ソードアート・オンライン~悲運なβテスター~   作:鍵の剣

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 はじめましてこんにちは、私の名前は鍵の剣といいます。
今回SAOの話を書かせていただきましたが、以前にも同じ内容の物を投稿していましたが、しばらく小説から離れていたので更新が途絶えていました。その頃から読んでくださった方には申し訳なく思います。
 同じ内容の物とはいいましたが、話の流れが同じというだけで内容は新しく書き換えさせてもらっています。更新は定期では難しいので投稿を気長に待ってくれればと思います……。

 長い挨拶になりましたが手に取っていただきありがとうございます、自分の話で楽しんでいただけたら作者としてこれほど嬉しいことはありません。ではどうぞ~ 


悲運の始まり

 VRMMOとしてソードアート・オンライン(SAO)が発表され、βテスターとして抽選で1000人に2ヶ月間のテストプレイが実施され、俺はこの情報を聞いて直ぐに応募して見事に当選した。それからの2ヶ月は勉強もろくにせずにSAOに没頭する日々を送り続け、半分を経過した頃には学校に行っている時間ですら勿体無いと考え始め、親に気分が悪いと嘘を付き仮病を使って学校を休んでまでSAOに没頭した。ある時は仮病でベットに寝ていたり──もちろんナーヴギアを被ったままだが──またある時は学校を早退などありとあらゆる手を使いSAOをプレイする時間を作っていた。恐らくこういう状態を世間ではネトゲ廃人と呼ばれているものだろうがそんなことは全然気にしてなどいなかった。

 しかし、そんな日々を送っている時に予想外な事態に直面することになった。学校を休むための仮病や、早退が学校側から両親に連絡が入ったのだ。この事態を知った俺はすぐさま部屋の前に簡易ながらバリケードを築き両親の侵攻を防ぐ態勢に入るが、両親の怒涛の勢いで階段を駆け上がる音は凄まじいものだった。もちろんそんな防衛線は簡単に突破され、両親から生涯これほど怒られただろうかと考えながらも、今の攻略パーティーはどれくらい進んだのだろうか? と考えていた。

 そんな2ヶ月のテストプレイはあっという間に終わり、両親からPCの監視が付く等の仕打ちはきていたが、SAOをしていないのならPCにそれほど噛り付く必要も無いので両親の機嫌を取るために勉強を続けた。SAO公式サービス開始までにはこの両親のPCの監視を解かなければ俺のSAOライフを送れないからだ。それからしばらくいつもの日常がまた訪れ、俺は10月31日のSAOの発売日及び正式サービスの開始を心待ちにしていた。

 

10月31日午後13:00ついにこのときが来た。

 ナーヴギアをかぶりβテストのデータを引き継ぐ形でアカウント名Soraを使用してリンク・スタートする。このアカウント名も単純に本名から少々頂いている程度の簡素なものだが、ネットでの名前なんてそこまでは気にはしないだろう。

 

 

第1層─はじまりの街

 

 目を開ければそこには両親との壮絶な死闘をした自分の部屋ではなく、仮想世界SAOの第1層はじまりの街が目に映り、他のプレイヤーも次々にログインすることで街はかなり賑やかになっていく。ログインしてくる人達の姿はみんなイケメンに可愛すぎる女性プレイヤーがわんさかいるが、これはある意味でのお約束なのか女性のアバターのプレイヤーが僅かながらも多く見える。まあ……自分の姿は女性ではないにしろ現実世界で超が付くほどのイケメンアバターなんですけど……。

 SAOのようなVRMMOが始まる前では、現実では男である俺はある意味では女性のアバターを使ってみたいという興味で女性アバターを使用したことがあったのだが、あまりの勝手の違いに驚愕してしまった。男には無いはずの胸部の重みを感じたのだ。作った時にはその姿には興奮したが、動かして胸部を少し意識してしまうと動いていてもついつい目線が下に下りてしまうことからこんなでは動きが鈍くなると考え女性アバターは諦めて男性アバター一本に絞った。

