車の免許とるために勉強したり、ちょっとした資格とるための勉強してたり1惑星を焼いてたりしてたんです…!
どうかレッドウィンター公務部への通報はお控えください。
エデン条約締結阻止(4)
古聖堂の地下でアズサと先生がサオリを止めるため戦っている間のこと。ラスティがぶち込まれたこの収容施設の看守だろう生徒が監視している中でラスティとミシガンの、鉄格子越しの会話が行われようとしている。
ラスティの前に行くと2人は目を合わせて話し始める。
「随分とはっちゃけてくれたな、G9。この落とし前はどう付けるつもりだ。」
「…私はヴェスパーだ。大人に、ハンドラーに、従うだけだ。」
ジャラジャラと鎖の音を鳴らしながら腕を振る。その腕に…いや、体全体にグルグルと包帯が巻かれている。応急的なもので失血死を防ぐことが目的だろうと分かる。
「ふん、とうとう使われるだけの子犬に成り下がったか。ラップ巻さながらの姿はペット服か?リード替わりか?」
ミシガンは片腕をまくり、もう片方の腕でまくった方の腕を中心にグルグルと包帯をまくジェスチャーをしながら問う。
「……なんとでも言うがいいさ。身体中の肉をペンチでちぎり取られ、暗闇の中何時間も拘束されて置かれる苦痛を知っているのならな。」
ラスティは顔を顰めて拷問されて心を折られてしまうような状況に置かれたことがあるのならなんとでも言えと吐き捨てるように返す。
「貴様の従う大人とは随分と悪趣味だな。恐怖での支配しか出来ない奴に従うことは無いだろう?で、今回の襲撃は何が目的だ?」
聞いた内容に同情は見せず、支配者を軽く貶して目的を聞く。
「……復讐を。私たちアリウスから自由を奪い、苦痛を全てを押し付けた陰湿なトリニティに、憎いゲヘナに。そしてキヴォトスの希望を砕きこの世に災禍の火を降らせる。」
他のやつから聞いた内容とほとんど違いのない答えだけが返ってくる。有益なものは無さそうだ。
「くだらんな。貴様らの受けたものは全て地下にこもって何かを変えようとしなかったがゆえの結末だ。過程はどうあれ結果として弾圧を受けることになった第1回公会議。そこで1つの学校になることを拒んだという貴様らの先人の負債だ。」
「……過去は消えないと言っている、ミシガン。そして負の連鎖は永劫続くものであるともな。何をしても何を見ても何を食べても全て無くなる。残るのは虚しさだけだ。あの白州アズサのように無駄に足掻いたところで何になる?」
……vanitas vanitatum et omnia vanitas.そう続けて口を閉じる。
「……何を言っても無駄か。せいぜい誰かに縛られることなく歩けるよう祈っておくぐらいはしておいてやる。お前たち、私は戻るぞ。まだ上でやることが残っているからな。」
どこまでも縛られた思考をしている頭に呆れて皮肉のように祈り出口に向かって歩き始める。
「敵を心配するか?随分とお優しいことだなあの歩く地獄が。さっさと出ていけ。」
その言葉を背中に受け、振り返ることなく出ていくミシガン。レッドガンの仲は良いと聞いているからもしかしたら繋がっているかもと疑いを持っていた監視員は、1連の様子から問題ないと判断し何も言うことなく監視を続ける。
だが、この会話を本人たち視点で翻訳するとこうなる。
『別れてから何があった?』
『再教育にかけられた。疑われないよう、今は従っている振りをしている。』
『全身に巻かれた包帯はどうした?』
『軽く拷問にかけられて肉体的、精神的にダメージがある。』
『悪趣味な事だな、貴様のところのトップは。何か分かったことは?』
『変わりなくトリニティとゲヘナの壊滅。および先生の抹殺だ。先生が居なくなってしまった場合のキヴォトスの壊滅も狙っていると思われる。』
『なるほどな。キヴォトスを壊して何があるのか知らないがくだらん事だ。隅に追いやられそんな大人がいる場所じゃあまともな現実を教えられていないんだろう?それもこれも、先人たちのやらかしだと言うのにな。』
『全くだ、レッド。だがたとえ植え付けられたモノであっても根付いて生まれた悪意はそう簡単に死なないのさ。私としては全て虚しいというのなら、あのアズサのように足掻いて生きたいがな。』
『そろそろ時間だ。ここからは計画通りには行かないだろう、アドリブで対応していくぞ。悪意に呑み込まれるなよ。』
