STEEL HAZE   作:魚の名前はイノシシ

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これまで投稿した話の中で、だいたい全部にちょっとセリフを付け足したりとかしたので良ければ1話からご覧いただけたら楽しんでもらえるかなと思います。

あらすじ!

あらすじなんかねぇよ、グリッド135やれ。それで話はおしまい。ならばもう、終わりだからね。どうぞ!


『RaD』

 

時が経ち、翌日

 

 

─万魔殿─

 

「…じゃあ、約束通りラスティは借りていくわね。」

 

ラスティを傍に控えさせ、あたかも自身の側近であるかのように振る舞うヒナ。決闘によって存分に力を振るってスッキリしたこと、それによって仕事が凄い捗って6時間も眠れたことでツヤツヤしている。

 

「ぐぬぬっ、これで終わりだと思うんじゃないぞ!覚えておけ!」

 

ダンダンと高そうな机を叩きヒナに言い捨てるとズカズカと部屋を出ていったマコト。

 

「私の知らないところでそんな取引をしていたのか…マコト議長らしいと言えばらしいが…」

 

現場にはイロハも居たんだろう。そういう反応だった。知っていたならそれを伝えてくれても良かっただろうに、とそういう意味を込めてジトっと視線を送る。

 

「…だってめん…ラスティの強さを知ってたらまさか負けるとは思わず。それに口止めもされてましたし?」

 

面倒くさいと言いかけたのは置いておいて、イロハから信用していたと暗に告げられ怒るに怒れなくなってしまったな…

 

「まあ、1週間だけという話だ。しばらくすれば戻るさ。それで、ヒナ。今日は何をするんだ?」

 

「歩きながら話すわ。行きましょう。」

 

万魔殿でずっと留まっていてもしょうがないからな。大人しく着いていこう。

 

誰もいなくなった室内でイロハは溜息をつき仕事に取り掛かる。

 

「…はぁ、私が先に捕まえたのに…」

 

無意識な呟きは、誰の耳にも意識にも入ることなく空気に溶けて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─風紀委員室─

 

ヒナに説明されたのは、

 

『私のやっている仕事のうち、私がやらないといけないものじゃないやつは皆に任せたとはいえそれでも大量にある。ラスティにはその手伝いと、直接の呼び出しとか通報があった時に一緒に出動して貰う。』

 

ということだった。思ったより少なく済みそうで小さく安堵の息を吐く。そして今は前にやっていない部分の書類仕事を教えて貰っている。

 

「……っていう感じね。」

 

「ああ、分かった。」

 

大体分かった。分からないところは聞くとして、早速取り掛かる。

 

カリカリ…

 

「……」

「……」

 

カリカリ…

 

「…そういえば、シャーレの先生に会ったらしいわね。どうだったかしら。」

 

「…先生か。私の大人に対する印象が全て当てはまらない人物だった。必要なら嘘はつくだろうが、詐欺や『騙して悪いが』という事はしない確信と、生徒を1番に大切に思っていることが分かったな。」

 

「そう、良かったわ。」

 

カリカリ…

 

「……」

「…ヒナはなんで先生について知りたかったんだ?」

 

カリカリ…

 

「…シャーレが偶に当番を募集するのは知ってる?」

「…先生の仕事の処理が追いつかない時、応募した生徒の中から1人か2人がランダムに選ばれてサポートに向かう制度のことだろう?」

 

カリカリ…

 

「だいたい合ってるわ。生徒から応募するのと先生から声がかかる方があるの。その場合は事前に連絡があって、内容も伝えられるの。」

「なるほどな。」

 

カリカリ…

 

「実はさっき先生から連絡があって、明日ミレニアムで受け取って欲しいものと調査をして欲しいところがあると言う話を受諾したの。…実力のある1人までなら連れて行ってもいいみたいだからどうかしら?」

「そういうことなら着いていこう。無事に任務を遂行するとも。」

 

カリカリ…コンコンコン!

