに置いてある段ボールから取り出したのはじゃが芋

 

かなりの量が備蓄されているので後で貰っていこう

 

と考えながらサイコロ状にざく切りにする

そこに片栗粉を満遍なくまぶす

 

油をたっぷり敷いたフライパンを用意して強火に、かける

いっきにじゃが芋を炒めていく

まんべんなく火が通ったのを確認し、醤油、砂糖、マヨネーズで味付けを施し、最後に少し多めの胡椒を振りかける

 

そのタイミングでご飯の火を落として蒸らしておく

 

顔を洗いに行った2人が戻ってきたので声を掛けた

 

「すまん、もうすぐで朝食が出来るから、ソッチの2人を起こしてくれるか? 俺は男子共を起こしてくる」

 

「あ、はい・・・」

 

「了解でーす」

 

2人は、休憩室へと向かっていった

俺はキッチンを見回して、火の元が無い事を確認してから、保管室へと入った

 

未だに毛布に包まり寝ている仲間の方をそれぞれ揺すり声を掛けた

 

八雲、湯芽原は眠い眼を擦りながらも起床

翔とグラムは唸っていたので、2人に丸投げした

 

俺は忙しいんだ、そう内心で言い訳をしながら保管室を後にする

 

キッチンに戻るとご飯が炊きあがっていた

素早くかき混ぜ、半分程をボウルへと取り分ける

 

更にそれを別のボウルに半分に取り分ける

片方に、しそ昆布をみじん切りにしたモノを投入しかき混ぜる

もう片方にはおかか・・・、かつお節と醤油を混ぜ込む

 

それを他のメンバーが起きて来るまでにラップでおむすびへと変えておく

探索の途中で見つけていた手提げかばん、俗に言うところのトートバックに次々と入れる

そして、沸かしたお湯の沸騰音に驚きながら、慌てて火を止める

 

全員が集まりだしたので朝食にした

 

本日のメニューは

白米、豆腐とワカメの味噌汁、大根のべっこう煮、一口じゃが芋の照り焼き、そして残されていた味付け海苔

と、純日本食の献立だ

 

ぶっちゃけ、食材が限られているのでこれが限界だ

 

 

 

わちゃわちゃとした朝食の光景を少し離れて見守る

グラムはスマホで何やら見ている

八雲と翔、湯芽原の3人は雑談しながら

本日のラムさんは舞さんに絡んでいるようだ

舞さんも楽しげに食事を取っている

彼方さんも今日は同じテーブルで食事を取っているが舞さん、ラムさんの勢いに押されて食事の進みが悪いように感じる

 

ソラは隣で食事を取っているが・・・

 

「・・・・・・・・・すぅ」

 

食事を取りながら、寝てるのか・・・?

なんだか、やたらと眠そうだ

 

1番最初に休憩室に引き上げていたから、良く眠れているはずなんだが・・・

少し心配になる

 

「ソラ、大丈夫か?」

 

「う〜〜〜ん、美味しいよー」

 

「あ、そうか・・・。ありがとう、いや、じゃなくて」

 

「ふぅーん?」

 

「眠そうだな?」

 

「うーん」

 

完全に半分寝ているトーンだ

・・・朝は弱いのか?

そう疑問に思うものの、食事中にウトウトするのは危ない

 

「眠たければ、移動中に寝ていいから・・・。今だけはシッカリしてくれ」

 

「はーい・・・」

 

眠そうに答えるが、食事はしっかり取ってくれている

それに僅かにホッとしながらボソリと呟く

 

「おにぎりの数を増やしておくか・・・」

 

ソラと彼方さんの食事ペースを見て、おにぎりの増量を決定する

 

なんだか、ソラに甘い自分が居るな?

 

と、頭の片すみで思いながらも・・・

 

まあ、良いか

 

とも思っていた

 

片付けは昨日、休んでいたから

という理由で立候補してくれたラムさん、舞さん、彼方さんがやってくれる事に

今日は食器の数が多いので少し申し訳無い思いにかられながらも、楽しげに片付けを始めた彼女達を止める気にもならず、任せることにした

 

まあ、終盤でラムさんが、お皿を割るというハプニングはあったが・・・

舞さんが素早く割れた食器を安全に処理していた

無事に片付けを終えてくれたのに一安心したのだった

 

 

 

ホテルに備蓄されていた食べ物や飲料水の一部を戴き、車へと積み込む

 

誰にも見つからず、放置され忘れ去られるかもしれないのだ

この終末の世界では、これも生きる術の1つだろう

 

「さあ、出発しよう」

 

「「「おー!」」」

 

車内の声が珍しくキッチリと揃った

同乗者は昨日と同じ助手席にソラ

後部座席に翔と舞さん

 

グラムの車では座席変更があったようだ

助手席にラムさんを乗せ

後部座席に八雲と彼方さんが乗車しているようだ

 

八雲、アイツ・・・。大丈夫だろうか?

 

女性馴れしていない俺達の中でも特にコミニケーション能力に難のある友人を気に掛ける

 

しかし、気にし過ぎてもしょうがないと思考を切り替えた

 

エンジンキーをスタートに入れて車を始動させる

燃料メーターを確認すると昨日と然程変わらない3分の2程度を示す

これなら、上手く運転すれば名古屋を越えて浜松や静岡辺りまで燃料が持つかもしれないと淡い期待感を持つ

 

今日という日が始まった

 

残酷な現実を目の当たりにする

 

その1日目が

 




どれほど過酷な世界でも、食事は大事です
人間は食べなければ動けませんし、生きていけません
という事で今回は食事回でもあります
作者は実際に作中に登場する料理達を作って食べてみました
感想は、まあ、微妙という事で・・・(油の量を多くし過ぎたのが失敗の原因)
マヨネーズつかってるんだから油の量は少な目でも良い筈です

さて、そんなこんな、まだ食事に対して気を回すだけの余裕がある時期のお話ですね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。