ソードアート・オンライン~悲運なβテスター~   作:鍵の剣

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第2話を投稿しまーす。
監獄に送られた主人公の暮らしと監獄に送ったヒロインのその後が分かって頂けたらと思っています。


転送とその後

 ソラ君が目の前で強制転移してしまったのは、自分が訳も分からずに押してしまったハラスメント警告の表示の「はい」をしまったから……。

 私はそのことを知り、同時にその監獄エリアから彼を助けることが出来るのか? 男の人に聞いたところ、この問いに対しては何とも言えないとのこと。最悪の場合はソラ君がこのゲームに復帰できなく可能性が高いということでもあるのだ。

 今の環境こそこのゲームはデスゲームと化していますが、元はいえば世界で初めてのVRMMOというジャンルのゲーム……。これを私のボタン1つで全てが無にしてしまったとなれば、彼は私のことを監獄の中で恨み続けるだろう。彼は私がピンチになった時に助けにきてくれた──胸の鷲づかみは置いといて──そんな助けてもらった恩を仇で返すようなことはしたくない!! という罪の意識で私は第1層はじまりの街へと赴きました。

  

 「久しぶりに来た……。ってことになるのかな」

 

 今私ははじまりの街の最も広い空間である中央の広場にいる。今この街には全プレイヤーの半数近くがいるという話だが、ここで約2ヶ月前にこの場所でゲームマスターである茅場明彦からデスゲームと化して自ら作ったアバターまでもが解除されるという、あまりいい思い出を持たないプレイヤーがほとんどだ。それでもこのエリアに根を張るというのはそれだけこの世界で死にたくないという恐怖が思い出したくもない場所に留まるという恐怖に勝っているからだろうか? この街の中なら死なないという保障があるからなのだろうか? この街が絶対安全であるという保障なんてどこにも無いかもしれないのに……。

 私は一刻も早くあの層から逃げたいという思いがあったが、この街に居れば生きて帰れるかもしれないという希望が日にちが過ぎる毎に削ぎ落とされていく。それはアバターであるはずのこの体に精神的なダメージを果てしなく与え続ける。

 この広場から次の街へと移動したのは今からは半月も経っていない。今から1ヶ月前に今の最前線で戦っている攻略組の人たちがこの街のボスモンスターを倒して次の層へと上がってからはかなり出遅れたスタートになるかもしれないが、その頃には攻略組の攻略していったダンジョンは情報屋と呼ばれる人たちによって、この層のモンスターの戦い方が何もかも詳しく載っていたから、教科書通りといわんばかりのマニュアル的な戦い方で私は少しずつだけどレベルを上げていった。もしものときは自分の身を守れるのは自分だけかもしれないのだから……。そう考えることが出来た人たちが今の私たちの希望を託された人たちだというのだ。しかし、それを考えてこの街を出た人達を収容するのがこのエリアというのもそうだが、こんなところに監獄エリアを置くというのも趣味が悪いのか性格が歪んでいるかのどちらかだ。

 街の様子も露店を出しているNPCをはじめ、多くのプレイヤーがいるが、とても半数がいるとは思えないほど人気は無かった。解放隊のギルドホームに近づくと更に人気は減っている。サービス開始ほどのあの活気に満ちたあの風景はどこにいったのやら……。そのまま広場を抜けて私はアインクラッド解放隊のギルドホームと思われる場所に到着した。

 話によると黒鉄宮こと監獄エリアを管理しているのはアインクラッド解放隊とのことだったので、解放隊のプレイヤーに事情を話すことにしたが、まだ解放隊の人達は戻ってきてないようだった。

 ソラ君と一緒に狩りをしていたのがお昼をすこし過ぎたあたりだったから、今の時間はもうすぐ夕方になるといったところか……まだ最前線の攻略から帰ってきていないということだろうが、遅くまで狩り続けるのは昼と夜でモンスターの種類も変わって性格が変化しているのもいることから危険だともソラ君は言っていた。

 

「あのー、まだ攻略組の人達は帰って来ていないのでしょうか?」

 

「ようこそ、私はギルド{アインクラッド解放隊}で受付をさせてもらっております。どのような用件で?」

 

「あ、だから攻略組の人たちはまだ戻っていないのでしょうか?」

 

「今現在はダンジョンに行っているため、留守にしております。メッセージをお伝えになりますか?」

 

