アルビオンの憂鬱 with アヴァロン・ル・フェ   作:水平対向エンジンアルビオン

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アルビオンのイメージは鎧からもそうですが、オーバーロードのツアーを意識しています。




第二話 異聞と妖精國の人付き合い

 

 

モルガンによって縛られていた青年、ベリル・ガット。彼はアルビオンの執り成しもあって一応は自由の身となり、監視付きで周辺を探索し、己に充てがわれた世界を見て息を呑んだ。

 

彼が来た世界を一言で表すのなら、妖精と人類が共存を成し得ている世界だろう。その歴史を遡れば、神と竜、妖精の人間の話に行き着く。彼自身はこの世界の成り立ちにそれほど興味を唆られることは無かったが、如何せん存在する者達がビッグネームだらけで混乱さえしてきている。

 

人類代表のアーサー。汎人類史のアーサー王とは似て非なる者ではあるが、汎人類史では敵対していた宿敵ヴォーティガーンを相棒の様に従えており、竜騎士として名を馳せている。

 

妖精の方へと目を向ければ、星の聖剣を鍛えた伝説の妖精達が控え、その上に古今東西の有名所が名を連ねている。

 

そして何よりも目を引くのは、境界竜の存在だろう。汎人類史では霊墓と成り果てていた筈の存在が健在であり、その娘すらいる始末。

 

「(こりゃ話が違うぜ、キリシュタリア)」

 

彼はこの場にいないリーダーの姿を思い浮かべては悪態をついている。その後、彼は本来在って然るべきモノが無いことに気付き、更に混乱する事になるのを彼はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「異聞帯についてですか?」

 

『そうだね。君の反応を見るに、どうも彼の事を知っているみたいだったから気になってね』

 

あの青年、ベリル・ガットの縄を解いて解放してやった。彼が我々に害を成す存在側なのは理解しているが、まだ実害が出た訳ではない。だから監視を付けてその動向を見ることにした。そして僕は、彼の事を知っているであろう彼女に、詳細を尋ねた。

 

 

モルガンが言うには、彼の元居た世界では七つの異聞帯とやらを配置し、どの異聞帯が新たな世界足り得るかを争っているそうだ。異聞帯とは先が見えて発展する可能性のない世界で、並行世界を含めた世界全体の運営に辺り、不要と判断された世界の事らしい。そして異聞帯には空想樹と呼ばれる巨大な木が生えているらしいけれど・・・。

 

『そんなにデカい木なんてあったかい?』

 

「いえ、我々が住む世界に空想樹なんて物は生えていません。それは貴方の方が良く知っているのでは?」

 

ふむ、確かに。でも異聞帯はその空想樹とやらが無いと存在出来ないんじゃ無いのかい?

 

「元々存在したブリテン異聞帯には確かにありました。ですが、我々はそのブリテン異聞帯の上にテクスチャを上書きする様に現れた。これが我々の状況を理解する上で分かり易い解釈でしょう。それにその空想樹もリソース代わりに利用して既に枯れ木の状態。今は彼等の力を借りて別物になっていますが」

 

成る程。でも、それと世界が維持されている状況はどう説明するんだい?

 

「星の聖剣、境界竜。そして他にも世界を維持し続けている要石は多分にありますよ。それに役割は増えても元は木ですから」

 

そうか。僕もその一つに数えられているのか。それだったら君達が頑なに僕をブリテンに留まらせるのも納得だ。

 

それで?僕達はこれからどうするれば良いのかな?

 

何れ世界の外から敵が来るかも知れないとなれば、相応に警戒も必要だろう。

 

「その為の妖精騎士です。彼女達は我が國を守る盾であり剣です。無論、貴方にも頑張ってもらいます」

 

善処するよ。所でモルガン?

 

「はい」

 

トネリコには今回の事を言わなくても良いの?彼女なら快く助力してくれると思うけれど。

 

「母は・・・ダメです。いえ、ダメでは無いですけど・・・」

 

急に顔をを逸らした。それに歯切れが悪い。彼女とトネリコの親子仲は悪くない筈だけど・・・。

 

何かあったのかい?

 

もう一度聞くと、彼女は渋々話し始める。

 

「実は、そろそろ孫を見たいと言われまして。現状が現状なのでそんな暇は無いと言ったら、見繕うと言い始めて・・・」

 

半ば喧嘩して飛び出したままらしい。しかし、あのトネリコがねぇ。随分と歳をとったものだよ。それよりも妖精って子供を産めるのかい?何となく自然発生するものだと思っていたけれど?

