個性『ロケットパンチ』   作:その股ぐらにロケットパンチ!

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十七発目 ソニックムーブ

 

 快人はなんやかんやありつつも、応援席へと戻ってきていた。

 

「陣馬君!お疲れ様!」

「まさか真正面から突っ切るとはな!男らしかったぜ陣馬ァ!」

「応……あんがと。」

 

 どこか元気無さげな快人を見て小首を傾げる皆……だが、そんなこんなしている合間にも第四試合の飯田と発目の戦いが始まろうとしていた。

 

「相手はサポート科か……」

「どんな勝負になるのかしら……?」

「勝負にならねぇよぉ……」

 

 そう言って快人は頭を抱える……すると、傍に座っていた緑谷が声を上げる。

 

「そ、そんなに……?」

「この試合、飯田は泣く事になる。」

「「「そんなにっ!?」」」

 

 快人の言葉に周りが驚きを隠せない中、飯田は(発目作の)サポートアイテムをまんべんなく装着していた。ヒーロー科の人間は原則サポートアイテムの装備禁止だ……その事については流石に主審のミッドナイトに咎められる。

 

 しかし、飯田は言う。

 

「彼女のスポーツマンシップに心打たれたのです!彼女はここまで来た以上対等だと!俺にアイテムを渡してくれたのです!この気概に俺は!答えなくてはならないと思ったのです!

「青臭!!好み!許可します!」

 

 ミッドナイトは即刻許可をした。

 

『いいのか!?』

『まぁ双方同意の上なら許容範囲内……で良いのか!?』

 

 解説席でも少々混乱が起こっている……そして快人は……

 

「発目がンな事言う訳ねぇ〜〜〜だろぉ〜〜〜がよぉ〜〜〜!!!」

(((陣馬君が見たことないくらい頭抱えてる!?)))

 

 クラスメイトは快人のこんな姿見るのは初めてた……頭を大きく抱えて、情けない声を上げる快人の姿は特にだ。

 

 そして、なんやかんや始まる第四試合。飯田は早速発目に向って駆け出すと……発目はスピーカーを付けてから声を上げる。

 

『素晴らしい加速じゃないですか!?飯田君!』

 

 そこから始まるのは、発目のテレビショッピング顔負けの自身の作成したサポートアイテムについてのプレゼンテーションだ。

 

 そこからもう時間いっぱいいっぱい使ってのプレゼンテーション……もうなんと言うか、只管に発目の独壇場といった感じだ。発目はサポートアイテムを駆使して飯田の攻撃をいなす。いなす、いなす!

 

 発目は快人のロケットパンチの訓練につきあわされたことがある。あぁいった加速系の攻撃のいなしはなれっ子……と言う事なのだろうか?

 

 他のサポートアイテムを会社の人間もうんうんと頷いている。発目の才能に目をつけている様だ。……そして最後には、自分からフィールドから出る始末。余すことなく自信のサポートアイテムを紹介したからだと……

 

 緑谷は思わず陣馬の方を向いて問い掛ける。

 

「じ、陣馬君……もしかして、こうなる事がわかってたの?」

「あぁ……!!あいつはどうやっても身勝手科自己満属なんだよ!基本目的のためには手段を選ばねぇんだ!!生真面目な飯田は相性最悪だったな……!」

「な、なるほど……」

 

 快人が飯田に申し訳なく思っていても、つつがなくトーナメントバトルは繰り返される。

 

 第五試合――芦戸と青山の戦いでは、芦戸は青山のレーザー攻撃を全て避けて、青山がレーザーのデメリットである腹痛を起こし始めた瞬間に近づきアッパーカット。勝者は芦戸となった。

 

 上鳴と八百万の戦いは、上鳴は最初フェイントを掛けて微弱な放電を放った後に最高火力の放電を放ったが、八百万が創造した絶縁体シートの前になすすべなく捕獲され、場外へと押し出されて八百万が二回戦進出となった。

 

 第七試合の切島と鉄哲は只管な殴り合いに発展し……最終的にドローに終わった。後に腕相撲で決着をつけることになり、切島が勝利した。

 

 そして問題の第八試合……麗日と爆豪の試合は、とある事情からブーインクの嵐となった。爆豪はここまで来た麗日を油断せずに、一気に突破するのではなく、一つ一つの策を分析して確かに潰していった。

 

 それが、人相手にはなぶっているように感じられたのだろうか?ブーイン軍の嵐が巻き起こるが……相澤が一喝する。

 

『今遊んでるって言ったやつプロか?何年目だ?……素面で言ってんならもう見る意味ないから帰れ。帰って……転職サイトでも見てろ。』

 

 その言葉からしばらくしないうちに決着はついた……爆豪の勝利という決着が……だ。

 

 少しシンとした静けさがくるが、止まっている暇はない次の試合が行われようとしていた。

 

「次は……緑谷と轟か。」

 

 この試合、快人は兎に角注目していた。喧嘩を売った轟と喧嘩を買った緑谷。一体どんな勝負になるのか、一体2人がどんな意地をぶつけ合うのか……それを知りたかった。

 

 そして始まる緑谷と轟の勝負……緑谷は、自身の指を使用して超パワーの衝撃波で轟の氷を突破していくのだ。

 

 その一見狂気的にも見える方法に、その場にいた皆が息を呑む。だが、その二人の戦いぶりに快人は思わず身を乗り出すほど熱中していた。

 

 緑谷の戦い方は……明らかに勝つ為の戦い方ではない。いや、勿論勝とうとしているのだろうが…………そこにはもっと違う何かをみてしまう。

 

 

 

 

