ホロライブ・オルタナティブ【リアー・タイムズ】トキノソラを翔ける少女   作:小畑 お爺ちゃん

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場所 舞子駅前バスターミナル


駅前襲撃 グラムとラム

一方、その頃

逃走していたメンバーは舞子駅まで来ていた

そこで、明石海峡大橋は既に落ちて通行不可能という情報を得る

更に、その先の姫路にあるシェルターも既に陥落しているとの情報も聞く

情報共有に神戸のシェルターが襲撃された事を伝えた

既に逃げ場を無くした人々は、ぼう然としたり

中には泣き出してしまう人も出ていた

更に、そこに追い討ちを掛ける様に別の天使の襲撃が発生する

 

阿鼻叫喚の最中、メンバーのリーダー格である斬矢が指示を飛ばす

 

「グラムっ!移動手段喪失が最悪だっ!防衛戦に徹してくれ!!八雲、付いてこい!俺と二人で天使を倒すっ!回復役不在だから怪我の無いよう立ち回ってくれ!」

 

「あー、防衛とかガラじゃないんですがねぇ」

 

「了解だ、斬矢っ」

 

それぞれに返事をしながら能力を使う

グラムは身体強化を自身に施し、その身体に赤いオーラが立ち昇る

 

八雲は地面に手を当てると、その地面から無骨な装飾皆無の鉄製の片手直剣を作り出す

 

斬矢は自宅から持ち出した刀に魔力を纏わせながら有効打を狙う

 

それぞれに奮戦していく最中だった

 

八雲の近くで魔銃の銃声が響く

八雲が驚いた様に振り返ると、オレンジ色の服を着た長身の少女が水色のパーカーを着た少女を庇うような体勢で撃たれていた

 

「いやぁぁぁぁ!?桐生ちゃん!!桐生ちゃん!?」

 

庇われたパーカーの少女の悲鳴が響き渡る

ドサリと地面に倒れた少女に縋るようにその場を離れない

桐生という少女を撃ち抜いた魔銃が今度はそのパーカーの少女に向けられる

それに、いち早く動いたのは八雲だった

 

「やめろォぉぉオオオ!!」

 

驚く程の叫びと共に天使に肉薄する

その気迫に天使は驚き、標準を八雲に変更しようとする

その僅かな時間で八雲は手にある直剣を振り抜いていた

 

天使はその差し向けた魔銃ごと、真っ二つに切り裂かれ、光となって消失した

 

その天使が、この襲撃における最後の天使だった

 

「ハァ、ハァ、・・・・・・」

 

八雲は無理な身体強化による疲弊と痛みで暫く荒い呼吸を繰り返していたが、それも落ち着くと後ろに振り返る

 

そこには桐生という少女を助けようと必死になっている少女の姿があった

 

胸の中心付近を撃たれており出血が地面へと広がっていく

パーカーの少女は傷口にタオルを被せ手を押し当てて止血を試みている様だが・・・

 

その命は、既に途絶えていた

 

それでも必死に助けようと藻掻く水色のパーカーの少女

 

止血を試みている手は、赤く濡れ・・・

水色のパーカーの袖口が血によって赤黒く変色している

 

桐生という少女に声をかけ続けるが、返答は無い

 

その、余りの痛々しさに八雲は暫く見ていることしか出来ず・・・

撃たれた少女はゆっくりと光となって消えてしまった

 

ゆっくりと少女に近付く八雲

そっと側に寄ると少女に悔しそうに歯噛みしながら声を掛ける

 

「・・・・・・・・・。すまん、俺が間に合っていれば・・・」

 

「・・・・・・ッ!?」

 

その言葉にキッと顔を上げる少女

何かを言葉にしようとしたようだが、それが言葉になることは無く・・・

結局、再び俯いてしまうのだった

 

八雲は周囲を見回すが、この少女に関連する人物が他に居る気配は無い

 

「近くに他の知り合いは居るのか?」

 

その質問にフルフルと首を振る少女

痛ましい姿に、八雲も僅かに表情を曇らせるが・・・

それでも聞かねばならなかったのだろう

 

「・・・・・・。目的地や身を寄せられる所はあるのか?」

 

「・・・ない。」

 

絞り出したかのような一言

それに、八雲は1つ頷くと・・・

 

「行く場所が無いなら付いて来れば良い、と思う。仲間も反対しない」

 

