ホロライブ・オルタナティブ【リアー・タイムズ】トキノソラを翔ける少女 作:小畑 お爺ちゃん
車にパーカーの少女の荷物を乗せた八雲は
未だに、ぼうっとした表情をする少女をチラリと見て悩む様子を見せた
しばらく悩んだ後に、八雲は少女を駅前に設置されているベンチへと座る様に促した
少女の方も促されるままベンチへと座り込む
天使の襲撃があった為か、駅前に人影は殆ど無い
少女の気分とは裏腹に良く晴れた快晴の空が広がっていた
だというのに橋の中程から無くなった明石海峡大橋の向こう側は霧がかかった様に白く霞んでいる
しばらくの間、無言でベンチに座り込んでいた二人だったが
八雲がフッと立ち上がり車に戻る
車の中からペットボトルを2本取り出すと、それを持って歩き出す
再びベンチに戻ると八雲はパーカーの少女にペットボトルを差し出した
ラベルには『富士の天然水 清きウォーターボトル500』と表記されている
それを何とも言いにくそうに、気まずげな表情と声で渡そうとする
「あー、・・・・・・ほら」
「・・・・・・・・・僕に?」
「あぁ、飲むと・・・良い・・・」
「・・・ありがと」
少女は一瞬だけ、驚いたような表情の後
差し出されたペットボトルを受け取った
パーカーの少女はじぃーとペットボトルのラベルを見つめている
八雲は無言で再び隣に座ると、持ってきた自身の分のペットボトルを開けぐいっと飲む
「・・・・・・、ふぅ」
「・・・・・・・・・」
八雲が発した息を吐く音の後
再び無言で流れる時間
パーカーの少女は時折、チラリと八雲の方を伺う様子を見せるようになった
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
チラリと八雲を見ては、俯く
チラリと八雲を見ては、ペットボトルを見る
そんな動作を3度程繰り返した後の事だった
おずおずとパーカーの少女が口を開く
「あのさ・・・聞いて良い?」
「・・・良いぞ」
「なにも、聞いてこないの?」
それは不安と期待をごちゃ混ぜにしたような声色だった
八雲は数秒程の無言の後に答えた
「君が、喋りたくなったら聞くよ・・・・・・」
「そっか・・・・・・」
再び訪れた沈黙
少女がボソリと告げる
「貴方、優しいんだね・・・」
「・・・・・・」
「八雲先輩、だっけ?僕もそう呼んで良い?」
「いいぞ」
「僕の名前は天音彼方・・・。かなたって呼んで・・・」
「かなた、だな。わかった」
パーカーの少女は自身の名前を八雲に告げると、少しだけ落ち着いたのか・・・
ゆっくりとペットボトルを開けて傾ける
コクコクと静かに飲んで、一つ八雲と同じように息を吐いた
「・・・・・・、はぁー」
ベンチから見える大阪湾の静かな波の音だけがこだまする
「助けてくれて、ありがとう。八雲先輩」
それは波の煌めきに溶けて消えてしまいそうな程に小さな感謝の言葉だった
八雲はそれに気付いたのか、気付かなかったのか
その視線は落ちた明石海峡大橋に注がれていた
《木守 八雲》きしゅう やくも
今作最大のイケメン、ただしコミニケーション能力に難あり
中学までは一般人として生活してきたが、高校で将と出会った事により魔術師の世界へと踏み入れた
メンバー内で最大の魔力量を誇り、事実上の無制限の魔力を使える
しかし使える魔術は少なく、剣を生成する魔術と身体能力を一定時間向上する魔術以外は基礎的な魔術しか使えない
剣による接近戦を好む
《天音 彼方》あまね かなた
舞子駅前のターミナルで天使の襲撃に合い八雲に助けられた少女
ギターと歌う事を愛する音楽少女
同級生にして同じシェアハウスの友人である《桐生心望》を信頼していた
その桐生心望を目の前で亡くし絶望している所を八雲に助けられる
基本的には引っ込み思案、ネガティブ、他人も自分も信じられないタイプ