あらすじ!
俺のマッドスタンプがぁ!?
ようこそビジター!このような所に来てくれるとは……!
アンタらは向う見ずだね、嫌いじゃないよ。
あらすじ終わり!
前回より前の話。
ヒソヒソ…
『聞いたかよ、ラスティの奴。』
『ああ。裏切り者だったなんてな…』
『その上派手に脱獄までやったとよ。』
『ショックと喜びで頭痛えよアタシゃ』
(何なんだよ。)
ヒソヒソ…
『ヒナとイグアスを相手取ってそんな元気があるとはなぁ』
『その話、なんでもイグアスが突っ込みすぎたとかなんとか?』
『じゃあそれって──』
『言いたかねぇけど、イグアスで攻撃を防いだとしか… なぁ?』
(てめぇらごときに、何がわかる!)
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
『アイツが居なきゃなんともなかったかもしれねぇな。』
『おい、声でかいぞ。聞こえたらどうする!』
『だってそうだろ?アイツが突っかかって、ヒナが本気出せなくて、今の状態だ。だったらいない方が断然良かったんじゃねぇのって。』
『ちょっ、ひどす『…おい。』…あっ』
『あぁ?あっ…すまん、イグアス。聞こえちまってたか…?』
『バッチリ聞こえてたぜ。…束になっても俺に勝てねぇ雑魚共が、好き勝手に陰口叩いてるところをよ。』
『…はぁ?んだと『…めやがって!』っ、!?』
イグアスはヂャッ、と銃を取り出し、目の前の隊員に銃口を向け、持ち手からギチギチと軋んだ音が鳴るほど強く握っている。
『────、──!』
向けられた隊員は慌てた様子でなにか言っているようだが今のイグアスには言葉は届かない。
瞳孔が開ききった眼で睨みつけて。向けられていない者にも明確に感じられてしまうほど濃い、今にも食い殺されてしまうと錯覚するほどの怒気がこの広い部屋に張り詰められる。
『どいつもこいつも、俺を舐め腐りやがって!目障りなんだよッ!陰でぐちぐち文句垂れるしか能のない
ダダダダダダダダッ!!!
『がっ!?テメェ、やりやがったな!?こんなところで暴れんじゃねぇよ!』
『落ち着けイグアス!』
『G7!G7!早く来てくれぇ!!』
『G7だ!この場にいる部隊員は直ちに戦闘準備!ミャルマー!G6達を呼んできてくれ!』
誰よりも前に出ながらそう叫び、イグアスの攻撃を受け、いなし続けるG7ハークラー。だがイグアスよりも格下ナンバーである彼女は1人で受け続けるには限界がある。ミャルマーと呼ばれた隊員は全速力で増援を求めて走る。
『くっ、これ程の力は一体…!?』
『大丈夫か!?G6部隊だ、加勢しよう!』
『すまない、助かる!』
『くそ!内ゲバしてる場合じゃねぇだろうが…!』
『誰か!総長呼んでこい!まだ耐えられているうちに!』
『どいつもこいつも!俺を下に見てんじゃねぇッ!!!』
『──!』
『──ッ、─!!』
『───!!!』
─
──
───
「イグアス。お前に1週間の謹慎を言い渡す。理由はもちろん…分かっているな?」
腕を組み仁王立ちで傷一つないミシガンと、ボコボコでボロボロの座り込んだイグアスが2人。イグアスと戦っていた隊員たちはベッドに繋がれている。
「………ちっ。」
「謹慎の延長に加えてスペシャルコースを味わいたいか?」
「…俺が暴れて戦力のG7、G6を部隊ごとぶちのめして大怪我を負わせたからだろ。でも、元はと言えばアイツらが悪いんだろうが…」
「アイツらには陰口を叩く暇もなくしてやる。…とにかく理由が分かっているならいい。備品破壊、資材破壊、その上仲間にまで手を出した。見境なく暴れるな、節度を持て。以上!そういえば先程ミレニアムのゲーム開発部とか言うところからレッドガンに向けた依頼が飛んできた。頭を冷やすついでに、ミレニアムに行ってこい!話はつけておけよ?」
「けっ、んな事はわかってら。」
「………」
イグアスは1人、窓際の指定席で窓枠に寄りかかるように頬杖をつき眉をしかめて目を閉じていた。思い返されるのは、ラスティとの戦闘。
(クソ、イラつきが収まんねぇ。
「オレは…なんなんだ…?」
「切符を拝見します(うわっ、ゲヘナかぁ…)」
「…ほら」
「えっ…!」(切符だ!)
