STEEL HAZE   作:魚の名前はイノシシ

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あらすじ!

ミシガンがIX BALLを脳震盪で気絶させた!
ラスティがイグアスと一緒にヒナに蜂の巣にされた!
でも気づいているだろう?どこもかしこも遊び人ばかり……
本気で戦ってはいるが全力では無いことに。全力で戦っている子達を可哀想だと思わないのか?

あらすじおわり!

オールマインドより報告があります。
本小説の17話目、エデン条約締結阻止の裏側にてV.IIネストのシーンに、より場面の解像度が上がるように文を追加しました。是非ご覧下さい。



エデン条約締結阻止(3)

 

「嘘でしょ……IX BALLが……」

「そ、そんな……これじゃあ私たち、本当に……」

「……リーダー……」

 

「私はこいつを牢にぶち込んでくる、後の残党は任せた。」

 

ミシガンは気絶している間に強力な弛緩剤を打ち込んだIX BALLを担いですぐさま離脱。もはや返し難い状況になる。

 

(IX BALLがやられたか……だが、無駄に喜んでいるから私が起きたことは誰も気づいていない。先生は…アズサは、近くに…!)

 

「……?……!そういうこと…まぁ、やるだけなら……ヒヨリ、最後の仕事。」

 

フッとヘイローがつき意識が戻る。目を薄らと、気づかれないように開き、周囲の状況を確認する。ミシガンに落とされたものの防御ではなく回復力に神秘を振ったのが幸をなし全てが終わる前に目が覚めたサオリ。少し離れたところで囲まれているミサキと目が合ってIX BALLとは別の、奥の手を使うことを短く伝える。その為にこの拘束された上から抜け出そうと神秘を体の内に溜める。慎重に、気づかれてはお終いだから。

 

 

「敵の主力も落とした、主犯格は追い詰めた!」

「もう終わりだろ!」

「よし、後は残党狩り──」

 

ワイワイとアリウスの襲撃をはね返した事でより活気づいて残りの兵とまだ動くユスティナ、アンブロジウスと呼ばれる複製を人の物量で片付けていく。

 

「もう終わりそうですね……特に何もしていない気がしますが……アズサちゃんを連れ戻せましたし良かったですね!」

「はい、これでもっと4人でイロイロなコトが出来ますね♡」

「!?言葉の響きがいかがわしい!ナニを考えてるの!?」

 

かくや終わりと思われていたが、遠足は家に帰るまでが遠足と言うように、ミシガンにやられた瞬間のサオリを思い出しなにかに気づく。

気づきと同時に捕まっているだろうサオリをバッと振り返り視界に入れると、サオリのヘイローが点灯し胸あたりが淡く光るスパークを発していた。

 

「いや、()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

「確かにまだ終わっていないのに油断は……」

「っ!アリウスリーダーが起きています!退避を──」

 

バチバチバチバチバチ!!!

 

サオリを中心に、円形に神秘の奔流が主力となるアリウス兵に届かないギリギリの距離、半径約30メートル以内の混成部隊メンバーに襲いかかる。不意打ちに与えられた強い衝撃に、受けてしまった者達は皆吹き飛ばされて戦闘不能に。サオリの神秘が、受けた者の神秘に干渉して制御を乱している。

歩いて前に出るサオリ。一歩進むごとにレッドガン隊員の、正義実現委員会の背を踏みつける。

 

「……お前達が抗うというのなら、何度でも否定し、何度でも教えてやろう。

 

努力も、

 

夢も、

 

お前達が勝手に謳う物語も。

 

その全てが虚しいと

……ただ、全ては虚しいものであると。」

 

ざっ、と進めていた足を止めると軽く前傾姿勢に。その場に留まりながらブースターを噴かせて1秒の後、彗星が如く戦場を駆け回る。先生周辺の敵兵を薙ぎ倒す。

 

「アリウスリーダー、来ます!」

「かなり消耗しているはずだ、迎え撃て!」

 

「……なんだコイツは、!?」

「寝覚めがいいタイプだったか!?」

 

ドカン!ドカン!

 

「ぅああ!!」

「今度はなんだ!?」

「捕らえていた敵兵がいきなり!?」

「もう終わりのところで!空気を読まない奴らだな!」

「もう一度捕らえるまでだ…!!」

 

囚われていたアリウス兵達が傷だらけでも立ち上がり、任務遂行のため再び戦い始める。

 

「私たちは、ただ仕事を遂げるだけ。……行くよ、ヒヨリ。」

 

ボンッ!

