俺たちはあの死神と名乗る奴から何とか振りきった。あいつ死神と名乗っていたけど、一体誰なんだ?いつから俺が仮面ライダーであることを知っていたんだ?それにミハエルもあいつのことを知っているらしいのはともかく、プロトドライブとの関連性も気になる。死神はドライブの性能を知ってるかのような戦い方をしていたし、俺よりも一枚上手だった。
けど、それと同時に気になることもあった。死神がアリスの方を向いた時、何故か武装を構えずに下ろしていた。ということはまさか…………いや、そんなことは無いか。
「進也?…どうかしたの?」
「え?…いや、何でもないよ。」
アリスは俺の表情を見て話しかけてきた。気にかけてきたのか。
俺は普通の表情に戻して言い返す。
「なぁ、アリス。あの時はよく死神の放った技を弾いたな。」
「私はドライブに助けてもらった。だから私にできることをしたいと思ったからよ。」
「なるほど。たとえ変身者が違えど、ドライブが助けてくれたことに変わりはないってか。」
『進也、アリス、そろそろ目的地の上に辿り着くぞ。』
ミハエルの言葉を聞いて窓を見上げると、例の渦が真上にあった。俺はその場で停車し、ミハエルを装着してトライドロンから降りる。アリスも同じく降りた。
「さて、空を飛んであの渦に飛び込むのか?」
「それ以外ないわ。進也、貴方は空を飛べる?」
「もちろんさ。じゃないと冥界行けないしな。よし、行こう!」
会話を済ませ、俺たちは空を飛んで春度を吸い込む渦の中へ入った。辺りは真っ暗だが、このまま直進し続ける。
しばらく飛んでいると、その先に階段があった。
「階段があるわ。」
「その先に元凶がいるのか。」
俺たちは階段の上に着地すると、また長い階段を歩く。空を飛んだ次は徒歩でか……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
長い階段を渡っていき、ようやく上まで辿り着いた。あの階段、万里の長城のように長かったな。おかげで足パンパンだよ。
「はぁ、長い階段だったな…。」
「ええ。予想はしてたけどこんなに長いなんてね…。」
確かにいくら何でも長かった。冥界にいる元凶ってこんな万里の長城みたいな階段作るか?まぁいいや、こんなところで愚痴を溢してもしょうがないか。それにしても春度が集まってる分、ここは暖かいな。
「よし、元凶を見つけるぞ。」
『待て進也。目の前に誰かいる。』
俺たちは進もうとすると、ミハエルに呼び止められ、前を見る。
そこには警護人と思われる少女が立っていた。容姿は銀色のショートボブに黒いリボン、白いシャツに緑色のベストとスカート、そして背中に背負った二本の刀と少女の側にいる魂。半人半霊か。
「あなた達は何者ですか?ここは生きた者が来る場所ではないですよ?直ちに元の場所に帰りなさい。」
「悪いけど、そうはいかないな。こっちだって用はあるんでな。」
「春度を奪われた影響で友人が仮死状態なのよ。だから春を返してくれたらすぐにここを退くわ。」
俺とアリスは春度を返すよう少女に訴える。
「……だったらお引き取り願います。」
少女は背中の刀に手をかけながら再び断った。
「お前の名前は何だ?」
「私の名前は魂魄妖夢です。」
「俺は炎斗群進也だ。」
「私はアリス・マーガトロイドよ。」
俺たちは名前を名乗る。少女の名前は妖夢と言うらしい。
「とにかく、今すぐここから立ち去りなさい。さもなくば………。」
妖夢は凄まじい殺気と威圧を込めながら刀を抜いた……やる気か。
「平和的交渉は無駄か…。」
『こうなった以上、戦うしかないようだ。スタート・ユア・エンジン!』
「変身!」
『ドライブ!タイプスピード!』
俺はドライブに変身すると、右手に装備されたハンドル剣で構えを取る。すると、ハンドル剣は轟くエンジン音と共に刀身に炎を纏った。
「さぁ、ひとっ走り付き合えよ! 炎閃【ヴァンガードアクセル】!」
俺は先手必勝の如くスペカを発動させ、弾幕を放ちながら炎を纏って妖夢に突撃する。
だが妖夢は素早い剣捌きで弾幕を弾いていき、突撃する俺を受け流した。
「修羅剣【現世妄執】!」
俺が着地した瞬間に妖夢がスペカを発動し、刀を振って大規模の弾幕を放ってきた。ちっ……数が多いな。
俺はすぐにキーを回してスピードを三回倒す。
『スピード!スピード!スピード!』
そして加速し、ハンドル剣で弾幕を弾きながら妖夢の弾幕を避ける。
「くそっ…振り切れそうにない…!」
「どうですか?私のこの楼観剣から放たれる弾幕は?妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど……あんまり無い!!」
妖夢は弾幕を放ちながら少々誇らしげに断言した…けど台無しだな。何で“あんまり”を入れるんだ?せめて「無い!」って断言すればいいのに……とは言っても、あいつもなかなかやるな…。
「!?」
妖夢が俺に弾幕を放っていると、突然妖夢に槍で武装した人形達が一斉に突撃してきた。
「ドライブは私が助ける。絶対に…! 咒詛【魔彩光の上海人形】!」
アリスは自身の決意を言い、妖夢に向けて大量の弾幕を放った。
妖夢は武装した人形を蹴散らすと、弾幕を避けながらアリスに接近する。
「確かに貴女の器用さは凄い。けど、無駄です!」
妖夢がアリスに斬りかかろうとしたその時、ワームホールが開いてそこからキャブ、ベガス、ハンター、モンスター、ミキサーが現れて妖夢の一撃を妨害した。
「っ!?くっ、この…!」
「はあああああ!!」
俺は妨害を受けている妖夢に接近し、突き飛ばす。
「輪符【ストライクホイール】!」
そしてスペカを放ち、妖夢を攻撃する。
「ったく、無茶するなよ。」
「私にできることをしただけよ。」
アリス………。
「くっ…………私を本気にさせましたね…!?」
妖夢はそう言うと、背中からもう一本の刀を抜いた。
「こうなった以上、貴方達を生かす訳には行きません……ここで斬ります…この楼観剣と白楼剣で!!」
ついに妖夢は二刀流になって本気になり始めた。妖夢は俺達に急接近すると、二本の刀を振り下ろしてきた。
「アリス、下がってろ!」
俺はアリスにそう指示を出すと、妖夢の攻撃を受け止める。
「くっ…何だ?…このパワーは!?」
『二刀流わ使いこなしているだと…!?』
俺は必死にガードするが、そろそろ限界だ。仕方ない、こうなったら俺も二刀流になるしかない!
