1話、2話は続けて更新してましたが、早くもここで時間が空いている現状……。
まぁ、そこは気にせず(気にしたら負け)自分のペースでゆっくりと話をかければいいなと思ってます。
SAOサービス開始から4ヶ月…。
現在の最前線は第21層と攻略のペースもかなりはやくなった。俺は相変わらずいつもの監獄で監視員との楽しく愉快でいつも泣きたくなるような毎日を送っている。
第1層──黒鉄宮──監獄エリア
「すんませ~ん俺いつになったら出所出来ますかね?」
「そんなの俺が知るか!! そういうのは上の判断で決まんだよ。この変態野郎」
「誰が変態だ!! 俺は誤解だっていつもいってんだろ!!」
このやり取りも、もう何回繰り返したことか……。しかしあれから少しながらも環境が変わっているのと同時にいくつか俺の知らなかった事が分かった。
この監獄エリアは本来のSAOのままであればゲーム内に存在しているNPCやゲームマスターなどにより管理されるはずだったが、今のSAOにはゲームマスターという存在が不在のためこの監獄エリアの監視はNPCには出来なくなっていた。そのため監獄エリアの監視にはプレイヤーが配置されていたということについても頷ける。
そのため監獄の管理をプレイヤーがするという仕様になっているので、今現在のシステムだけで行われいるのは監獄に送るだけで、後はプレイヤーの判断に委ねられている。結果だけを言えば監獄から出ることは、監獄を管理する者──今回の場合であれば解放隊──たちからの了承があれば出ることが出来るということでもある。プレイヤーが犯した罪は他のプレイヤーによって管理され、許しが出れば再び復帰も出来るというこのシステムはバグによって出来たのか、もしくは茅場によって作られたこれが本来の仕様だったのかは俺には分からないが……。
環境の変化としては単純ではあるが人数が増えたということだった。監獄の中は俺を含めても既に20人が収監されており、人数も多くいるがそれとは別で監獄の中はもうすでにかなり賑わっている。理由は何人かの囚人がいつも暴れるのだ。
収監されているほとんどがオレンジプレイヤーとされた者で、つまりPKや盗みなどを行ってきている。これらの罪に比べれば、俺の罪なんて軽いはずなのだが、生憎この世界にはある刑は許しが出ない限りは終身刑のみである。
俺は誤解で収監されているはずなのだが……。
「おい!! 看守しているクソ野郎俺をだしやがれー」
「お前らなんかささっと解隊しやがれバーカ!!」
などと監視に悪口を言うことで煽って怒りを売っている連中もいれば監獄の中でひたすら「ドン!!」、「ドン!!」、「キーン!!」、「キーン!!」と壁を蹴ったり、床を掘ったり、檻を愛用の剣で斬ろうとしたりと様々いる。しかし考えれば分かるが、この世界の物は物理的な攻撃で壊れるわけがない。無駄なことをしているということが送られたことで理解出来ないであろう。こんな人達とは仲良くはなりたくないものだ。
──そんなので出れればとうに俺は脱獄してるよ
俺は毎日の素振りを行うことでSLvもUPし、さらにスキルスロットに空きがあったので、俺は聞き耳スキルを習得した。
少しでも外の情報を聞くために、看守の会話を聞こうと考えたからだ。この監獄エリアの現状を知ることが出来たのもこの聞き耳スキルのおかげで聞こえたもので、少しながらの希望が出てきたので、それからは大人しくしているが、それを知らない連中が監獄を賑やかにしているので大人しくしたところでそこまでの意味を持たなくなってる。それからというものそう嬉しい情報はまるで流れて来ることはなかった。
俺はゲームなのにやる気を無くして無気力になっていると、現実世界の両親のことが頭に浮かんだ。両親とはβの時には学校をサボっていたことがバレて派手に喧嘩して、こっぴどく怒られたりしたが、今となっては俺はベッドの上でナーヴ・ギアを被ったままどんなに呼びかけても俺には聞こえないため反応が返ってくることはなく、ただ何も出来ずに泣いているのかもしれない。外の人たちには俺の現状は分からないため俺はいつこの世界で殺されて帰らぬ人になってもおかしくないと毎日頭を抱えている。今までなら自分の身を守ることだけを考えていたが、考え方を変えればここにいる限りは死ぬ恐れは限りなく低いということなんだと考えた。そんなことを思うと1人の男が声をかけてきた。
