即死魔法しか使えないカス   作:アオガミマン

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 創世と復讐どっち準拠でやるか迷った挙句保留のため雑な切り上げ。アンケートに託したいと思いますので是非ご協力を。


フレンドリーファイア

 

 敦田ユヅルは正義のヒーローである、なんて言うと少々気取り過ぎな感じがするが──やや大げさでも、それが事実であることは否定できない。させるつもりもない。

 現代科学と機械論的世界観に支配された平和な社会の裏側で、悪魔使いとして、人々を脅かす霊的な脅威と戦ってきた。自身もまた、霊的な力を用い、時に借り受けながら。

 

 そんな自身の経歴もあって、この悪魔蔓延る謎の砂漠──魔界、とでも呼ぶべきか──の中にあって比較的冷静だった。もちろん戸惑いは大きく、不安も拭えない。

 とある悪魔を追う中でトンネルの崩落に巻き込まれたかと思えば、広大な砂漠で目を覚ます。そんな状況で何も感じないほど、ユヅルは超人ではない。

 

 しかし、そんな苦境を理由に誰かの悲鳴を見逃すような真似はしない。なんて程度には超人(ヒーロー)であった。

 

 「あ、あのっ、お、おおおれ、ほんとになんにも知らなくて」

 「った、たまたま!たまたま迷い込んだだけなんです!」

 

 遠方から微かに聞こえる人の声らしき音、悪魔の罠である可能性も考慮して物陰に身を潜めながら近づく。舞い上がる砂塵の向こう側に、耳を澄ませ、目を凝らす。

 

 「お前が何を知ろうと関係ない──いや、問題ないと言うべきか」

 

 「っ本当に、気づいたらこっ──ここにいたんです、許してください」

 「お願いします、本当に、すぐ出て行きますから──」

 

 会話は上手く聞き取れないが、どうやら学生服の少年が何事か懇願しているようだ。彼を連れた謎の悪魔──バケツに顔を彫ったような頭部の人型──は、見る限りそれに応えるつもりはないらしい。

 

 「元よりお前をこの世界から追い出すのが俺の仕事だ」

 「黙って着いて来い。それがお前のすべき最善の行動で、お前に出来る唯一の事だ」

 

 「こっ殺さないで、ぁ助けてください──」

 

 ようやくはっきりと聞こえた会話は明らかにマズイ方に転がっている。今すぐにでも助けに行くべきなのだろうが──

 

 (──勝てるのか?!僕に!)

 

 一方的に目視しているだけなのに、耐え難いほどの重圧を感じる。散乱する廃車に隠れ少しづつにじり寄る足を、思わず止めてしまいそうになる。

 本能が、進むなと告げる。逃げ出せと。根源的な死の恐怖──どんな訓練でも、実戦でも、味わったことのない質のもの。

 

 (合理的じゃない。今僕が飛び出しても死人を増やすだけだ……)

 

 悪魔の足元に縋りつく彼を哀れだとは思う。だが──思い出すのは妹のことだ。敦田ユヅルが正義のヒーローを志した理由、唯一の肉親。

 

 (帰らなくては。ミヤズを残して死ねない……)

 (見殺しにしするのか? 悪魔に怯えて人間を見捨てましたと──日本支部の皆にそう報告する気か?)

 (だが誰が僕を責める?! 名前も知らないような人間のために、ここで心中しろって?!)

 (だが、だが──!)

 

 「モー・ショボー」

 

 葛藤の最中も時は止まらず、事態は動き続ける。スマホを構える悪魔が別の悪魔の名を呼んだ。脳裏をよぎるのは、自身の頼みの綱。悪魔召喚プログラム。

 

 (スマホ?!悪魔が?なぜ?いや、それよりも──マズイ!)

 

 「こいつを黙らせろ」

 

 加速する焦り。空転する思考──白く染まった脳内は、故に葛藤も残らない。

 

 (──クソッ!)

