STEEL HAZE   作:魚の名前はイノシシ

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あらすじ!

飛行船撃墜!
レッドガンの分断に成功!
ヴォルタにアリウスについて話す!

あらすじ終わり!

2024/11/14 一部変更しました。


挨拶(2)

 

 

大量に、辺り一面を埋め尽くすように青白い亡霊がいるにも関わらず周囲から聞こえてくるのは遠くでの戦闘音と瓦礫が燃え、崩れる音だけ。

 

深く息を吸い、言葉を発する。

 

「…まずは、自己紹介から始めよう。私はかつて第一回公会議でトリニティの三大派閥の結束のために共通の敵として迫害された分校、アリウス所属。ヴェスパー部隊、V.IV(ヴェスパー.フォー)、黒狼ラスティ。」

 

そこで一息入れてまた話し始める。

 

「君たちのといに答えるならば、我々の目的はトリニティ及びゲヘナの二校の壊滅だ。私たちアリウスは生まれた時から不条理に晒され、理不尽な苦痛を受け、不平等に不幸を押し付けられてきた。我々がそのような目にあうのは全てトリニティが第一回公会議でアリウスを否定し、迫害したからだ。ここまではいいか?」

 

ヴォルタを見ると話について来れているようで続きを目で促してくる。相変わらず警戒は解かずいつでも武器を抜けるようにしているが…

「続ける。このまま僻地で教義に則りひっそりと暮らしていこうという考えの穏健派と、アリウスを裏切ったトリニティに復讐をしようとする反逆派の衝突、つまるところ内紛が勃発。長く続いたそれをとある日、何者か知れない大人が突然、あっさりと自治区を治めた。大人であるが、統治する以上アリウスの生徒会長として自治区の玉座に腰掛けて今や我々を導く指導者となった。」

 

「ソイツの名前は?」

 

「言うわけが無いだろう。基本的に生徒会室とバシリカに()()するその大人は、妖艶で恐ろしい上位者として相応しい、人というにはあまりにも並外れた姿、能力を持つお方だ。敵である君に教えられるものでは無いさ。マダム、ベアトリーチェの名前はな。」

 

「言ってんじゃねぇか!」

 

「それは気のせいだろう。… 我々がマダムと呼ぶ大人は、古くからあるアリウスの教義の意味と無知な生徒に真実を教えてくれた。

『アリウスが貧しく、苦痛と理不尽に苛まれ続けているのはトリニティとゲヘナが押し付けているからだ。憎み、復讐のために爪を研ぎ、全ては虚しいのだと刻んでやりアリウスの名を刻むべし』

とな。」

 

ヴォルタは色んな感情が混ざり顔が歪む。

 

「この日までのアリウスでの生活は苦しいものだった。突然でてきたアリウスの統治者と、その部下の大人に対して違反行為や異論の提唱、反抗、反逆など大人達に逆らう行為は全て処罰の対象で、どう定められているか分からない規定ラインを超えた者は問答無用に【再教育センター】送りになり従順な兵士として調教されるか…二度と会わない事になるか。そんな訳だからいきなりの支配者に背くものは瞬く間に減って行った。虚しいだろう?これが|アリウスの教義《                                  》の真意だ。」

 

「…っ!」

 

話を進める度に顔が歪み歯ぎしりの音が強くなっていく。

 

「てめぇは!てめぇはどうなんだラスティ!今までゲヘナで過ごした数ヶ月の間に何も感じなかったのか!?」

 

「感じなかった訳では無い…どこに居ても遠近限らず聞こえてくる銃声に、頭の悪い万魔殿(上層部)。平穏など一時も考えないゲヘナのテロリスト。そして何より、アリウスの最大の障害となる空崎ヒナ。どいつもこいつも、憎たらしいと思っていた。」

 

「だったらなんでレッドガンに居やがった!なんでレッドの奴を探してスカウトなんざしやがった!そんな事で巻き込んできてんじゃねぇ!!」

 

ギリギリと、ヴォルタの手に持つ銃が締め付けられ震えている。握っている手は余りの圧力に血の気が失せて青白くなっている。

 

「…話は終わりだ。まだ言いたいことはあるか?」

 

ユスティナの複製は一斉に銃口を向ける。

 

「俺が独りだからって舐めんじゃねぇ…俺は!レッドガンの【壁】だ!簡単に落とせると思うんじゃねぇぞ!」

 

ダァン!