装備は見たところかなりよさそうなものを装備していた──俺よりも劣化した装備なんて居ないだろうが……
「あんた、ハラスメントで投獄されたやつだろ?」
「だったらなんだ?」
「こんなごみ溜めみたいなところに来て可愛そうに思ってな」
「余計なお世話だ!!」
この男のように俺に興味本意で話しかけるプレイヤーも何人かいたが、本当にこれ以上俺の傷をえぐらないでほしい。
「まぁまぁ、そうカッカすんなよ。んでどこ触ったんだ?」
「はぁ?」
「はぁ? じゃないだろぉ。ハラスメントで送られたってことはあんたが人に対して侮辱的なことをしたってことだろ? 見た感じあんたはそんな侮辱的なことはしないと見たんでね」
「色々と勝手な推理をするんだな」
「人のことを考えるのはかなり好きでね。そんで出来心で女性プレイヤーの尻を触って驚かせたら手はやい操作でここに送られたってわけよ」
「くだらんことで送られているから自業自得だな」
「違いねぇ」
俺とその男は妙に気が合うらしくかなりな盛り上がり方をして話を楽しんだ。男の名前はシンクというらしく、意味は英語で考えるという意味で人のことを考えているのが俺の一番の楽しみだからとこの名前にしたそうだ。監獄に送られてこんなに人と話して笑ったのは初めてだった。
翌日、監視員が檻を開けて一人の男プレイヤーを呼んで近くに連れ出し、何か話をしていた。その会話の内容を聞き取るために俺は聞き耳スキルを発動させて耳をすまして監視の会話を聞いてみる。
「貴様と取引を行おう」
「取引? 何のだ?」
聞こえた内容を整理するとなにやら取引を行っているようだが、詳しい内容までは聞き出せなかったが、ザックリとしたことは聞こえた。その内容は俺を驚かせるのには十分だった。
しばらくすると男性プレイヤーが戻って来た。どうやら話が終わったらしいが、その表情は何だか笑っているようにも見えた。取引の内容がシンクは気になったらしく俺に聞いてくる。
「!? マジかよ……」
「ん? ソラにはあの監視の話が聞こえんのか?」
「あぁ、鮮明には聞こえないが、ある程度なら聞き耳スキルで聞こえるんでな」
「聞き耳たぁ随分と趣味悪いの取ってるな。あんたもしかして聞き耳が原因で飛ばされたんじゃねぇの?」
それは違うとはっきり答えてから大まかな内容だったが、シンクに話す。
「んで、何ていってたんだ?」
「結果だけで言えばここから出してやるってことだったな。もちろん条件付きではあったが」
「ほぉー、そりゃすごいな。そら口元が緩むわけだ」
聞いてビックリとはこのことだ。プレイヤーが監獄の管理をしているからといってもこういう方法で出ることが出来るとは考えてなかった。
「そんで、条件がどうとか言ってたが、その条件ってのは聞けたのか?」
「さぁ、そこまでは聞こえなかった」
「そうか……」
シンクは少々残念そうにしていたが、本当のところは条件についても少しだけだが聞こえたので、内容はある程度だが、推理すれば分かった。
目的としてはギルドメンバーを増やすことと、監獄エリアに送られたプレイヤーに復帰させるチャンスを与えるためのものだろう。そう考えれば俺が一番に声をかけられるのが必然のはずなのだが、まだ他に条件が存在しているということだろうか。俺は看守がなぜ俺ではなく他のプレイヤーなのかが不可解だった。解放隊内部に何かあったのか? と思い、聞き耳スキルを使用しながらふと……看守の話に耳を傾けた。
「いったいこれからギルドはどうなるんかねぇ?」
「ああ、キバオウ一派のことか?」
「そうそう。シンカーさんはどうするつもりなんだろうねぇ」
軍ではいったい何が起きてんだ? 俺が監獄に行ってからこの2ヶ月の間に何が起きていたんだ? 俺は最近ではないにしろ俺より後に来たシンクに分かるだけでも今現在の軍の状況を聞いてみた。
「いったい軍で何が起きてんだ?」
「ああそうか。あんたは知らないんだな──あっちでは有名なんだけど」
「何がだ!?」
「今、軍の内部は2つの派閥に分かれているらしい」
「それがキバオウとシンカーか?」
「そうそう。で、今そこにいる監視は多分シンカー派」
この監視はキバオウのことを呼び捨てにしシンカーをさん付けしているところから、多分間違いないとする。だが、なぜシンカーとキバオウとで派閥が分かれてしまったのだ?