 

ミサキが構えたランチャーの砲撃は数人まとまっていた集団をまとめて吹き飛ばす。

 

「ぐあっ!?」

「ぁああっ!?」

 

ドガン!

 

「──っ!?」

 

狙撃弾がミサキの背後に回っていた1人のレッドガン隊員を撃ち抜く。ミサキとヒヨリが合流し、釣られるようにアリウス兵もわらわらと集まっては敵と交戦を開始する。

 

「は、はい……また戦っても、虚しいだけな気がしますけど……アンブロジウスもいな」

「……口よりも手を動かしたら?」

「ヒンッ…」

 

 

交戦しているアリウス兵はスクワッドに道を作るように左右に別れて戦うことを努め、何度やられても亡霊のように立ち上がっては再び戻る。

 

「……ここでスクワッドが先生をやれば全て収まる……私たちの仕事はスクワッドの露払い。行くぞ。」

「「「了解。」」」

 

 

 

 

 

「相手は主力を先生に送り付けて何がなんでもやりたいらしいな。」

「なら、私達のやることは決まってるな?」

「もちろんだ。私らは先生の妨害をさせない為の露払いを行う!行くぞー!!」

「「「おおー!!」」」

 

奇しくも同じ戦法か、混成部隊の考えも同じく自分たちの主力が相手の主力を落とせば収まるから邪魔をさせないようにと、自ら進んでアリウス兵に交戦を仕掛ける。

 

アズサ、ヒフミ、コハル、ハナコ。4人の補習授業部のメンバーとサオリ、ミサキ、ヒヨリの3人が揃う。互いに銃を構えながら言葉を交わす。

 

「サオリ……諦めるつもりは無い?」

 

「当たり前だ!私達はこの灰色の世界を一緒に苦しみ絶望した、なのに全てが虚しい世界でお前だけが意味を持つのか!お前だけがそんな、青空の下に残るのか!……アズサ、何度でも否定してやろう。お前の学び気づき経験その全てを。全ては虚しいのだから!」

 

「いえ、そんなことはできません。」

「私たちが理不尽な試験に合格したのも、そこまで頑張ったのも、なかったことにはならない!」

「……たとえ虚しくても、私はそこからまた足掻いてみせる。

─サオリ、私はもう、負けない。」

 

VS 『()()()3()()の少数精鋭』アリウススクワッド

まずはサオリの高機動を潰すために片足を奪おうと足払いをかけ射撃をするが、体勢を崩してコケさせた瞬間にブースターで姿勢制御を行いそのまま射撃を避ける。

 

「足を狙うか、セオリー通りだな。」

「サオリの高機動は厄介だから!」

 

先生がシッテムの箱の権能で生徒達の1部の能力を再現して煙幕や物資を送り支援する。

 

''ヒフミ、サオリの横にペロロ様をだして!''

「はい!お願いします、ペロロ様!」

 

ヒフミに目くらまし用の踊るペロペロ…ペロロ様でサオリの気を引かせ、

 

「そんなわかりやすい狙いでは、私の足は『ぼむん!』…!」

「撃ち抜く!」

 

出来た一瞬の隙をアズサが撃ち抜く。

 

ガズッ

ズドン!

 

が、飛んできた弾に銃を弾かれて狙いはずれ、サオリの足元に撃ち込むことになる。

 

『私たちのことも、忘れないでくださいね…!』

「ヒヨリか…!」

 

苦々しく狙撃手の名を口にするアズサ。

 

''アズサ、次が来るよ。踊るペロロ様の影に隠れて!''

「分かった!」

 

ヒュッ

ボガンッ!

 

ペロロ様の陰に隠れ、間一髪でランチャーの砲撃から身を守れたがその一発でペロロ様は無惨に破裂し飛び散った。派手に散ったせいで再生に時間がかかりそうだ。

 

「っ!!」

''続けて後ろから来るよ!右に飛んで!''

「ふっ!」

「これを避けるか、話に聞く先生の指揮は随分と優秀だな。」

「この、指揮に、何度も助けられた!」

「……そうか。」

 

後ろからの飛び蹴りを見ずに避けて、追ってくるように放たれた2連続の蹴りを銃でいなして終わり際に射撃。

 

''前からランチャーの狙撃。ヒフミは前に、コハルは右、ハナコは左に避けて!''

 

ボガンッ!

