個性『ロケットパンチ』 作:その股ぐらにロケットパンチ!
『おいおい!A組の轟と陣馬ァ!易々とロボインフェルノを突破!氷の凍結による封殺力とロケットパンチによる破壊力はバツグンだなァッ!つか第一関門チョロかったかぁ!?ならこれはどうよ!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォォォォォォォル!』
第一関門を真っ先に突破した轟と、少し遅れてやってくる快人が目にするのは、深く先の見えない崖に点々と設置された足場に綱渡りの綱を引っ掛けられた障害が見えてくる。
「……!」
なんと轟は綱を凍らせてその上を滑って進んでいた。一体どれほど氷の凍結を極めればあんな芸当ができるのであろうか?
しかし快人も感心している場合ではない……早くいかねば。
「ロケットォ!パンチィ!」
快人はロケットパンチを放ってから、そのパンチを片手で掴み穴の上を飛んで移動する。
時折地面に降り立って周囲を警戒してから、再度ロケットパンチで地面すれすれを飛んで移動する。
「これなら轟に追いつけるぜぇ!」
『おぉっと轟は氷で綱を凍らせて滑る!陣馬はロケットパンチを掴んで地面すれすれを飛ぶ!イレイザーお前のクラスすげぇなぁ!なんかこうあれだな!ずりぃな!』
そんなザ・フォールと言う本来であれば苦い顔をせざるを得ない関門……しかし、そんな関門を前に笑みを浮かべる少女がいた。……そう、発目明だ。
「ふふっ……流石快人君、シャトルガントレットをもたせられなかったのが惜しい……!しかし来ました!アピールチャンス!さぁ見よ!全国のサポート会社!私の発明品!ザ・ワイヤーアロウ&ホバーソール!!」
「えっ!?陣馬くん知ってるの……って!?サポート科!?」
「サポートアイテム持ち込んでいいの!?」
芦戸と麗日の疑問に、発目はいっぺんに答える。
「快人君とは幼馴染の関係です!……そして、我々サポート科は公平を期す為、自分で作成したサポートアイテムに限り持ち込み可能……というか!むしろ我々にとっては企業に己の開発技術をアピールする場なのです!……よっと!」
そう言って発明はワイヤーアロウからワイヤーを射出して向こう側の足場へと食い込ませると、ホバーソールを起動して浮き上がり、飛び上がる。
「さぁ!見て!出来るだけでっかい企業ォ!私のドッかわいいベイビーを!」
そう言って発明はスイッチを押すと、ワイヤーが巻き戻りあっという間に向こう側の足場へと立ってしまった。
「すごい……!負けない!」
「くやしい!悪平等……というか幼馴染!?しかも名前で君呼び!?恋バナの気配がするぞぉ!聞き出してやるぅ!」
そう言って麗日と芦戸もザ・フォールを進んでいくのだった……。
『いやぁ!実に色々な方々がチャンスを掴もうとしていますね!イレイザーヘッドさん!』
『何足止めてんだバカども……!!』
『さぁ!先頭は轟に追いつく陣馬!既に1抜け状態だァァァァァァ!!』
真っ先に氷で滑りザ・フォールを抜ける轟に、そんな轟に追いつく快人……陣馬はロケットパンチを腕に戻してから、その道を駆け抜ける。
その後ろでは、上空で爆豪が掌を爆破させて飛び回りながら快人と轟へと狙いを定める。
「ちぃ……爆豪の野郎ォ調子上げてきたな……スロースターターって奴か?」
「クソがァァッ!!!」
快人は背にいる爆豪を気にしながら突き進んでいると……最終関門へと轟とともに到達する。
『さぁて来たぜ来たぜ最終関門!!かくしてその実態は!一面地雷原の怒りのアフガンだァァァァァァ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞぉ!!目と足酷使しろォッ!因みに地雷は競技用だから、大した威力はないが音と見た目は派手だから失禁瀕死だぜぇぇぇ!』
『人によるだろ。』
最終関門……怒りのアフガンの説明が行われる最中でも轟に陣馬は着々と次へと進んでいる。
「ちぃ……確かにこりゃ先頭ほど不利になる種目だな……エンターテイメントしやがる。」
「んじゃ、悪ぃがそのエンターテイメント潰させてもらうぜ!ロケットォォ……!!」
快人は少し後ろに下がり、ザ・フォールでもやったようにロケットパンチに掴み移動する技を使用しようとするが……それを待ったをかけるものが現れた。
掌を爆破させて、快人のロケットパンチを妨害する……爆豪だ。
「させるわきゃねぇだろパンチ野郎ォォォ!!」
「爆豪!?追いついてきたのか!?」
快人は咄嗟に地雷のない場所を見極めて足をつける……だが、その間に轟と爆豪は先へ行ってしまう。快人は咄嗟に足を踏み込みさら進む。
あの様子では今度ロケットパンチに掴まって移動しようものなら、爆豪の爆破にやられてかなり下位になってしまう。
爆豪の爆破を回避しながら進めるほどの機動力は生憎あの技にはない……シャトルガントレットを使えるのならば話は別だが。
「テメェ!宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇぞぉ!」
そう言って爆豪は轟の妨害に走る……そのお陰で、陣馬もなんとか轟爆豪の1位争いに食い込める。
「上に行くのは俺だァァァッッッ」
「んな事は天地がひっくり返ってもありえねぇんだよパンチ野郎ォ!」
「……ッ!!」
『おぉっと!轟爆豪陣馬の三人が三つ巴の上位争い!喜べオーディエンス!お前ら好みの展開になってきたぞォッ!!』
