ハリー・ポッターと騎士の帰還   作:味噌サバ

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第二章 秘密の部屋
10. 夏休みのやり取り


 

 

ホグワーツでの一年を終え、俺はロンドン郊外の館へと戻っていた。

 

 

戻った初日、モーリーから大量のごちそうで迎えられ、それにホグワーツでの思い出話で答え、幸せな気持ちのまま床に着いた。

 

 

それから数日後、俺はキングス・クロス駅で宣言した通り、友人へと送るための手紙を書いていた。

 

 

…ただ、なに書こっかなぁ…。

 

 

いざ羽ペンを持ったは良いものの、書き出しの言葉しか思いつかず、筆は思うように進まなかった。

 

 

「どうすっかなぁ」

 

 

一人で呟いていると、自室の扉がノックされ、「モーリーです。ご主人様、よろしいでしょうか?」と扉越しに聞かれる。

 

 

「どうぞ」

 

 

「失礼いたします」

 

 

モーリーが扉を開けてお辞儀をする。

 

 

「お部屋のお掃除に参りました。ただいま、お時間よろしいでしょうか?」

 

 

「大丈夫だよ。それじゃあ、お願いしまーす」

 

 

羽ペンを置いてインク瓶のふたを閉めると、廊下に出て掃除が終わるのを待つ。

 

 

モーリーが指を鳴らすと、箒やはたき、雑巾などが一人でに動き、わずか数分ほどで部屋中ピカピカになった。

 

 

「いつもありがとう」

 

 

「いえいえ、それでは私は失礼します」

 

 

俺は再び机に向かう。

 

 

なに書こうかなぁ。

 

 

「あ、そうだ。モーリー!」

 

 

廊下に出て、次の部屋に向かおうとするモーリーを呼び止める。

 

 

「いかがなさいました?」

 

 

「ホグワーツで知り合った友人に手紙を書こうと思っているんだけど、なにを書けばいいか迷ってるんだよね」

 

 

どういうことを書けばいいと思うか尋ねると、モーリーは少し考えて「詳細な内容はご主人様にしか決められませんが、少しだけ申し上げますと」と前置きした後にこう語った。

 

 

「休暇中に手紙を送られるほどに親しいご学友であれば、手紙だからとかしこまるよりは、ご主人様の思うがまま、気の向くままにお書きになられた方が良いかと存じます。愚見ですがご参考になりましたでしょうか?」

 

 

そうか。手紙とはいえ、送る相手はハリーたちだから、そこまで気を張らなくとも大丈夫か。

 

 

今、俺が彼らに何を伝えたいか...。

 

 

「うん。ありがとう、モーリー」

 

 

礼を言うと、モーリーは頭を下げて「勿体ないお言葉にございます」と言って去って行った。

 

 

ようし、自分の気の向くままに書いてみるか!

 

 

思うがまま、気の向くままに手紙を書くこと二時間。

 

 

「やっと書けたぁ!」

 

 

三人への手紙を書き終えた俺は、グッと伸びをする。

 

 

窓の外を見ると陽はすでに傾いており、一階からは食事のいい匂いが漂ってきた。

 

 

もうそろそろ夕食の時間だろうか。

 

 

手紙を送るのは後にして、先に食事を摂ろうか。

 

 

そう思って席を立つと、急に部屋の窓がつつかれる。

 

 

外を見ると、年老いたフクロウがフラフラとよろけていた。

 

 

脚に手紙が着いているのを見て、窓を開けて部屋の中に入れた。

 

 

すると、フクロウはそのまま限界を迎え、床に倒れ込んでしまった。

 

 

脚から手紙を外し、フクロウをシングルソファの上に横たえさせる。

 

 

後で、水と食事を与えよう。

 

 

そう思いつつ、手紙を開くとそれはロンからのものだった。

 

 

ということは、この老齢のフクロウはウィーズリー家のものだったのか。

 

 

こんな年になってもまだ働かされるとは…大変だなぁ。

 

 

老いぼれたフクロウに少し同情しつつ、中身に目を通す。

 

 

   フィンへ

 

 久しぶり! っていうほど、まだ時間は経っていないけど、まあいいや。

 こっちは元気でやってるよ!

 僕はモチのロン、フレッドとジョージもジニーも、パパもママも元気さ。

 相変わらず、パーシーはクソッタレなほどまじめで、勉強するよう僕たちに言ってくるけど。

 

 実は、この手紙を送るのとほぼ同時に、ハリーとハーマイオニーにも手紙を送ってて、まだ返事は来てないから結果は分からないけど、二人を家に誘ったんだ!

 特にハリーは、あのマグルの家じゃかわいそうだろ?

 そこで、良かったら君も、何日間かうちに来ないか?

 僕の家はデヴォン州のオッタリー・セント・キャッチポールっていうところにあるんだ。

 一応、煙突飛行粉で家まで来れるはずだけど、詳しい日時はまた連絡するよ。

 考えといて!