 ………結果は、轟があれほどまで使わないとまで言わした炎を使わせる結果に終わった。

 

 ミッドナイトとセメントスが止めても尚起きたステージの大崩落。思わず快人は立ち上がり……その光景を眼に焼き付ける。

 

 これほどまでの意地と意地のぶつかり合いが、喧嘩は、これまで見た事がない。……言い方を選ばず言えば、快人はその光景に感動したのだ。

 

 ステージの大崩落によって少しの休憩タイム……その間に、飯田に麗日、蛙吹、峰田、そして快人は緑谷へと見舞いに向った。

 

「緑谷、大丈夫か?」

「………陣馬君まで、ありがとう。」

 

 ベットでは両手を包帯でぐるぐる巻きにされていた緑谷が寝そべっていた……皆はそれぞれあの轟との戦闘の感想を述べる中、快人は一歩緑谷へと近づいて言葉をかける。

 

「緑谷……そのザマはあまり褒められねぇかも知れねぇが。いい勝負だった、俺の心に刻まれたよ。……とんでもねぇやつが来たとも思った。」

「えっ……?」

 

 緑谷は思わず、そんな腑抜けた声を上げてしまう。すると、快人はそっと笑みを浮かべて、話をそらす。

 

「そういや飯田、次はお前とだな。」

「うむ!……因みに、キミはサポートアイテムなどは押し付けては来ないのか?」

「トラウマになってんじゃねぇか!?発目みたいなことにはならねぇから安心しろい…………緑谷、また後でな。」

「う、うん。」

 

 そう言って快人はその場をあとにする……他の面々も快人に釣られてその場を去っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィールドの修復……それが終われば、次には快人と飯田の試合だ。2人はお互いにフィールドに立って向かい合う。

 

 飯田はビシィッと頭を下げる快人もつられて軽く頭を下げると、構える。

 

「陣馬君!よろしく頼む!」

「おう飯田ァ……油断はしねぇ、容赦もしねぇ、徹底的にやってやる。」

 

 快人はそう言って腕を向ける……すると、試合開始の合図が鳴った瞬間だ。

 

「ロケットパンチ!」

 

 快人は回転してスピードの上がったロケットパンチを否応無しに放つのだった。だが、飯田はその猛スピードのロケットパンチを、足のエンジンを吹かして容易く避けてしまう。そして――――

 

「レシプロ・バースト!!」

 

 高速で飯田は快人の後ろまで移動すると、快人の肩を掴んでもう一度エンジンを噴かせて快人をフィールドの外まで押し出そうとする。しかし……

 

「俺はそう簡単には抜けねぇぞぉ!」

 

 その言葉の後に、飯田が回避したロケットパンチが戻ってきて飯田へと向かう。さすがにこれをもろに食らうのはまずい……飯田は咄嗟に快人から腕を離してしまい、快人に懐をさらしてしまう。

 

「オラァッ!貰ったァッ!」

「グッ……まだだッ!」

 

 快人はロケットパンチを飯田の懐へ放つ……しかし、飯田はレシプロバーストの勢いを乗せて、快人から放たれたロケットパンチを蹴りつける。

 

「ッ!?」

(エンジン停止まで8秒!まだ……!!)

 

 結果はロケットパンチがレシプロの蹴りに弾かれる結果となった。飯田は即座にエンジンの勢いを乗せた蹴りを快人へと打ち付ける。

 

「ガッハァッ!?」

 

 蹴りとともに地面に叩きつけられる快人……飯田は咄嗟にそんな快人の襟を掴んで、場外へと投げ飛ばそうと走る。

 

(エンジン停止まで六秒……行け――)

 

 だが、そんな飯田の前を放たれたロケットパンチが横切って動きを止める。反射的に止まってしまったその一瞬……そこで、飯田は顔面にもう片方のロケットパンチを食らってしまう。

 

「ぐぁっ!?」

 

 顔面にもろに食らうと、流石に飯田は快人から腕を離してしまう。瞬間、快人は片足を、踏ん張らせて、大きな回し蹴りを飯田の脇腹へと打ち付ける。

 

「ごふっ……!?」

「い、ま、だァァァァァァ!!!」

 

 快人の叫び声と共に、放たれた二つのロケットパンチが、飯田の首元を掴んでロケットを噴かせて飯田を押しのける。

 

 飯田もレシプロを使い振りほどこうとするが、足が宙に浮きうまく踏ん張れない。小回りやスピードならともかく、馬力は快人のロケットパンチの方が上だ。

 

 飯田はそのままロケットパンチに場外まで押し出され、壁に叩きつけられる。

 

「はぁ……はぁ……」

「飯田くん場外!陣馬君の勝利!」

 

 陣馬はぜぇはぁと息を切らせながら大きく背を伸ばす……これで、轟との勝負にはもつれ込めた。飯田は悔しそうに顔を歪ませる。しかし、快人も蹴られた背中を擦りながら痛みを顔を歪ませる。

 

「ぐっ……兄さん、すまない……!」

「はぁ……はぁ……レシプロ早いし小回りも効くし……えげつねぇな。」

 

 快人のロケットパンチも似たようなものだが、快人のロケットパンチは直線でのスピードこそそれなりの勢いが出るし、馬力も凄まじいが反面小回りはほとんど利かない。だからこそ旋回して戻って来させるまでにタイムラグがあるわけだ。

 

 その点、飯田のレシプロはスピードは快人のロケットパンチ以上な上に小回りも効く。快人のロケットパンチとの違いはそこだ。

 

「飯田、いい勝負だったよ。」

「あぁ、次は……負けない……!!」

 

 そう言って二人は固い握手を行うのだった。

 

 

 

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