個性『ロケットパンチ』   作:その股ぐらにロケットパンチ!

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十発目 日常と体育祭までの道のり

 

「おぉっす」

「陣馬復帰早え!?」

 

 1日休んでの学校の登校日、至って自然に教室へと入る快人……前腕部骨折、脳系にダメージが入ったにしては元気そうな快人に注目が集まる。

 

「陣馬ぁ!心配してたんだぜみんな!脳にダメージなんて聞かされたからよぉ!」

 

 真っ先に駆け寄ってくるのは切島だ。快人は包帯に巻かれた腕を握りしめながら呟く。

 

「大袈裟だな……その日の夜には目ぇ覚めたよ。なんかすげぇ爽やかな気分だ、生まれ変わったみてぇだぜ。なんか今なら空も飛べる気がする。」

「ほ、本当に大丈夫か?頭打ったんじゃ……」

「おうナチュラル失礼だな切島。」

 

 快人としては、ちょっとしたジョークのつもりだったのだが……あまりにも真剣な面持ちで言うもんだからほんきておかしくなったと思われたらしい。失礼な。

 

 席につくと、緑谷があわあわと快人に声をかけようとしているのが見える。快人は小首を傾げながら緑谷へ問い掛ける。

 

「緑谷、どした?」

「っ!いや……その……陣馬くん大丈夫だったの?」

「応。問題ねぇよ。……つうか緑谷あの時はありがとな、相澤先生運んでくれて……蛙吹や峰田も、助かったぜ。お陰であの脳みそ剥き出しヴィランをぶん殴れてスッキリしたぜ。」

「う、うん……」

「お、おう……」

「けろ。」

 

 そう言って快人はサムズアップする。

 

 ヴィランとは言え、ぶん殴ってスッキリしたという感想が出てくるのはヒーローとしていかがな物かと思うが……緑谷はそんな風な物言いをする快人に、頷くことしか出来なかった。

 

 緑谷は……いや、あの場にいた全員が、あの時動くことができなかったのを後悔していた。だが、当人の快人にこう言われたら、自分達が他に言えることはないだろう。

 

「……それよりも、俺が心配なのは相澤先生の方だ。あの人俺なんかよりも重症だったろ?」

「確かに……今日のホームルームだれがやるんだろ?」

 

そんな疑問を胸に、徐々にホームルームの時間は迫っている。

 

「皆!朝のホームルームが始まるぞ!私語を謹んで席に着け!」

「着いてるだろ?」

「着いてねぇのオメーだけだ。」

「しまった!」

 

 またもや真面目さが空振ってしまう飯田。少し前にヴィランの襲撃があったとは思えないほどにいつもの日常だ。

 

 そして、ガラリと扉が開き入ってくるのは……

 

 

「おはよう」

「相澤先生も復帰早え!?」

 

 包帯を全身にぐるぐる巻きにされながも、いつものようにホームルームをしに来た相澤であった。

 

「先生!無事だったんですね!?」

「無事言うかなあれ!?」

 

 すると、相澤は淡々とつぶやく。

 

「俺の安否はどうだって良い。それにまだ、戦いは終わっていない。」

 

 その言葉に一同は背筋が凍える思いをする……まさかまたヴィランが?そう思う者もいた。

 

 そして、次に相澤が発した言葉は……

 

「雄英体育祭が迫っている。」

(((クソ学校っぽいの来たぁ!)))

 

 すると、流石に異を唱える者も現れてくる。

 

「ヴィランに襲撃されたばっかなのに、体育祭なんかやっても良いんですか?」

 

 その最もな意見に、相澤は言葉を返す。

 

「逆に開催することで、雄英の危機管理体制が盤石であることを示す算段らしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。」

 

 それに何より、雄英体育祭はその程度のことで中止して良い祭り事ではないと言う。

 

 ……それはそうだ。かつてスポーツの祭典とされたオリンピック、規模も人口も縮小し形骸化したそれと入れ替わるような存在が雄英体育祭となる。

 

 名のあるプロヒーローもスカウト目的で見に来る……つまり、プロヒーローに見込まれる可能性もあるというわけだ。その伝で卒業後にプロヒーロー事務所にサイドキック入がセオリーとされている。

 

「年一回、計三回だけのチャンス……ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!その気があるなら準備は怠るな!」

「「「はい!!!」」」

 

 

 

 昼休み……皆はやはり、プロへとデカい一歩が踏み出せるイベントと言う事で、かなり燃えたぎっている。やる気満々といった感じだ。

 