 

「し、失礼します!!東区で温泉開発部が大規模なテロを企てています!至急向かって下しゃ、す、さい!」

 

「落ち着いて。東区のどこで起きてるの?」

 

「あ、は…東区に新しく出来た大型ショッピングモール『イオンコーラル』で土地を丸ごと爆破しようとしてるみたいで大量の爆薬が発見され通報を受けたんですが、規模が規模なだけに手が回りきらない可能性と近頃の温泉開発部は怪しいということで応援要請を…イオリ隊長率いる一班から四班、そしてG2率いる屋内戦闘部隊が向かいましたが通報者から送られた映像データを見ると見たことの無い兵器の配置や武装をしていたとの事です!」

 

「…はぁ。最近の温泉開発部は総じて頭が緩くなってきているけど、相応にしぶとくなってるから着いてきて欲しい。書類は帰ってきてからやりましょう。」

 

「分かった。じゃあ目的地まで競争しようか。」

 

愛銃を担ぎ、携帯しながら2人は席を立つと予備の弾倉を持ち装備の不備がないかを手早く携帯しながら2人は席を立つと予備の弾倉を持ち装備の不備がないかを手早く確認し終え最近は飛べるようになったから直ぐに出られるように改築した窓際に並び立つとほぼ同時に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眼前には少し崩壊しているものの立て直しが効く範疇で被害が収まっているイオンコーラルと、そこを取り囲み事後処理に勤しむレッドガン部隊と風紀委員達の姿が。

 

「戦闘が、既に終わっている…?」

「おかしいわね…ラスティ、私は委員の子に少し話を聞いてくるわ。」

「ああ。私はレッドガンの方に行こう。」

 

 

 

 

「随分と早く治まったのね。」

 

「委員長!お疲れ様です!はい、実はミレニアムの生徒で助力してくれた人が居まして。凄い機械を使って爆弾の探知と処理をあっという間に終わらせたんです!」

 

「そう。一応目的が何かは聞いたかしら?」

 

「あっちの奴は何か話してたみたいなんで何か知ってるかもしれないですよでも!私としてはただの買い物だと思いますよ?新しく出来た大型モールは誰もが気になるはずだし…」

 

「そう、ね…ありがとう、引き続きお願いするわ。」

 

「はい!」

 

(買い物をしに来たと言うならなんでこの状況にピッタリの対策機械を丁度よく…もう少し話を聞く必要があるわね。)

 

「作業中失礼するわ、ここを鎮圧したというミレニアムの生徒の…」

「それなら聞けましたよ。実行したのは───。彼女をアシストしていたのは───という人物です。その2人の目的は─」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ」

 

「ん?…おぉ!ラスティじゃあないか!どうだ、風紀委員の仕事は?」

「ラスティだって?アタシらにも話させろー!」

「今度2番隊で飯行くんだ!お前も来いよー!」

 

「はは、元気そうでなによりだ。食事についてはぜひ行かせてもらおう!」

 

ラスティの発言に盛り上がる隊員たちの奥から1人向かってくる影がある。

 

「ラスティ、こっちに来い。話があるんだろう?お前たちも早いところ作業に戻るんだ。会えたのが嬉しいのは私もだが、それで仕事を放置するのは通らんよ。さぁ、持ち場に戻れ!」

 

「少しぐらいいいじゃんかG2!」

「そうだそう…あ!逃げようとしてるぞ!」

「うわ!早く気絶させろ!」

 

バタバタとして一斉に戻る隊員達の背を呆れながら見送ると、改めてこちらに振り返る。

 

「じゃあ、話をしよう。大方この騒動をお前達が来る前に治めた人物についてなのだろう?」

「話が早いな。なら早速聞かせてもらおうか、()()()。」

「仕立て人はミレニアムの生徒。恐らくエンジニア部のマイスターだ。赤が混じった紫髪で、薄く化粧をして赤い口紅を塗った妙に色っぽいやつだった。」

「…ミレニアムか。面倒なことにならなければいいが。名前と目的は聞けたか?」

「名前は被灰カーラ。通信越しにカーラをアシストしていた人物がいたが、そいつの名前は噺屋チャティ。コイツら2人の目的は─」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ヒナ(風紀委員長)とラスティ(レッドガンの9番隊長)を自分の工房に招待することらしい。(みたいです。)買い物はついでに気になったかららしい。(です。)」」

 

 

 

「私たちの、招待?」

「ああ、ご丁寧に招待状を渡された。ヒナの分は風紀委員の誰かが持ってるはずだ。」

 

蜘蛛の巣の意匠を施された毒気のある紫の招待状を受けとり、懐にしまう。

 

「…まだマシな面倒事か。作業中済まなかった。私はそろそろヒナと合流する。引き続き頑張ってくれ。」

 

(ラスティは色んなやつに狙われる運命にあるのか?)

