個性『ロケットパンチ』   作:その股ぐらにロケットパンチ!

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ロケットパンチは良いぞ!


一発目 ロケットパンチ!

 

 個性――それは、幾年も前に初めて発見された超常能力、その総称である。初めは光る赤子が生まれたところから始まり、まるでウィルスの様に個性は人々へ広がっていった。

 

 それが悪人の手に渡りその個性を使って犯罪を犯すこともある……そんな犯罪者は、やがてヴィランと呼ばれ人々に恐れられてきた。

 

 しかし、闇があれば光もある……その個性を義勇のため、人のために使おうとする者達も立ち上がった。そんな彼らは、やがてヒーローと呼ばれ英雄とされてきた。

 

 それから幾年も経って、今やヒーロー飽和社会。全世界人口のの8割が、個性をもっているとされている。そして、それだけの人間がいれば、様々な個性がある。

 

 中には、ハズレ個性と揶揄されるものもあった。勿論、個性の使い道なんて様々で、単に役に立たなそうだからといって一概にハズレ個性だなんて言うのも早計な話である。

 

 しかし、そんなハズレ個性はヒーローに向いていない、ヒーローになれないと人からは言われることが多い。

 

 それを鵜呑みにして、後に伸びる個性を持ちながらヒーローになる道を諦め個性を伸ばさなくなる人間も多い。幼い頃からハズレ個性ハズレ個性といじられてきたような人間は特にだ。

 

 しかし、それでも諦めきれずにヒーローを目指す人間はいる。現にハズレ個性と呼ばれていた個性をもった少年がいた。

 

 しかし、その少年はヒーローになる為に努力を続けた。幼い頃から血を滲むような努力をだ……誰から強制された訳でもない……自分の意思でヒーローになる為に努力を続けた。

 

 

 

 何故努力を続けたのか?

 

 ……簡単だ。少年は憧れているヒーローがいた……ナチュラルボーンヒーロー、平和の象徴と言われているオールマイトではない。

 

 決してビルボードチャートに名前が載ることはないが、自分が本当に苦しかった時、手を伸ばしてくれたヒーローが居たのだ。

 

 ヴィランによって街がめちゃくちゃにされ、俺が親とはぐれ一人泣いていた時に手を引っ張ってくれたヒーローが居た。

 

 少年は、その手を引く姿がとても頼もしく見え、同時に憧れを抱いていた。

 

 その人はなんてことないただの一般人、普通の制服を着た高校生の兄ちゃん……ヴィランが街を襲って怖かったはずだ、それでもその兄ちゃんは俺の手を引いて進んでくれた。

 

 俺はその姿がとても輝いて見え、そして俺は決めた……この人の様に誰かの手を引いて歩けるようなヒーローになると。

 

■■■

 

今日は俺のライブへようこそ!エビバディセイ!HEY!

 

 そんな風に声を上げるのは、ボイスヒーロー『プレゼントマイク』……そんなプロヒーローがいるここは一体どこなのか?

 

 答えは雄英……雄英高校だ。倍率300倍で偏差値79の超難関校。だが、ある物を目指す者達にとっては喰らいついてでも入学したい高校だ。

 

 それは『ヒーロー』

 ヒーローを目指す者達は、皆雄英高校へと入学を果たそうとする。ここ雄英高校は、様々なプロヒーローを輩出してきた名門校。

 

 かの有名なナチュラルボーンヒーロー、平和の象徴……オールマイトもこの高校出身だ。

 

 そんな高校を入学する者達の中に、ある少年が紛れていた。

 

 黒髪を下ろし、目付きの悪い目を前に持っていく受験生、目付きの悪さで言ったら近くにいる金髪のヤンキーのような少年と肩を並べるほどだ。

 

 そんな少年の名前は『陣馬 快人(ジンバ カイト)』先に話したハズレ個性を持ちながらヒーローを志す者の一人である。

 

 彼はプレゼントマイクによる説明をひたすらに耳に入れていた。

 

 今から行われるのは、雄英高校の実技試験。重要な事柄だ……快人にとって、この場にいる全員にとって、間違いなく。

 

 さて、ルールを簡単に説明しよう。実技内容は、市街地をもした訓練場にて仮想ヴィランと戦ってもらう。

 

 仮想ヴィランにはそれぞれポイントが設定されており、倒した仮想ヴィランのポイントが自分のポイントとして加算されていくと言う訳だ。

 

 そして、0ポイントの仮想ヴィラント言うのも居るらしい。何処か含みをもたせた言い方を見ると、ただのお邪魔虫というわけではないようだ。

 

(0ポイント……一体どんなのが出てくるのか。)

 

 お邪魔虫と言うからには、それ相応の仕掛けがあるのだろう。快人は心做しか自身の心が高ぶってくるのを感じた。

 

 そして、プレゼントマイクは最後に言葉を付け加える。

 

 

 

――更に向こうへ、Pulls Ultra

 

 その言葉を聞いた瞬間、快人は不意に己の拳を強く握ったと言う。

 

 

■■■

 

試験会場につくと、受験生はそれぞれがウォーミングアップを始めていた。

 

 快人は自身の腕を見る……その腕は、指先や指の付け根、手の甲など節々がメタリックシルバーに輝いていた。まるで、機械が皮膚の下から露出している様にも見える。

 

 快人は体を動かしながらも、その目は常に前に向いていた……まるで獣の様な目付きの悪さだ。

 

 いつでも動けるように、何時でもその手が届くように、注意を怠らない……ただ只管に、快人は感覚を研ぎ澄まさせる。余計なものを視野の外へと投げ出して……やってくる合図へと集中する。

 

 そんな快人を見てか見ずにか、周りの受験生の中にもいよいよ始まる実技試験に緊張が走る……中には胃を痛める者も居ることだろう。

 

