ぼくとバカと迷い猫N 作:友狩
9月30日、一応9月中ですよね?
まぁ来月あたりに投稿できればとしか言っていませんが。
前に予告していたリメイク?です。
『ぼくとバカと迷い猫』との共通点はもはやキャラの名前ぐらいになってますが気にしないでください。
それでは本編へ。
第0話
12月、世間がクリスマスだとにぎやかになっている頃、ぼく、武井 奏はあるところに急いでいた。
「急に呼び出すなんて何かあったのかな?」
早足で屋敷の中を歩きながらスケジュール表を頭の中で開いてみる。ぼくに用事があるようなことは書かれていない。要するに急な要件ということだ。
そんなことを考えているとぼくを呼び出した人がいる部屋の前に着いた。
一つ深呼吸をして扉をノックする。
「…………」
返事がない。誰もいないようだ。
念のためもう一度ノックする。
「………………」
やはり返事がない。本当に誰もいないようだ。
そして今になって気が付いた。ぼくを呼んだ人は部屋で大人しく待っているような人ではない。困るぼくを見て楽しむような人だ。
ため息をつきながらゆっくりと振り返る。
そこには綺麗な黒髪の少女が立っていた。
「お嬢様、呼び出すのであれば部屋で待っていてください」
目の前にいる少女の名は高峰 楓。ぼくを呼びだした張本人で、ぼくの主でありこの屋敷の主でもある。
「何度も引っかかる奏が悪いのよ?」
くすくすと笑いながらそう言ってきた。
「…………」
「とりあえず、中に入って」
ぼくの無言の抗議をスルーして彼女はぼくの背中を押した。
「……わかりました」
従う以外の選択肢がないので扉を開ける。
そしてお嬢様に背中を押されながら部屋の中に入った。
「それでお嬢様」
部屋に入り、お嬢様が椅子に座るのを待ち、話を切り出した。
「お嬢様じゃなくて楓と呼んでといつも言ってるでしょ?」
切り出したつもりがいきなり話をおられた。今は呼び方なんてどうでもいいのに……。
「……楓様」
「様もいらないわ。それと敬語もやめなさい。あなたは私の使用人ということになってるけど、実際は私の弟の様なものなのだから」
「わかりました。それでぼくを呼びだしたのは?」
ここで折れないと話が進まなくなるので素直に彼女の言うとおりにすることにする。
「これよ」
そう言って彼女は机の中から1通の封筒を取り出し、机の上に置いた。
「封筒?」
「あなた宛てよ」
そう言われてぼくの脳裏に浮かんだのは数年前までお世話になっていた施設の施設長だった。
でもそこで疑問が出来た。いつもならぼく宛に直接送ってくるのに、どうして彼女を間に挟んだのか、と。
そうなると施設長以外の誰かなのだけど……。
「差出人は?」
「私立桜ヶ丘学園、学園長藤堂カヲル」
「えっ?」
ぼくが驚いたのは別に知らないからではない。藤堂カヲルという名前は聞いたことがあるし、桜ヶ丘学園も有名な学校だ。だからこそ、なぜお嬢様ではなくぼく宛なのか。
そもそもぼくがこの屋敷にいることを知っているのはここに住んでいる人以外では高峰家の人間とぼくがここに来る前にいた施設の施設長だけのはず。それをどうして知っているのだろうか?
「私宛の封筒の中に入っていたのよ。勝手に中身を見るわけにもいかないし、とりあえず呼び出したのよ」
手紙を手に取ってみる。
表にはぼくの名前以外何も書いてなく、裏には『桜ヶ丘学園 学園長藤堂カヲル』と書かれていた。
封を開けて中身を取り出すとそこには招待状と書かれた紙が入っていた。
「招待状?」
招待状にはぼくを桜ヶ丘学園に特別入学生として招待すると書いてあった。
全くもって意味が分からない。本当にどうしてぼくなのだろうか。
「ふーん」
いつのまにかぼくの後ろに回り込んでいた楓がぼくの手元を覗き込んできた。ぼくと彼女には身長差はほぼないが――強いて言うならぼくの方が少し高い――後ろから覗き込もうとするとぼくに抱きつく形になってしまう。そうなると必然的に背中に当たってしまう。何がとは言わないけど。
「えっと、楓? 当たってるんだけど……」
ぼくがそう言うと、思っていた反応と違ったのかつまらなそうに彼女はぼくから離れた。
「……受けたら?」
「えっ?」
一瞬彼女の言葉の意味を理解できず、思わず聞き返してしまった。
「だからその招待受けたら? あなた高校どこに行くとか決めてないでしょう?」
「それはそうだけど」
彼女の言うとおりぼくは来年から通う学校を決めていない。それどころか今まで学校というものに行っていない。幼少の頃に高校までに学習するものをすべて終わらせてしまっているからだ。ここに来てからも復習はしているので言ってしまえば行く必要がない。
ただ、学園生活というものには憧れている。だけど学校に行ってしまえば好きな研究が出来なくなってしまう。実に悩ましい。
そんな風にぼくが悩んでいると、
「決まりね」
彼女は唐突にそんなことを言った。
「決まりって何が?」
答えはわかりきってはいるけど、思わず聞いてしまう。
「奏がこの学校に行くことよ」
そして彼女はぼくの思っていた通りの回答をした。
「ちょっと待って。まだ行くなんてひと言も……」
「決まりは決まりよ。良く考えたらその学校の理事長、『梅ノ森』だったわね。これは下手に断れないわね」
ぼくの抗議に彼女はそう返してきた。
確かに断りにくいのはわかるけど、あくまで武井奏本人が断ったのであって高峰の家は関係ない気がするんだけど。
「それに去年から面白いことしているらしいわ。だから」
「だから?」
「ちょっと見てきて」
「えっ?」
「偵察してきて。面白ければ私に教えなさい。私もそっちに行くから」
「えっ? えっ?」
このあたりになってようやく彼女の考えがわかった。彼女はぼくにこの学校に行ってほしいだけではなく自分もいきたいからこんなことを言っているのだと。
「そうと決まればお父様に連絡しないと。まず学園の近くに家を買って、それから――」
ぼくが決めるまでもなくあっという間にぼくが行く準備が整えられてしまい、断れなくなってしまった。
学園生活か……。ためしに行ってみるのも悪くないかな。
リメイク?前は7月からでしたが今回は入学式から順に書いていく予定です。
感想等お願いします。
それでは次回。