その提案に少女は僅かに悩んだ様子を見せた

しかし、コクリと頷き1つで返事をする

残った遺留品である服と特徴的なブローチをその腕の中に抱きしめると、震える足で立上がった

 

「桐生ちゃん・・・、ごめんなさい。」

 

そっと歩き出す2人

パーカーの少女は泣くことも出来ずにその場を後にする

 

八雲が車の駐車してある所まで戻ると何やら言い争いが聞こえた

片方は仲間の男の声だが、もう一方は聞いた事の無い少女の声だった

良く見ればグラムがメガネを掛けた少女に絡まれていた

 

「〜〜〜〜〜だから、ボクも付いて行く!」

 

「だから!コレと、ソレは別の話だって言ってんだろ!?」

 

何やら言い争いは続いている様だが、状況が理解出来ない八雲はグラムの方に声をかける

 

「どうした、グラム?」

 

「あっ、聞いて下さいよ!八雲先輩っ」

 

グラムは八雲が戻った事に気づいたらしく困った様に助けを求めてきた

そういうグラムは左の手の甲を負傷していた

傷はそれ程深くはなさそうで手の甲から僅かに出血している程度だった

 

「この娘、付いてくるって言うんですよ!?」

 

「だ~か〜ら~!ボクは、あんたに助けられたんだから。あんたに付いてくって事なんだよー!わかれ〜!」

 

「だあぁーーーー!うっせえ!?」

 

それだけでは何の事か理解が出来なかった八雲

 

「ごめん、グラム・・・。詳しく」

 

「仕方ないですねぇ、八雲先輩は」

 

そう言うとグラムは八雲に説明を始めた

暫く、うんうんと頷いていた八雲だったが聞き終えると・・・

 

「つまり、こうだな?

グラムは車を防衛していたら逃げてくる彼女が来て、偶然にも目の前で盛大にコケたと・・・。で、彼女に着弾しそうになった天使の弾丸を無理に弾いたら負傷したと・・・」

 

「綺麗に纏めましたね。流石、八雲先輩」

 

「流石、八雲先輩〜♪」

 

「・・・・・・・・・。」

 

それを褒める目の前のグラムと謎の少女

そして八雲の隣で無言のパーカーの少女

あまりの混沌具合に八雲は軽く頬を引き攣らせている

暫く謎のメガネ少女を無言で見ていた八雲とグラムだったが、八雲が1つ溜め息を吐くとグラムに声を掛ける

 

「グラム?」

 

「なんですか、八雲先輩?」

 

「諦めろ、連れてってやれば良いと思う。俺もこの娘を連れてくし・・・」

 

「なっ・・・!?」

 

「やったー!ありがとー。八雲先輩〜」

 

絶句するグラムを置いて八雲は車のトランクに回り込んでしまう

パーカーの少女の荷物を車に無言で積み込み出す

それをグラムは呆気に取られる用に見送ると、髪をガシガシと揺すり、声を上げる

 

「マジですか・・・。ああぁあぁ、クソっ・・・で?」

 

「?」

 

「お前さん、名前は?」

 

「……ない。あなたは?」

 

「んぁ? グラム、だが?」

 

「じゃあ、それで」

 

「は?」

 

グラムは疑問の声を上げる

それを見ながら謎のメガネ少女は下からグラムの顔を見上げる用にしながら告げる

 

「名前、同じのがいい」

 

黒縁メガネの奥から覗くブラウンの瞳が揺れている用に見えた

一瞬、呆気に取られたグラムだったが

これは付けろという事だと薄っすらと勘づく

 

「待て待て待て。あー、くそっ。こういうの苦手なんだよなぁ……」

 

そう言って、グラムはしばらくの間悩む

そしてボソリの口にした

 

「ラムだ・・・」

 

「ら、む……?」

 

「ああ、グラムから取ったやつだ。気に入らなくても文句言うなよ」

 

「ら、む。 ラム……。ボクの、名前は……ラム」

 

暫く、口の中でモゴモゴとラムという名前を繰り返していた眼鏡の少女だったが、うんと1つ頷くとグラムを真っ直ぐに見つめる

 

「グラムっ!ボクの名前は遊奈瀬ラムっ!よろしくねっ!」

 

「あぁ・・・、ってお前さん名字あるんじゃねぇか!?」

 

一瞬、納得しかけるグラムだったが名字があることに気が付くとラムに突っ込みを掛ける

ラムはアハハハと楽しげに笑い声を上げていた

 

そこに、斬矢が刀を竹刀袋にしまいながら戻って来る

 

