個性『ロケットパンチ』   作:その股ぐらにロケットパンチ!

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二発目 入試について

 

 陣馬快人の個性は、お世辞にも強力な物とは()()()()()()()腕を撃ち出すだけのロケットパンチと言う個性。

 

 現在こそ必殺と呼べる威力を有しているが、個性発現したての頃は輪ゴム鉄砲の方がまだ威力があるくらい軟弱な勢いで撃ち出す事しか出来なかった。

 

 ありがちな話だが、よく同級生にからかわれた物だ……「そんな個性じゃヒーローになれない」と。

 

 快人はそれが悔しかった、だからその豆鉄砲程度の威力しか持たない鉄拳を、()()()と言う威力になるまで鍛え上げた。

 

 ほぼ独学で、彼は只管に努力を続けた……彼には、周りに教えを解いてくれる人間は居なかった。父親も母親もプロヒーロー等ではなく、普通の会社員と専業主婦だ。

 

 知り合いに都合よくプロヒーローの伝手がある訳でもない。故に自分なりに、兎に角前を向いて努力を続けてきた……そして、それは無駄にはならなかった。

 

 着実に快人は力を物にしたのだ。それだけでどれだけ運の良い事だろう。

 

 快人は、そんな思いを胸に只管に努力を続けているのだった。それは、合格してからも変わらない……只管に筋トレ、個性を伸ばす訓練。

 

 休んでる時間はない、努力はいくらしても無駄にはならないのだから……しかし、その努力のためには休むことも必要になってくる。

 

 まさにこの日、快人はたまの鍛錬の休み時間だ。

 

 

 

 

 様々なメカの置かれた部屋に、快人ともう一人、少女がいる。少女は、その場にいた快人に声を掛ける。

 

「快人君!そこにあるパーツ取ってもらえませんか?」

「あいよ……発目、お前も人をパシリにするのに慣れてきたな。」

 

 京都府のとある住宅街に立ち並ぶ一軒家。表札に発目と書かれたとある家の中にいるのは、快人と、もう一人、ピンク髪のドレッドヘアーの少女がいた。

 

 快人は、その少女の事を発目と呼ぶ……発目明、それが少女の名前だからだ。

 

 二人の関係は、家が近所の幼馴染……と言う所だろうか?これからは、科は違えど同じ学校の同級生ということになる。

 

 発目も、サポート科ではあるが、雄英高校へと通うことになる生徒だからだ。

 

 何故そんな2人が一緒の家にいるのか?……それは、多忙な発目の両親と、発目の絶望的な生活スキルの無さから、時折快人や快人の家族が様子を見に来ているからだ。

 

 こんなのでも家族ぐるみの付き合いで幼馴染……ちょっとくらい世話を焼いてもバチは当たらないだろう。お陰で、快人の家事スキルはカンスト一歩手前だ。

 

「〜〜♪ドッ可愛いベイビ〜♪あ、快人君そこのドライバーもお願いします。」

「はいはい……」

 

 快人はあいも変わらず心の底から機械を楽しそうにいじって、人を堂々とパシリに使う発目。発目は名の通り発明に対しては天才的な腕をもっている。

 

 その才能たるや……筆舌に尽くしがたいほどだ。しかもまだ学生……これから経験を積んでもっとたくさんのサポートメカを作り出したら、一体どうなってしまうのか想像もつかない。

 

 きっと、とんでもない発明を作り出す事だろう。快人は、集中している発目に水を指すのをためらいながらも、タイミングを見計らって声を掛ける。

 

「そうだ発目、()()やるよ。」

 

 そう言って快人は、発目にとある投影機を手渡した。小型のものでかなりパフォーマンスが良い。発目はその投影機をみると目を輝かせる。

 

「おぉっ!?なんですかこの投影機!?この小型軽量で圧倒的性能!?……快人君!これを一体何処で!?」

 

 発目の疑問に、快人はさらりと答える。

 

「雄英高校から、合否判定のヤツ。」

 

 それを聞くと発目は目を見開いて問い掛ける。

 

「ほうほう、ヒーロー科はこんなのが送られてくるんですねぇ……でも良いんですか?大事な物では?」

「書類は提出したし、それはオマケみたいなもんだからな……パーツにするなりなんなり好きにしろ。」

「おぉ、では有り難く受け取らせて頂きます!」

 

 そう言って発目派一切の迷いなくその投影機を快人から受け取り、目を輝かせる。

 

 合格した証のようなものを、そう簡単に渡してしまっていのか!?と思うかも知れない……実際、ヒーロー科に合格した者はこの投影機を後生大事に持っている者も多い事だろう。

 

 しかし、快人にとってはこんな物はトロフィーにもならない。快人にとって、ここはスタート地点の蜃気楼が見える位置……ゴールはまだまだ先、プロヒーローへの道はまだまだ先なのだ。

 