『分かっているさ、ありがとう。……私は戦い続ける。自分に意味を見いだせるように。』
目と目を合わせて本意を隠した言葉を解いて意思疎通を行い、手短に近況の報告とこの後の行動がアドリブになることを確認しあった。
(……もうしばらくこのまま休んでおこう。回復次第で脱走し市街に紛れて先生に…)
ミシガンが出ていってしばらくの後、もう1人、ラスティの元へ面会に赴いてきた。コツコツとヒールを鳴らして不遜にも思える態度で檻の前へ。
「… …君が来るとはな。想定していなかった訳では無いが、今の地上は忙しいはず。それとも、場所を開けても問題は無いくらいまで事態を鎮火したか?……なあ、戦友。」
コツ、と最後に鳴らしてラスティに向き合う小さな白いかげ、どこか髪の艶が取れてしまったように見えるその人は
「……さっきぶりね、ラスティ。」
空崎ヒナ。ラスティの、ゲヘナで最初に出来た友人。
「……どうして、こんなことをしたの?」
「その理由は、私から言わなくとも他のやつから聞いたんじゃないのか?私だけが捕まっているなどありえないからな。」
「答えてくれないのね。……ええ、聞いたわ。今まで受けた苦しみ、絶望。その全ての報復だって。爪弾きにした過去の清算を、って。」
「その通りだ。なら私が話すことは何もないな。」
「……教えて、ラスティ。貴女の戦う理由を。貴女を戦いに赴かせる背景を、全部。」
「逆に聞くが、君はそう聞かれて答えられるのか?」
「それは……」
「……答えられないものに、教える気は無い。いつしか言っただろう、
理由なき強さほど危ういものは無い。
背景なく戦うものほど狂ったやつはいない。
……戦友、戦う理由を見つけ、背景を手に入れるんだ。その時、私の理由と背景を教えてやる。」
分かった、と返事をしたヒナは聞きたいことはもう無いのか踵を返して出口の扉に向かおうとする。
「ああそうだ、ひとつ言っておくことがある。」
「?」
「今までの生活は嘘だったのは間違いない。」
「…っ」
「だが──一時的であっても、虚しさを忘れられる程には楽しかったという心に嘘は無い。」
「!!」
「それだけだ。…じゃあな、戦友。」
ゾワッ…──!
およそ10数分後、ラスティは独り牢屋にて目を閉じ回復に専念していた所、2つの大きな力の波動を感じ取った。
邪悪でありながら聖律を内包する暴力的で静粛な気配と、言葉にできないような、しかし温かさを感じられるような包容力と優しさのある恐ろしい力。前者がアリウスと協力者たる大人の出せる最終手段、後者が先生の大人のカードというのは…見なくとも分かった。
(!?なんだ、この2つの圧力は……!?いや、直ぐに消えただと……?どういうことか分からないが……どうやら、今のが奥の手だったようだな。それが消えた今、完全にアリウスは敗北したということか。)
歪でチグハグな力が優しく強い力に還されたのを感知するやいなやアリウスの敗戦を悟る。見ることは到底叶わないが、地上で響いていた悲鳴や嘆きが硝煙の気配と共に薄まっていっているため少ないが活気が戻っているのが容易に察することが出来る。
……牢屋に入れられて大体数日後、ようやく後始末のやることが終わったのか、ラスティの前に1人の大人がやってくる。純白の制服に身を包み、手には白いタブレットを抱えた人物、先生が。
''久しぶりだね、ラスティ。ゲヘナ以来かな?''
「……何の用だ。」
''君に聞きたいことがあってね、どうしてもって言って連れてきてもらったんだ。少しお話しよう''
To Be Continued………
次回─『ゼロから始まる逃亡生活。』
良ければ感想、評価よろしくお願いします。今後の活動の励みになります!逆関節の垂直跳躍のように!!
モチベはまだ生きている。だからこそ更なる火を付けるのだ。燃え残るものがないように…
行く末をどうするか
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『ヴェスパーの災禍』
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『アリウスの解放者』
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『壊滅』