 

神秘をまとった鉛玉を口火に、弾幕の雨がG4に降りかかる。

 

「なら、【壁越え】と行こう!」

 

咄嗟に頭を傾けて避けた先には、三体の複製が纏めて消滅していた。

 

───

──

 

 

ダダダダダダダダダブツッ

 

「そんな、ヴォルタさん!?」

「まさか─G9が、裏切り者だったなん、て…!」

「クソっ…!」

「アリウス分校…ベアトリーチェ!ふざけた真似を!」

 

G4に繋がる無線機全てから会話が筒抜けで、最後に破壊されたか、回線が落ちる。

 

「クソ野郎が…!」

 

通信の切れた無線機を震えるほどに握りしめギリギリと歯ぎしりを起こし心から言葉を吐くG5イグアス。ここは怪我人を保護している場所に近いため大きくはないが、それでもその声には十分に怒りを感じられる強い色が乗っていた。

 

「G5!直ぐにG4の援護に行かなければ殺されちまう!?」

「そうだぜ隊長!あたしらはすぐにでも…!」

 

「黙れッ!!」

 

「「「…!」」」

 

ビリビリと空間を裂く怒号に静まり返る一室。その怒号に、1人の正義実現委員会の生徒がそっと近づくも気づかれず話は進む。

 

「状況を見ろ…いいか?俺たちレッドガンは最初の頃ほど弱かねぇし数も増えた。だが、敵の人数も戦力も測りきれてねぇ上に押されてる中でここに居るヤツらを引っ張っていっても纏めて始末されんのがオチだ…!」

 

「「「「「「でも!」」」」」」

 

でもじゃねぇ!いいか、飛行船は落とされたがその程度であの鬼畜女と役人と詐欺師も、あいつらが率いるバカどもも死ぬたまじゃねぇ。あの3人とバカどもを待って、トリニティの戦力と共同して制圧に備えるのが最善だ!」

 

「じゃあG4を、ヴォルタさんを見殺しにしろって言うんですか!?」

 

銃弾と爆薬の飛び交うキヴォトスで最も禁忌とされている殺し。その波が親しい人間を流し去ろうとしている異常事態にその場にいるレッドガンと、離れた場所で話が聞こえていたトリニティの生徒に不安が募りパニックが起きかけている。だが、そこはゲヘナ生にしてレッドガン。不安に呑まれる惰弱者はない。

 

()()()()()()。お前たちはここで待機だ!良いか、鬼畜三人衆とバカどもがここに来たらそいつらの指示を聞け!」

 

ムン、と胸を張り、1つのモノアイが赤く光る角張ったヘルメットをして覚悟を決めた顔でいつの間にか愛用のアサルトライフルと他の全ての手榴弾やサブウェポンの点検と整備を終えた姿で指示を出す。

 

「なっ!?そんな、この人数でも無理だって言ったのはアンタだろうが!たった一人でなんて無茶がすぎる!」

「そうだ!行くんなら少しでいいから連れて行けバカ隊長!」

 

ずるいぞ!と仮にも隊長であるイグアスに対して文句を吐く何の準備もできていない隊員は、急いで銃の整備と点検に取り掛かる。

 

「誰が馬鹿だアホども!?算数のできないアホに言われたかねぇよ!」

 

「あんただって出来ねぇだろうが!」

「クソっ!弾詰まってやがる!」

「こっちは手榴弾のピンが!」

「ちょ、早く捨て─」

 

ドゴン!

 

「「「「「「おあーっ!?」」」」」」

 

「何やってんだてめぇら!?整備してんのに怪我してんじゃねぇ!ちっ、おい、そこの!俺はもう行く、戻ってきたらコレを魅友恵レッドってやつに渡せ!」

 

「え、え!?」

 

「分かったか!」

 

「あ、あっ!分かったっす!」

 

急に話しかけられた、ここら辺の警備を担当していたから先程部屋に入ってきた糸目の正義実現委員会の1人に手紙を渡すと颯爽と走り去る。

 

「持ち堪えろよ、カノン…!」

 

──

───

 

「絶対に許しません!その代償、今ここで「ハスミ」!」

 

「落ち着け。暴れるのは…」

 

