ホロライブ・オルタナティブ【リアー・タイムズ】トキノソラを翔ける少女 作:小畑 お爺ちゃん
場所 舞子駅に向けて移動中、車内
先行している仲間に合流するべく神戸シェルターから車で出発した俺とソラ
目指すのは集合場所と決めていた舞子駅だ
最早、高速という様をなさなくなった高速道路を避けて下道を走る
道路には多くの車が端に寄せて停められていた
それらの間を抜けるように快調に車を進めていく
隣に座るソラは楽しげに流れる風景を眺めている
「〜〜〜♪」
無音だった車内にソラの歌声が響き出す
それは俺の兄貴世代が聴いていた曲だった
初夏の海風に吹かれた湾岸道路を走る今の状況にピタリとハマりこんだ選曲だ
何故、恋愛ソングなのか?
という所だけに目を瞑れば・・・
気になったので歌い終わるのを待って聞いてみた
「未来から来たって言う割に選曲が古くないか?」
「あはははー、そうだねー。98年の6月リリースの曲だからねー」
「うわ、俺が産まれた年だ。そんなに古かったのか」
「有名な曲だからね~。古すぎるって感じでは無いよねっ」
「確かに・・・、で、何で急に歌い出したの?」
「歌い出した理由?」
「そう、理由がありそうだったから」
「私がアイドルを目指してるから・・・、かな?」
そこまで聞いて、あぁ、と僅かに納得する
「自己紹介をしてくれた時にも、そんな事を言ってたな。確か現役JK・・・」
そこまで口にして気が付く
「ソラって女子高生なのか・・・?」
「私?」
確かに、少女といって良い見た目だ
女性と言うほど妖艶ではなく
女の子と言うほど幼くはない
まるで、女の子が女性へと移りゆく微妙な時期と言える見た目だ
「未成年者誘拐罪になりそうだな・・・」
「え!?」
急に不安になる。家族や親戚、友人などの親しい関係では無い少女を連れている
既に国家として崩壊しているし、法律とか機能していないのは理解していても僅かに躊躇する
それに、未来から来ているということはこの時代に置いては更に年齢的には若いという事になりそうだ
「女性に名前を聞くのはマナー違反と理解した上であえて聞くぞ?ソラって、幾つなんだ」
「アイドルだから永遠の18歳っ♪」
「・・・・・・・・・」
「って言うのは無しだよねー。うん、ハタチは行ってるから安心してー」
「・・・・・・ひとまず、納得しとく」
「ぶー、なにそれ〜」
「ははは、永遠の18歳なんだろ?」
ふくれっ面でコチラを可愛く睨んで来るソラに対して僅かに加虐心が起こってしまう
笑いながら彼女の言ったことを、そのまま返してみると
ハッとした表情をした後に、赤面しながらジト目を向けてきた
「うわー、将くんってモテないでしょー?」
「そうだな、この性格だからな」
「あ、認めちゃうんだ・・・」
「事実だからな」
今度は驚いた様な表情をしながら勝手に納得している
本当にコロコロと表情の変わる娘だ
「所で、なんで恋愛ソングだったんだ?」
「あっ、恋愛ソングって知ってるだ」
今度はソラの方がニヤリとしながら言ってくる
それに僅かにムッとしながら無言で続きを促す
「なんで恋愛ソングかって所だよね?」
それにコクリと頷く
「ふふふ、それはねー・・・・・・」
そこでソラは言葉を貯める
疑問に思ってチラリとソラの顔を伺ってみると、ソラもコチラを見ていた
バチリと目と目が合う
その表情はいたずらっ子の浮かべるニヤニヤとした表情だった
「私が、将くんの事が大好きだからっ!」
愕然とする、そして理解が追いつくとドキリとする
頭に突然に血が上る
自身でもわかるほど顔の温度が上がっている
おそらく、俺は赤くなっている
それを見てソラはいたずらが成功した事を確信したのか・・・
輝くような笑顔を咲かせている
それを見て、更にドキリとしてしまった
「ごほんっ・・・」
「ふふふ〜〜」
自分でも嘘くさいと思うほど、わざとらしい咳をする
そんな俺の横顔を見ながらソラは笑っている
「あー、あのな、ソラ」
「なに?」
思考が纏まってない
まだ、頭がグルグルしている
しかし、返す言葉は自身の中でハッキリしていた
「俺は疎い、それにこんな経験は今まで無かった。だからどう返して良いか解らないのが正直な所だ」
「うんっ」
「そのだな・・・、あー、ありがとう。嬉しい」
自分でもわかってる
なんて不器用な感謝だろうかと
だがこれが今の俺に出来る最大の感謝の言葉だった
「えへへへ、冷えたワインが効いてるみたいっ」
俺は、この少女に会ってから振りまわされてる
歌詞の中にあった冷えたワインに酔わせて蕩(とろ)かされているようだ
これ以上は頭が沸騰しそうだと思った
慌ててドアウインドウを下げると重たい潮風が吹き付ける
僅かに熱を持った風が、俺に冷静さを取り戻させてくれる気がした
ときのそらさん楽曲
『HOT LIMIT』
https://youtu.be/NuxUU0RO4nY?si=hPZ9owOD_XgUsQNq
興味のある方は聞いてあげて下さいませ
以降 ⏯(再生マーク)のあるお話は曲と物語が連動する予定です
少しでも読者の皆様が楽しんでいただければ嬉しいです