 それに、こういう科学技術の結晶みたいなものは自分が持っているよりも、こういう発明に大いに長けている発目に渡した方が有効的に使ってくれることだろう。

 

 因みに、入試の結果だが……快人は無事合格することが果たされた。あの試験、どうやら仮想敵を撃破することで得られるヴィランポイントの他に、どれだけ人を助けたかと言うレスキューポイントなる物もあったとのこと。

 

 快人はヴィランポイント43点レスキューポイント20点の計63点。順位にして6位の好成績だ。

 

 因みに発目も、雄英のサポート科への入試は合格している……順位だけで言えば、快人よりも好成績かつ高順位だ。まぁ、別科と者同士を比べるのはナンセンスなのだろうが。

 

 閑話休題……

 

 快人が時計を確認すると、そろそろ昼飯時だ、快人は発目に声を掛ける。

 

「昼飯作るよ、何が良い?」

「いえ、チョコがあるので大丈夫です!」

「よぉし大丈夫じゃねぇな!唐揚げ食え!」

 

 快人は自分や自分の家族がいなくなったら、発目は一体どの程度生活できるのかと、心の底から不安になりながら、買い出しの支度を始める。

 

 すると、発目は快人は部屋からひょっこりと顔を出して、快人に声を掛ける。

 

「快人君!後で採寸させてもらえませんか?」

「採寸……?いいけど、なんで?」

「以前、貴方のヒーローコスの要望を見せてもらったじゃないですか?

当たり前の様に言うな。見せた覚えないぞ。

「快人君のお母様から見せてもらいました。」

 

 それを聞いて、快人を頭を抱える……確かに、快人の母親はおおらかで頼まれると断れない性格だ。

 

 だとしても、息子の個人情報でもあるコスチュームの容貌を勝手に人に見せないで欲しい……発目だからまだ良いが。

 

「そしたら、快人君のコスチュームに合う装備を思いつきまして!」

「ほへぇ……わかった!楽しみにしてるぜ。」

「任せてください!」

 

 それはともかくとして、発目の発明の腕は確かだ。そんな発目が思いついた装備……どんなものか、楽しみでしょうがない。

 

 快人は、少しのワクワクを胸に身支度を進めるのだった。

 

 

■■■

 

雄英高校のモニター室、そこでは先日の入試試験の映像が映し出されていた。それをみて雄英の教師たちが講評を続けている。

 

「レスキューP0で1位とはね!」

「後半他が鈍る中、派手な個性で迎撃し続ける……タフネスの賜物だな。」

 

 まず目が行くのは、レスキューP0で入試1位を獲得した、爆破の個性を持つ少年についてだ。

 

 レスキューポイントがゼロでも入学を果たした人間は過去にもいるが、まさかそれで実技1位は……才能の塊と認めざるおえないだろう。

 

 そしてもう一人……反対にヴィランポイントなしで8位の成績を収めた少年にも目がいく。

 

「反対に、ヴィランポイント0で8位。」

0P(アレ)に立ち向かう受験者は過去にもいたけど、ぶっ飛ばしちゃうのは久しく見てないね。」

「しかし個性の勢いで自傷、まるで個性発現したての幼児だ。」

 

 そて、もう一人話題に移る人間がいた。ヴィランポイント0で合格の門をくぐった少年と同じく、雄英があくまでギミックとして出した0Pヴィランを撃破した者。

 

「だけど、まさか0Pをぶっ飛ばしちゃう様なのがもう一人いるとは……」

「名前は、陣馬快人か。」

「陣馬快人、個性はロケットパンチ。少しだけ勢い良く拳が飛び出す……少し?少しかあれ?」

「個性登録した時には()()だったんだろう。成長したのか、只管に努力で伸ばしたのかわからないが……後者だとしたら、この個性をここまで伸ばすなんて大したやつだよ。」

 

 雄英の教師陣は、様々な個性を持つ人間を見てきた。今回の入試でも、1位を取った爆破の個性持ちや、推薦組にも万物を創造したり炎と氷の両属性を操る。

 

 プロヒーローの中でも強い個性を持つ者は多い……個性を消したり、ブラックホールだったり、超パワーだったり様々だ。

 

 その中で、快人の個性はお世辞にも強力な個性とは言えない。

 

 拳を撃ち出す個性……個性届けに()()と態々記載したと言うことは、初めの頃……もしくは個性発現してしばらくの間は、本当に()()だったのだろう。

 

 それを今や、かの大昔のロボットアニメさながらの勢いで打ち付けるほどに進化している……それにしても、そんな個性にロケットパンチと呼称するとは。

 

 個性名だけでも派手にしたかったのか、はたまた……それだけの威力にすると言う意思の表れか。

 

 兎も角、入学に異論はない。どんな生徒なのかは、これから出逢えば分かることだ。

 

 ヒーロー科実技入試の講評は、そのままつつがなく進行されたという。

 

 

 

 

 

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