即死魔法しか使えないカス 作:アオガミマン
想像して欲しい。
年の頃は14。退屈な日常に辟易した少年が、ある日突然"世界の真実"なるものを知らされる。
悪魔や天使、神の実在。人界の霊的な防衛を担うベテル──正確にはその日本支部──なる組織のこと、そして自らの持つ
想像して欲しい。
魔法に属性というものがあり、その適性を調べるためと手渡された計器が軽々と壊れる様を。そして告げられるのは、余りにも優れるゆえの測定不能。
ある種の魔法について、人類はおろか悪魔を含めても最高峰の適性があるらしい──スパイスとして、それ以外は壊滅的で、ゼロどころかマイナスでさえある、なんて言葉も添えよう。
想像するのは当然、最強の属性アタッカーだ。
誰だってそうだ。俺だってそうだった。
例えば炎なら、圧倒的火力ですべてを滅ぼす燃える男(物理)──
はたまた雷なら、雷速の攻撃で先手必勝、速戦即決の速すぎる男──
そんな想像は、しかし裏切られた。
現実の話をしよう。俺の持つ適性は破魔および呪殺。
つまり即死魔法である。
△△△△
ダアト:港区 ハママツチョウ龍穴の周辺
岩壁の隙間、通い慣れた道を通り抜け、開けた視界の先にダイモーンが多数いるのを確認。有無を言わせず魔法をぶち込む。
「マハンマバリオン」
炸裂した光がダイモーンを呑み込み、断末魔を挙げる暇もなく消し飛ばした。放出されたマガツヒを遮断するためマスクが微かな駆動音を立てるのを聞き流しながら、スマホを確認する。
戦闘時間1秒未満。移動時間込みで15分。今日のタスクはすべて完了。
窓際社員の如く簡単な仕事しか渡されなくなった、元”天才少年”の悲しき
破魔・呪殺系の魔法は、他の属性──炎や氷など──と比して少々特異である。威力で劣る代わり、弱点を突けば確率で敵を即死させる。
つまりどんなに強力な悪魔であれ、
比較にならないような木っ端悪魔が、最低威力のハマ・ムドを使ったとしても、幸運に恵まれるか試行回数を稼げばいつかは殺せる。
無限の勝ち筋──と言えば聞こえはいい。
知る限りのRPGを挙げたとして、即死魔法が強いタイトルがいくつある?それが答えだ。
即死付与という言葉に悪い予感がしつつも強い戦い方を模索し、結果手にした確率の壁を突破するための連撃系固有魔法。
当時ベテル日本支部において大きな問題となっていた強力な悪魔に対してそれを放ち──悪魔召喚アプリが<BLOCK>と表示を吐いた時、俺は吠えた。殺すぞ。むしろ死ねと。
もちろん破魔・呪殺が弱点の悪魔というのも多数存在する。最たる例は天使と堕天使。それぞれが破魔呪殺の一方を得意とし、もう一方を苦手とする傾向にある。
よし活躍の場だと考えるのは早計だ。なにせベテルには天使が多く所属する。この時点で呪殺の適性は腐り、それどころか味方に警戒される理由となる。
なら堕天使に破魔を向けよう、と思えばそれも無駄。大抵の天使は破魔が得意。つまり破魔アタッカーは供給過多である。
加えてプライドの高い彼らが自分の領分を侵されていい顔をするはずもなく──天才少年から一転。俺はいらない子になった。
「大変だったのねえ」
なんて愚痴をぐちぐちと通りすがりの邪神に語った。何故って命乞いと遺言の代わりである。
任務を終えて龍穴近くで休憩していたらクソ強そうな見知らぬ悪魔に声を掛けられ、こっそりと万里の眼鏡を砕けば絶望の破魔・呪殺無効。
こいつと戦闘になればマイナスの物理適性を拳に乗せて
そんな自暴自棄ゆえの正直な自分語りは、しかし彼女のお気に召したらしい。その邪神──ツィツィミトルは望外の温厚さを見せてくれている。
「あら、別に──すべての悪魔が狂暴なわけではないでしょう?」
「私は狩りのために来たわけでもないのだし」
貴方と違って、と微笑みながらの言葉に冷や汗が流れる。そこに”含み”を持たせるようなチンケな悪魔ではないだろうが、仮に『悪魔を殺して平気なの?』みたいなノリを発揮された場合肉壁を立てて全力で龍穴に飛び込む所存だ。
「だからそんなに警戒しなくてもいいのよ?」
無理に決まってんだろカスが。なんて言葉をなるだけ迂遠に表現して返す。
「そう?謙虚なのね」
「ところで、貴方つまりは”やりがい”を求めてるって事よね?」
随分俗な表現に面食らいつつ、戸惑いながらも同意した。チート無双してえという低俗な願望は、しかしそう形容できる事も確かだ。
下らない雑事──ちょうど今日の
「なら、ちょうどいいわ」
「私、貴方にお願いしたい事があるの──」
「月を統べるは夜の女王」
を受注しました
思い付いたら続きも書きます
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創世の女神編
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