STEEL HAZE   作:魚の名前はイノシシ

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あけましておめでとうございます。
今年もどうか本作『STEEL HAZE』や他の小説もよろしくお願い致します!



エデン条約締結阻止(5) 始まる逃亡生活

 

「話したいこと、か。先生、私から話せるものは無い。他のアリウスも話さなかったから少ないながらも交流のある私にと聞きに来たのだろうが…生憎と私も口が堅い。残念だが、答えられない質問には答えなくていいと認められなければ話はしない。」

 

''少しだけ…え?話してくれるの?''

 

「答えられない質問には…」

 

''答えなくても大丈夫だよ。良かった…他の子は皆、口を閉じるか…茫然自失になっていたからね。''

 

「じゃ、早いところ済ませよう。こんな所ではまともに休めない、サッと答えてサッと休むのが兵士としての常識さ。」

 

''分かった!じゃあ、…あの、IX BALL って呼ばれた子について教えて貰っても…?''

 

「…先生。それはさすがに─」

 

''やっぱりだ「大丈夫だ。」め、え!?''

 

「まぁ、機密であるから私もほとんど知らないんだがな。唯一言えることは、奴はアリウスの奥でナニカされて機械みたいになったし強くもなった。張り合えるとすればレッド…G1ミシガン、そしてヒナだろう。勝つつもりなら、その2人に合わせて暁のホルスとトリニティの戦略兵器の2名を追加しなければならないだろうな。」

 

''そんなに……分かった、ありがとう。''

 

「次は?」

 

''えっと……アリウスの生徒会長って誰なのかなっていうのは……''

 

「…それは無理だな。」

 

''さすがにダメだったか。''

 

「だが、そうだな…ヒントは教えられるな。」

 

''ヒント?''

 

「…そのものは子供にして子供に在らず。人にして人に在らず。その者は、狂い火を受領する者…だ。他はないか?」

 

''えっと、じゃあ………''

 

 

 

 

 

それからしばらく先生と話し込んだ。檻で隔たれた質問と応答の会話だったが、アリウスの外を知らないとこぼした所で色々な話を聞かせてくれた。……ミレニアムに行って冒険とやらをしたみたいだが、カーラ達にはまだ会っていないようだった。

 

 

 

 

''…っていうことがあってね……''

 

「ああ、分かるさ。私も似た経験がある。ある事情でミレニアムまで赴いた時、ショーウィンドウに出されていたロボットの模型に目を惹かれてヒナに相談したら『後にして欲しい』と言われて……結局、買うことは叶わなかった。」

 

''ラスティもそんなことあったんだね……。こんなに話が合うなんて思ってなかったよ。皆から君の状態を聞いた感じだともっとくらいのかなって思って…''

 

「それはそうだろう。何故いつでも引き金を引けるように構えている者たちとなかよく話す必要がある?その点、先生は丸腰のまま、人殺しを厭わない私たちの前に現れては呑気に話をしようとする。アリウスしか知らない皆と違う私としては毒気を抜かれてしまうものだ。」

 

''……じゃあ、最後の質問、良いかな。''

 

「……ああ。何でも聞くといい。」

 

''…再教育、っていうのは、何?''

 

「………どこで知ったか知らないが、その言葉は他のアリウスの前で話すものでは無いと、心得ておく必要があるとだけ言っておこう。……君のためだ、先生。」

 

''それって、一体……''

 

「……再教育について軽く教えよう。有り体に言えば人体改造。その実態は、言葉にするのも憚られるおぞましい非道。これしか言えない、言いたくない。」

 

''……まさかIX BALL って子は…!''

 

「それを土台にした人体改造を受けた強化人間プロジェクトの【生還者】にして【集合体】。隠された秘密につきそれしか知らないが……その内容を暴こうなどと思わないことだ。」

 

''………。''

 

「じゃあ、そろそろいい時間だろうし解散としようか。」

 

''…そうだね。今回はありがとう。君の事が色々知れて嬉しかったよ!じゃあ、またね!''

 

 

 

「……行ったか。ちょうど私の神秘も回復したことだ。」

 

バチバチと、ラスティの胸の中心で神秘のチャージによりスパークを発し始める。

 

「成すべき事をを成す為に。……またな」

 

誰に向けてかそう呟いて、かき消すようにチャージを解き爆発させる。

 

バゴンッッ!!