「あ、いやいいです。すみません」

 

 別に解放隊の人達に用事があるわけでもないので、その場をあとにするが、今思えば、あの受付の人の受け答えって何かおかしいな? と思う。もう一度尋ねてみるとその受付の人は同じ言葉を繰り返す。

 

「ようこそ、私はギルド{アインクラッド解放隊}で受付をさせてもらっております。どのような用件で?」

 

 私は何となくで思った。この人はプレイヤー何かじゃない。NPCだと……。何を聞いても決まった回答しか返ってこない。何だかすごい脱力感が肩への重しとなって圧し掛かるのを感じた。

 

「はぁ、監獄エリアっていうのはどこにあるんだろう……」

 

「監獄エリアこと黒鉄宮は中央の広場に面した場所にあります」

 

「……?! あ、ありがとうございました……」

 

「またのお越しをお待ちしております」

 

 私がボソっと言ったことが質問として回答されて、それが私が今一番聞きたかったことだったからちょっとポカンと口が開いてしまったが、私は広場に面した黒鉄宮に向かう。

 

 

 はじまりの街─黒鉄宮

 

 広場に面した黒鉄宮に向かうと、そこには金属製の巨大な石碑が置かれている。そこには無数に書かれた名前のようなもの。中には黄色いアンダーラインが引かれているものがあり、黄色い線が引かれたプレイヤーには下に死亡原因と思われるものが書かれてあった。私はこの石碑が何なのかが分かって人目で把握した。この石碑にはこの世界に囚われたプレイヤーの名前、そして死んだプレイヤーには黄色のラインに死んだ原因まで書いてある。

 このゲームが始まって1ヶ月で2000人が死んだとのことだから、この石碑には2000本のアンダーラインが引かれていることになる。いや、今となってはそれ以上の数がこの石碑に刻まれているということだろうか……

 石碑に手を当てながら黒鉄宮に歩いていくと、目の前に書かれてあるプレイヤーの名前に黄色いラインが入って、死亡原因が記されていった。

 これを見た私は足が竦んでしまった。今この瞬間に誰かプレイヤーが死んでしまったということだから……。

 

 「この世界では……、本当に死んでしまうんだよね」

 

 もしかしたら今日のお昼前には私の名前がこの石碑に黄色い線が刻まれていたかもしれなかった。もし、あの時ソラ君が助けてくれたことで繋がっているこの命……。それを私は彼を恩を仇で返してしまっている。そんなことは私自身が許せない。何としてもソラ君を助けなくてはいけない思い、竦んだ足に力を込めて黒鉄宮を目指す。

 

 黒鉄宮の前に辿りつくと、そこには門番と思われる人が立っている。この人までもがNPCだったらどうしよう……などと不安に思いながらも声をかける。

 

「あの、1つお聞きしてもいいですか?」

 

「ん? どうした? どうやらプレイヤーのようだな」

 

 どうやらこの人はプレイヤーのようだ。ここの門番をするっていう役目を貰っても全然嬉しくはないような気がするのだが、──やはり彼もそう思っているのか表情に笑顔がない──この役職のほうがむしろNPCでいいような気がするがきっと別の事情が存在しているのだろう。

 

「こんなところに何故きたのだ? 見ての通りここにはこの黒鉄宮しかないぞ」

 

「その黒鉄宮に用事があって来たんです。今日のお昼過ぎにプレイヤーが一人送られたと思うのですが……」

 

「そういえば言っていたな……。だからこうして何もすることなどないのに、こんなところで立っているのだからな」

 

「今日送られた人は誤解でここに送られたかもしれないんです。面会だけでも出来ないのでしょうか?」

 

「は? 誤解? 誤解とはまた変な理由で来たね……。だが、面会は無理だ」

 

「ど、どうして!? どうして面会することも出来ないのですか?」

 

「面会なんてしようにも俺にはこの門を開けることなんて俺だけでは出来ない。それにシステムで送られているのに誤解何てあるわけがないだろう」

 

「そのシステムで誤解が起きたんです!! どうにか会わせてもらえないのですか!?」

 

「しつこい奴だな。いくら女性プレイヤーだからといってもしつこいのは嫌われるぞ。それに俺だけに言っても無理だと言っただろう。さぁ、帰った帰った」

 