「あ?」
「あ、いえ!拝見しました、ありがとうございます!(偶にいないことはないけど、こんな不良って見た目の人が持ってるなんて珍しい〜!今日はツイてるかも?)」
切符を見せて、飲み物を貰う。ゲヘナの奴が持っていたのが珍しいのか驚かれたが、上機嫌になって切符を切った。
「……路地裏で命懸けで生きてきたオレと、薄汚い地下で命懸けで生きてきた野良犬。一体何が違う?」
自分とラスティを比べた際に違いがほとんど見いだせないでいる。地獄みたいな扱きを受け、クソみたいな『裏』に生きてきて、神秘の操作も出来ている。なのに、どうしてか。
周りで銃撃が起きて乗務員が発狂して鎮圧をしている中、考え続けても答えは出ず。いつの間にか駅に到着していた。
「っ、耳鳴りが…!ついてねぇなホントに…!」
耳鳴りに苛まれながらもミレニアムサイエンススクールに向かうべく足を動かす。
ミレニアムサイエンススクール、受付にて。ロボットとイグアスが対面し用件の伝達、害意があるかの確認、身元の識別などを経て見学手続きが完了した。
「……確認できました!ようこそミレニアムサイエンススクールへ!たまに爆発したり自我を持ったメカが脱走したりしますのでお気をつけください!」
「やっとかよ。こっちは呼ばれて来てやってんのによ。」
言われてたのに事前に連絡しなかったのが悪い。残当。
ゆらり、と自分のすぐ後ろに気配が僅かに感じられ、この距離まで気づけなかったことに冷える感覚を覚えながら急いで振り返る。
「ミレニアムへようこそ。独立傭兵イグアス様でお間違えないですね?早速リオ様の元へご案内致します。」
「その前に、誰だよてめぇは。えぇ?ふざけた格好しやがって」
人形のように無表情で、メイド服に身を包んだ1人の生徒が静かにイグアスを見つめている。
「申し遅れました。私はミレニアムの生徒会長、調月リオ様に仕える専属メイドの飛鳥馬トキと申します。では、向かいましょう。」
無駄のない礼をして、エレベーターに向かって歩き出す。
「…行くしかねぇか。」
少し進んだ先で着いてくることを待っているトキについて行くしかない。警戒しながらもトキから数歩後ろを歩いて行く。
エレベーターに乗り込んで上へ下へと不規則な動きに揺られて、何度か横に動く。もはや方向感覚など失われており、複雑な動きをさせる為にトキもメモを見ながらエレベーターを操作しているようだ。
「この道、お前が覚えられないんじゃあてめぇの主のリオとやらも分からないんじゃねぇの?」
長いこと2人で密室にいることで暇を覚えたイグアスがトキにそう聞くと、
「この道は言わば極秘。あなたに伝えることは出来ません。」
あまり答えになっていないような答えが返ってくる。
「いや、この道の事じゃなくて…」
「質問に答える事は極秘に触れてしまうということになりますので。」
「…そうかよ。」
「はい、そうです。…到着しました。この先の部屋にリオ様がお待ちです。」
「やっとかよ。」
チン、とベルが鳴って扉が静かに開く。先には通路があり、見た目から受ける印象はラスボス前の通路。
「失礼します。独立傭兵イグアス様をお連れしました。」
「ありがとう。…よく来てくれたわね、独立傭兵イグアス。あなたについて話は聞いているわ。中々腕が立つ人物で……」
「御託はいい。本題は?」
「そう…では、早速本題に入らせてもらうわ。あなたに依頼したいのは、先般起動してしまった強力な自立型自動人形の始末。私で始末出来たら良いのだけどアレはそう簡単に壊せないでしょう。既に手を打っているとはいえ、取り返す勢力が存在するの。ここまでいえば分かるかしら。あなたの役目はその勢力と、雇われると想定される者をパワードスーツを着たトキと、私のアバンギャルド君と協働して排除すること。」
「アバン、ギャルド君?」
──それは大きかった。大きく、武装が厚く。そして何よりダサかった!真面目な話にぶっ込まれた、ライトに照らされたギャグのようなロボットにイグアスの脳は宇宙を見るも、リオは気づいていないように続きを話す。
「決行は明後日。今日はあなたと詳細な打ち合わせを済ませて、明日には準備を終わらせるわ。」
「敵勢力の詳細は?」
「ゲーム開発部の数名とエンジニア部、そしてヴェリタスよ。背後には先生がついているはず。そして先程も伝えた自動人形…型番をAL-1S。登録されている名簿に登録されている名前は、天童アリス。」
「それって、つまり…人を…」
「違うわ。…彼女は先日、あることをきっかけに自身に眠るプログラムを発揮しエンジニア部を破壊し、同じ部活仲間に重傷を負わせた。その時は何とか治められたけれど、今度はきっとそうはいかない。仲間に負い目を感じている弱った今では今度こそ乗っ取られかねない。そうなればミレニアムは、キヴォトスは……わかったかしら。これは仕方の無いことよ。言葉を話し、感情を見せようと彼女は恐ろしい兵器に変わりない。」
「………。」
「彼女のプログラムはミレニアムの総力をもってしても止められるか分からない。ビッグシスターの私が、そうなる前にミレニアムを守らなくては。」
「リオ。お前にヘイローを壊せるか?」
「当然よ。合理的にも私がやるわ。」
「そうかよ。じゃ、明後日またここに来れば良いか?」