翌日、看守に取引を持ち出された男が檻から出されて連れて行かれた。連れて行かれた男はニヤニヤとしていたが、看守の表情は氷のように冷たく見えた。
その日の夜に看守達が何やら話しているようだったので聞き耳スキルを発動させて聞いてみる。その内容が本当にこの監獄から出ることが出来るという条件だったということを知ってしまった。
「あーあ。あの男少しは使えると思ったんですけどねぇ」
「まったくだ。たった10万コルを稼いだらあっけなく死んじまった」
死んだ!? あの男が? 何があったかはよく分からなかった。ただそれからも何人かの手練れだったと言われているプレイヤー達が連れて行かれてはしばらくすると監獄に帰って来ることなく行方不明となった。監獄中は凍えるような空気が重くずっと流れ続けていた。
行方不明の人間が相次いで出てきている中でシンクが看守から呼び出され、檻を出て看守と取引をしているようだった。取引が終わるとシンクは檻に戻り、俺に内容を話してくれた。
「ははは……笑えてくるよな。条件って言われたのが単に我々に協力しろだったんだから」
「協力か……一体何をやらされるのだろうな」
「協力してくれた後は君を我が仲間として迎え入れるなんて言うんだからな」
『協力しろ』この意味を深く考える必要などなかったはずだが、何人かの囚人が行方不明になっている現状だけなら本当に出所したのだと考えることが出来たが、最初の男が出て行った日の夜の看守達の会話で出所したというわけではないことが容易に分かり、『協力』というのがまともなことじゃないということだけが分かる。
翌日、シンクが監視に連れて行かれる前に俺の元に来て別れ際の一言を話す。
「じゃあな、ソラ……達者でな」
「あぁ、もう戻ってくるようなことになるなよ」
「当たり前よ! 俺はちゃんと入隊してでもここを出ることが出来るなら本望だからな」
シンクは俺に対してニヤつきながら檻をでた。他の囚人は檻から出て行く男に対して敵意を向けていたが、俺は軽く笑ってシンクを見送った。先ほどまでニヤニヤしていた表情は俺に背中を向けると笑うの止め真剣な表情だった。
それからシンクが戻ることはなかったが看守の話を聞いても彼の安否はよく分からなかった。
最初の男が死んだと聞いて、それからも次々に消息を絶っていく囚人達……。監獄の中は妙に静まり返っていた。まるで、俺がたった一人で投獄されていた時のように……。そんな空気が続く中、ついに俺にもこの言葉がかけられた。
「貴様に監獄から出られるいい機会を与えてやろう」
いままでの情報をもとにただ監獄から出られるというわけじゃないのは明らかだ。 だが、俺はこの申し出を受けた。いままでの間に何があったのかそして、俺がここから出られる最後の手段かもしれないからだ。
翌日、俺もシンクと同じように俺は監視員に連れられ、檻の外に出る。会話を聞くだけだとどうやらキバオウ派の人間のようだった。
「外はいつ振りだろうなぁゲームなのにシャバの空気はうめぇ」
現実世界では14歳である俺の台詞なんかじゃないだろう。と自問自答をしまった。長期に渡る監獄生活でもうすっかり本物の犯罪者である。
第15層─地下ダンジョン
監視員に連れて来られたのは第15層の地下ダンジョンだった。見た目は不気味な場所で、モンスターのリポップがかなり多い場所だ。しかし、俺が捕まったのは第4層……。安全マージンはまったく取れてなどいない。
「貴様はここでモンスターを狩り続け稼いだコルをすべて我々に提供しろ」
「モンスターのリポップがいやに多いな。ここはあんたらのレべリングのポイントか?」
「そうだ。ここは我々が所有する狩場の1つだ」
「ここでレベルを上げ、我々の戦力になるということが認められた時に部隊に入隊してもらう」
すべてのことが結びついた……。あの時看守が話していた10万しか稼げなかったというのは、意味をそのままにそれだけのコルを献上したということだ。更に平行してレベルを上げさせ、隊に入隊させて自らの戦力にするためだった。
しかし、最初に死んだという男もそれなりにレベルは上がっていたはずだが、この世界でもアバターなので肉体的疲労は存在しないが、それでも疲労は存在する。最初の男はそのまま数で押されて死んだ。つまりは都合のよい強制労働だ。俺はこんな非人道的なことが許せず、拳を握り締めグッと押しあがる怒りをこらえた。
狩りをはじめて8時間が経過しようとしていた。俺はひたすらモンスターを狩り続けレベルもすごくあがったものだが、それなりに疲労が溜まっている。本来ならばこの環境下でこれだけの時間を耐久するのは無理だっただろう。
