新万魔殿所属治安維持部隊の結成が認められる!
メンバーがいないから集める!目星はついてるから勧誘だ!
パッチと出会いボコボコにして案内を任せる!
あらすじ終わり!
戦闘シーンはまだなのか!?はやく闘え!役目でしょ!!
「次はそこを左だったはず…」
パッチに先導させて、私がリストアップした不良の元に案内をさせている。
まずは2人。この付近では負け知らずとして名が広まっているコンビの
可部落カノンと暴塔アマイ。
2人の息のあった連携は例えブラックマーケットを守る組織のマーケットガードでさえ手も足も出ないという話だ。これから発足する部隊に引き入れられれば話題性として印象が強く残る。それにこういう奴らはだいたい手下やら部下やらがいる。戦力で考えるならば多ければ多い方がいいだろう。
「で、ここをこっちで…着いたぞ!ここがあの2人の拠点だ。」
考え事をしていたらいつの間にか目的地に到着していた。見た目はそこそこ大きく2人で生活することよりも複数人で過ごすことを想定された大きさだ。
「この拠点には2人だけか?部下やら手下やらは?」
「いるぜ?なんてったってゲヘナでも強者の部類に入る奴らだからな。まぁ奴らの態度や生活スタイルについていけなくなって抜けていった結果、今は恩を感じていたり居場所がない奴ら少数が集まってるんだ。だがそいつらも実力はある方だぜ?チームアップして〜…そうだな、風紀委員会の主戦力以外を相手取ってギリギリ勝てるか勝てないかぐらいだな。ただの正面からの殴り合いならそうはならないが戦いにおいてそんな状況は滅多にないのはアンタも知っての通り…ま、そういうこった。…聞いてた?」
長々と喋り出すパッチの言葉に耳を傾けながら2人の拠点に近づいてノックする。チャイムはならなかった。
しかし物音1つしないからもう一度ノックする。
どんどんとドアを叩いてみるも人1人も居ないような静けさがあった。
不在か…
違和感…?
「いきなり付いてねぇな。じゃ、次のやつのとこに行くか。次は誰だ?」
「次は詐欺師だ。名前を五花上海。カスミにも勝るとも劣らない話術と胡散臭い占いで結果を出したり出さなかったりするから半信半疑であってもやつを信じるやつが後を絶たないという噂を聞いてな。そういう腹芸ができる人材がもう少し欲しかったところだ。」
「あー…あいつか…アイツの話に乗って1回7囚人に、っと余計なことを喋りそうになったぜ。じゃ、上海のやつの所だな。奴は決まったルートを回ってるからそこを追いかけるぞ。ついてこいよ〜!」
いきなり走り出したパッチの後ろを一定距離を保ってついていく。
しばらく走っているとパッチからヒィヒィと声が聞こえてきて様子を見ているとだんだんスピードが落ちてきているのが分かる。
「どうした、パッチ。だいぶ走ってるから少し休憩でもするか?」
「ひぃっ、ひぃっ、誰のせいだと…!い、いやぁ気を使わせちまってすまねぇな。休憩は大丈夫だけど、ここからは歩いていくことにする…多分だが、上海が居る場所まであと少しだしな。」
膝に手を付き方で息をするパッチの背中をさすってまた歩き出す。やはり聞こえるようにわざと足音を立てていたのは意地悪しすぎたかと思いながらもついていく。
右へ、左へ。途中で襲ってきたリスト外のチンピラをあしらってさらに進んで。
「…あー、到着だ。どうやらまた不在みたいだな?」
到着。しかしそこには置き手紙があるだけで目当ての上海の姿はなかった。
違和感
「あの2人と上海が不在?たまたまだと思いたいが…パッチ。私になにか、隠していることは無いか?」
感じる不穏な気配にパッチにスティールヘイズを突きつけて圧をかけながら問いかける。
「いやいやいやいや!まさか俺を疑うってんのか!?たまたまだろ!?たまたま2人が予定あって不在なんだろ!?勘弁してくれよ…!あんたに凄まれちゃ俺みたいな小心者は気絶しちまうからよぉ…」
