主任夢小説不完全燃焼群   作:鍵主(ゴミ虫)in Hell

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主任要素薄いし夢小説かどうかすらあやふや


何書いてるかわからなくなってしまった

「何、書いてるんだ」

 

白い部屋、頬杖をつきながらノートパソコンに映し出された文字群を眺める。

文字群には自分が書いたであろう日記、書き置き、手紙、果ては小説まであった。これを眺めている自分は何者なのだろうか。これを書いた記憶がない。しかしこれを書いたのは自分である、という確信がある。とりあえず日記を流し読みすると、あるページが目に留まった。

 

 

8月19日(水)

今日は千一夜物語を読んだ。すごく面白かった。いつか全話読んでみたい。特にシンドバッドの冒険がすっごく面白かった。毎回同じような展開なのに全部わくわくしながら読んだ。

 

 

長々と本の感想が綴られていた。興味が湧かないので感想が終わるところまでスクロールする。

 

 

あと主任という存在を知った。すごくヤバいやつなんだって。面白そう。気になるなあ。なんか強くて、ヤバくて、面白い人?なんだって。明日になったら調べてみようかな。

 

 

主任という存在に興味を示している文で日記は終わっている。『今』の私に主任という人物に聞き覚えがない。次の日の日記を読む。

 

 

8月23日(日)

主任ってマジ激ヤバみたいだね。すごい刺さった。全てがタイプすぎる。会ってみてえなあ…話してみたい。戦ってみたくは無いかな。私AC乗れないし、MTも無理だし、なんなら自動車免許すら取ってないし。車の免許は取らなきゃなあ…ま、いつかね。そうそう、今日は映画を見たんだよ。すずとじは万病に効く。嘘だけど。だってもしも万病に効くなら私の病気だって治っているもの。

早く治るといいな。本当に。

 

 

日記は気まぐれで書いていたようだ。『過去』の私は何らかの疾病を患っており、そして自動車免許を取得していないらしい。あとすずとじという映画が好きなようだ。主任に関しては少ししか書かれていなかった。過去の私にとって主任というのは総じて好みの人間なようで、日記の『戦ってみたくは無い』から分かる通り好戦的な性格らしい。ACとMTという何かには乗れないのか。

ACにもMTにも聞き覚えがない。自動車免許の件で『なんなら』と書かれていることからACもMTも過去の私に取っては身近な存在なようだ。

また次のページを捲る。

 

 

9月1日(火)

すっげー久々かも。いや久々か。主任ね。マジ最高ベリーハッピーすぎるわ。全てがいい。性格口調身体強者頭脳全てが最高すぎる。ほんと好き。ガチ恋勢かもしれんってぐらいだな。でも調べたら自分以外存在してないっぽいな。私みたいな萌え方してる人。ざーんねん。しょんぼりーぬ。なんだか今日は異様に疲れちゃったしもう寝るか。あ・く・び。(は?)

 

 

短かったがとても濃い内容だった。過去の私は主任に恋をしていたらしい。魔性の人間、主任。どんなやつなのか気になる。どうやって調べたらいいのだろうか。

そう考えながら次のページを捲ると日記ではなく手紙だった。一文目は『主任へ』だった。ファンレターかラブレターか、それとも出せずじまいの手紙だったのか。全てを忘れてしまった今となっては知る由もない。いつかわかったらいいなと思う。

内容を要約すると、主任は13年前に死んだらしい。そして主任の関係者であるキャロル・ドーリーという人が人類を滅ぼそうと画策したが阻止された、などの内容であった。特に驚いたのは主任のバックアップの件だ。主任は機械だったのか。機械に恋していたなど…到底考えられない話だ。ファンレターでもラブレターでもなく、故人への手紙だったのか。

溜め息を漏らす。そうしてまた捲ると今までとは違う言語で書かれた文と、その下に今まで読んできた言語が書かれていた。エクスクラメーションマークの位置から、きっと上の文章を訳したのだろう。その隣には内容を要約した文章と、そこと何かしら関係のありそうな物語と歌詞の対比とやらについて、ぎゅうぎゅう詰めに書かれていた。熱量がやばい。

 

要約された文章には驚きの事実が書かれていた。ACを『ハイスピードメカアクション』と書いていた。意味は分かるかもしれない程度だが、創作におけるジャンル名のはずだ。つまりAC、MT、そして主任は創作物。全て実在しないのだと言う。その他にも『主人公』『AC世界観』の文字が。これは完全にクロだな。

過去の自分を軽蔑しながらページを捲る。だがそこには青色の文字で書かれた『パトリキ・・・ローマの貴族』『ノヴゴロド国・・・ヴァイキング達の国』などの単語がページいっぱいに書かれていた。カタカナの文字はほぼ意味が分からなかったが、たぶん何かで覚えるために書いたのだと思う。

 

最後のページには小説が書かれていた。ここで思い出すのも恥ずかしい程の稚拙な文字で綴られた物語だった。その物語には主任が出てきていた。主人公と主任の物語だった。恥ずかしすぎてこれ以上考えるのも辛い。でも「わかりませんでした」とかいう独白形式の小説はすこし面白かった。あくまでも自分の感想で他者からしたらどのような感想になるのか分からないがな。

 

 

最後まで読み終わり、欠伸をして背もたれにもたれかかる。

 