 

『脅威レベルEの収容施設が一部崩壊しました。直ちに脱走者の制圧、再収容を行ってください。繰り返します──』

 

『脱走者の再収容を行っ──…』

 

 

 

 

ヴゥゥゥウウウン!ヴゥゥゥウウウン!

 

ダッダッダッ!!

ザザァ!

 

「居たぞ、脱走者だ!」

「他の奴も逃げ出そうとしている、早急に片付けてやる!」

「なんとしてでも捕まえるんだ!」

 

ダダダダダダダダ!!

 

「超スピード、姿が、どこへ─!?」

「早すぎる!?捉えきれな─!?」

「情報部より対象のデータが送られてきた!識別は『ガン!』あがっ!?」

 

「すまないが、その道を開けてもらおうか。」

 

 

制圧システムレベル4、正義実現委員会へ救援要請。自立型制圧装置を起動。

 

「正義実現委員会か。疲弊の快復はしていないだろうがそれでもまとめてこられたら厄介だな。仕方ない、敵を無視して駆け抜け…?」

 

ふと斜め後ろから視線を感じて振り返ってみる。

 

「………」

 

「君は…?」

 

そこには虚ろな目をした少女が、これだけの騒ぎの中というのにただ静かにこちらを見ていた。

…どこか放っておけない、放っておいては行けないという気持ちが湧き出て、その心のままに声をかける。

 

「…私はこの施設から脱走しようとしているところだが、君も来るか?」

 

「………。」

 

「私は黒狼ラスティ。私と来れば、こんな狭い檻の中からすぐにでも出られる。…少し寄り道はするが、どうする?」

 

「……………外?」

 

「ああ。こんな狭暗い場所ではなく、広く明るい場所に行く。」

 

「……いく。」

 

「分かった、なら少しだけそのままでいてくれ。……っ!!」

 

ギ、ギギギ……!

ガキッ、キン!

 

檻をこじ開けては左手に集めた神秘で少女を捕らえる鎖をすっぱり切り落とすと、少女の背と膝裏に腕を回して抱き上げる。

 

「抱えるぞ。…よし。まずは管制室でこの施設の全ロックを解除してから外に出る。飛ばしていくからしっかり捕まっててくれ…!!」

 

ぎゅぅっ

 

思ったより強い力で捕まった少女を確認し、体の前面に神秘のシールドを貼って廊下を突き進む。上に行くための階段付近で警備員と接敵したり想像より早く到着した正義実現委員会が連絡を受けたか、私達を角で待ち構えて居たり、2階層上がった所の十字路で四方を囲まれ撃たれようともシールドで防ぎつつ進んで、集団にもそのままのスピードで突っ込み風圧とシールドで弾き飛ばし羽根のように吹き飛ばし吹き飛ばす。

途中で保管庫に寄ってサッと愛銃と誰かの押収品を持ち出してまた進む。

 

 

 

管制室を目指して狭いくせに広い収容施設を進んでいき、階段を更に2つ上がったところで……

 

脱走者の重要区画への侵入を確認。防衛システムを起動します。

 

「管制室で全ての檻を解放すれば余裕を持って脱出ができる、もう少し待っててくれ。」

 

「……ん。」

 

管制室は近い。つまり、変わらず吹き飛ばして進めると考えては居られない。

 

T字の角から幅4m、高さ3mの通路を塞ぐほど大きな四脚の歩行兵器、そしてそれと比べると小さい自律型戦闘支援ドローンが3機展開される。

片手でスティールヘイズを撃つために少女に少し丸くなってもらって片腕で、体に少女を押し付けて離さないように抱える。

ドローンはそこまで耐久性が無いのかスティールヘイズの貫通射撃一発で撃ち落とせる。だが四脚の兵器は見た目通りの耐久性で、射撃によりほんのりへこんで傷がつく程度で解体するには時間がかかりそうだ。

 

「見覚えのある爆弾の贈り物だ…!!」

 

なぜここにあるのか分からないが押収品の爆弾を投げて、鋼鉄の四脚兵器を吹き飛ばす。足が1本消し飛びひっくり返ったそれを尻目に開いた道を進む。……温泉開発、トリニティでもやろうとしてたんだな。

 

 

 

 

ビーーー!ビーーー!ビーーー!

 

「着いたか、管制室…。」

「ついた?」

 

中に入ると一段と強い警報が鳴り、部屋の出入口と制御システムのあると思われる奥の部屋に続く扉が、床と天井から表れた鋼鉄により固く閉ざされる。

 

管制室へ管理権限を持たないものの侵入を確認。防衛パターンE、排除執行のため─

 

 

ズン──っ!!

