個性『ロケットパンチ』 作:その股ぐらにロケットパンチ!
快人は目的の少年の方まで駆け寄ると、軽く肩を叩いてから言葉を紡ぐ。
「緑谷ぁ、組もうぜ。」
「陣馬君!!……!ありがとう!」
「陣馬君!」
緑谷と麗日は、組もうと言ってきた陣馬をみて顔を明るくする。どうやら陣馬は受け入れられたようだと少し安堵する。
「麗日も一緒か……よろしく頼むぜ。」
「うん!あ、そうだ……なんでもないことなんだけど、一つ聞きたいことがあって……」
聞きたいことと言われて快人と、話を聞いている緑谷は不意に首を傾げる。
「陣馬くんってサポート科に知り合い居るん?」
「あぁ、居るぞ、発目明っつて――」
「フフフフフ……良いですね、やはり……目立ちますもの!私と組みましょう!一位の人!」
「わっ!?近っ!?」
すると、後ろでは何やら独り言を呟きながら緑谷へと詰め寄っている発目の姿が……快人はそんな発目の気配を察知すると、目を細めながら指を刺す。
「あれ。」
「貴方の事は知りませんが、一位の立場利用させてもらいます!貴方と組むと必然的に注目度がナンバーワンになるじゃないですか!?つまりそれって必然的に私のドッかわいいベイビー達が企業の目に留まるって訳なんですよ!それってつまり大企業の目に私のドッかわいいベイビーが入るってことなんですよ!」
怒涛の勢いで言葉を繋げ、緑谷に近づいていく発目に麗日は慌てなが疑問符を浮かべる。
「ちょ、ちょっと待って!ベイビーが大企業……?何を……」
「それでですね―――!!」
「あ、私無視だ。」
「こーいうやつなの、基本身勝手の極意みたいな人なの。自分が興味もった物以外眼中にないの。」
快人はそう言ってドンマイと言わんばかりに麗日の肩を叩くと、快人は発目の襟を引っ張り声を上げる。
「おら発目、緑谷引いてんぞ。」
「おや快人君!四位の貴方とも組むなら注目度は2割増!」
「気づいてなかったのかよ俺がいる事……」
「気づいてましたよ!気付いた上での無視です!」
「余計タチ悪ぃなお前!?」
((陣馬君が振り回されてる!?))
快人の普段見せない面を見せている事で、緑谷と麗日は快人に対する印象が少し柔らいだ……陣馬は、その目付きの悪さは、爆豪ほどではないにしてもその言動の粗さから少し怖がられているのだ。
すると、陣馬は軽く溜息をつきながらも言葉をかける。
「まぁ、コイツのベイビー……サポートアイテムは天下一品だ。コイツと組むならサポートアイテムも使える。」
「えぇ!えぇ!そうなんですよ!あ、例えばこれなんてどうですかあるヒーローのバックパックに独自の解釈を加えたものでして……」
「もしかしてバスターヒーローエアジェット!?僕も好きだよ!」
「本当ですか!?」
((即……気あっとる……))
麗日と快人は楽しげに会話する緑谷と発目をみてそんななんとも言えぬ感情が湧き上がってくるという。
……なにはともあれだ。これで4人集まった。騎馬が組める。そして作戦会議も含めれば……騎馬決めの時間十五分はあっという間に終わる。
因みに右翼に発目、左翼に麗日、前騎馬が快人、騎手が緑谷だ。
『さぁさぁ騎馬も組み終わった事だし!もう準備はいいかなんて聞かねぇぞぉ!残虐ファイトカウントダウン!』
プレゼントマイクの引きの元カウントダウンが始まる……3...2...1...と続く……そして、残虐ファイトの火蓋は切って落とされた。
「狙うは……」
「一つ……」
「ッ……!」
『START!!』
次の瞬間、多くの騎馬が走り出して……緑谷の騎馬の方へと向かう。
「こんなん実質……1000万ポイントの争奪戦だろぉ!!」
「はっはっ!緑谷君!頂くよぉ!」
次々と向かって来る騎馬達……緑谷は勿論、麗日も少し尻込みしてしまう。すると、快人が声を上げる。
「どうするよぉ緑谷ァ!騎手!どう動かす!」
「勿論……逃げの一手!」
「させるかよぉ!!」
すると、B組の騎馬が近づいてくる……そうすれば、突然緑谷の騎馬付近の足元が泥濘み、足が深く地面に突き刺さる。B組鉄哲の騎馬、骨抜の個性だ。
「っ!あの人の個性か……発目さん!麗日さん!顔避けて!」
その指示に従い2人が顔を避けると、緑谷はバックパックのスイッチを入れる……すると、バックパックからジェット噴射が行われ、4人は大きく宙に浮く。
だが、真先に葉隠の騎馬がそれを妨害しようとする。
「常闇くん!」
「心得た、ダークシャドウ!」
「アイヨォッ!!」
すると――葉隠が脱いでいるのを気にしないようにしている――常闇の個性、影っぽいモンスター、ダークシャドウが飛びかかってくる。快人はニヤリと笑って、緑谷の足を麗日にもってもらう。
「麗日ぁ、足頼むぜぇ……ロケットォパンチィ!」
すると、快人の腕から放たれたロケットパンチがダークシャドウの目の前を旋回して防御する。
緑谷に快人も知らぬことだが、ダークシャドウは光に弱い。快人の炎を噴射するロケットパンチも相まってダークシャドウはあからさまにひるんでしまう。しかし、それを除いてもダークシャドウを押しのけるだけの威力は揃っている。
「凄い……流石の威力だよ!陣馬君!このまま僕らの周りを旋回しながら防御……できる!?」
「へへっ、やってやるさ!そりゃ俺の自慢の拳だからな……」
「着地するよ!」
麗日の合図と共に、4人は着地の態勢を取る……
(麗日さんの個性で他を浮かせれば、総重量は麗日+サポートアイテム分のみ!)
