主任夢小説不完全燃焼群   作:鍵主(ゴミ虫)in Hell

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作者は酒をあまり飲まないのでエアプ気味かもしれません


五感があるタイプの主任

「しゅに〜〜〜ん♡♡♡♡」

 

今の自分はきっとデレッデレのどろどろに溶けたような顔でもしているだろう。

 

「・・・・・・もう水飲んだほうが」

 

「あれれれれ〜〜〜〜????? 普段ならもーーーっとおっきな声で挨拶してくれるんだけどなぁ〜〜〜〜???^^」

 

酔っ払っていた。

3分くらい時を戻そう。

 

 

どうして行ったのかはもう忘れたが、主任のACが置いてあるガレージから帰ってきた。

誰もいない部屋には誰が置いたか知らんが、自分の机に蓋が開いている水があった。喉が渇いていたので一気飲みした瞬間、気管から鼻まで突き抜けるようにアルコール臭が溢れ出てきた。酒で鼻がツーンとしたということだ。

自分の家系にはワクが多く、自分もザル*1だった。だが流石にこの量を一気飲みはキツく、普段よりもアルコールの回りが早かった。

 

「っっっっ・・・・・ん?」

 

そこらへんに置いてあった水を一気飲みしたのはさておき、様子がおかしい人になりかけて真っ赤になっていく顔を眺める。

顔が真っ赤になっていく私を見た主任は、空っぽになったコップに義体の鼻を近づけると顔を顰めた。

 

「酒か・・・・」

 

主任は顰めっ面のままコップを眺める。どうしてここに酒があるのか、とでも思っているのだろうか。

 

「しゅに〜〜〜ん♡♡♡♡ 私主任大好きなんすよ〜〜〜♡♡♡♡」

 

「知ってる」

 

「んもーー素っ気ないなーーーッッッッ!!!! でもそこも大好きーーー♡♡♡♡」

 

「しゅに〜〜〜ん♡♡♡♡」

 

「・・・・・・もう水飲んだほうが」

 

「あれれれれ〜〜〜〜????? 普段ならもーーーっとおっきな声で挨拶してくれるんだけどなぁ〜〜〜〜???^^」

 

赤裸々々々々々々々に酔っ払いながら煽っているような告白をする。主任にバレている、というか聞かれたら素直に返事をしているからか、主任だけ知っている人は『主任を好いている人がいる』、私だけ知っている人は『片想いをしているらしい』というように認識しているそうだ。

 

「主任ってばいっつもやばやばな言動なくせにそれぜーんぶ演技だなんてさいこーにきゅーとでくーるですねぇぇぇぇ、ふふふふふふふふふ」

 

笑いが止まらなくなってきた。どれくらいかというと戦闘時に愉悦で笑っている時の主任並みだ。

 

「あははははははは。は」

 

主任を置き去りにしてどんどん一人で話す。

 

「いやーでもでもー、主任のあのわらいごえとかつよいのとかかっこいいのもぜーんぶかわいいねーすっごくすきなのさーもっともっと聞いてたいなっておもったりさねじゃけんに、にゃはははは、んちゅー」

 

酔っ払って回らなくなった頭が思いつくままに喋り、主任の左手薬指の根本にキスをした。普段ならそんな行動どころか思考にも至らないのに、酒とは危険なものかもしれない。

 

「えっ、ちょっ」

 

何度もキスをしたが、物足りなくなってパクリと薬指を食べてしまった。義体は人工皮膚で覆われており、人のと何ら変わりがない。官能的、とは言い難いが舌でじゅるじゅると指を味わう。この指は物を使うためだけに存在している。それを食べ物のように舐めまわし、吸い付き、奥歯で甘噛みをする。じゅるじゅるぺろぺろと主任の指をふわふわとした気分の中、この時間が永遠に続けばいいのにと頭の片隅で思ってみる。

だが、何事もいつかは終わりが来るもの。この永遠にも感じられた心地よい時間はあっさりと打ち切られてしまった。

 

「やめろ」

 

主任が本気で怒っているのだろう。名残惜しいが口から出す。

 

「あーんっ」

 

じゅるりと口から出そうとしたが、やはり名残惜しいので歯形が付く程度の強さで根本を噛んだ。どうせ痛覚は無いのだろう。噛んだところで痛みは

 

「痛い」

 

「えっ」

 

痛覚が無いと思っていた。驚きで口を閉じることも指に付いたままの唾液を拭うことも忘れ、放心した。

唾液が床に落ちた瞬間、一気に正気に引き戻された。アルコールが急速に抜けていくように青ざめていく。

 

なにをした

わたしはなにをした

 

「・・・・・ごめんなさい」

 

デレデレだったとか、職場で酔っ払っていたとか、そういうの抜きにしてもめちゃくちゃな気分だった。

右往左往する視線を正面へ向ける。

 

「・・・・・その、まさか、主任に痛覚があるとは思わなくて」

 

主任は私を一瞥した後、薬指の噛み痕を見る。

 

「薬指ねぇ、エンゲージリングみたいだな。どうせならマリッジリングにしちゃう?*2

 

何を言いたいのかを理解したのか、顔があからさまに真っ赤に染まっていく。だがこれがいつものおふざけなのかがどうかが気がかりだった。

 

「えっと、それって」

 

「ふざけてこんなこと言わない」

 

本人に断定された。どのような意図があるのかは未だ知り得ない。だがエンゲージリングではなくマリッジリングと言っているあたり、期待をしてしまう。すぐにでも砕け散ってしまいそうなほどの淡い期待を。

 

「じゃあ、お願いします」

 

緊張で身体中を血液が回る。顔どころか手も足も朱へと染まっていく。おそるおそる手を差し伸べる。まるで指輪交換をしているみたいだ。

主任は手を優しく握ると口へと持っていく。

 

ガチリ

 

痕が残るほど噛まれたからか、反射で涙が出る。だが同時に喜びの感情での涙も溢れてきた。この遊びは主任にとってはメモリの1bitにも残らないようなものなのだろう。だが私にとっては永遠の宝物となった。

 

「痛い・・・・けど、すごく嬉しいです」

 

「Mかよ」

 

「はは・・・そうかもしれませんね・・・」

 

明日、主任は黒い鳥(イレギュラー)と戦うらしい。その、残念だが、きっと主任は負けてしまうだろう。全力で戦って、それで負けるだろう。主任たちが戦っている頃にはこの歯形は消えている。二度と歯形をつけてもらうことも、話しかけてもらうこともないだろう。たとえ義体が残っていても主任がいなければ意味がないのだ。

 

 

 

「愛してます」

 

一人になった私は、歯形に塩味のキスをした。

*1
ワク>ザル>一般人>下戸

*2
エンゲージリングは婚約指輪、マリッジリングは結婚指輪




2024/9/10
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