個性『ロケットパンチ』 作:その股ぐらにロケットパンチ!
個性の超パワーを使用し、自傷と爆豪の爆破によるダメージを受けて気絶した緑谷は、担架へ保健室へと運ばれた。
膨れ上がった自尊心を壊され唖然とするばかりの爆豪……ヴィランチームとして勝利したとは言え、それは爆豪の勝利ではない。どちらかと言えば、あの事態に対応した快人の勝利だ。
無個性と見下していた者に代えられ、雑魚個性と暴言を吐いた男に足元を救われる。心の中はぐちゃぐちゃだろう。
そんな爆豪へオールマイトは数事声を掛けると、爆豪は目元を暗くしたままその場を離れる。すると、オールマイトへ近づく者が二人いた。
「ほ、本当に大丈夫なん!?」
「頭って言うのは、かすり傷でも血が出やすいんだ……思い出すなぁ。個性の制御できなかった頃は、しょっちゅう戻ってきたパンチに顔をぶち抜かれて……よく発目に看病してもらったよ……ははは」
「発目って誰や!?……あ、オールマイト先生!陣馬くん少し頭を打ってしまったみたいで、保健室に行かせてあげてくれませんか!?」
「勿論だよ!?早くお行き!」
快人はその後、付き添うといった麗日の提案を振り切って、頭を押さえながら一人で保健室へと向かう……不意に自身の腕を見てみれば、大きくえぐれたり腫れたりしていた。
やはり、腕の防護はグローブだけでは不味かったようだ。この辺は発目に頼んでガントレットでも作ってもらおう。
そんな事を考えながら、快人は保健室へと到着する。既に緑谷が居るはずだが……
「1-Aの陣馬快人です。すいません怪我しちゃって……」
「また1-Aかい!?アンタもすごい怪我じゃないか、丁度緑谷の治療も終わったとこさね、早く座り。」
保健室に居るのは、杖をついたおばあちゃんのプロヒーロー、リカバリーガールだ。快人はリカバリーガールの指示通り椅子に座る。
「ちゆ〜」
リカバリーガールの治癒ガ終わると、痛みも無くなり血も止まっていく……
「すげぇですね……でも、何か疲れが……」
「私の個性は治癒力を活性化させるだけ、治癒には体力を消耗するものさね……ほら、全身傷だらけだ。包帯巻くよ。」
そう言ってリカバリーガールは快人へ包帯を巻く。その間に、快人は自身の腕を握りしめる……またやってしまったと、若干後悔する。
快人は、意固地になりやすい性格だ。一度やると決めたらとことんまでやる……0Pの仮想ヴィランをやった時もそうだ。今回も、爆豪に雑魚個性と言われて、意地になってしまった。
……少し思い悩んでいると、あることを思い出してリカバリーガールに問いかける。
「リカバリーガール……緑谷は?」
「……入学してからこれで三度目、オマケに昨日の今日だからね。疲れて寝てるよ。」
「三度目……?」
「入試でもね、腕を壊してしまったんだよ。」
快人は唖然とする……何てヤツだと。そんな超パワー、普通なら個性に対する恐怖心がでてしまうほどじゃないか。
それなのに、緑谷は一回一回を全力で個性を使って目の前の壁を打ち壊してきたのか……今回も、何か一つボタンをかけ違えれば、快人は敗北していただろう。間違いなく……そうでなくても、発想のスケールでは完全敗北だ。
快人は……常に一人で個性の鍛錬を続けてきた。時に差し入れなどをくれる発目という存在もいたが、発目はあくまで友人間としての距離を崩さなかった。
快人は、自身の拳なら何処までも届くと思っていた。夢にも届くと思っていた……だが、違った。今回、緑谷に発想のスケールで負け、爆豪とのうまい協力関係も気づけずに、はっきりした。
今のままではヒーローになれない、と。
ただ前向きに只管なのは美徳なのだろうが、それと猪突猛進なのは別の話だ。
快人はぎゅっと拳を握りしめると、リカバリーガールへ向き直って言う。
「さて、俺はぼちぼち戻ります。」
そう言って、快人は保健室からモニター室へと戻るのだった。
その後、戦闘訓練はつつがなく進行していき皆派コスチュームから着替えて教室に戻る。
帰りのホームルームが終わった後、放課後になれば話題は戦闘訓練へと移り変わる。快人もその話題になれば思わず聞き耳を立ててしまう。
途中保健室に行ったせいで何名か見逃した訓練があるのだ。後に資料室から映像が見れるらしく、それもみて学ぶつもりだが同級生たちからの視点も知りたい。
すると、快人の方にも話題の風は飛んでくる。
「そう言えばよ、陣馬の個性ってなんなんだ?」
「そうだぜ!何か腕吹っ飛んでたけどよ、個性ロボットとかか!?