 俺のこの実体験からしてみればこの走って動いて敵を倒すRPGであるこのゲームで現実では男性が女性アバターを使っているのだとすればそれはある種の猛者か詐欺師だと考えるに至っている。

 

 そんなことを思いながらも、他のプレイヤーは初めてのRPGのVRMMOに興奮して同じように初めてのするプレイヤーに声を掛けたりしてフレンドを作るなりして街を散策している頃、俺はβテスターのころにその辺りのことは済ませてあるので、その経験を活かして直ぐに武器や防具などの準備を整え、第1層にポップするフレンジーボア狩りをはじめている。

 Expは少ないでコルも稼げない雑魚モンスターだが、剣を握った時の感覚と振り下ろす感覚などの簡単な動きを含めた勘をここら取り戻そうと思っているからだ。

 

第1層─草原ダンジョン

 

 一体…どれほどのフレンジーボアを狩っていたのだろうか──

 最初のうちは数を数えたりして、自分で「俺つえー」と自己満足をしていたのだが…途中から数など数えていなかった。

 気づけばもうすでに空は赤色──。日ももう沈みかけているといったところだ。

 俺は一旦ログアウトして、現実世界に用意されている夕食を食べてから戻ろうと右手のメニューを開くのだが……。

 

「あれ!? ……ログアウトがない!!」

 

 思わず俺が大声を出してしまったので、周囲がざわつきながらも自分でメニュー確認して、呆然としているプレイヤーも居れば、冷静に「運営のバグだろ?」と言ってクールにしているプレイヤーもいる。

 この時の俺は運営のバグなら……と期待していたのだが、その希望も儚く散る……。

 

 周囲のプレイヤーが次々に光に包まれて転移する……。

 俺は何がどうなっているのかが分からないまま、俺も光に包まれて転移する……。

 

 

 

第1層─はじまりの街─中央広場

 

 

 

 草原から光に包まれて転移してから俺の目に映ったのは多数のプレイヤーが集まっている。広場に強制テレポートしていた広場には大勢SAOプレイヤーが集まっていた。

 俺を含めたプレイヤーがざわざわとざわめいている……。

 

 あるプレイヤーが「あっ……上を見ろ!!」と言ったその一言で俺は空を見上げると2つの赤い単語が交互に表示されて空中に浮かんでいる……

 

《Warning》、《System Announcement》

 

 そこでゲームマスター(GM)と思われる素顔の見えない赤いローブの男によるアナウンスが始まる……。

 GMと思われる男のアナウンスしたものは俺達──SAOプレイヤー─1万人の予想を遥かに超える一言をぶつける……。

 

「私は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」

 

 茅場晶彦――その名前を聞いて、俺は驚いた。

 

「どうして……茅場晶彦がこんなところに……!」

 

 茅場明彦といえば、この歴史的なゲームに名を連ねるであろうVRMMOの開発者でありながらこのSAOの開発者でもあるのだ。雑誌などのインタビューでも彼は大きく取り上げられ、かく言う俺も彼のファンの1人だ。

 しかし、1つ気がかりなことを言えば、彼は雑誌などの取材は応じていたが、TVなどのメディアには出演はしていなかった。理由は単にTVのようなメディアに出るのが嫌いだからという彼のような人ならあってもおかしくないものではあったが、あれほどメディアへの露出を嫌っていた人物がなぜ……。

 

 ともあれ、茅場晶彦――このSAOの支配者とも言える人間のアナウンスと全プレイヤーにプレゼントとして配布された小さな鏡の存在でこのゲームは一変した。

 それは、素顔(リアル)をさらけ出したデスゲームへと……。無数の光が弾けるように消えてイケメン揃いだった男性アバターは不格好な男だったり、小さな幼い顔した少年に変身し、女性アバターだったプレイヤーからは野太い悲鳴のような声が響いてくるものこともあったが、中には本当に女性のプレイヤーも居た。デスゲームと化したこんな状況でなければ思いっきり爆笑していたが、とてもじゃないが笑える状態ではなかった。