「光剣【クラウソラス】!」
俺も二刀流になり、妖夢に反撃を仕掛けるが、弾かれてしまう。熟練度の差か…!
「素人の剣技で、私を倒せると思ったら大間違いです! 六道剣【一念無量劫】!」
「ぐあああっ!」
「進也…!」
俺は妖夢のスペカを喰らい、そのまま吹き飛ばされる。だめだ、馬力の違いで何度やっても押される…!このままだとやられる…!
キュイィィィィィン!!
「!?」
諦めかけたその時、突如謎のシフトカーが妖夢を攻撃し、そのまま俺の手に渡った。
「これは…?」
『おお、シフトワイルド!調整が完了したんだな。進也、それでタイプワイルドになれ!』
「いよいよその時か、よし!!」
希望が見えてきた。ついにシフトワイルドが完成したんだ。よし、今こそ反撃の時だ!
俺はすぐにキーを回し、スピードの代わりにワイルドをブレスに装填、そしてそのままレバーを倒そうとした。
「あれ?何で?何で倒れないんだよ!?」
レバーは倒れなかった。一体何故だ!?
『今のお前のギアとシフトワイルドのギアが噛み合わない。パッションが低いんだ…。』
「畜生……こんなときにかよ…!」
絶体絶命か……今の俺じゃ二刀流でも妖夢に対抗できる筈がないし、タイプワイルドにもなれない…………………………
いや、一つだけある。
「さぁ、これで終わりです!」
妖夢は俺が戦意喪失したと思い込んで歩み寄り、刀を振り下ろした。今だ!
「黄金蝶【バタフライフォース】!」
「…!?」
俺は妖夢の一撃を受け止めて押し返す。それと同時に俺の背中にまた蝶の羽が生えた。
『これは…紅魔館の時の…!』
「まさか早い段階でこれを使う羽目になったのは俺も焦ったよ。」
「…綺麗…。」
アリスは俺の背中に生えた蝶の羽に見とれている。俺は千津瑠の力を借りたのはこれで二回目だが、アリスや妖夢にはこれが初披露だ。
「何が起きたか知りませんが、貴方を斬ることに変わりはありません!」
妖夢は再び斬りかかるが、俺はその攻撃を受け止め、そして妖夢の持っている二本の刀を弾き飛ばす。
「なっ!?」
「悪いけど、この勝負は俺達の勝ちだ! 光速【スターバースト・ストリーム】!!!」
俺は16連撃を叩き込み、妖夢を吹き飛ばす。
「うぐっ……!」
妖夢は向こうの壁に激突して気を失った。
「はぁ……はぁ……。」
俺は変身を解除し、その場に座り込む。
「進也!」
アリスが駆け寄ってきた。
「今のあれ…進也が言っていた…。」
「ああ、これは千津瑠が与えてくれた力だよ。」
千津瑠のことを察したのか……。
俺は立ち上がると、妖夢のところに歩み寄る。
『完全に気絶しているな。』
「うーん、やり過ぎちゃったか…。」
「こうなると自力で探すしかないわね。」
アリスがそう言ったその時、俺の脳裏に怪しい気配が近くにいることを知らせた。
「いや、手間が省けたぜ。」
俺はそう言い、桜の木がある方向を見上げる。そこには一人の女性が浮遊しながらこちらを不気味な笑みで見つめていた。
次回 東方加速戦士
進也達はついに異変の元凶・西行寺幽々子と対面する。幽々子は用心棒として手配したロイミュード101を呼び出すと、それを見たアリスが何故か怯え出した。
1対2の対決を余儀なくされ、苦戦を強いられる進也。幽々子は余裕の表情を浮かべるが……。
次回[幽々子はなぜ西行妖を満開にしたいのか?]
スタート・ユア・エンジン!