 

「うわぁ!」

「っ!」

「くっ……!」

 

''コハル、アズサの前に回復を!''

 

「えぇい!」

 

ヒュッ……ボン!

 

コハルの投げ込んだピンク色のナニかはサオリの目の前を過ぎる。サオリにとってその物体の速度はハエが止まるように遅く、撃ち落として距離をとることなど余裕でできたが、それは地面に落ちるよりも、サオリに撃ち抜かれるよりも先にピンク色の煙を炸裂させた。その煙はアズサの激闘による苦しさを和らげる。

 

 

「撃ち落として…!?」

「はっ!」

 

ダンっ!

サオリは予想外の煙幕に虚を突かれてアズサからの攻撃を食らう。だがダメージはそこまで無かったから被弾位置からアズサの居場所を感知。

 

「ぐっ、そこか!」

 

ダン!ダン!

 

アズサがいるだろう場所に打ち込んだ2発の弾丸は煙幕に穴を開け、アズサではなく一体の小型ペロロ様を破裂させた。

 

「いない、っ後ろか!」

「はぁっ!」

 

ガン!

 

身代わりとなったペロロ様が爆散し、サオリの背後からアズサが突撃、銃身で殴打するもあえなく腕で防がれる。しかしそれでも腕にダメージが入ったようで一瞬だけサオリの顔を歪ませた。

 

「ぐ…!」

「っ…!」

 

''ヒフミ、コハル、ランチャーの子に少し攻撃!少しでも打たせにくくして!ハナコは右前の瓦礫の裏にスナイパーがいるから手榴弾を投げて牽制を!''

 

先生は指揮と支援を同時にこなしながら視界の外で隠れる遮蔽を移動していた。大人と聞いて情けないと思うかもしれないが、自分の価値を分かっている指揮官こそ戦場で最も厄介だ。

 

 

 

しばらくの戦闘、スクワッド3人に傷が目立ってきて、補習授業部4人も疲弊が募る。仕切り直しというように、1度距離をとってリロードする。

しばし睨み合い。静かで激しい緊張感は遠くで鳴った爆発音をきっかけにはち切れ、再び戦いが始まる。

 

「トリニティの平穏は必ず守る!」

「決着をつけよう、アズサ!」

 

近距離での戦い、体術と銃撃を交えた攻防が繰り広げられる。

上段の蹴りを同じ蹴りで防ぎ、体勢を戻して時計回りに移動しながら射撃戦。アズサが物陰に隠れたらミサキの砲撃が吹き飛ばし、サオリが攻めようとすれば小型のちょっと欠けた部分のあるペロロ様人形が飛んでくる。

 

狙撃し、動きを鈍くしたら手榴弾のようなものがアズサにナニかが投げ込まれ、苦痛の回復効果と破裂に伴う爆風によって体勢を整える間を作る。

 

そうして支援と攻防が入り交じる戦場で攻撃は互いに避けいなす。それでも当然だが被弾していない訳ではなく、先生の指示で的確なタイミングに支援と狙撃手への爆撃が行われ、範囲の広いミサキの砲撃とほとんど外れないヒヨリの狙撃がヒフミ達の体力を削り先生の隠れる場所を減らしていく。

 

接戦のアズサとサオリは手加減無しでクイックブーストや通常推力を利用したエレベーター戦法を駆使して削り合う。位置が入れ替わり続けて神秘が込められた弾が飛び交い支援できる隙が無い激戦。空中での戦いから地上での戦いに移行すると、足元の瓦礫を蹴り飛ばしたり踏み抜いて散弾や目くらましとして使い、あるものは全て利用して戦っていく。

 

アズサの弾が避けられ、サオリの足元に打ち込まれる隙を撃たれて被弾率はアズサの方が若干多い。ヒヨリの狙撃で足を止めてしまったら一際神秘が多く込められた弾を食らって追撃に蹴りが繰り出される。蹴り飛ばされて転がるアズサ。

 

立ち位置が始めに戻される。2度目の仕切り直しだ。

 

 

「……戦況は私たちが優勢か。このままお前をやったら後は簡単に片がつく。」

 

「……流石に強い…!けど、最後まで足掻いてみせる!」

 

「なら、足掻けないまま……!?」

 

ボシュッ

ボボボボボボ!!