 

 この後、約1ヶ月で2000人が死んだ……。

 

 

第4層─迷宮区

 

 今、俺が装備している武器は初期装備として配布されたスモールソードからこの辺りの層で手に入る武器では強化をすることで最高クラスにもなるアニールブレイドという片手用直剣を装備を変更している。

 この武器は第1層ホルンカの村で「森の秘薬」というクエストを行うものなのだが、クリアの条件がおそろしくシビアで、このクエストを好んでするのは元βテスターくらいなものだろう。

 しかし、俺は運が良かったのか大きな木の根元に耐久値が少なくなったスモールブレードと一緒に目的のアイテムと指定された胚珠が置かれていので、俺はこれを使いクエストを達成した。俺がラッキーと口元が緩んだのは言うまでもない。

 あの悪夢から二ヶ月ほど経過し、現在は第4層となった。

 今は第4層となってはいるが、俺は第1層の攻略には参加していない……。

 あの時以降──俺は2000人の死者が出たという情報──ダンジョンを出歩いてはいても、第1層ボス攻略には参加していない。ただでさえ死んだら終わりというこのゲームでボス攻略なんて下手をすればそれこそ本当にゲームオーバーだ。そう考えると足元が氷のように固まって動けなかった。しかし、ボス攻略レイドが第1層のをボスを討伐したと聞いてこの世界でも生き残ることは不可能ではないと考えるようになった。元βとしての責任などでは無いが、俺は自分の身は自分で守るという決意を今は固めている。自分の身を自分で守るためには自分の強化は必須条件だ。だが、考えれば誰でも分かることだが、この世界でのソロ攻略は無謀だと判断している。そのためにはまずは仲間を探さなくてはいけない。βの頃のフレンドを探そうとも考えたが当時の名前と今の名前が同じとは限らず、向こうの顔だって知らない──それは向こうからしてみれば俺も当てはまることだが──ので探そうにも探せない。最悪の考え方だが、死亡したという2000人の中にいる可能性だってあるのだ。

 

 そんな負の考えを振り切って迷宮区で今日1日の狩りを終えた後、街に戻ると自分と同じ年位の女の子がいた。あの時、《手鏡》を使用されてからは自分の素顔がこのゲームでの自分のアバターである。

 素顔が晒されてからの男女比は恐ろしい位に男に傾いている──あの時の野太い悲鳴は思い返せば苦笑するくらいの余裕は出来た──

 この時点で女の子というのは既に高額のコルでは買えないリアルでの女の子……つまりはこのゲームに存在しているどのアイテムよりも超レアな存在でもあるかもしれないのだ。

 

 俺は迷わず……。

 

「ねぇ、君ソロでやってるのかな? もしそうなら俺とフレ登録してこれからお茶でも……」

 

 刹那に俺はレイピアを首元に向けられてしまい、汗がたらたらと流れていた(SAOで汗はかかないが…)

 女剣士の剣の速さは、俺には視認が出来ないほどだった。

 

「悪いけど…私、攻略以外に興味はないの」

 

 彼女は、後に血盟騎士団副団長として名を馳せる閃光のアスナであった。この時の俺の心境は第1層での恐怖とは全く違う恐怖に見舞われたので、すぐさまその場をごめんなさいと謝って逃走した。その後、宿に帰って軽く泣いたまま眠りについた。

 次の日、俺は昨日の恐怖が残ったまま迷宮区に駆り出してみると、アスナとは違う女の子がモンスター3匹に囲まれていた。あの状況でモンスターに囲まれていては絶対絶命とはこういうのだと見て直ぐにわかる。

 俺は隠蔽で少しずつ近づいていき、女の子のプレイヤーまで近づくと小さな声で話しかける。

 

「こっちだ。早く」

 

「足が竦んで動けないんです」

 