正義実現委員会の委員長、剣先ツルギが睨みつける視線の先にはふざけているとしか言えない出で立ちで、あからさまに犯人だと言うようなアリウスの生徒達と青白い亡霊が居る。

 

「なんてことだ、瓦礫に肌を傷つけられ綺麗な鴉羽がボロボロに…新しいトリニティのご友人に怪我をおわせてしまった…なんという失態だ…!」

 

くるくるクルクル狂々と、その身に合わない大きさの火炎放射器を抱きしめ声高らかに言葉を発する狂人はV.III オーネスト。

 

「オーネスト、正義実現委員会の真髄だよ。''ビックリ箱''も投入しよう。盛大なサプライズをしてあげよう!」

 

背中に背負った鉄の箱から、丸い球体をキュポン!と噴出させその姿を現させたのはV.II ハミングバード。

 

「ああ、今度のサプライズは気に入っていただけるでしょうか、心配だ…けれどそれより!ずっと楽しみですね!」

 

2名の狂人と無数の複製、そしてビックリ箱と呼ばれた機械の軍隊がシャーレの先生と正義実現委員会、その真髄にクラッカーを鳴らす。

 

「私の仕事だァ!キャハハハハハ!さぁあ、かかってこい!虫ケラドモォ!」

 

「さぁ、共に楽しみましょう!」

 

「耳鳴りがするほどの、クラッカーだよ!あは、あはははは!」

 

 

───

──

 

 

「居た。アイツが多分、ゲヘナの風紀委員長。なんでミサイルを食らってあれだけなのか分かんないけど。」

 

「えぇ!?巡航ミサイルの不意打ちなのに()()()()()()()()なんて…!?うわぁぁん!私達はおしまいです!あの風紀委員長さんにみんなやられるんだぁ!」

 

「笑えないこと言わないで!複製が居るから落ち着いてやれば何とか─」

 

「─この襲撃、あなた達がやったの?

 

神秘の奔流を操り、唸り声をあげるデストロイヤーを構えるヒナ。質問がただ聞いただけであることが分かる程の圧力(弾丸)が放たれ─

 

「っ、これは…マズイかもね。」

「ひぇえ!?あんなの人間じゃないです!本当にここで終わっちゃうんですかー!?こんなことならもっといっぱい食料食べておけばよかった…!」

 

瞬く間に殲滅。周りのアリウス兵が一瞬にして倒れ伏し、無限の兵力である複製が追いつかないほどの制圧力はたったひとりが生み出しているとは思えない光景だ。

 

「あの紋章、どこかで…いえ、今は自体の鎮圧に身を向けるべきね。はぁ…こんな所でもこんな事…面倒臭い。」

 

本来のボロボロの状態よりも最高に近い万全な状態のゲヘナ最強が、アリウスを潰しにかかる。

 

 

 

 

 

 

───

──

 

ダン!ダンダン!…ぴしっ

 

「はぁ、はぁ…!クソっ、銃がイカレやがったか!?」

 

ヒビの入ったショットガンをすぐに手放した瞬間、ボッ!と鈍い音を立て破裂し砕ける。

 

ダダダダダダダ!

 

「ぐ、ぉおおおお!?」

 

「ようやくか。流石はレッドガンの壁といったところかな?本人ではなく武器が先に壊れるとはな。だが、これでイグアスの居ないお前は無人の要塞にも等しいものとなった。ここで終わりだ。」

 

思ったよりもダメージを与えてしまったが…ヴォルタなら大丈夫だろう。リロードに見せ掛け睡眠弾を仕込む。

 

「げほ、げ、ゴボッ…!…ぁだだ、まだ、だ…!」

 

あれから15分。空崎ヒナに比類するタフネスで攻撃を耐え、避け、捌いて数百もの複製が消された。いくら無限に湧いてくるとはいえ盾にするには耐久性に不安があるか?まあいい。

 

「いいや、これで終わりだ。G4ヴォルタ、最後に、言い残すことはあるか?」

 

遠くから中々の推力で近づいてくる人影が見えてくる。恐らく、あの時保護施設に向かわせたG5部隊の隊長イグアスだろうな。だがもう遅い。

 

「ヴォルタァァァアア!!」

 

「イグアス…鬼畜女の、言うことは聞いておけ…どうしようもなく鬼だが…ストリートでのクソどもより2000倍はマシだ…」

 

ダァン!