──シューッ……!!

 

上からズッシリとした人型の機械が一体、降ってくる。

左手には銃を、右手には先端に穴が空いている見慣れないナニカを持ち、半身になって左の銃に重ねるように右のナニカを構える。その姿から恐らくは右手のものは近接のエネルギー系だと推測。

 

『─TN:MR 無人執行機体【エンフォーサー】を起動、メインシステム戦闘モード。』

 

「コイツは骨が折れそうだな。…?この弾痕!?君、出来るだけ隅の方で隠れていてくれ。あの攻撃に巻き込まれたら君も危ない、あの隅で戦いから離れて……」

 

左手の機関銃を敵機体を中心に円を描くように避ける。ふと着弾跡を見てみると、鉄の床が熱されたように赤くなり少しだけ削られている。通常の、ただの弾ではありえない弾痕を残していた。エンフォーサーと呼ばれた機体が降ってきても崩れる事の無い鋼鉄の床が弾に当たっただけで削られるなどありえない、あの大きさの機関銃に対応して、吐き出される弾はついでにミクロに振動する性質を持つ作りになっているのだろう。よく見たら地面にあるのは薬莢のみで弾丸が散らばっていない。

 

それにエンフォーサーと呼ばれたあの機体も棒立ちしているだけでなく壁にぶつからないよう動きの制御をしつつブースターを噴かせて滑るように横移動をしながらの射撃を行っている。

そこそこのスピードを出しつつも一定の距離を保って引き撃ちをするエンフォーサーを見て、室内とはいえかなり広いこの場所は、この為だったか。

 

巻き込まれにくい場所を探し少女に伝えようとすると

 

「──わたしもたたかう……戦える。」

 

ぎゅっと服を引く腕の中の少女は武器を持っていないし、ヒナと同じほどに体躯も小さい。それ故にパワーや重さがない打撃や投擲攻撃は威力を出さないはず。そう考え、通常なら戦わせることは無いのだが……

 

「……了解した。だが危なくなったら直ぐに下がるんだ。分かったな?」

 

「……分かった。」

 

少女の眼は変わらず虚ろながら、戦うものの、強者特有の空気を纏っている。

 

 

 

侵入者2名の脅威度を測定…脅威レベルE。エンフォーサーの機能制限並びに使用可能な武装の制限を解除、エネルギーモジュール全点接続。

 

「本気を出すのが早いな!行けるか?」

 

「いつでも。」

 

コアの上背部が開きそこからジェネレータと排熱ファンが唸りを上げ始めるのと同時に、背についたブースターの出力がさらに上がった。脚部、人でいう脹脛が開いてスラスターが顔を出す。

 

排除、執行

 

 

エンフォーサーは右手に構えたナニカに青い光をチャージ、1呼吸の間に充填を完了させて槍の穂先のような形にエネルギーを収束させて突進。

 

「っ!!……アレを避けて余裕を保っているか、やるな!」

 

「………」

 

自分のアサルトブーストには劣るものの、それに近い速さで突っ込んできた機体に驚きながら弾かれるように横へ跳ぶ。少女の方を見ると先と変わらない顔で、肝を冷やした様子もなく…よく見たら口元が少し緩んでいた。

 

「あれを見て余裕があるとは頼もしい!次が来るぞ!」

 

右手に持ったレーザー武器は射出は出来ないのか、エネルギーランスを近距離で振るか突進するか…上から突き、そのまま地面に刺して全方向へのエネルギーの波状攻撃を地に這わせてやってくる。

 

(あの少女、何故か行っている神秘による強化だけであれだけ動けるとは。…どこでもよく分からない強者とは居るものだな。)

 

神秘を体に巡らせてエンフォーサーの周りを飛び回る。壁を蹴ってエンフォーサーの頭上から背後に回ったり、エンフォーサーの突進を紙一重で避けてすれ違いざまに一発貫通弾を打ち込んだり。

そんな私に少女は着いてきてエンフォーサーのブースターや足に打撃を振る舞う。

 

「そのまま足元を狙って攻撃してくれ!あの巨体であれだけの機動力は人型だから出ているはずだ、バランスを崩せば一気に勝機がやってくる!」

「わかった!」

 

エネルギーランスを振りまわすなら細かい射撃をして注意を引きつつ下がりながら避け、エネルギーランスを胴の前で構えて突っ込んできたら、切り払う瞬間に神秘で威力を増やした貫通射撃にって軌道をずらし跳んで躱した。