 

「くっ!?だが、この程度…!」

 

「ペロロ様、お願いします……!」

 

アズサが撒いていた小型の地雷、その爆発の瞬間、瞬時に上に避けてダメージを最小限にしたサオリだが、無意識の方向から誰もの目を引く鳥のぬいぐるみが3つ飛んできた事で目線と思考が向けさせられ、動きが一瞬止まった。その隙に、追って飛び上がったアズサの神秘が多く込められた打撃がサオリの頭と胸を打つ。打撃の間にアズサは愛銃に神秘を込めトドメの準備をする。

 

「ぐっぅう!!」

「これで…!!」

 

ズ、ガァン!!

 

「─っ!?」

 

空気を揺らす程の威力の射撃が腹にぶち込まれて数メートル後ろに飛ばされる。サオリにとって、ここで喰らいたくない手痛いコンボを食らってしまう。

 

「っまだだ…!」

 

揺れる視界、おぼつかない足取りで立ち上がるサオリ。片手で頭を押さえつけアズサに銃口を向けようと構えた時、アズサはサオリに抱きついた。

 

「まさかっ!!」

「今度こそこれで…!」

 

バチバチバチバチバチ!

 

サオリが押さえつけられた状態から抜け出した一手、それが今度はサオリを倒すために使われる。

至近距離でアズサの神秘の爆発を食らったサオリは体に攻撃するために神秘をめぐらせていたためその分のエネルギーが各所から溢れ、小爆発を繰り返し……一際大きい爆発を最後に、サオリはミサキとヒヨリの近く後方に吹っ飛び倒れる。意識は失っていないようだが、戦えるほどの体力は残っていないように見える。

 

 

「……今度こそ、終わりかな。」

「そうですね、これ以上はもう……」

 

「……まだ、だ。…まだ、古聖堂の地下に……あれが…。」

 

サオリはふらつきながらも立ち上がると、古聖堂の地下へ駆け出していく。

 

「サオリ…!?」

「古聖堂の地下へ……!なにか手段がありそうな雰囲気でした、止めなくては!」

 

サオリを追いかけようと足を踏み出したその時に、もう来ないと思っていたモノが襲い来る。

 

「「「───……」」」

 

「聖徒会…まだこんな力がありましたか。」

 

混乱しほとんどが動かないでいたユスティナを動かし、障害として立ち塞がせる。

 

「……私が行く。」

 

「あ、アズサちゃん、私も……!」

「大丈夫、心配しなくても平気。サオリを止めて、すぐに戻ってくる。」

''私も行くよ。''

「……ありがとう、先生。」

 

地上に多く戦力を割いて地下へは先生とアズサの2人だけで行くことになった。強さという方でも、サオリと戦えるアズサと先生が適している。

 

「アズサちゃん、気をつけて……!」

「……うん。私はもう大丈夫。

ヒフミ、ハナコ、コハル……行ってくる!」

 

「はいっ!」

「待ってますよ。」

「き、気をつけてねっ!」

 

アズサと先生に激励を飛ばし、地上でユスティナと戦い待つ3人を背に進む。

 

''じゃあ、行こうか。''

 

 

 

地下洞窟。その途中でサオリに追いついた。ブースターを使える程の神秘はないのか後のために温存しているのか、走っていたサオリに追いつく。

 

 

「…ここまで追ってくるとは、相変わらずだな、」

「サオリ。仕事は終わりだ、やめにしよう。」

 

「……良いだろう。なら残りの全てを掛けて、最後の戦いにしてやる。」

 

 

「……まだ私と一対一で、正面から勝てるとでも思ってるのか?」

「いや、私はひとりじゃない。」

 

「っ、先生…!何もかも全て片付けてやる。お前の無駄な希望も、そこの命知らずも!

全てが虚しいこの世界で、存在全てが消えゆく余燼に過ぎないと真実を思い知れ!!」

 

''アズサ、行こう。''

「……うん。」

 

VS 『たった一人の孤独な兵士』錠前サオリ

 

 

To Be Continued……

 

 

 

 





次回──「エデン条約締結阻止(4)」

感想と評価、お待ちしています。気軽に質問やネタを送ってくれても良いんですよ?

IX BALLちゃんについて。
人の子供である彼女は、名前に最強の数字である9を奇しくもピッタリに与えられた。だがそれは矛盾である。彼女は最強では無い。彼女は学習途中である。彼女は…人間である。
故に、''ナインボール(絶対勝利の9)''では無く''IX BALL(なりかけの9) ''なのだ。

行く末をどうするか

  • 『ヴェスパーの災禍』
  • 『アリウスの解放者』
  • 『壊滅』
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