だが、俺は隠蔽を使い休憩挟みながら戦うことで、集団VSソロという状況を極力避ける事で何とかなった。敵が隠蔽で隠れることで逃れることの出来るモンスターであったことが運良く助かった。
この日の狩りは終了した…。
稼いだコルは約15万コル。相当な大金だが、すべて盗られてしまう。次の日もこの狩りは続くが、今回は場所を変えて第20層にいる。この第20層も軍のレベリングポイントの1つだ。
こうして生死を彷徨いながらもレベルアップしている日が続く中、軍の行く末を左右する事件がおきた。
2023年2月──解放隊……壊滅的被害に遭う。
俺の聞き耳スキルを使って聞いたところ今の最前線は第26層にはいったばかりだが、隊内部は崩壊寸前までに来ており、キバオウの手により軍そのものの強化のためにも、俺のような奴隷囚人がいつもより増えていた。
だが、内部が慌しくなっているので監視の役割に割く人間もいつもより圧倒的に減っていた。
「今しかチャンスはない」と直感的に悟りこの奴隷のような生活から抜け出すことを決意した……。
つまり脱獄である……。
第25層──ダンジョン内安全エリア
私達が2人で一緒にパーティーを組んでからしばらくした頃……。
今の最前線は第25層となった。攻略組は今までのペースを崩さずにクウォーターポイントとなるこの層を攻略していく。
そして、2023年2月に行なわれたボス攻略戦で解放隊は尋常な程の被害を受けたとのことだった。
噂によると解放隊だけ嵌められたという話もあったらしいが、真相は分からない。しかし、この層は今までのボスに比べると異常な強さだったらしく、被害も解放隊ほどではなくても他のギルドもそれなりの被害にあっていた。
それでも、攻略組はこの層を撃破して第26層へと足を進めるが、被害が甚大だったために今までのような攻略ペースはなく、ドラゴンナイツと競うように攻略をしていた解放隊が内部強化のためにと攻略よりも人材育成に力を注いでいるという。そのためかドラゴンナイツも人材育成に力を入れているらしい。そのため、今攻略に走っているのは25層のボスを倒した後に結成されたという血盟騎士団が行っている。
「攻略組はもう26層まで行ったんだね」
「とは言ってもかなりペースは落ちてますね」
タナトさんとはもう2ヶ月一緒にパーティーを組んでいるので、かなりの付き合いになることになるが、一緒に長くいたせいか私の口調も段々と変化していき、遂にはソラ君と話していたときと同じ感じになっていた。間違いなく年上だったはずだが、向こうも気にはしてないみたいだった。
ソラ君を助けるために、解放隊を動かすほどの力を手に入れるためにずっとダンジョンで狩りをしてきて、2人で交代でダンジョンに篭っていたこともあり、そのときは夜通しでダンジョンにいても先にタナトさんが先にバテてしまって、私がタナトさんを助ける形になっていた。このときに私は自分が強くなっていくのを実感し、タナトさんを抜いたような気がする。
「ねぇ、今なら私達も攻略組になれるんじゃない?」
「無理ではないでしょうけども……。最近はずっとLvUPのためにダンジョンに行ってたでしょう? 今日は少し休みませんか?」
「そ、そうは言っても……。今の機会を逃したら……」
「無理をしすぎるのは良くないですよ。それに21層で何かを欲しそうな目で見ていたのは知っているんですから」
「ギクッ!? ば、バレてた?」
「あれだけ、物欲しそうな目をしていれば誰だって……。それで、私からのプレゼントでそれを買ってあげましょう」
「ほ、本当に!?」
私が欲しかったものは決して戦闘用に使うものではないけど、第21層で売られていた和風の着物で、値段は店によって色々とバラバラだったわけだが、私が欲しかったのは店で一番高いもので、その着物は何か魔力のように引き付けられるものがあった。そうして私達は第21層にお買い物に来た。
しかし……。ここでまさかあの人と会う事になるとは思わなかった……。
──第21層──城下街
私は21層に着くとすぐに着物売り場に向かうと、ここは若い人達のショッピングというような街並みではない。しいて言えばこの街はもの好きが集まるという感じで、それぞれ個性的なプレイヤーが多い。
それでも、この第21層が攻略されている時は何かとこの街にも人が多く出入りしており、和風なものを買うプレイヤーもたくさんいたみたいで、日本人としての懐かしいものでも感じたのか?