そしてメガネの少女とパーカーの少女を視界に捉えると僅かに苦笑する

 

近づいてグラムへと声をかけた

 

「なんか女性が増えてるな?」

 

「あぁ、島先輩・・・。同行者が二人程増えましたよ・・・。」

 

疑問に思った斬矢が近くにいたグラムに聞くと

少し嫌そうにグラムが質問に答える

 

「あーーー、・・・・・・なるほど」

 

そう斬矢は呟くと1人、2人と人数を数えていく

 

「7人・・・、か。オーバーしたな・・・」

 

「あ、そうっすね。」

 

乗用車が1台とバイクが1台

無理をすれば乗れるかもしれないが、もともと6人分の荷物が乗っている

ここに少女2人の荷物も増える事を考えた時、どうしても容量オーバーになるのだ

 

斬矢は少しだけ逡巡した後に今後の方針を口にする

 

「いや、何にしても怪我人も居るしな・・・。ここで休息を挟もう、もしかしたら将兄さんも追い付くかもしれないしな」

 

それにグラムはコクリと頷くと運転席に回り込み、車内から電子タバコを取り出し吹かし始める

 

真矢はそれをチラリと見たあと、グルリと周囲を見渡す

そして、何か気になるモノでも見つけたのか1点をしばらく見つめた後に言った

 

「周りを見てくる。何かあったら発煙筒でも焚いてくれ、そしたら急いで戻って来る

行き先はあのでっかい建物、行ってきます」

 

そう言いながら指さしたのは舞子駅の向こうに見えるビルだった

 

八雲、グラムが頷くのを確認してバイクに跨がる斬矢

バイクメットを被ると、そのままスロットルを回し走り出して行った

 

それを見送ったメンバーは思い思いに休息を取っている

八雲はベンチに座り込むフードの少女に無言で付き添い

翔と湯芽原という負傷したメンバーは車内で寝ていた

 

そんな中でラムだけは何やら車のトランクをガサゴソと漁っていたが、ようやく目的の物を見つけたのか

嬉しそうな表情をし、それを持ってグラムに駆け寄る

 

「グラムっ!」

 

「んぁ?」

 

「手っ、出して!」

 

そういう少女の手元には消毒液とガーゼ、包帯が握られていた

治療だと察したグラムは嫌そうな顔をする

 

「こんなの唾つけとば治るっ!いらん」

 

「えー!?駄目だよぉ、ちゃんと治療しなきゃあ・・・・・・。」

 

この二人、お互いに頑固な性格なのか・・・

暫くの間、ぐぬぬぬぬと見合っていたが・・・

その内にグラムの方が先に折れた

 

「チッ(なんか苦手なんだよなぁ、コイツ)」

 

「うふふ〜、ちゃんと手を差し出せるじゃん。治療するねぇ〜」

 

舌打ちと共に差し出した手をご機嫌に握るラム

しかし、その手は微かに震えていた

繋がった手を通してそれに気づいたグラムは無言でラムの治療を眺める

 

グラムの手の甲についた血や汚れを落とし、ガーゼに消毒液をつけて患部に当てる

その上から包帯をクルクルと丁寧に巻く

 

「はいっ、おっしまい〜」

 

グラムは治療された自身の手をしばらく眺めた後、真剣な表情で彼女の名前を呼んだ

 

「ラム・・・」

 

「なぁに?」

 

「近くに居ろ、近くに居れば・・・・・・守ってやる」

 

「あっ・・・・・・・・。えへへぇ〜、ありがとうねぇ〜」

 

「ふんっ」

 

ぶっきらぼうに答えたグラムだったが、ラムの震えが止まった事に表情が少しだけ緩んでいた




《グラム・トーカー》ぐらむ・とーかー
黒縁のメガネを掛けた青年
やや荒い言動と捉え何処が無い飄々とした性格
他者を寄せ付けない独特な雰囲気を纏っている為、誤解される事が多い
超近接による肉弾戦を好むが地頭はとても良い
魔術は不得手であり、独自に科学と魔術の掛け合わせにより創り出した《魔科学》という新たな神秘を扱う

《遊奈瀬ラム》ゆなせ らむ
幼い頃に施設に預けられ、本当の名前すら知らない少女
遊奈瀬とは預けられていた施設の名前
グラムにより助けられ、付き纏う事にしたらしい
見た目の可愛らしさと声の通りの良さが特徴
目が悪いらしく、円縁の眼鏡を愛用している
眼鏡フェチ
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