 しょうがないと思い彼女の腕を掴んでこちら側に引っ張る。しかし、ここである意味で事故が発生する。

 彼女を引っ張ったまでは良かったのだが強く引っ張りすぎたのか、竦んでいた彼女の足が急に動いてバランスを崩して俺の方に正面から倒れ、彼女の下敷きになるように倒れる。まぁ、ここまではいいのだが、正面から倒れてきてしまったが為に剣を持っていない方の手が彼女の胸を思いっきり鷲づかみしていたのだ。胸に違和感を感じた女の子は思いっきり甲高い悲鳴を上げてしまった。恐らく彼女の目の前にはハラスメント警告による警告音がビービーと鳴っているが彼女の心境はそれどころでは無かったようだった。

 しかし、それ以上に危険なのは先ほどの悲鳴のために予め発動しておいた隠蔽が解除されてしまい、モンスター達に見つかってしまったことだった。

 

「あ、あちゃー……見つかった。ど、どうしよ」

 

 そう呟いて目の前にある女の子の顔を見るが顔は赤くなりながらも片目から涙が溜まっている。これは相当お怒りの可能性がある。だが、それ以前に今はこのモンスターをどうにかしなくてはならない。ターゲットを2人に定めたモンスターは一直線に俺達に攻撃を仕掛けようと走ってくる。俺は咄嗟に彼女を無理矢理押すようにして横にどかせてすぐさま立ち上がり、1匹目の攻撃を回避してスラントで斬りつけ1匹倒し、女の子に向かった2匹を後ろからバーチカルで一閃して飛ばした後に止めの一撃として再びスラントを叩き込むことで残りの2匹を迎撃する。

 

「ふぅ、危なかった……危うくどうなるかと思った。怪我はない?」

 

 女の子は今にも流れそうな涙を抑えながらも、小さな声でお礼をいう。

 

「あ……ありがとう」

 

「いえいえ、どういたしまして。それと……まぁ、さっきの間に起きたことに関しても色々とごめん」

 

「咄嗟のことだったので事故だったということにしておきます。お恥ずかしいとこを見せてしまいました」

 

 声にどこか怒っているように見えるが、女の子にお礼を言われたことで、俺は今軽く調子に乗っているのと初めて触れた女性の胸に感触にちょっと感動している。しかし、敵をあっけなく倒すことが出来たことからして今の敵はそこまで強い敵では無かった。この辺りで狩る分には問題が起こるような敵ではなかったはず──さっきのような事故は例外として──だった。しかし、考えてみれば俺はまだ特定のパーティー組んでいるわけではなく、実質ソロである俺にとってはパートナーが欲しいところである。それにその相手が女の子であればなおの事嬉しいものだ。このチャンスを逃さないようにとすかさず声をかける。

 

「あの、もしまだソロでしているっていうなら一緒に狩りしていかない?」 

 

 女の子はその誘いに少し考えて──間違いなくさっきの事故についてだが──いたが彼女の答えはとてもありがたい物だった。

 

「えっと……じゃあお願いしてもいい……ですか? 私もさっき助けてもらったのでお礼をしたいと思っていたので」

 

 ─やったー超うれいしい♪

 

 フレンド登録申請を送り続けてパーティー申請を彼女に送り、受諾される。

 名前は「Runa」《月》ということだ。

 

 ルックスはかなり良く、顔は小さく、目が大きい、髪は長く綺麗な漆黒のストレート身長は俺よりも少し低いといったところか? 3サイズかなり良くも見える。

 我ながら思春期真っ盛りな見方なのだが…まさに純和風の可愛い女の子であったので、そこらでもトップが張れそうにも感じただけに嬉しさは倍増だ!! まぁ、あと手に残る感触も嬉しい要因の1つでもあるのはここでは内緒の話。

 だが、彼女のさっきまで戦闘を見るからにあまりここでの戦いに慣れていないように見えたので、ふとパーティーに書いてある「Runa」レベルが低く安全マージンがとれてないようにも見える。