私はこの殺伐とした世界の中でこの着物を見たときにどうしても欲しいという感情が湧く。何というか、これを持つことで何かが訪れるような気がしたからという妙な理由も含まれているが、私は店の前に来てタナトさんを待つ──この着物には私のお金では手が出なかったから買ってもらうならこの着物でしょ──少し待つとタナトさんがゆっくりと歩いてくる。歩いてくる私はまるで子供のように手を振ってはしゃぎながら呼ぶ。
「タナトさん!! こっち! こっち!!」
「ハハ……一緒にLv上げしている時とは全く違う顔ですね」
「女の子は欲しいものを買ってもらえる時はみんなこうです!」
「可愛いですね……今後の参考にしましょう。それで欲しいものとは?」
私はその店一番の着物を指差してこれが欲しい!! という意思表示をはっきりとしました。私が欲しいものを指差してニコニコと笑っているとタナトさんも笑いながらその着物をまじまじと見つめる。
「ふむ。この着物は確かに良い着物だと思いますね。流石はルナさんです」
「そうでしょ? この着物は私が本当に欲しいと思ったんですから~」
そういって笑う私を見て微笑みながらその着物をレンさんは再度確認して視線を下の方へとずらしていくとその着物の値段を見たときにタナトさんは明らかに顔を青ざめていた。
タナトさんの青ざめていた顔はおじいちゃんが孫に何かおもちゃを買ってあげようということで、お店に行って孫が即座に最新のゲームのハードを買ってとねだって年金が全部飛んでしまうということを覚悟した時の顔だった。
実際私もSAOはおじいちゃんにせがんで買って貰っていて、行列にもおじいちゃんが並びに行っている。そうまでして買ってくれたのにプレイヤーである私が今こうしてゲームに閉じ込められていると分かったときはこのゲームを買ってきたおじいちゃんはすごく後悔していると思う。おじいちゃんを含め家族には本当に申し訳ないと思っている。
──話を今現在に戻して、この着物の値段は10万コル……。特別防御力が高いだったり、何か特別なアビリティが付くわけでもないのにこの値段である。かつて攻略組の人達もこの着物に目をつけていたらしいが、値段と実用性が伴っていないということで買うのを諦めている。
その結果攻略組が第26層を攻略している今となってもこの商品がそのまま残っているというわけであった。
「る、ルナさん? 本当にこの着物が欲しいの?」
「うん!!」
私は満面の笑みで答える。
「でも、この着物には防具としても機能がまるで無いんだよ? 買うだけ損なことの方が大きいよ」
「私がこれが欲しいって思ったの!! 買ってくれるっていうから期待したのにまさかやっぱりやめたっていうの!?」
「買ってあげるつもりでいたさ。でもこの着物の値段は分かってるでしょう? この着物を買うとなれば僕はしばらくは無一文だ。装備を整備するお金すら無いということになる。そんな自分が死ぬような道を辿ることをするわけないだろう」
「でも……買ってくれるって……言ったのに。この甲斐性無し!!」
私はタナトさんに大声で言ってその場から逃げるように走る。周りの人たちもそんな私たちをヒソヒソといっているが、気にはしないが、行き先があるわけでもないのでただひたすら走り続けていた。しばらくすると息が切れたような感じがしてトボトボと城下街を歩く。
いかがでしょうか? 監獄での主人公の暮らしをメインに考えて書かせていただいてますが、ヒロインの描写も入れさせてもらいました。こういう文を書いていると無闇に人に買ってあげるなんて言えなくなるなーといいつつ無駄遣いをし続ける作者でした(笑)
感想やアドバイスがあればよろしくお願いします