 

前方にエネルギーランスを構えての突進は位置関係もあるが主に左右にステップを踏んで避けたり。避けるついでにエンフォーサーの関節部や左手の機関銃を狙ったり。全ての攻撃、自分の存在に無視できない程の神秘を迸らせながら、とにかくエンフォーサーが後ろを見たくても見れないように正面から相手をし続ける。

 

それでもエンフォーサーの敵視を全て引き受けることは出来ずエンフォーサーの背後から足を攻撃し続けている少女は時折向けられるエンフォーサーからの攻撃をうまく避け、ターゲットが少女から私とにれ替わるように立ち回っている。…エンフォーサーを、知っているかのように。

 

エンフォーサーが距離を取ったのを見計らって直ぐに集まり状況の確認をする。

 

「凄いな、君!まさかここまで強いとは!」

「(むふ)……左足、もうすぐで壊せそう。あともうちょっと。」

「ああ、了解した。なら私はより飛ぶとしよう!」

 

そのやり取りの後、エネルギーランスを構えて突進してくるエンフォーサーを左右にそれぞれ避けて再び配置について戦い続ける。

 

ギシッ…メギョ──ッ!!

 

鉄のひしゃげる音の後、少女の一際強い打撃音が聞こえると大きな破壊音が響く。エンフォーサーの脚部ブースターが壊されたようだ。

 

「やったか!?」

「暴れるつもり…!」

 

五体満足のエンフォーサーは勿論だが、足をひとつ破壊されたエンフォーサーの抵抗も強かった。

ブースターを噴かせて空中で右手のエネルギーランスを乱雑に回転しながら振り回し、一瞬の間も無く私を狙って高く飛び込み車輪のような動きをしながらエネルギーランスを伸ばし機関銃の射撃とともに突っ込んできた。全方位への無差別な攻撃に私も少女も避けたり落ちている金属板で逸らしたり神秘を固めてダメージを軽くしたりするのでいっぱいだった。

 

「無事か?!」

「だいじょうぶ…!」

 

エンフォーサーが私の背後に飛び上がった。2人ともその姿を目線で追うと、頭部をこちらを向けてエネルギーランスを引き絞った姿が。

 

バリ─ッ

バチバチバチバチ──ッ!!

 

「あまり得意じゃないんだがな…!!」

「ッ、!?」

 

滅多に使えるものでは無い神秘のドーム型シールドを展開し神速の3連突きを受け止める。……こんな神秘の消費が激しいものを普通に使える魅友恵レッドはどうなっているんだろうか。

エンフォーサーがその場で飛び上がり、エネルギーランスを真下にいる私たちへ向ける。

 

「まだ続くか!」

「……っ、」

 

飛び上がっての突き刺しは私だけなら避けられるが、ブースターの無い少女では避けられない。ここで貫かれても私には保険がある、死ぬことは無い…!!

 

神秘を固めてシールドを形成、穂先を逸らして少女だけでも串刺しになるのは避けなければと身がまえると

 

ガバっ

 

「……ッ!」

「!?」

 

ガギャ──!

 

ボグン!!

 

エネルギーランスが貫く寸前で、少女に横から飛びつかれ、2人とも無傷で避けられた。

エンフォーサーのエネルギーランスによる急襲は、最後に空振って何も無い床を貫き青い爆発を伴って終了した。

 

「っ!」

「っ、ありがとう、助かった!」

 

ジャッ

ポシュゥ〜……

 

床に突き刺さったエネルギーランスを抜き取り、エネルギーを霧散させる。これで仕留めるつもりだったのか、ジェネレータや各管制器に影響が出たのかその場に片膝を立てて項垂れるようにしている。

 

「行くぞ、仕上げだ!」

「!!」

 

少女と共に駆け出し、エンフォーサーの背部メインブースターに攻撃を仕掛ける。

 

ダダダン!!ダン!ダン!

メゴッッッ!!

 

バチ、バチバチ…!!

 

エンフォーサーのメインブースターから火花が散る。明確にダメージが与えられていることの証左に他ならない火花が。

 

「たち、あがる…!!」

「あと、少し…!!」

 

ジ、ジジジ…!

バッ!