「はーあ。疲れた」

 

伸びをしていると白い部屋に似つかわぬ紫色のドアが開く。

 

「お疲れ様」

 

お盆を持った男性が入ってきた。

 

「本当に疲れた。この文字群ってなんだったんだろうか」

 

この人は誰だっただろうか。よく思い出せない。思考に靄がかかってしまう。特に問題は無い、と思う。

 

「これ、あったかいうちに飲んでね。それじゃ」

 

男性からホットココアを受け取る。身体の芯から温まる心地よい温度だった。私がホットココアを飲むのを見届けると去っていった。扉が閉まると外からガチャリと鍵がかけられる音がした。此方に鍵穴は付いていない。外側からしか開けられない仕組みだ。

特に問題は無い、と思う。1日3食プラスおやつ。水回りも整っているし、娯楽は尽きぬほどある。外には出れないが、それを差し引いてもかなりの好待遇だろう。何故あの男に軟禁されているのかは分からないが、特に考えるようなことでもない。

 

疲れた。すこし寝よう。ココアを飲み干しノートパソコンに充電コードを挿す。電気を消して大きなベッドに飛び込んだ。ふかふかの掛け布団にに肌触りのいいシーツ。今日も幸せな一日だ。微笑みながら眠りについた。

 

2024/10/12

一部ノンフィクション

 

 

 

 

「蛇足」

 

「おーい、起きて。晩飯だよ」

 

耳に優しいハスキーボイスで起こされる。

 

「んー……」

 

寝ぼけた視界にはいつもの男性が映っていた。

 

「ごはんね、いま起きる」

「今日はカレーだよ」

「………!」

 

カレーという単語を聞いた途端、目が醒めていく。大きく切られた食材たちに絡められた甘口のカレールー、そして噛めば噛むほど旨みが広がる白米。このカレーはどんな有名料理店のカレーよりも絶対に美味しいだろう。たぶん。

 

「ありがとう」

「食べ終わったら呼んでね。デザートはウサちゃん林檎だよ」

 

ベルが描かれたボタンが付いた機械を渡される。このボタンを押すとこの人が来てくれる。食事の時間などの時だけこの通信機器が渡される。

 

「わかった」

 

何時ものようにドアを閉めて鍵をかけられる。逃げないのに。

 

「いただきます」

 

バクバクと味わいながら食べる。そうして食べ終わると機械のボタンを押した。すぐに鍵の開く音がして男性が入ってきた。

 

「ご馳走様でした」

「お粗末さまでした」

 

カレー皿とウサちゃん林檎の皿を交換する。美味しそうだ。しゃくしゃくとした食感で食べる手が止まらない。最後のひとつを口に投げ入れる頃には腹七分になっていた。

 

「ごちそーさまでした」

 

さっきと同じことをもう一度する。

 

「今日のご飯もすごく美味しかったよ」

「………ありがとう」

 

男が少しだけ目を伏せた。

何だ? 良心の呵責でもしてんのか? 今更?

頭の中にクエスチョンマークを掲げる。不思議そうな顔をしながら首を傾げると男は出ていった。

 

「風呂、入るか」

 

風呂はすでに沸かされていた。自分でやった記憶が無いので、きっと男性がしてくれたのだろう。体を念入りに洗って泡を洗い流す。さっぱりしていく心地よさがたまらない。

 

「ふう〜」

 

湯船に浸かり身体の芯から温まっていく。気を緩めると寝てしまいそうだ。一度だけ風呂場で寝てしまい、真っ青な顔で焦っている男性に起こされたことがある。のぼせていて頭がうまく回らなかったが、あの時の顔は滑稽だった。その後泣きながら怒られたが。良心が痛む思いは二度としたくないので早めに上がる。最後に軽くシャワーを浴びてから風呂場から出た。時計を見るとだいたい30分ほど入っていたらしい。普通だな。

 

「寝るか」

 

歯を磨いてスキンケアをする。これはなんとなくおねだりをしたら貰えた物だ。化粧をするわけではないが肌が綺麗だとなんだか元気になってくる。だが髪は乾かさない。ショートカットだし、めんどくさいし。電気を消して寝る。いつもと同じ、変わらぬ一日だっ

 

今日も幸せな一日でした。

 

2024/10/12

一部ノンフィクション

 

 

 

 

「もっと蛇足」

fiction

 

「おい」

 

だんせいのこえが聞こえる。

 

「起きろ」

 

声ばーさす眠気 ふぁいっ!

 

「起きろよ」

 

なんだか、起きなければならない気がした。

両手を支えにして起き上がる。焦点が合わないが男性の方を向いて腕を広げた。なぜ腕を広げたのかは自分でも分からない。かけ布団は蹴っ飛ばした。

 

「ん」

 

男は何も語らない。

 

「ん」

 

焦点が男性に合う。

男は今にも涙を零しそうな、悲しげな顔をしていた。

 

「こっち来て」

 

埒が明かないので男性を抱きしめて布団にダイブする。

 

「こういう時はね、寝るのがいいんだよ」

 

何も返答はなかった。

 

「おやすみなさい」

 

温かい抱き枕……ではなく、男性を抱きしめたまま眠りについた。

 

寝息を確認した男は、小さく抱き返した。




2024/10/12
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