「どうですか!?私のベイビーは!?可愛いでしょう!?可愛いは作れるんですよ!」
「凄いよベイビー!発目さん!」
「うかしとるからやん……」
『開始2分と経ってないのにもう熾烈な奪い合い!一千万を狙わず2位から4位狙いっていうのも悪くねぇ!?』
プレゼントマイクのナレーションによりさらに会場のボルテージは上がっていく。快人は立ち止まろうとする緑谷へと声を上げる。
「立ち止まんな!進め進めぇ!倒れたとしても前のめりよぉ!」
「う……うぇっ!?なんか足にくっついとる!」
「えっ!?」
麗日の言葉を聞いて、緑谷が麗日の足元を見るとそこには峰田の個性……もぎもぎと言うくっついた取れない物質がくっついていた。
「峰田くんの……何処から!」
「ここよここ……!!」
その声は……一見一人で走っているように見える障子の方から聞こえてきた。緑谷はとっさに伸びてくる舌を回避する……再度障子の方をみれば、なんと、峰田と蛙吹を障子は圧倒的体格差と複製した腕を使って覆い隠していたのだ。
「流石ね緑谷ちゃん。」
「2人背負ってんのか!?すげぇな障子!?」
快人は思わず感心してしまうが……そんな事をしている場合ではない。兎に角この場を離れなければ、それは緑谷も同じ気持ちのようで、バックパックのスイッチを再度押す。
……すると、当然と言えば当然だが、もぎもぎでくっついた麗日の足のホバーソウルが引きちぎれてしまう。それを見て発目は情けない声を上げる。
「あぁ!?ベイビーが千切れたぁ!?」
「ごめん!でも離れられたよ!」
……すると、爆破と共に空へと浮かんだ緑谷達に近づく影あり。爆豪だ……テクニカルに爆破を空を飛んで緑谷へと近づいたのだ。
ミッドナイト曰く、地面についてないからあり!とのこと。
「調子乗ってんじゃねぇぞデクゥ!!」
「ひっ!?」
「ちぃ!」
手を向けてくる爆豪に対して、快人はロケットパンチを下から潜り込ませてアッパーカットを仕掛けようとするが、咄嗟に爆破で避けられる。
「ちぃ!テメェかパンチ野郎ォ!」
「俺だよぉ!」
爆豪は勢いを失い、瀬呂のテープによって回収される……緑谷達も着地するが、片足だけでは制御が難しいらしく、着地慈悲大きくもたついてしまう。
「悪ぃな緑谷、なんなら爆豪のハチマキとるつもりでいたんだが……小まわりの利く制御の練習ってのを殆どやってこなかったもんでな。」
「快人君は他の追随を許さない脳筋ですからね!」
「うるっせぇ!!」
「大丈夫……防いでくれただけで有り難いよ!」
そして緑谷はまた思考する。
(でも、着地時のもたつき……もう空中への逃げは打てない。麗日さんのゼロ・グラビティで高めた機動力と、陣馬くんのロケットパンチによる中距離防御で凌ぐしかない!)
そんなこんなしている間に、時間は既に半分を過ぎていた……映し出されるポイント、しかしそこに映る数値は緑谷以外パッとするものではなく……なんなら爆豪もポイントを奪われていた。
どうやら、B組は予選を捨てた長期スパンの策……A組の個性や人格を把握してから攻めるつもりらしい。爆豪な元に面白いくらい煽られている。
つまり、無理に緑谷を……一千万ポイントを取ろうとしていない証拠でもある。緑谷はそれに気づき、逃げ切りがやりやすくなったと心の何処かで安堵する。
「……!」
「きやがったぜ緑谷……俺達の喧嘩の売り主がよぉ……!」
「……。」
………が、騎馬戦だけに、そう
「……そろそろ取るぞ。」
そう言ってギラついた目を向けてくる轟……だが、ここでハチマキを取られるわけにはいかない。、緑谷達は下がろうとするが……いかんせん狙ってくる騎馬が多すぎる。
すると、真先に動いたのは轟だ………。
「上鳴!今だ。」
「しっかり防げよ……無差別放電1300000ボルトォォォォォォ!!!!」
上鳴の放電が辺りを包み込む。しかし、肝心の轟は絶縁体のシートで上鳴の電気をしっかり防いでいる。そして、そこからアンカーを地面に突き刺し、アンカーごと氷結させて……周りの人間を凍結して足止めさせる。ちゃっかりハチマキまで取っていく慎重っぷりだ。
『上鳴の放電で目眩ましさせてからの凍結……流石と言うか、予選で結構な人数に避けられたのを鑑みてるな。』
『ナイス解説!』
さらに、緑谷達にとって悪いニュースは続く……轟は凍結によって、緑谷を囲い完全に狭い空間に追い込んだのだ。
「ッッッ……!」
「やべぇな、なんつーかこれは、やべぇ、やべぇよ。俺のロケットパンチなら突破自体はいけるが、放電撃たれたら否が応でもロケットパンチは止まる。現にその性で片腕のロケットパンチは氷壁の向こう……戻ってくるまで時間がかかる。」
「はっ……!」
やべぇやべぇと口では言うが、快人はニヤリと笑みを浮かべる。そして、轟に向けて右腕を突き出す……
「緑谷!勝手やらせてもらうぞ!発目ぇ、緑谷頼むぞ……ロケットパンチ!!」
次の瞬間、唸る鉄拳が轟の前に放たれた。
快人のロケットパンチの使い方がジオングみたいになっとる……!!