 

 

「…………そう。」

「委員長?だ、大丈夫ですか?」

「……そう見える?」

「い、いえ…(いきなり目が生気を失った!?)」

 

 

 

 

「どうだった、ヒナ。」

「収穫はあったわ。そして、やるべき事も…」

「ということは招待状を?」

 

懐にしまった招待状を取り出し互いに見せ合う。やはり同じ人物からのものだったようだ。

 

「あなたも渡されたのね。」

「どうする?」

「温泉開発部に圧をかけて暫くは出られないように拘束した後、美食研究会を…」

 

ドカーン!!

 

「噂をすれば、だな。ササッと片付けてミレニアムに行こう。」

 

「そうね…それじゃあ、仕事の時間よ。」

 

〜〜〜〜

 

エッ!?フウキイインチョウトラスティ!?

コレハ…ニゲラレソウニナイデスネ☆

ジンルイト、ビショクノ、カノウセイガ!

マダタベタリナイノニー!

 

ムムーッ!ムーッ!ムーッ!!!(待って!私は攫われただけだから!助けて!!ホントに!!!)

 

〜〜〜〜

 

 

美食研究会を強めに制圧し、ゲヘナ学園に戻って直接牢に叩き込んでから攫われたフウカを元の場所に返してヒナと共に書類を手早く終わらせる。それからミレニアムへ行く準備を整える。

 

「マコト議長への報告は、イロハを倣って終わってからするから小言を貰うことは無いはずだ。準備は出来たか?」

 

「出来たわ。駅に着く頃にミレニアム行きの電車が来るわ。」

 

「なら早速向かおう。」

 

───

──

 

駅に着き、電車に乗って揺られること30分ほど。

ミレニアム自治区に到着。

 

「ここがミレニアムか。」

「早く用事を済ませてしまいましょう。」

 

銃声があまり聞こえないことで違和感があるな。ゲヘナだとテロリスト達以外でも暴れる者たちが多いから尚更。

 

「ミレニアムガクエン…いや、サイエンススクールか。マップだとこっちから行くみたいだな。このまま行っても迷惑では無いといいが…」

「ミレニアムの生徒会には電車でアポを取ったから招待状を見せれば良いはずよ。」

 

その言葉に了解、と返し並んで歩く。

 

 

 

「最新型の冷蔵庫だぞ、ヒナ!これを部屋に置けばモチベーションアップを測れないか?」

「今のものでも十分よ。」

 

「あれは30mmのカイテンジャーフィギュア限定版!?…くっ、値段が…いや、行くべきか!?」

「後にして。」

 

「1等でリゾートに行けるチケットが貰えるらしい。1枚で最大3人か…行こうヒナ。このラスティ、外しはしぐぇ」

「…行くわよ。」

 

「自立型の清掃ロボットか。ダンゴムシのような見た目で愛嬌があるな。」

「ロゴマークは…『R()a()D()』?」

 

「調べてわかったんだが、RaDというのはミレニアムではじき出された者たちの不完全燃焼を何とかするために立ち上げた技術者集団による企業のようなものらしい。自営業とも言えるかもしれないが、企業と変わらない働きをしている。頭目は招待状を贈ってくれたカーラ。在籍生徒が営んでいるからスクールも良く利用するそうだ。モットーは『遊びのある余裕を楽しめ』だ。それにしては随分と火力の高い物を開発しているようだな。」