「…そうだな。すまない、なにぶんこういった場所はあまり来たことがなくてな。少し警戒しすぎていたみたいだ。」
「へ、へへ!だよな!はぁー、ビビったぜ!ここまで良心的にできるだけ早く案内していたってのにいきなり疑ってくるもんだから…ま、ここは最初のやり取りに免じて水に流してやるさ。ひひっ!」
じわじわと違和感が募る。この感覚は…
演技かかったような、でも心からそう思っているような話し方にも違和感を抱きつつ次の目的地へ向かう。
「…じゃあ、次だ。これでこの路地裏の不良は最後だな。」
次の目的はこの路地裏の不良共を統率する威勢の良い女だ。その威勢に違わぬ実力的な強さと精神的な強さでここのトップに上り詰めた人間だ。聞いた話によればその強さと声の大きさ、そして本人の包容力でもって何人もの不良たちと縁を結んだらしい。
いつの間にかゲヘナ学園から消えていたかつて雷帝と呼ばれるゲヘナのトップがハチャメチャしていた時代に新入生ながら尻拭いをあちこちでしていた人間で、彼女の強さについていけなかった学年問わない仲間達が次々と倒れる中ゲヘナに仇なす不法者共をたたきつぶしていたことから付けられた異名は【歩く地獄】。
「マジか…あんた、歩く地獄を…あ、いや。まさか魅友恵レッドを勧誘すんのか…キモが太いのか命知らずなのか…おっと、今のは忘れてくれな!ちょっとした失言ってやつだ。俺とあんたの仲なら許してくれる、よな?」
「別にちょっとの失言で君をどうにかするような器の小さい人間ではないと思っているから安心してくれ。」
雷帝が幅を利かせていたという時代で暴れるイカれた強者たちを相手に1年生でありながら倒れることなく鎮圧を続けていた彼女を勧誘するのは骨が折れる事だと自分でもよくわかっている事だから気にする事はないのだが、まぁその小心がパッチが逃げ屋たる証だろうか…
「じゃ、行くぞ。ちょっと遠いけど我慢してくれよな!」
ついていく。右へ左へ道を曲がって路地裏の奥へと、パッチの後ろをついていく。
そういえば逃げ屋とはなんだろうか?
「パッチ。君は自分のことを逃げ屋だと言っていたが、具体的に何をする立ち位置なんだ?」
「よっ、と。ん?逃げ屋のことか?そりゃあもちろん敵から逃げるのが仕事さ。逃げる前と逃げる時ではちょいと荷物が増えているがな。」
段差になっているところを乗り越えていくパッチについていく。足場が不安定になってきたから注意しながら。
…なるほど、つまり物取りか。
「あ、言っておくけど物取りじゃないからな!ちゃんとした仕事として逃げてんだ!たとえば、ライバル組織のアレが欲しいけど大っぴらに動けばやけどを負うってやつに話をもちかけて仕事を探し、あの手この手で侵入と依頼のものの入手、お届けを生業にする立派な配達業さ。ちょいと恨まれたり仲間ができたりとかするけど…まぁ上手いこと敵は減らしながらやって行ってるぜ。」
あくまで配達業…面白い、そういう生き方もあるんだな。アリウスでは考えつくことがなかった生計の立て方だ。ならパッチの態度ももしや…
「そういうものか。じゃあパッチのその媚びるようなヘラヘラとした態度もその仕事を続けている中で培ってきたものなのか?」
「ちょっ、そんな言い方はよしてくれよ!それとこの態度は自前だ!」
ついていく。少し言いすぎてしまったようで手を振って注意してくるパッチの後ろをついていく。また段差を乗り越え、足元を見たらどうやら建物の屋根を伝って行っているようだ。ここが近道なのか正規の道なのかは知らないが、もしもがあっても逃げるなり反撃するなりができるよう警戒を強くしておく。
「よっしょと…ふぃー、ここら辺だな。後はここから飛び降りたら真っ直ぐ行けばヤツの拠点だ。そこに飛び降りると安定して着地できるぜ。」
ほら、と木の板で補修された部分の屋根を指さすパッチは疲れたようで座り込んでいる。手を振り先に行っててくれというパッチに案内の例を言いながら1歩踏み出すと
ドン
と背中に衝撃を受け、着地地点に激突─
ガシャァン!