プレゼントマイクが煽れば、会場のボルテージはさらに上がっていく……その感にも、轟に快人、爆豪は上位争いを続けている。
ある時は轟が二人の腕を凍結させ、ある時は爆豪が爆破で2人を攻撃、ある時はじんは両腕のロケットパンチで2人をぶっ飛ばそうと画策する。
このまま上位陣はこの3人の誰かで決まりか……?そう思われた時だった。
突然、後方で大きな爆発音と爆風が響き渡る……まるで地雷をまとめて爆破させたような威力だ。
「「「ッ!?」」」
3人がとっさに振り向けば、そこには仮想ヴィランの残骸をボードのようにして爆風に乗る緑谷の姿があった。
真先に反応するのは、緑谷に執着している爆豪だ。
「デクゥゥ!!俺の前を行くんじゃねぇぇッッ!!」
続いて地面を氷結させて進むのは轟。
「後続に道作っちまう事になるが……後ろ気にしてる場合じゃねぇ!」
そして、二人が追い抜き重視するのを見て快人もロケットパンチを掴んで発射する。
「こりゃあ多少の危険侵してでも行くしかねぇぞ!」
三人は、先へ突き進む緑谷を追いかける。
『元先頭三人!足の引っ張り合いを辞め、緑谷を追う!共通の敵が現れた時に人は争いをやめる!争いはなくならないがな!』
『何言ってんだお前。』
後から轟、爆豪、快人の3人が迫る中、緑谷は必死に考える。考えに考えに考えて……
(着地のタイムロス考えたら、一度追い抜かれたら絶対に追い越せない………!追い越し無理なら!追いつかれちゃ駄目だァッ!!)
そう言って緑谷は仮想ヴィランの瓦礫を地面に叩きつけた!すると、地面に仕掛けられた地雷が発動し……爆破する!
轟、爆豪、快人は爆破に巻き込まれて妨害を食らってしまう。反対に緑谷は爆風でさらにさらに前へと進む。陣馬に至ってはロケットパンチから手を離した影響ですっ転ぶ始末だ。
後続に抜かれるほどじゃないが……この距離だともう追い越しは不可能だろう。だが、快人は足掻きと言わんばかりにロケットパンチを放って掴み先へと進む。
既に上位3組入賞は絶望的だと言うのに、快人の顔は妙に晴れ晴れしい。
(緑谷……発想の天才か!?すげぇやつだぜ……だが、俺も足掻くぜぇッ!!)
快人がそう思いながらも突き進むが………………結果は奮うことはなかった。
プレゼントマイクは驚きながら叫ぶ。
『まさかまさかのこの結末を誰が予想したぁ!?一番にスタジアムに帰ってきたのはその男!雄英高校ヒーロー科1-A!緑谷出久だァァァァァァ!!!』
その叫びと共に会場のボルテージはグレードアップ。快人も他の面々に遅れてだがゴールする。
「はぁ……はぁ……」
快人は両手をバシッと音がなるほどに合わせて、言葉を漏らす……結局、快人の順位は四位に落ち着いてしまった。
「クッソ……せめて上位3位にゃ入りたかったが……俺もまだまだって事だなぁ……」
そんなこんなで、今年の雄英体育祭の第1種目は終了……ある程度時間が経ってから、全員が通過したのを確認されてから、選手達は集められる。
すると、ミッドナイトが声を上げる。
「予選通過は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!」
舌舐めずりをしながら答えるミッドナイト……すると、ミッドナイトの後ろのモニターのルーレットが回転し始める。
『さぁ!いよいよ本戦よ!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさいよ!……さて運命の第二種目は……これよ!』
ミッドナイトのムチと共にモニターに示されるのは……騎馬戦。
「騎馬戦……」
「俺ダメなヤツだ!」
「個人戦じゃないケド……順位どうするのかしら?」
「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわよ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが……先程の結果に従って各自にポイントが振り分けられるって事!」
「入試みてぇなポイント稼ぎ方式か……いいなぁ!滾るぜッ!」
快人はそう言って目を吊り上げながら笑みを浮かべる……その強さに周りの何人かはそっと快人から距離を置いた。
「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると!」
「あぁ!」
「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!?」
「ええそうよ!!そして与えられるポイントは下から5ずつ!42位が5ポイント41位が10ポイント――といった具合よ。そして1位に与えられるポイントは………………1000万!!!!」
つまり、1位のハチマキを取れば……どんな順位からでも巻き返せるということだ。ギラついた視線が、1位の緑谷へと突き刺さる。
「それじゃ、騎馬戦のルール説明をするわ!」
基本のルールは騎馬戦と同じ。制限時間は十五分、個性アリの残虐ファイトだ。しかし、悪質な攻撃はレッドカードで一発退場だ。
騎手はチームの総ポイントの書かれたハチマキを首から上に巻くことだ。因みに、ハチマキが取れても騎馬が崩れても組み直せば競技に参加できる……つまり42人の騎馬がずっとフィールド上にいることになる。
「それじゃあ15分ね!チーム決め交渉スタート!」
……ミッドナイトの合図と共に、快人は目的の人物の方へと進んだ。