「あんな事はあったけど、テンション上がるなぁおい!」

「活躍して目立てば、プロへのドデケェ一歩が踏み出せる!」

「陣馬!お前はどうだ?」

 

 声を投げかけられる陣馬……実を言うと、陣馬はこの行事そこまで燃えてはいない……いや、厳密には燃えに燃えたぎってはいるし、全力も全力を出す気ではいるのだが、燃えている方向性が他の面々と異なるのだ。

 

 快人は雄英体育祭を、プロヒーローへ見込まれるための一歩と言うよりも、自分の力を高め再確認する為の行事と思っているフシがある。

 

 快人は身勝手自分本位の極みのような性格だ。その身勝手自分本位が、人を助けることとムカつくヴィランをぶっ飛ばす事に向いているからあまり気づかれないだけだ。その為、プロヒーローからの評価は殆ど気にしていない。

 

 それに、いくらプロヒーローに認められて名のある事務所に入っても、それは人を助ける事に直結はしない……現に、快人は幼少期の頃にヒーローでない一般の学生に手を引かれて助けられ、救われた経験がある。必要なのは自分の力の研鑽と心の持ちよう、快人はそう考えている。

 

 そんな事を考えているため、切島の一言に快人は……

 

「燃えてはいるぜ、燃えてはな……」

 

 とだけ返した……その答えに快人らしからぬ物を感じる一同だが、その疑問もそういうこともあると吹っ切れ、一同は再びそれぞれの話題に戻っていく。

 

 

 

 

 そして、時間は過ぎて放課後……1-Aの教室の前には、大量の人だかりが出来ていた他の科からも人間が続々と集まっている。

 

「なんだよ出れねぇじゃん!何しに来たんだよ!」

「敵情視察だろザコ……ヴィランの襲撃を跳ね除けた連中だからな、体育祭前に見ておきたかったんだろ。そんな事しても意味ねぇから、退けよモブ共」

 

 もはや完全ニュートラルに暴言を撒き散らす爆豪……周りからの印象は最悪だ、つられて彼らがA組を見る目も鋭くなっていく。

 

 そんな彼らを快人は横目に、人波をくぐり抜けて教室からでる……快人の目付きのお陰で案外すんなりと道は譲られた。

 

 そして向かう先は……雄英の敷地内にある雑木林だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 快人は雄英高校の敷地内で訓練をしていた、雄英の中であれば許可を取れば個性の使用ができるからだ……快人は敷地内の雑木林の木にロケットパンチを撃ち込む。

 

 放たれたロケットパンチは木にめり込む……が、吹き出される炎は赤いままだ。回転も掛かっていない。

 

「……駄目だ、あの脳みそ剥き出しにぶち込んだ時の威力には遠く及ばねぇ……」

 

 快人はそう言いながら腕を見る。病み上がりでぶっ放して大丈夫か?と思われるかも知れないが、一応病院のにいた医療系の個性の方々の力も相まって完治はしている。

 

まぁ、それでも普通は大事をとっても暫くは安静にするのが一番なのだが、快人に普通は通用しない。

 

 さて、快人が行っているはUSJ事件で脳無に撃ち込んだ回転する青い炎のロケットパンチの再現をするための訓練だ。一度あの技が打てたということは、もう一度打てても不思議はない。

 

 快人はなんとかあの技を物にしようと四苦八苦しているが……なんで打っても青い炎も、ロケットの回転もかからない。

 

「……やっぱ順々に積み重ねねぇと駄目かぁ……せめて、回転位は再現できねぇか?」

 

 快人はそう言いながら、腕を回転させるイメージで突き出す……すると、徐々にではあるが、腕が快人の手についていたまま回転を始める。

 

「っ!?結構あっさりだな……うっし!このままロケットパンチを!」

 

 そう思いながら、快人は目の前の期に狙いを定めて腕を放つ………すると、放たれた腕は回転しながらポロリと、まるでフィギュアのパーツが取れるような勢いもクソもない状態で飛び出す。

 

 

 地面に落ちた腕は回転がかかって影響で、ジタバタとトカゲが自切した尻尾のように暴れまわる。

 

「……はぁ!?なんで……いや、回転したたけでも前進か、なんとか回転したままロケットパンチを打てるようにならねぇと!」

 

 快人は一人声を漏らしながら腕を手に持って腕にくっつける。そして、快人はそのまま特訓に明け暮れる。

 

雄英体育祭まで残り二週間、やれる限りのことはやって、やれる限り強くならねば……快人はそんな思いを胸に、雄英体育祭までの間に数え切れないほどのロケットパンチを放つのだった。

 

 

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