 

                                       ロンより

 

 

読み終えたとき、俺は何故か笑みを浮かべていた。

 

 

一人で手紙読んでニヤニヤしてるとか、気持ち悪いな。

 

 

そう思いつつ、ひとまず俺はウィーズリー家のフクロウに水と餌を与える。

 

 

回復するまでにまだ時間もかかりそうだし、その間に返事を書いてしまおうか。

 

 

十分程度で返事を書き終えると、先ほど記したロン宛の手紙と一緒に置いておく。

 

 

ハリー宛、ハーマイオニー宛の手紙は館で飼っている二匹のフクロウの脚につけて飛び立たせる。

 

 

すると、あらかじめ教えていた住所に向け、翼をはためかせていった。

 

 

さて、あとは返事が来るまで待つか。

 

 

 

 

数日後、完全に回復したウィーズリー家のフクロウづてでロンへの返信を送ったころ、今度はハーマイオニーからの返信が届いた。

 

 

   フィン・フォーンリッジ様

 

 フィン、お元気?

 私は八月初旬頃まで、両親と一緒にアイルランドに行く予定なの。

 だから、ロンのお家には伺えないのだけれど、もし伺ったら是非話を聞きたいわ。

 ホグワーツ以外での魔法使いの日常について、まだよく知らないことばかりだもの。

 それに、本や人の話から得た知識だけじゃなくて、自分で実際に見てみたいもの。

 

 ところで、ホグワーツの課題はもうやったかしら?

 あなたは心配していないけれど、ハリーとロンはもしかしたらまだやっていないかもしれないから、あなたからも早いうちにやるよう注意しておいてね。

 それで、課題についていくつか確認したい点があるから、リストにまとめて送っておいたわ。

 返信をくれると助かります。

 

 ロンが最後の週にロンドンに来るらしいけど、あなたは来られるかしら?

 もし来るんだったら、そこで会いましょう!

 来られないのだったら、またホグワーツ特急で!

 

                            親愛をこめて、ハーマイオニーより

 

 

同封のリストを確認すると、羊皮紙二巻分と、えげつない量の質問が書かれていた。

 

 

しかも、その多くは課題の文献をしっかりと読み込まなくては分からないものばかりであった。

 

 

…やばい、純粋に面倒くさい。

 

 

そう思いつつ、ハーマイオニーのためを思って、少しずつ質問への解答を記していくことを決心した。

 

 

 

 

それからおよそ一週間後、ハリーからの返信は一通も届かなかった。

 

 

ロンとのやり取りを通し、ロンも数十通も手紙を送ったのに、一通も返信がないことが分かった。

 

 

ロンは少しやりすぎだと思ったが、恐らくマグルの人々に止められているのだろう。

 

 

その旨を伝えると、ロンはなんと、父親が所有する「空飛ぶ車」でハリーを迎えに行く、実力行使に出ることにしたそうだ。

 

 

そして、その際にロンドン郊外まで来るため、俺を拾っていこうかと提案されたが、丁重にお断りし、俺は予定通りに煙突飛行粉で伺うことにした。

 

 

 

 

翌朝、ウィーズリー家へと向かうため、お土産や着替えなどのもろもろ必要なものをかばんにまとめ、館の居間の暖炉の前で待機していた。

 

 

一応、時間もきっちり守った方が良いと思い、八時ピッタリになるまで、モーリーが淹れてくれた紅茶を飲んでいた。

 

 

そして、八時の五分前、少し緊張して暖炉の前をうろうろしていた。

 

 

そんなこんなしていると、あっという間に時間が経ち、時計が八時の到来を知らせた。

 

 

「よし、行くかぁ」

 

 

そう呟くと、暖炉の上の袋に入れた粉を手に持ち、暖炉にかがんで入る。

 

 

そして、はっきりと「隠れ穴」と口にして、粉を暖炉に放る。

 

 

すると、暖炉の炎は急に舞い上がり、俺の体を包んだ。

 

 

目を閉じ、渦に巻き込まれるような感覚に耐えていると、急に投げ出されるような感じがする。

 

 

前のめりで倒れそうになりつつも、体幹で耐えて目を開ける。

 

 

すると、そこは見慣れた居間ではなく、狭い室内にダイニング、キッチン、リビングを全て押し込んだような部屋だった。

 

 

そしてその手狭なダイニングでは、ロンやハリー、フレッド、ジョージが朝食のトーストを食べており、キッチンではウィーズリー夫人が料理をしていた。

 

 

「あら、フィン!よく来たわね!」

 

 

ウィーズリー夫人はフライパンを置くと、こちらに駆け寄って「服に少し灰がついているわよ」とローブを軽くはたいてくれた。

 

 

「やあ、フィン。ようこそ、隠れ穴へ」

 

 

ロンがトーストを口に詰めながらそう言うと、ウィーズリー夫人は「ロン、食べながらしゃべらない!」と注意する。

 

 

フレッドとジョージがそれをからかう。

 

 

家族っていいな。

 

 