 

 ベテルより支給された()()()()を握り砕く。恐ろしい悪魔(バケツ頭)目掛けて、氷結の魔法(マハブフ)が投射され──呼び出した新手を盾に、あっさりと防がれる。

 

 「彼から離れろ!悪魔!」

 

 目いっぱいの虚勢を込めた叫びに、まさか気圧された訳ではないだろう。しかしバケツ頭が飛びのいたくれたおかげで、民間人の奪還はあっさりと叶った。

 

 「ああありがとう、ありがとう敦田ぁ……!」

 

 「礼を言うのは早い……とにかく僕の後ろに!」

 

 いっそこの場から離れさせた方がまだ生存の確率が上がったのかも知れないが、そんな事を勘案する余裕はない。

 

 「何するの!痛いでしょ!」

 

 いきり立つ新手の悪魔(モーショボー)も、よく見ればかなりの強さらしい。しかしそれと比してなお、バケツ頭から目を逸らせない。

 

 「面倒ごと……二匹目……」

 

 「ッ!」

 

 苛立ちを孕んだ呟き、一層増した威圧感に息を呑む──次の瞬間には一方ばかりを注視する失策を悟るハメになった。

 

 「無視?! もう──怒ったからね!」

 

 吶喊する凶鳥。攻撃は敵どころか勢いを殺すにも不足。回避は不可能。仲魔を呼ぶのも間に合わない。最悪のタイミングに死を幻視する。

 

 「"威光"」

 

 ゴウン、と。鐘を衝いたような重い音を伴って、突如上空から降り注いだ光の柱が()()()()()()()打ち据える。

 地面に激突して爆ぜた童女は、すぐに散逸するマガツヒに姿を変えた。

 

 「命じてねえ事をするな」

 「んで……お前はどういうつもりだ?」

 

 バケツ頭は仲魔を背後から撃ったきり、攻撃する素振りを見せない。

 

 「ベテル所属の──それも日本支部の悪魔使いだろ、お前」

 

 「な──」

 

 思いもよらぬ切り口にユヅルは絶句し、しかし一瞬の間に()()を唯一の勝機と定めた。

 組織なるものを解す知性、この短時間でユヅルの所属さえ明かす知識、その脅威を逆手に取ればあるいは。

 

 そんな思考が、ユヅルに悪魔会話(TALK)を選ばせた。誤解が開いた戦端を、更なる誤解が一時閉ざす。

 

 

敦田ユヅルは

悪魔に話しかけた……

 

 「ベテル所属の悪魔使いだな?」

 

 >そうだ。

 

 >ベテルの構成員と敵対する不利益を説く。

 

 「それはこっちの台詞だ」

 

 >どういうことだ?

 

 悪魔がスマホを見せつけている……

 

 「俺は──俺()、ベテル日本支部所属の悪魔使いだ」

 「そして正式な任務を受けてこの場に立っている」

 「どうやら誤解があったようだからここは目を瞑るが、これ以上の妨害は敵対とみなす」

 「わかったらソイツを引き渡して俺に同行しろ」

 

 >待て。

 

 「あ?」

 

 >彼をどうするつもりだ。

 

 「この世界から追い出すんだよ。それが俺の任務」

 

 >ベテルが殺人を許可したのか!?

 

 「いくらでも許可するだろう。だがそれがどうした?」

 

 >ベテルは罪なき人々を守るための組織だ。

 >悪魔召喚プログラムも、そのために託された力

 

 「ベテルは人を守るための組織ではないはずだが」

 「そもそもなぜ殺人を争点にしている?」

 

 >……

 >彼を殺すと言ったはずだ

 

 「何を──いや、もしかしてお前、ここが何処か知らないのか?」

 

 >そうだ

 

 悪魔?は大きくため息を吐いた……

 

 「あー、手短に説明するが、ここはダアト。ある種の異世界だ」

 「俺の任務はお前たちをこの世界から追い出し現実に返す事。理解できたか?」

 

 >ではなぜ彼を攻撃した

 

 「そりゃ要救助者が暴れてりゃ鎮静が必要だろ」

 

 >もっと穏便な手段があったはず

 

 「はあ?ならどうする。四肢でも落とすか?」

 

 >自分が面倒を見る

 

 「チッそうかよ。まあいい。誤解はあらかた解消したろ」

 「お仕事モードが萎えちまった……他に聞きたいことは?」

 

 >攻撃を仕掛けたことを謝罪する

 

 「ふん。仲間に攻撃されるのには慣れてる。……おっと、攻撃する方もな」

 「お前も気を付けろ。さて、行くぞ。そのモブは任せた」

 「ああ、一応自己紹介もしとく」

 

 「俺は()()磯野上リツ

 「今後とも、よろしく」




 なんとなく戦闘中の会話を特殊な感じにしましたが(悪魔会話はメガテンのキモかなと)不評なら辞めます。好評でも次あるかは保証できませんが。
 勘違いモノ特有の同場面を別視点で描写するヤツ、自分で書くと結構辛い

この小説の世界線

  • 創世の女神編
  • 復讐の女神編
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