 門番の人に掛け合ってもソラ君を助けるどころか、そのまま門前払いで面会することも叶わなかった。しかし、門を開けるのは俺だけでは出来ない。俺だけではということはこの門には開け方が存在しており、何か方法があるということだろうか? そうこうしている内に、街の中にはかなり上等な装備をした一行が広場に見えてくる。同時にギルドホームからは出迎えのように人をワラワラで出てくることで先ほどまでの寂しい風景が一変する。

 どうやら攻略に出ていた軍の人たちが本部に戻ってきたみたいだ。門番に言ってダメなら本部に直談判をしようという思いに至った。

 私はその一行について行き、本部の中へと入りる。さっきの受付の人が挨拶しているが、素通りして全速力で一行の先頭の人の前に立ち塞がる。先頭に立っていた人はオレンジのツンツン頭で口調が関西弁の男だった。

 

「あの!! 攻略組の隊長の方ですか?」

 

「何や? 自分。急に前に立ちおって……邪魔や」

 

「キバオウさん。女性に対してその口調はないですよ。いくらドラゴンナイツの人間にいいとこ取りされたからって」

 

 キバオウ? それがこのアインクラッド解放隊のギルドリーダーに当たる人なのだろう。帰ってきて早々なんだかイライラしているようにも見える。

 

「はぁ!? んなことでイライラしとるように見えるんか!?」

 

「そうとしか見えませんよ」

 

「何やと~!」

 

「そんなことより、私の話を聞いてください!!」

 

 2人の会話に割り込むように言葉を挟む。すると2人は拍子抜けしたかのように溜息を吐き、キバオウという男は私に冷たい視線を向ける。その視線には感情らしい感情がこもってないようにも見える。

 

「何や、まだ居ったんか?」

 

「まぁまぁ、いいじゃないです? 話くらい聞いてあげても」

 

「まぁ、ええわ用件だけでも聞こうか」

 

 一緒にいた人の口添えのおかげでどうにか話だけでも聞いてくれるようだった。

 

「今日のお昼過ぎに監獄エリアに1人送られたはずなんです。その人は誤解で送られてしまっているんです。……。だからその人を釈放して欲しいんです」

 

「……。そんな奴がもうおったんか。呆れた奴やなぁ。しかもそいつを釈放してくれとはな……あんたもあんたで呆れたやつわぁ」

 

 私はキバオウさんが呆れていながらも頭を下げてお願いし続けた。しかしキバオウの反応は変わらずに口添えをしてくれた人もクスクスと笑いながら歩いていってしまった。最後尾の方は私を無視して勝手に一行はギルドホームへと帰っていってしまい、ここでも私は門前払いされることとなった。

 

 

 

第1層─黒鉄宮─監獄エリア     

 

 俺が監獄エリアへ強制転移をした翌日にはSAO中に情報屋の手によって2つの大きなニュースが駆け巡った。1つは《攻略組第4層突破!!》とついに攻略組は第4層を突破した非常にめでたいニュースであり、しかも以前よりも攻略ペースも上がってきている。これで解放が少し近づいたわけであるのと同時に、このまま攻略ペースが上がることで解放という言葉に現実味を帯びてくるようになる。

 しかし、今の俺は別の意味で解放という言葉を聞いてみたい。というより釈放という言葉を聞きたい。その理由となるのがこの2つ目のニュースだ。

 《初の監獄エリア行き!! 理由はハラスメント!! 男性プレイヤー要注意!!》

  言うまでも無いが、俺のことだ……。一体こういう情報は一体どこで入手しているのだろうか? 現実世界ではプライバシー保護という物が存在しているはずなのに電光石火の速さで広まっている。こうして俺はSAO中で有名人となり全男性プレイヤーにハラスメント行為をすると監獄エリアに行くことを俺が身をもって教える反面教師となった。

 

「誤解だ! 待ってくれ俺をここからだしてくれよ!!」

 

 入って第1声がこれだ。だが、看守には普通に流される。こういうシーンはドラマや映画でよくあるワンシーンではあるが、まさか自分がこんなシーンを演出することになるなんていうのは誰が想像するだろうか。

 

「俺ははめられたんだよ……。俺はただフレンドと一緒に弁当食べてただけだっていうのに後ろから押されて女の子の胸に飛び込んでしまっただけなのに……」

 

「そりゃ送られるだろ……」

 