「いいえ。今日は解散とするけれど、あなたには明日から全て終わるまでミレニアムに居てもらうわ。」
「泊まりか…」
「トキ、見送りを頼むわ。私はもう少しやらなきゃ行けないことがあるから。」
他所へ泊まる事が少ないイグアスにとって、泊まるのになにが必要か考えている姿を余所にトキはイグアスを帰すために動く。
「はい。では行きましょう、イグアス様。」
「おう。」
「ではリオ様、失礼します。」
部屋を出て、エレベーターに乗り込む。
「なぁ、これで俺も関係者だ。どうなんだ、リオがこっから出る時に迷ったりとかってのは?」
「…そうですね。迷われることは無いでしょう。リオ様が移動される時は大体私が着いていますのでそもそも心配は必要ないでしょう。他に聞きたいことは無いですか?」
「じゃあ、メイドって普段は何してんだ?今日見ただけじゃただのボディガードにしか見えなかったが。」
「リオ様の身の回りをお世話しています。書類の整理、部屋の片付け、食事の用意と片付けなど。ですが、ボディガードが主な仕事です。」
「そんな感じか。」
「はい。」
少しの間を置いて、イグアスが質問をかける。
「お前はなんでリオに従ってる?」
「…答える必要がありますか?」
「ああ、傭兵と信頼を築いておけば裏切りのリスクを減らせるから損は無い。」
「…私は、リオ様に拾われました。そしてリオ様の専属メイドとして過ごすうちに気づけばリオ様の元が私の居場所になっていました。メイドとしてサポートに徹し、要望を叶え、仕事を完璧にこなす。そこに理由も理屈もありません。」
「文句のひとつは?」
「ありません。」
揺れを感じて沈黙の中ただ時間が過ぎるのを待つ。そしてチン、とベルが鳴りドアが開く。
「到着しました。エントランスまでお連れします。」
「さんきゅ〜」
長いことエレベーターに居たから足元がおぼつかない状態を見たトキに手を引いて連れられる。
「ではイグアス様、お気をつけてお帰りください」
トキから恭しい一礼を受け、帰路に着く。外は明るく昼過ぎといった時間だが、イグアスの心中は浮かばれることはなかった。
「ってことでミレニアムに泊まりに行く。帰んのは5日後ぐらいになりそうだぜ。」
「分かった、話しは私の方からしておこう!だが、ミレニアムといえばRaDが何やら怪しい動きをしているという。企業の動きにも注意しろよ?」
「分かってる。じゃあ行ってくる。」
「ああ。」
─
──
───
「…悪いが、この話は受けられない。」
「そうかい…理由は?」
「近いうちにやるべき事がある。この話を受けては間に合わない可能性がある。それに、この子をそんな怪しい話に巻き込むことはしたくない。」
「それがアンタの選択ってことでいいんだね?」
「ああ。」
「…良かったよ、断ってくれてさ。理由は話せないけど、安心した。じゃ、今度はコッチを見てもらおうかね。今度はちゃんと全部書いてある方の依頼だよ。」
「あ、ああ…2つあったのか。」
「誰も一つだけなんて言ってないだろう?コッチもミレニアムからの依頼だね。仲間が攫われたから奪還するのに手を貸してほしいそうだ。依頼開始は今夜、依頼人はゲーム開発部の部長花岡ユズ。報酬は10万だ。経緯は暴走したロボットの仲間が壊されそうでそれを阻止して取り戻したい、だそうだ。相手はミレニアムの生徒会長で、味方に先生がいるけど勝てるか分からないから来て欲しいんだと。どうする?」
「攫われているんだろう?こうして依頼を飛ばす時間はないと思うんだがその理由は?」
「どうにも、敵さんに話のわかるやつがいるらしくてね。準備を整えるくらいの時間をくれたそうだ。」
「そうか…レイヴン、どうする?」
「受けよう。仲間を助けるために戦うんなら、手を貸したい。」
「……良いのかい?敵は一学園の会長だぞ?」
「ああ。さっきの依頼も、今の依頼も誰かのためというのは分かっている。その上で受けるさ。……殺しなど起こさせない。この私がいる限りは。」
「…やっぱ気づいてたかい。なら一つだけ忠告しておくが、今回攫われたやつも相当な理由を持っている。覚悟を持って行くことだよ。」
「ああ。」
「じゃ、気をつけていきな!…頼んだよ、ビジター。あんたは、ビジターにしては笑えるヤツだからね。」
To Be Continued……
次回─『ダブルトラブル(2)』
???「レイヴン…それは意志の表象。その名前を''また''聞くことになるなんて。」
この小説が一区切り着いたら薄味になったエデン条約編を書き直すんだ。
あと古聖堂の所とラスティのブチブチシーン。ブチブチシーンはオリジナルなだけあって内側に考えてることがあるからもっと細かく描写したい。自分で見た時納得できるような…そんなエデン条約を出力したい。
行く末をどうするか
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『ヴェスパーの災禍』
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『アリウスの解放者』
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『壊滅』