 

「なんでこんなところにいんの?」

 

「え……だって攻略組の人たちにお礼を言いたくてというのと一目会ってみたい人が居たから」

 

「はあ!? 何でそんな理由でくるのさ!?」

 

「え、だって……。私たちのために攻略してくれているのだと思って」

 

「その考えはやめたほうがいいよ、そんな理由で上がってきてたら命がいくつあっても足りないよ」

 

 俺は正直にこの女の子はこの世界を舐めているのではないか? と半分疑った。確かにこの世界からみんなを助けたいという思いで攻略に望む人間もいないことは無いだろう。でもそんな考えを持っているのは一体どれほどいようか。

 俺の方から狩りをしようと誘っておいて、流石にフレンド登録して直ぐさよなら~は無いと思うのもあるが、このまま彼女を野放しにしたらいつ死んでもおかしくないことになる。過保護になるわけでないが、放ってはおけなかった。というよりこんなレベル高い娘を野放しにしたくなかったのが本当の理由だったのだが、彼女の言う目的である攻略組の人へのお礼っていうのは間違ってはいないだろう。一様だが俺も攻略組として参加はしているのだから。お礼を言ってもらえる対象には入っているはず……だから俺達はルナのレベルに合わせて第3層に向かう。

 やはりルナは安全マージンに達してなく、この層の敵でもソロでは危うい場面がチラホラある。しかし、俺はそんなルナをカバーしながら2人で確実にレベルを上げていく。2人で狩りを行いレベルが少し上がったところで休憩をとることにした。

 

「あ、あの私お弁当作ってきたんだ。さっきのお礼といっちゃなんだけど……」

 

「お、おう。ありがと」

 

 覗いてみるとかなりの出来に仕上がっていた。どうやらこの段階で料理スキルをもっていたようだ。

 ─今いらんだろ!! と喉からでかけたが、なんとかおさえ、先ほどの弁当を一口もらうと、さっき話していた攻略組で会いたい人がいるという話を持ち出す。

 

「そういえば、会ってみたい人ってどんな奴なの?」

 

 するとルナは目を輝かせながら語る。

 

「えっとですね! 第1層のボス攻略に参加したレイドに女性のプレイヤーがいるという話を聞いて是非会ってみたいと思ったんです」

 

「あぁー、なるほど、誰かは察しがついたかな」

 

 そう言って彼女にアスナのことだと気づいてアスナのことを話しながらルナの弁当をじっと眺めると彼女は俺の方に弁当を差し出してくれた。俺はその弁当に手を差し伸べようと体を前かがみにすると、他のプレイヤーが接触してルナの胸部に頭からダイブした。本日2度目の事故であった。

 再び彼女の顔は赤く染まり、目の前には本日2度目の警告(ハラスメント警告)が表示されているはずだった。

 

「いや、ち、違うんだ。」

 

「───ッ!!」

 

 俺には彼女の手元が何か操作していたのが俺には見えた…。これは俺の知っている限りの情報だとかなりヤバイ操作だった。ふと接触された方を振り向くとプレイヤーの口が動いていたその言葉は……。

 

「ざまぁみろこのリア充が!!」と俺には見えた。

 

 どうやらカップルと間違えられ意図的に強制転移させられたらしい。とんだ言いがかりだったが、第1層の胚珠を楽して拾ったのが悪かったのか元βテスターで現在の最前線で戦えたはずの俺が監獄エリア行き第1号となった。

 

 

 

 

「一体……。何が起きたの?」

 

 私の弁当を食べようと前のめりになったソラ君が急に頭から胸に突っ込んできたことにビックリしているのと同時に目の前に警告音が鳴り響いたパネルが出現し、パネルに表示されている文字が勝手にスクロールされていきながらスクロールが止まったと思うと目の前に大きなボタンが表示された。何のボタンかも分からずそのボタンを押してしまうとさっきまで目の前にいたはずのソラ君が居なくなっていた。