することはなく、そこを突き破り建物内へ落ちる。
まともに受身を取れ無かったために落下の衝撃で揺れる視界にやかましく脳に響く耳鳴り。
ずっと仰向けに倒れている訳にも行かず、転がってうつ伏せになり立ち上がろうとするも平衡感覚が狂ったためなかなか立ち上がれない。
「う、ぐっ…」
脳を揺らすような痛みと耳鳴りはやまずとも視界は戻ってきたから辺りを見回すと、周辺で活動している不良たちが一堂に会していて口元を見るからに私が落ちてきたことで騒ぎ立てている。恐らく襲撃か何かだと判断したのだろうが私の醜態のおかげで混乱しているようだ。
手元には、『じゃあなお役人サマ!ByeBye♪ 逃げ屋パッチ』と書かれた紙が落ちている。…次にあった時が楽しみだな。
「─うし──!」
「──く─!?」
「─ぞ!!」
耳鳴りと頭痛が治まってなんとか立ち上がると下敷きにしてしまった人が居ないか確認するためにちら、と落下地点を見る。そこには仁王立ちでこちらを睥睨する金髪の女が。額に青筋が浮かんでいるため相当怒っているのが分かったのか、周囲の不良は一気に静かになり息を殺しだした。
私が立ち上がったのを見ると、組んでいた腕を解き1回深呼吸をすると私の胸ぐらをつかみ足が浮くほどに持ち上げた。
「貴様…ここがどういう場所で落ちてきたのか分かっているのか?」
「ぐっ…分からない…!屋根を伝って歩いていたらいきなり落とされたんだ、何も知らない…!」
「…どうやら本当のことを言っているようだな。もしも嘘をついていたら私自ら矯正してやる所だったぞ。」
そう言いながら乱雑に私を放り投げる彼女。よく見ると、彼女こそが私の目当ての人物である魅友恵レッドであることが窺える。
「本当にすまない。本来なら玄関から伺うつもりだったんだが足元が脆く落ちてしまった。謝って許してくれるとは思っていないが、本当にすまなかった。天井の修理はきちんとさせて貰う。」
「謝罪は受けとっておく。修理もしなくて良い。どうせウチのバカどもが手を抜いて直したところだ。ウチの者に直させる。それより私に用件があったんだろう?聞くだけ聞いてやる。今、ここでな!」
手短に、分かりやすく用件を伝えた。
「貴様、万魔殿の人間だったか!それに万魔殿の専属治安維持部隊隊員集めに奔走していると…学年と名前は?」
「2年、今年からの編入生だ。名前は黒狼ラスティだ。よろしく頼む。」
「ふん、あのバカどももようやく治安に向き合うようになったか。…ラスティと言ったか。」
「ああ。」
「貴様、どこの所属だ?」
「…っゲヘナ学園の…!」
「とぼけるな!バレていないとでも思ったか?貴様のようなヤツは昔何度も見たことがある!多方アリウス分校の手引きだろう?あそこの奴らには何度も手を焼かされたものだ!もう一度聞く。貴様、アリウスのどこの所属で万魔殿に入って何をする気だ!!答えろ!!」
「…そこまで知られているのか。なら隠すことは出来ない、か…私がアリウス分校に居た頃は特務部隊ヴェスパーと呼ばれるメンバーの一人だった。ゲヘナには、戦力や学園の様子を定期的にあの陰湿で吐き気のする悪意を隠さない大人たちに伝えるために入った。アリウスを支配し、搾取し、虐げる大人達から自治区を解放するため少しでも戦力の増強を図るのが目的だ。」
額がつきそうな程に詰め寄り睨みつける目力を強めて私に問いかける。そこまでバレているとは思っていなかったがバレているなら良いかと思い正直に、魅友恵レッドの目を見て、そう告げた。信じてくれるかは分からないが…
「………」
「これは嘘でも否定でもない。」
「…良いだろう。その話は信じてやる。」
「だが!貴様を信じ万魔殿の首輪付きになってやることとは話が別だ!私は私より強い奴にしか従う気は無い!実力を見せてみろ、黒狼ラスティ!」
付いてこい!と部屋の後ろにある扉から外へ出た魅友恵レッドに続く。扉の先はアリーナとなっておりぐるりと外側を円状に観客席が囲っている。
静かになっていた周りの不良達は何事もなかったかのように私と彼女の闘いに盛り上がりを見せて背後で騒がしくしている。ドタドタと階段を上がる音が鳴り響き、次の瞬間には観客席が瞬く間に埋め尽くされる。
「これより歩く地獄と呼ばれたこの魅友恵レッドが直々に貴様を見極めてやる!構えろ!審議の決闘の始まりだ!」
「必ず貴方を引き入れて目的を達成してみせる!」
To Be Continuedだ!!
次回─「知らぬ者よ──」
やっと戦うのかよ。おっそ、コーラル食べたら?
という感想にも正面からぶつかる所存です。
行く末をどうするか
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『ヴェスパーの災禍』
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『アリウスの解放者』
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『壊滅』