 

G4を撃ち抜く。しっかりと急所スレスレを狙って。

 

「ヴォルタッ!しっかりしろ!おい!」

 

G5が1歩遅れて来る。G5が目にしたのは、血を吐き瀕死のG4が、トドメを刺されてヘイローを消したところだろう。…これで私はキヴォトスの敵になったか。覚悟していたが少し来るものがあるな…

 

「遅かったじゃないかG5イグアス。私としては好都合だがな。」

 

複製達に銃を構えさせる。

 

「てめぇ!マジで殺りやがったな!」

 

それがどうした。私たちの同胞は、ゲヘナとトリニティに殺され続けてきたんだ。その報いの結果、自業自得だ。さて、私は君を始末して目的を達するとしよう。」

 

「やってみろ!ヴォルタと同じように行くと─

『─ガ、ガガ─コード31C、及びコード78を受領しました。V.IV、デルタCポイントが襲撃を受けています。劣勢につき、直ちに加勢に向かいなさい。』

 

「マダム。ですが…」

 

私の言うことが聞けないと?

 

ちっ!私の都合も考えない、これだから自分勝手な大人は!

だがデルタCポイント…トリニティの大聖堂裏の離れた所にすぐに向かえるのは私しかいないか。

 

「決してそのような事は。加勢の件、了解しました。直ちに向かいます。」

 

そう言うと通信を切断され…目の前に迫ったブレードを躱す。

 

「済まないな、G5。遊んでやれなくなってしまったようだ。」

 

「あぁ!?このままノコノコと逃がすと思ってんのか!」

 

「逃げさせてもらうさ。君の相手は、無限に湧き出る複製達に任せるとしよう。」

 

G4との戦いで減らされた分の複製以上の数がヴォルタを避けてイグアスに向かって前進する。

 

「クソ、待ちやがれ!」

 

逃げるな、戦えと、向けた背中に浴びせられる安い挑発を聞き流し、指示を遂行するべくブースターを噴かせる。G4ヴォルタ及びG5イグアスはここで戦闘不能にして全てが終わるまで医務室に縛っておきたかったが仕方がない。

 

イグアスが青白い波に呑み込まれて再び硝煙の臭いが強くなって行った…

 

 

(間の悪い…引き撃ち戦法から近接を交えた戦法に移行してからというものイグアス単体でも対処に手間取るからここで倒しておきたかった。恐らくあの数の複製を向けてもヴォルタを連れてギリギリ離脱に成功するだろう。…狂犬の執念に気をつけなければな。)

 

 

 

 

受けた司令を遂行するべく現場に向かう。その先で待つものは…

 

DESTROY…

 

裁定者にして、

 

V.IV…

 

垂れる糸に揺らされ佇む、

 

「アリウス最終人型兵器IX BALL

 

''反逆者''に対する最終''兵器''

 

「バイザーオン。メインシステム戦闘モード、キドウ。」

 

再教育完全履修者(恐怖の象徴)】ナインボール

 

「ターゲット、ロック。障害をハイジョ(捕獲)します。」

 

 

 

 

To Be Continued……

 

 





別れの挨拶。さようなら、レッドガン。
そして…

次回─「挨拶(3) 硝煙の匂いを漂わせて」


今話もお待たせいたしました。ナインボールでもNINEBALLでもなく、IX BALL…何も変わらないと思いますが一応ここではこの表記でさせていただきます。人とAIの区別は必要ですからね。

デルタCポイントは拙作において作ったのでオリジナルということになります。場所の必要性としては、ブルートゥやハミングバード率いるアリウス兵の完全に安全な、襲撃ポイントにすごく近い隠れ場所という感じです。ミサイルの爆風を食らっても耐えられるように離れた場所に空洞を作り、内部を補強した…いわばACの格納庫のような場所です。余計なものは無く、ただ頑丈で最低限の光源が確保されているだけの鉄の箱(最大収容人数300人)を想像してください。

DESTROY…って言ってるけど間違いでは無いです。四肢を破壊し意志を折り、人格を【破壊】する。間違いでは無いでしょう?

後は…まぁ、こんな所か。

感想、お待ちしてます。

行く末をどうするか

  • 『ヴェスパーの災禍』
  • 『アリウスの解放者』
  • 『壊滅』
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