「向こうに着いたら『サプライズ』があると考えていいわね。」

 

~~~~~~

 

「ようやく着いたか、ミレニアムサイエンススクール…流石に情報量が多くて時間がかかったな。」

 

「半分は貴方の好奇心のせいだけれど…まあ、行きましょうか。」

 

受付の職員に招待状を渡すと一瞬、『ああ、次の被害者はこの子達なのね』という言葉が込められた視線を向けられる。その後すぐにどこかへ電話をし、招待状を私たちに返すと表に出て待っているよう伝えられる。しばらく待っていると1台の車が綺麗に停車、目の前に止まりドアを開ける。まるで精密なAIが操作しているような正確さを感じられた。

 

「ミレニアムは凄いな。まさかこれ程の運転技術を持っている者がいるとは。」

「チナツやアコの運転も丁寧だけどこれ程丁寧なのは見たことがないわ。」

 

セナの安全運転は見たことがない

 

『お褒めに預かり光栄だ、ビジター。俺の名は噺屋チャティ。RaDでカーラの補佐をしている。』

 

中が見えない運転先から、スピーカーを通してダウナー気味な青年の声がする。

 

「君がチャティか、SNSで評判は軽く聞いた。なんでも、カーラの開発についていける唯一の人物だそうだな?」

 

『RaDのならず者と比べたらそうなるな。しかし俺以外にもついていける者達はいる。その全員がかなりの技術者だ。俺では及ばない領域があることは承知しておいてくれ。』

 

ウィーンと機械音のなった方に目を向けると、CDドライブに乗った2つのハチマキがあった。『ビジター』の文字が横一面に書かれている。

 

「チャティ、これは?」

 

『そのハチマキは向こうに着くまでに巻いておくようにしてくれ。RaDではそれが虫除けの役割になる。』

 

───

──

 

それからしばらく他愛ない雑談をしながら車に揺られて10分ほど。とうとう着いたRaDの本拠地は色んなものがそこら辺に置かれていたり、殴り合いでの喧嘩が起きていたり…とにかく『ならず者の集団』と聞いて思い浮かべる治安と変わり無かった。

 

「チラチラと視線を感じるが絡まれないということは、しっかりとハチマキの効力が出ているからか?」

「みたいね。…ゲヘナにこういうのを作っても意味はなさそうかしら。」*1

 

視線はチラチラと感じていたが道中で絡まれなかったおかげでスムーズにRaDの本拠地『グリッド』に到着した。1都市程の面積と、5階建てのビルが普通にある色んなものがでかいところだ。途中途中に『ようこそビジター!目的地はこっちだヨ!』と書かれた進路案内の標識が立っている。ちょこんと描かれているミニキャラが可愛い。

 

「これをカーラ1人で…?」

「とんでもない人物ね…」

 

人が居なさすぎることからさりげなく辺りを警戒しながら進んでいくと、不意にけたたましいアラートが一帯に響いた。

 

『ようこそビジター!こんな所までよく来てくれた、歓迎しようじゃないか。』

 

「この声がカーラか?」

「はぁ…やっぱり面倒なことになった…」

 

強気な女の声がどこかに仕掛けてあるスピーカーから聞こえてくると同時に、遠くの方から建物をなぎ倒し突き進んでくる2つの破壊音が聞こえる。

 

『といっても、あんた達の腕じゃあちょいと物足りないかもだが…ま、楽しんでくれ!このミレニアムサイエンススクールの''マイスター''…』

 

近くのビルが爆砕され衝撃で舞う土煙から目を腕で守り、収まった頃に顔を上げるとビルにも負けない大きさのナニカが2体、ラスティとヒナの前に立ちはだかる。

 

両手に付けられたチェーンソーは今か今かと待ちきれない肉食動物がヨダレを垂らしているかのように溶岩をぽたぽたと落としている。

 

「これは…!?」

「自立型の、解体重機?」

 

『RaD頭目、被灰カーラのサプライズを!』

 

RaDの歓迎担当兼解体用大型重機

 

スマートクリーナー

 

 

To Be Continued…

 

 

*1
確実に意味は無い





今回からしばらくベアおばの視点ないです。これ以上は今の時点でだいぶネタバレなのにもっとネタバレになり過ぎるから自重します。

次回─『スマートクリーナーなんて居なかったんだ。』



未来からの啓示

…なんてものがあると思ったか?!引っかかったな!

行く末をどうするか

  • 『ヴェスパーの災禍』
  • 『アリウスの解放者』
  • 『壊滅』
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