「?俺か。」
すると、快人は緑谷と同じ様にボロボロになった腕を見て呟く。
「俺の個性はロケットパンチ、ロケットパンチが撃てる。」
「「「ロケットパンチ!」」」
ロケットパンチの一言に男子勢は一部目を輝かせる。やはりロケットパンチが嫌いな男の子は居ないのだろう。
しかし、快人の個性は本当にロケットパンチしか言うことがない。つかむ程度の動作はできるが、より細かな動作はまだ難しい。
制御だって、大雑把に狙いを定めるのと、戻ってくるように指示することしかできない。
……おかしな話だ。一人でやっていた頃は、力さえあれば、パワーさえあれば何とかなると思っていた。いや、厳密に言えば、パワーが最も重要だと考えているのは変わらない。
これからも、ロケットパンチの威力は高めるつもりだ。だが、なんというか……視野が広がった気がする。ほんの少し、気がする程度だが……快人は、それを前進だと思いたい。
少しでも前に行けたと思いたい。
快人ははしゃぐ皆と共に、お互いの個性についての見聞を深めていくのだった。
■■■
翌日、えらく多いマスコミを超えてその日も授業が始まる……と、その前に相澤先生のホームルームだ。
「昨日の戦闘訓練お疲れ様。Vと成績は見させてもらった。爆豪、お前もガキ見たいな真似すんな。能力あるんだから。」
「……わかってる。」
爆豪はそう言っては目をそらす。
「んで陣馬と緑谷。どっちも体ぶっ壊して一件落着か。緑谷、個性の制御何時までも出来ないじゃ通させねぇぞ。それさえできればやれることは多い焦れよ。」
「っはい!」
緑谷は元気よく挨拶する。
「陣馬、お前もだ。入試から思ってたがお前少しは障壁を掻い潜る方法を考えろ。馬鹿みたいに突っ込むな。」
「はい。」
それは、快人や緑谷、爆豪だけではなくほかのクラスメイトにも刺さる言葉だ。
そこからは、朝のホームルームの時間に学級委員長を決める話になり、委員長に緑谷が抜擢された。
因みに、快人も緑谷へと票を入れた。理由は……強いて言えば何となくだ。何となく分析とか得意そうで、発想力や判断力も持っている緑谷に任せたくなった。
それだけの話。一言で言うなら勘だ。
時間は一気に進んでお昼頃……場所は雄英高校の工房前。サポート科御用達の開発室だ。
快人は片手にお弁当を持って工房へと向かっていた。そこに向かう理由……それは、どうせ入り浸っているだろう幼馴染――発目についてだ。
すると丁度時を同じくして工房へと向かおうとしていた発目とはちあった。発目は首を傾げて問い掛ける。
「おや、快人君どうしたのですか?」
「どうせお前のことだから禄に飯食ってねぇんだろ。ほれ、弁当。」
そう言って快人は、自身の作った弁当を発目へと手渡す。発目は、笑顔でそれを受け取ってくれる。
「わぁ、ありがとうございます!…………あ、少し待ってくださいね!一緒に来てください!」
「はっちょっ!?引っ張んな!!」
そう言って発目は大急ぎで弁当と快人の腕を掴んでを持ったまま工房へと向かう……あまりにも早すぎて、快人が問いかける時間すらも与えられないほどだ。
工房にて、数分程度で発目はいくつもの重なった瓦礫の山をあさると……その手には、少し大きめのグローブと篭手の合わせ子――所謂ガントレット様な物が握られていた。
色は銀をベースにところどころ黒が入っており、カラーリングや、その流線形のフォルムも相まって……はまるで一昔前のスペースシャトルみたいだ。
「快人君、雄英の施設を借りたできましたよ!私のドッ可愛いベイビー!その名も『シャトルガントレット』軽量化と腕の保護を開発思想に添えて作りました!」
「シャトル、ガントレット……」
快人はそのガントレットを装着する……すると、驚くべきフィット感と軽さだ。まるで何もつけていないようにすら思える。
快人は辺りに人がいないのを確認して腕をふるってみるが……重さによるスピードの低下はない。快人は顔を明るくして声を上げる。
「すげぇ!……すげぇよ発目!天才だ!こういうのが欲しかった!」
「ふふ!そうでしょうそうでしょう!中にも色々と細工をしていましてね!」
「おうおう!聞かせてくれ!」
発目は自分のドッ可愛いベイビー……発明品についての語りた意欲が爆発し、快人は自分好みのガントレットの性能に発目の話を集中して聞き続ける。
二人は集中するのと、工房の面倒を見ているパワーローダー先生がいないのも相まって、雄英高校のセキュリティが破られる警報に、全く待って気づかなかったという。
因みに、委員長の件は緑谷の進言で飯田へと変わった。快人は、緑谷がそう判断したということはそれなりに理由があるのだろうと、一人勝手に納得するのだった。
早速追加されました、快人の新武装。
発目さん作と言う事で色々と詰め込まれてます……どんな代物かはUSJ事件をお楽しみに!