 

そう考えているとモルガンは僕に理由を教えてくれた。どうにも始まりの六人。その次の世代辺りで人間の子作りに興味を示した妖精が居たらしく、自らに生殖機能を与えて、人間側にも色々と施して交わったらしい。それからも定期的に物好きが現れて似た様な事をしているみたいだ。

 

「今のブリテンに住む住人の内訳も純粋な人間が2割、妖精が3割、後の5割は妖精と人間の混血やその子孫です」

 

一万年で混血が5割か。お盛んだね。でも確か、議会に参加する妖精の中にも自称「愛の伝道師」が居たよね?あのいつもニコニコ笑ってる・・・。

 

「オーロラですか?その話はやめて下さい。20年前に結婚してから、既婚者マウントを取られて困っているんです」

 

そうそう。オーロラね。

ソールズベリーの領主だった筈だけど結婚してたんだ。お相手は?

 

そう聞くとモルガンは僕の前足をゲシゲシと蹴りつけてくる。どうにもあまり良い印象が無いみたいだね。後でバーヴァン・シーに聞いてみるか。物知りの彼女なら教えてくれるかもしれない。

 

まあ、それはそれとして話がそれてしまったけれど、トネリコの力は借りたいからどうにか話をしてくれよ。駄目ならアーサー経由でも良いからさ。モルガンは渋々ではあるが、僕からの提案を快諾してくれた。近い内に一度、妹のアーサーを伴ってオークニーに行くらしい。

 

あの双子はどちらが姉で妹かいつも喧嘩をしているけど大丈夫かな。まぁ、頑張ってね。

 

 

 

因みに、モルガン不在の折に城の給仕をしているバーヴァン・シー(妖精騎士非番時)にオーロラの結婚相手を聞いたら教えてくれた。

 

旦那さんの名前はシェイクス・ピアーと言うらしく、作家をしているとの事。出会いは劇場で、旦那さんが一目惚れしたらしい。

 

良く知ってるねと感心したら、胸を張って「情報は最大の武器です」と誇らしげに話していた。流石は諜報部隊だと褒めておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレの名はヴォーティガーン。

 

かつてはブリテンを崩壊させる破滅機構だったのだが、今はアーサーの相棒として平穏に暮らしている。今日も日課である鍛錬をしていたんだが、休憩中に女王のモルガンがアーサーに会いに来た。

 

アーサーとモルガンは双子の姉妹だ。

 

会う度にどちらが姉、妹かで喧嘩をする。だが今日は様子が違う。妖精國を揺るがしかねない問題解決の為に、母であるトネリコに協力を取り付けたいとの事だ。

 

アーサーは「自分で行けばいいじゃん」と言い、対するモルガンは「お母さんと喧嘩して気不味い」と言っている。二人共、妖精國の中では年長者の方だが、たまにポンコツになる。今も姉妹論争が勃発し、

 

「ならばどちらが姉で妹か、決着をつけますか?」

 

「良いでしょう。いい加減決着をつけなくては思っていた所です」

 

「ヴォー君!判定をお願い」

 

「くれぐれも平等に判定する事です。贔屓があれば只じゃおきません」

 

勝手に審判として立ち会いを強要されている。

 

二人の争いは基本弁論から始まる。最後には魔術によるガチンコバトルになるが、それを全て見るこっちの身にもなって欲しい。だが、それが出来ている事こそが世の中が平穏である何よりの証拠だ。

 

それにはアルビオンの叔父貴を始め、多くの者達の苦労があった。俺も迷惑をかけた側であるため、大きな事は言えないが、そろそろ時効でも良いだろう。兎に角今は、目の前の事に集中することにしよう。

 

あ、アーサーが吹き飛んだ。

 

モルガンも川から下半身だけを出している。これはもう暫く掛かりそうだ。二人共、本来の目的を忘れていなければ良いが・・・。

 

 

 

 

 





ベリル君

現場の様子がおかしく。混乱中

オーロラ

綺麗なオーロラ。近年結婚した事で「愛の伝道師」を自称する。領主の仕事の傍らで領民の恋愛相談もする。
旦那は作家のシェイクス・ピアー
間違ってもシェイクスピアではない。

バーヴァン・シー
普段は妖精騎士。非番時はキャメロットで給仕をしている。諜報部隊におり、情報通である。

トネリコ
モルガン、アーサーの母。ウーサーとの間に双子を設けた。最近、孫の顔が見たいと言っているらしい。ウーサー君とは既に死別。ウーサー君の分まで孫を可愛がりたいらしい。


竜騎士アーサー

黒竜ヴォーティガーンに騎乗した騎士。その姿、性格は原作のアルトリア・キャスター。モルガンとはどちらが姉で妹か良く喧嘩している。

相棒のヴォーティガーンと共に空を翔ける。母トネリコと喧嘩して家出をした際に傷付き倒れているヴォーティガーンを発見、保護。紆余曲折があり、良き相棒として共に行動している。



妖精國における住人の増え方。

1、人間同士が結婚して子を設ける。
2、自然発生で妖精が生まれる。
3、妖精が人間と交わる(その際は双方に色々細工をするらしい)。

3つ目に関しては、頭のイカれた先駆者(変態)の熱意の賜物。

おや、ではトネリk・・・その先は破かれて見れない。
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