 ……そして、賽は投げられる。

 

『ハイ、スタート。』

 

 次の瞬間、無我夢中で快人は走り出した。他の受験者を置き去りにするような勢いでだ。プレゼントマイクは、困惑する受験者の後を押した。

 

『実戦にスタート合図はないぜ!?もう走り出してるやつもいる!さぁ、レッツゴー!!』

 

 その言葉に鼓舞されて、他の受験者も次々と走り出していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 快人は人よりも速く走り出すと、他の人よりも早く仮想ヴィランと接敵する。

 

「標的捕捉、ブッコロス!」

「やってみやがれよォォォッ!!」

 

 快人は、仮想ヴィランが攻撃の手を向けるよりも先に、その顔面に拳を叩きつけた。仮想ヴィランの顔面はひしゃげてその場に倒れる。

 

「っし!っし!まだまだァァ!!」

 

 快人がそう雄叫びをあげれば、次々と仮想ヴィランが現れる。快人は現れる仮想ヴィランの顔面を、只管にその拳で殴りつけていた。

 

 現状、まだ快人は個性を使用していない……これは、舐めプ等と言った他の受験者に対して失礼な態度を取っているわけではない。

 

 ただ只管に、快人は自身の個性を繰り出すタイミングを見計らっているのだ……それだけ、快人の個性は扱いが難しいということでもある。技巧的にも、タイミング的にもだ。

 

 

 快人が暫く兎に角目の前の仮想ヴィランに集中して拳を打ち込んでいると……周囲に大きな地響きが鳴り響いた。

 

 他の受験者や、快人は何だ何だと震源地の方へ目をやると……そこには信じられない光景が映っていた。

 

 市街地を模した演習場、そこに立ちはだかるビルよりも巨大に見えるような仮想ヴィラン…………その正体は、プレゼントマイクがギミックとして紹介していた、0Pの仮想ヴィランだ。

 

 その巨体による脅威は、どんな馬鹿でもわかる。今の自分達じゃ敵わないということも、その場にいる受験生たちは大いに理解できた。

 

 受験者達は大慌てでその場から逃げ出す……あんなのが現れていては、ポイント稼ぎどころじゃない。逃げるので精一杯だ……

 

 兎に角逃げるんだ。出来るだけ遠くへ、ポイント稼ぎはその後でいくらでも出来る!

 

 周りの受験生は、勝てないと判断すれば合理的にその場から急いで逃げだす。まだ中学生の少年少女と、考えれば、逃げだすのは当然の判断だ。

 

 しかし、そんな逃げ出す者達とは反対に、一人だけその巨体な仮想ヴィランを見上げる者が居た。

 

「居るじゃねぇかよ雄英――()()()()使えるヤツがッ!」

 

 快人はそう叫んで、その拳を思いっきり振りかぶった……相手はビルにもまさる巨体に対して、相手はちっぽけな拳一つ。

 

 流石に見ていられないと、受験生の何人かは快人に向って声をかけてくれる。

 

「おい!アンタ!あぶねぇぞ!」

「早く逃げないと!?」

「ご忠告ありがとよ、優しいんだなあんたら……合格することを願ってるぜ。」

 

 快人はそう言ってニッコリと笑ってみせる、そんな快人を受験生達は不気味そうに見つめて、関わるべきじゃないとその場から逃げ出した。

 

 快人には心情がある。消して曲げることのない心情……それは『敵に背を向けない事』

 

 訓練だろうと、なんだろうと、敵に背を向けたくない。その一心で快人は拳を振りかぶっていた……ともすればくだらないプライド。圧倒的に不合理な考え方。愚か者とだって捉えられる。

 

 いや、実際快人は愚か者なのかも知れない……もしかしたら、この行動は間違いなのかもしれない。仮にそうだったとしても、快人は同じ様に笑って拳を振りかぶるだろう。

 

 それに、どうせ倒れるなら前のめりの方が良い。

 

(俺の個性……初めはクソの役に立たなかったが、ここまで来たな……さぁ、見せてやる!俺の生き様を!俺の意地を乗せた自慢の拳をッ!!)

 

 快人は笑って腕を振り下ろしながら……叫ぶ。

 

そのドタマにィィ!ロケットパァァァァァァンチッ!!!!!

 

 その言葉の共に、なんと次の瞬間快人の突き出した右腕の前腕部が勢い良く吹っ飛んだ!断面からロケットエンジンの様に炎を上げながら飛ばされた拳は、0Pの仮想ヴィランへと突き進む。まるで、快人の生き様のようだ。

 

 0Pの仮想ヴィランは強大だ。少し動いただけでも建物の瓦礫が雨のように降りかかる。しかし、快人から打ち出された前腕部は、その降り注ぐ瓦礫をすべて打ち壊していく。

 

 やがて、打ち出された拳は仮想ヴィランの顔面へと打ち込まれた……生み出されたチンケな拳に対して、仮想ヴィランはその顔面を大きくひしゃげさせる。

 

 しかし、快人の拳はそれだけではない、それだけでは終わらない!快人の拳は、仮想ヴィランの顔面を貫いて、その顔面に風穴を開けたのだ!

 

 仮想ヴィランはその場でゆっくりと足を止めて……機能停止。打ち出された拳は、腕を掲げる快人の元に戻って、その上に再度装着される。

 

 それと同時に、実技試験の終了を促すアナウンスが流れる。

 

(……やってやったぜ!)

 

 

 改めて紹介しよう。

 陣馬快人、15歳、男性。

 個性『ロケットパンチ』

 自身の腕を撃ち出す事が出来る個性である!

 

 

 

 

 

 

 




マジンガーなのかシェルブリットなのかコレンなのか。
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