 

「全く。ひどいことをするもんですなぁ。いきなり女性の胸に飛び込むなんて」

 

 私が何が起きたのかがさっぱり分からない中で、近くにいた男性プレイヤーが声をかけてきたので、この状況について質問してみることにした。男性プレイヤーの背は私よりも高く──ソラ君よりも高い──背中には片手で持つには大きな剣であったことから両手剣と思える剣がぶら下がっていた。装備だけを見ればソラ君のスペックに劣っているようにも見えないことからこの層を適正としているプレイヤーではないかもしれない。風貌からしてみても私よりも年上じゃないか? と思われる。

 

「あの、ソラ君……。いやさっきの男のプレイヤーはどうしたんですか?」

 

「ん? あれ? どうやら自分が何をしたかがあまりわかっていないみたいですね」

 

私は首を縦に振ってこの男の人の回答を待つ。

 

「先ほどの男の人はあなたにハラスメント行為をしたのですよ。そして恐らく監獄エリアに強制転送されたと思われます」

 

 監獄エリアとはエリア名のまま監獄のようなエリアとなっており、このSAO内で行われた犯罪行為などをしたプレイヤーが送られる場所となっており、主な対象としてはPK──プレイヤーキル──などの反則行為や今回ソラ君がしたというハラスメント行為などの性的犯罪などのゲームを楽しむことを妨害したとされるプレイヤーが行くという場所。──ある意味ではここのゲームマスターもゲームを楽しむことを妨害したという意味では監獄エリアに行っても納得ではあるのだが……。それはまずないか──

 

「監獄エリア? それって刑務所みたいなところですよね?」

 

「そうですよ。あなたの目の前にメッセージが来たでしょ? あれに「はい」を押したことで彼は送られたのです」

 

「そ、そんな……。もしかして私取り返しのつかないことをしたんじゃ……」

 

「取り返しがつくかどうかは分かりませんがね。恐らく今のが監獄に行ったプレイヤーは初めてかもしれませんね」

 

 私がソラ君を監獄エリアに送ってしまった!? いきなり胸に飛び込んで来たからあの時はびっくりしたけど、今冷静になって考えれば突然頭から突っ込んでくるような人じゃないのに……。いや、そういえばモンスターから助けてもらう時に胸を思いっきり鷲づかみされたような……。それを考えると胸を触られた違和感が残る。だからといってもし、これでソラ君がゲームに復帰出来なかったら? それは間違いなく私のせいになってしまう。

 

「監獄エリアに送られたプレイヤーを助ける方法は無いんですか!?」

 

「そうは言われても私には分かりませんね。監獄エリアに行くという話しか聞いてなかったのですから。それにゲームを普通にしていれば行くことに縁がない場所なのですから説明があっても誰も深くは読まないでしょう」

 

 言われてみればその通りだ。誰が好き好んで監獄エリアの説明なんて読んでいるだろうか、むしろそこに送られたというだけで世間から外され、全く別のゲームのプレイヤーになってしまうということを考えればおもしろ半分で行ってみたなどの冗談で行く人がいるかもしれないが、このデスゲームという環境でそんなプレイヤーは居ない。

 

「じゃ、じゃあ監獄エリアっていうのはどこにあるんですか?」

 

「それはアインクラッド解放隊が駐屯し管理している第1層のはじまりの街ですよ。行ってどうにかなるとは思えませんがね」

 

「ありがとうございます。でも行ってみないことには分かりませんから」

 

 私は男の人に頭をぺこりと下げてお礼を言って背中を向けて街の転移門に向かって走っていく。

 




いかがだったでしょうか。
この回は主人公視点とヒロイン視点に分けて書かせてもらっています。2つの視点で書くというのはやっていてかなり難しく読んでいて分かりづらいと思う点があったかもしれません。その際は教えていただければと思います。

感想やアドバイス等があれば遠慮なくお願いします。
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