 俺の言葉には耳を傾けずに無視を貫いていた看守だったが、顔こそ見えないが明らかに笑っていることだけは分かる。それでも俺はしつこく看守が興味を促すように叫び続けている。看守は笑っていたのを抑えて軽く深呼吸をし、怒りながらも呆れた表情で俺に言う。

 

「うるさいぞ!! 囚人NO,1! 出せと言われて出す看守がどこにいる?」

 

「だーかーら!! 俺は誤解だってば!!」

 

「お前聞くところかなりの手練れだったそうじゃないか? 元βか? ん?」

 

「……ああ、そうだよ。確かにβだったし攻略組とまでは言わなくてもそれなりだったと思ってる」

 

 俺の返事を聞いた後、監視は大きく高笑いをしながら俺を見下す。その表情は忘れたくても忘れられない程で、夢にも悪夢として出そうな位だ。

 

「元βでハラスメントで監獄行き? こんな傑作な話存在するかよ!?」

 

 正論過ぎて反論が出来ない。ハラスメントとして監獄に入れられたのも事実であり、元βというのも本当だ。恐らくこれが自分の知らない赤の他人なら腹を抱えて笑っている自信がある。例えで言えばあの野太い悲鳴なんかが含まれる。案の定その日の夢にはこの看守の高笑いの顔が堂々と出現したために起きたときには強烈な嘔吐が俺を襲った。

 監獄での俺の扱いは現実の囚人並にひどかった。朝は決まった時間にアラームをセットされているが、監獄の中で朝早く起きたところで何もすることなどない。それでも少しでもグズると拷問の如く鳴り響く怒鳴り声と圏内戦闘──一方的な相手からの攻撃だが──による精神的なダメージが襲う。このSAOには街の中であれば決闘などを除けばいくら相手の攻撃を受けてもダメージは無くHPも減らない。しかし、それはプレイヤーを攻撃しても攻撃したプレイヤーがオレンジプレイヤーになることもないというものでもあるので監視達は遠慮なく攻撃してくる。おまけにお約束のように飯はくそまずい……。ベットなどは無く、簡素な毛布に身を包ませるのもお約束である。今の俺にはSAO全プレイヤーに与えられていたはずの権利は全て剥奪されているようなものだ。こんな日が毎日のように続くと思うと精神的に病んでしまう。そうなった時の俺はどうなってしまうだろうか? それでも俺は……理性を保っているだろうか。恐らく無理だろう。

 

「これは誤解だ!! 俺をここからだしてくれ!」

 

「だから何もやらんでここに送られるわけがないだろ」

 

「確かに何かやった……でも誤解だ!!」

 

「何かやってんじゃねぇか!! おとなしくしてろ!!」

 

 こんなやりとりは日常茶飯事で、しかも口がすぎれば一方的な圏内戦闘だ。街の中じゃなければとうの昔に自分の愛剣で頚動脈を切断するなりして死んでいただろう。それだけ実年齢14歳の俺にはこれは本当に地獄だった。何かやってなくては自らの死を模索しそうにならぬよう俺は監獄の中でも剣を素振りし続ける。レベルこそ上がらないが、僅かながらもスキルの経験値が入ることで、スキルレベルがあがる。少しでも達成感を得ることで、マイナスな思考を取り払った。

 

 ──クソッ!! こんな毎日がいつまで続くんだ。

 

 

第1層─はじまりの街─中央広場

 

 解放隊の隊長格の人に直談判しても私の要請は受けいられることはなく、私は宛てもなく顔を地面に向けて、トボトボと広場を歩く。

 

「ソラ君……。何で誤解だと言っているのに誰も……」

 

 俯いたまま前を見ずに歩いていると誰かとぶつかってしまう。

 

「す、すみません。前を見てなくて……」

 

「前を向いてしっかり歩いてくださいね」

 

「あ、あなたは……」

 

 私がぶつかったのは私にソラ君がどうして転送されたのかを教えてくれた男性プレイヤーがそこには居た。私が第1層にいくと分かってわざわざ追いかけてきたのだろうか?