そう思わせる家庭風景だった。

 

 

「三日間、お世話になります。こちらお土産ですので、よろしければ皆さんでどうぞ」

 

 

そう言って、ロンドン中心部のマグルの店で買った、クッキーやロールケーキ、フィナンシェなど、焼き菓子の詰め合わせを渡す。

 

 

ウィーズリー夫人は「こんなに高級なもの、良いのに…」と返そうとしたが、館に持って帰ってもそこまで大量には要らないので、そのままウィーズリー夫人に押し付けた。

 

 

その後、ウィーズリー夫人に勧められるままに、俺も席についてトーストをかじっていた。

 

(本当は軽くではあるが朝食を既に食べており、それほどお腹はすいていないのだが、家庭料理を食べてみたく思ったのだ。しかし、ウィーズリー夫人がソーセージやハムエッグを大量に俺の皿に入れようとするため、断るのに苦戦した)

 

 

ハムエッグを食べていると、階段を駆け下りる音がして、ジニーが顔を見せた。

 

 

ジニーはシャイなのか、ハリーの顔を見ると、顔を赤くして上の階へと戻って行った。

 

 

ロン曰く、「夏休み中、ずっとハリーの話をしていたから、本物にあえて嬉しいんだろう」らしい。

 

 

朝食を摂った後、ハリーと一緒にロンの部屋へと向かった。

 

 

部屋に着くと、しばらく三人でざっくばらんな話をした。

 

 

ハリーを迎えに行ったときの話を二人から聞き、お返しとしてハーマイオニーが、二人が宿題をしっかりやっているか心配しているという話をした。

 

 

パーシーから耳にタコができるほど聞いているらしく、ロンは顔をしかめていたが、ハリーはマグルの家で暇だったためにかなり進めている様子だった。

 

 

そこから、ハリーの家に「ドビー」と名乗る屋敷しもべ妖精が現れ、ハリーがホグワーツに戻るのを阻止しようとしたこと(俺の手紙に返事が来なかったのは、このドビーが邪魔をしたからのようだ)、普段の過ごし方や家の様子の話になった。

 

 

ハリーは元々、階段下の物置きに暮らしていたらしいが、この夏に帰ってきたら、二階の個室を与えられたそうだ。

 

 

恐らく、マグルの人々はハリーが魔法を使って危害を及ぼすのを恐れたのだろう。

 

 

実際、ハリーが出まかせで適当な呪文のような怪文を口にすると、マグルの人々は恐れ慄いたらしい。

 

 

また、度々送った手紙に対して返事をくれなかったのは、ロンがマグルの郵便を使って送ったものは家の人たちに止められていたらしい。

 

 

その後、ロンの家での過ごし方を聞いた後、ハリーから「フィンって、どんな家に住んでるの?」と尋ねられる。

 

 

あー、そういえば、ハリーもロンも、ハーマイオニーだって館に招いたことは一度もなかったな。

 

 

ロンドンの郊外にあって、ダイアゴン横丁や魔法省、キングズクロス駅にも簡単に行けること。

 

建物はかなり広く、キッチンやダイニング、居間だけでなく、多くの客間や図書室、研究室、談話室が入り組んでいること。

 

館の周囲は森林が囲んでおり、窓を開けたままにしていると虫がしょっちゅう入ってくること。

 

モーリーの魔法が館全体にかけられており、マグルや入り方を知らない人は周囲の森林を彷徨うだけで、決して館には入れないこと。

 

 

「すごい!マグルには発見できないなんて、秘密の基地みたいだ!」

 

 

「そんなにいっぱい部屋があるなんて、良いなぁ。僕ももっと広い部屋が欲しいなぁ」

 

 

雑多に説明をすると、二人はそれぞれの理由で目を輝かせていた。

 

 

思ったより興味あるみたいだな...。

 

 

...あ、そうだ!!

 

 

「ダイアゴン横丁に買い物に来た後、ホグワーツに向かうまでに一週間くらい時間があるだろ?君たち、そのときにでも、家来るかい?その時期にはハーマイオニーもこっちの方に戻ってきてるはずだし。部屋ならいくらでも余ってるから、良かったら泊まってきなよ」

 

 

その一声で、俺たちは一週間の短い期間ではあるが、共同生活を送ることになった。

 

 






初めまして、こうやって前書きなり後書きなりを書くのは初めてですね。


正直、こういうのって何書けば良いのか分からなかったので何も書いていなかったのですが、お伝えしておくべきことがあるので少々失礼します。


というのも、更新頻度がこの話以降急激に少なくなると予測されます。


私のモチベーション次第では何とかなりますが、あまり期待しないで下さい...。


実際、賢者の石編は十話近くを数週間で書き終えましたが、秘密の部屋編はこの話だけで一ヶ月近くかかってます。


それくらいモチベーションが下がっています。


なので、しばらく週一での投稿は途切れることになると思いますが、何卒よろしくお願いします。


(作品のタグには亀更新って書いてるし、ままえあろ)


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