 

ダウンから立ち直ったエンフォーサーが少女と私を振り払うように急転回して後ろに下がり距離をとる。脚部ブースターは破損し、背部のメインブースターも少なくないダメージを受けている。本当に、【何か大きな爆破があれば抜ける】くらいのあとひと押しと言ったところだ。

 

「、ダメだった…!」

「いや、まだだ!!」

 

そう、【何か大きな爆発】は備わっている。

 

「私なら堕とすことが出来る。ほんの少しだけでいい、今だけ…やつの注意を引いてくれるか?」

 

少女の目を真っ直ぐ見据えてそう伝える。

少女もこちらを見つめ返す。

視線が交差し、私を信頼に足ると、命を預けるに足ると信じてくれたのか一言私に返してエンフォーサーに向き直った。

 

「…任せて。」

 

最初は私の方に向かっていたエンフォーサーに接近して攻撃を避け、カウンターを細かく差し込んであっという間に敵視を握った。

 

「……全く。ヒナといいアビドスの小鳥遊ホシノといい、小さい子があれほどの力を持つとは一体どうなっているんだか…」

 

小さい子が力を持つことは、それ即ちとんでもないことに利用されてしまう可能性が高いということ。こんな所にいる少女も、もしかしたら…

 

「いや、今はそんなことを考えている暇はない、か。……スティールヘイズと同調開始、神秘接続、回路形成…エネルギータービン全点接続、ヘイローの神秘出力を引き上げ…神秘を集中…」

 

少女がちらりとこちらを見る。

 

「準備は出来た!下がってくれ!」

「ん!」

 

ブースターをフルに使って少女と入れ替わるようにエンフォーサーの前に出て、激しくスパークを発する胸元の神秘を爆発させる!

 

「これで決める……!」

 

バチ─バヂバヂバヂ!!!!

 

ボン、ボンボン──

 

「爆発するぞ、退避しろ──!!」

「──!!」

 

集められ圧縮された神秘が解放され、エンフォーサーの背部メインブースターを焼き溶かし、その奥のジェネレーターの各部へエネルギーを送り込む回路も焼き溶かした。

 

ボガァァァァン!!

 

その結果、ジェネレーターの中で生成されたエネルギーは行き場を失い爆発を起こす。爆発から逃れるも爆風に煽られ転がってしまう。

 

「はぁ…何とかなったか…」

「…大丈夫?」

「ああ、何とか巻き込まれずに済んだ……」

 

私は仰向けになった状態から体を起こし、当初の目的であった部屋の奥にある管制システムに向かう。

 

「これがここのシステムか。この身をもって分かってはいたが、コレはとんでもないな…だが、囚人を全て解放すれば手がいっぱいになって私達まで追われることはなくなるはずだ。」

 

「………」

 

コンピューターを慎重に弄り、全収容区域に収容されている者達を解放する。

 

「よし。脱出の為のデコイの用意はできた。行こうか。」

 

「……ん。」

 

少女に背を向け乗りやすいようにしゃがむ。首に腕が回されて、足をしっかり両腕で抱えて進む。今度は、地上へと。

 

 

 

 

「何事もなく出られたな……」

「ん。」

「さて、約束では外に連れ出す所までだったが、君はどうする?私とくるなら先程のエンフォーサーと同じくらいには大変な道になるが…」

「ついてく。」

「即答だな?!ああ、いや、そうか。なら、今更だが自己紹介をするとしよう。私の名前は黒狼ラスティだ。色々あって学園から追われる身だ、これからよろしくな。君の名前を教えてくれるか?いつまでも少女と呼ぶのは、これから共に生活していく上で物寂しいからな。」

「名前……私の名前は、白烏。白烏レイ。……(じっ)」

「どうかしたか?」

 

「私も…ちょっと追われてる。おそろい!」

 

「ふっ、そうだな。私たちはおそろいだ!」

 

今だ警報の鳴り止まない『パーティー会場』を後にして、私と少女、白烏レイは歩き出す。追われている身でも、比較的安全に過ごせる場所、ブラックマーケットの一区画へ。

 

To Be Continued……

 

 

 

 





次回─「私達は傭兵として生きていくが、コンビ名はどうする?」

ちなみにあのエンフォーサーはAC6のエンフォーサーと比べて型落ちもいいところです。無茶な機動も癇癪を起こした子供のように、制御の効かないガラクタが飛び回るようにAC以上エンフォーサー(AC6)未満を感じていただけたなら嬉しいです。

行く末をどうするか

  • 『ヴェスパーの災禍』
  • 『アリウスの解放者』
  • 『壊滅』
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