 

「私は言ったはずですよ? どうにもならないと」

 

「な、何でやってもないのにそんなこと決め付けてたんですか!! 確かにそうでしたけど……」

 

「私が掛け合っても無駄だと判断した理由は3つあります」

 

「み、3つ……3つもあるんですか? 一体何で」

 

 男性は少し黙って小さく深呼吸をして私に3つ理由を話しました。1つは今の軍の目的は攻略であって、ライバルギルドにあたるドラゴンナイツに勝つことだから。2つ目はソラ君を解放しても軍には何もメリットがないということ。

 2つ目の理由は普通と言ったら普通だ。名前だけを聞いて姿も実力も知らない人間を釈放しろと言っても通るはずがない……。これじゃあ、仲間を釈放しろ!! っていう犯行声明でしかない。

 そして3つ目が……現実味を帯びた回答でありながら、私に対してのことだった。

 

「3つ目の理由は至極単純ですよ」

 

「単純……?」

 

「それはあなたの力では解放隊のトップを動かす程の力がないからです」

 

「私の力……ですか」

 

「きつい言い方をすればあなたは弱いから相手にすらされてないってことです」

 

 私が弱いから……。その言葉は確かに最もな答えだった。確かに私は弱い。今日の昼にだってソラ君が来なかったから私はもう死んでいたはずで、あの黒鉄宮の石碑の名前に黄色いラインが引かれ死因が書かれていたかもしれなかった。そんなモンスターを難なく倒すのが攻略組の人たちで、彼らからしてみれば自分と同等、またはそれ以上の力が無いプレイヤーの話を聞く気よほどの利益になる話でもない限り無いということになる。そう仮説すると先ほどのキバオウという男の態度もまさにそれだった。

 この世界は剣技とレベルによる実力がものを言ってしまう。そんな世界では今の私なんかじゃ太刀打ちなんて出来るものでもなかった。

 

「それじゃあ、ソラ君を助ける手段何て無いっていうことですか?」

 

「無いことはないですよ」

 

「ど、どうやって……」

 

「その答えも至極単純です。あなたが攻略組くらいに強くなればいい。回りくどい言い方ではありますが、一緒に強くなりませんか?」

 

「わ、私とでいいんですか? えっと……」

 

 私はそういえばこの人とずっとこうして話しているけど、未だに名前を聞いていなかった。私が黙ったことから彼は気を利かせてなのかメニューを開き操作すると私に一通のメッセージが届く。彼からのフレンド申請だ。

 

「私の名前はタナトです。以後よろしくお願いします」

 

「は、はいよろしくお願いします。タナトさん!!」

 

 私はタナトさんからのフレンド申請を受諾して、彼とフレンドとなり、パーティーを組む。パーティーとなったプレイヤーは自分のステータスの下に表示されることで連携を取りやすくする。昼の狩りではソラ君はこのステータスを確認しながら私との動きに合わせていたのだと思うが、彼の名前は私のステータスの下にはもう表示されてはいない。

 今日はもう夕方も遅いからということで、一緒にダンジョンに行くのは明日からとなる。私達のレベルだと第4層よりも第3層で準備運動して、そのあとに第4層に向かうということで集合場所を第3層の転移門の前ということで……。

 翌日、SAO中に情報屋の手によって2つの大きなニュースが駆け巡りる。

 1つは《攻略組第4層突破!!》非常にめでたいニュースで、同時に第4層のモンスターの攻略本が詳しくなって私達に無料配布されるようになる。これで第4層でのレベリングも捗るようになるが、

それは私と攻略組の人たちとの差が広がってしまうということでもある。私が攻略組くらいまで強くならなくては私がソラ君を助けることは出来ない。

 そしてもう1つは《初の監獄エリア行き!! 理由はハラスメント!! 男性プレイヤー要注意!!》

 私はすぐにこの記事を見てこれがソラ君であるということが分かった。この記事が出回ったことで彼はSAO中で有名人となり全男性プレイヤーにハラスメント行為をすると監獄エリアに送られてしまうということを体をはった証明をしたということになる。何のボタンかも分からず勝手に押したボタンで彼はこの世界での全てを失いかけている。全部私のせいで……。

 

「私のせいで……。ソラ君」

 

「その彼を助けるために強くなることにしたんでしょう?」

 

「もちろんです!!」

 

「では、行きましょう」

 

 私とタナトさんによる2人で強くなるためにダンジョンのモンスターを狩っていく。見た感じだけで言えばタナトさんの実力は私が見た限りではソラ君よりも劣っているというよりも狩りをする上での安定感が無いように見える。そして、彼は私がソラ君の名前を出すと何故か無理に笑っているような気もする。

 

 




いかがだったでしょうか。修正したほうがいい箇所やアドバイスなどがあればお願いします。
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