ハリー・ポッターと騎士の帰還   作:味噌サバ

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12. 二年目の幕開け

 

 

 

ひとまず、ハリーとロンが乗車していないことをパーシーに伝えると、パーシーはすぐにホグワーツのマクゴナガル先生とウィーズリー夫人に連絡を入れた。

 

 

 

恐らく、ホグワーツの方から特別に迎えが来るか、ウィーズリー氏が空飛ぶ車で二人を運んでくれるだろう。

 

 

 

安心しきった俺たちは、長く走った疲労感から、ネビルとディーン、シェーマスのコンパートメントに入れてもらい、そのまま眠りに落ちた。

 

 

 

しばらくして目を覚ますと、ハーマイオニーが俺の肩を枕代わりにして寝ていた。

 

 

 

いつの間にか、男連中はどこかに行ってしまったようだ。

 

 

 

そろそろホグワーツに着く頃合いだろうし、ハーマイオニーを起こそうかと思っていたその時、パーシーが難しい顔をしてコンパートメントに入ってきた。

 

 

 

「すまない、どうやらハリーとロンがキングズ・クロス駅にいないようだ。しかも、僕らが隠れ穴から乗ってきた空飛ぶ車も無くなっているんだ。…もしかしたら」

 

 

 

パーシーの考えが手に取るように分かった。

 

 

 

流石にロンもそんな無茶をしないだろうと願いたいが…。

 

 

 

そんなこんなでホグワーツに到着する。

 

 

 

ローブに着替えてホグワーツの大広間へと向かう。

 

 

 

そして、グリフィンドールの席に着くが、やはりハリーとロンの姿はない。

 

 

 

「ハリーたち、大丈夫かしら?」

 

 

 

「きっと大丈夫だよ。今ごろ、何か別の方法でホグワーツに到着してるはずだよ、きっと」

 

 

 

心配そうなハーマイオニーをなだめつつ、新入生の組み分けを見守る。

 

 

 

そんなとき、近くに座っていたフレッドがこそこそとささやく。

 

 

 

「ロンとハリーがパパの車に乗って、ホグワーツまでやって来たみたいなんだ」

 

 

 

イヤな予感が的中した。

 

 

 

思わず額を叩いてしまう。

 

 

 

フレッドはニヤニヤしながら、「さっき、リーがトイレに行ってたときに見たらしいんだけど、何でも暴れ柳にツッコんだみたいだ」と付け加える。

 

 

 

「うそでしょ!?」

 

 

 

ハーマイオニーが思わず声を上げる。

 

 

 

他の席から注目を集めるが、ハーマイオニーはそんなことを気にせず(というより、厳密に言うと気にする余裕がないのだろう)、呆れかえった顔をしていた。

 

 

 

「だからダンブルドアもマクゴナガルもいないのか」

 

 

 

大広間前方の教職員の席を見ると、ちらほらと空きが見られる。

 

 

 

しばらくしてダンブルドアたちは戻ってきたが、ハリーとロンは結局、パーティーに姿を見せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年は新しく1人の先生が着任された。ギルデロイ・ロックハート先生じゃ。闇の魔術に対する防衛術を担当される」

 

 

 

新入生の組分けを終え、ダンブルドアが新任の先生の紹介をする。

 

 

 

ロックハート、『トロールとのとろい旅』や『雪男とゆっくり一年』など、多くの著書で魔法生物との決闘の様子などを自身の体験談として描いているハンサムな男性だ。

 

 

 

実際、ハーマイオニーはにっこりと微笑むロックハートを見てうっとりとしているし、黄色い感性が大広間中から聞こえてくる。

 

 

 

ただ、本の内容は事実として書かれているが、正直疑わしい。

 

 

 

教科書に指定されていたためいくつか読んだが、時系列の矛盾や内容の誇張を含んでいるだろう。

 

 

 

まあ、そんなことはどうでもいいとして、大広間からグリフィンドール寮に移動する際、ハーマイオニーはカンカンに怒っていた。

 

 

 

先ほどまで、ロックハートにメロメロだったのに、今度はハリーとロンへの怒りでプンプン。忙しい人だ。

 

 

 

「ほんっとうに、信じられないわ!無免許でお父さんの車を運転して、いろんな人に見られたかもしれないのに!それでもって、暴れ柳に衝突するなんて!!」

 

 

 

「まあまあ…」

 

 

 

ハーマイオニーをなだめながら寮に向かっていると、寮の前の「太ったレディ」の肖像画の前で合言葉が分からず、戸惑っているハリーとロンの姿があった。

 

 

 

ハーマイオニーは2人を見ると、ずんずんと歩みを進めていき、ついに怒りを爆発させた。

 

 

 

ロンが面倒くさそうな表情でこちらを見てくる。

 

 

 

なんとかしろってか?しょうがねぇなぁ…。

 

 

 

「まあまあ、ハーマイオニー。あ、合言葉は『ミミダレミツスイ(ワトルバード)』だよ」

 

 

 

俺がそう言うと「太ったレディ」がどいて、肖像画の額縁がパッと開く。

 

 

 

そして、ハリーとロンは寮のみんなに引っ張られて談話室に連れていかれる。

 

 

 

その姿を見ると、ハーマイオニーが今度は俺に矛先を向ける。

 

 

 

「ちょっと、フィン!」

 

 

 

「2人とももう疲れてそうだったじゃん。多分マクゴナガル先生からもだいぶ叱られただろうし、今日は勘弁してあげなよ?」

 

 

 

「でも…」

 

 

 

「入らないの!?もう閉じるわよ!!」

 

 

 

「太ったレディ」にせかされ、ひとまず談話室に入る。

 

 

 

ハリーとロンの武勇伝がみんなを盛り上げていたが、当の本人たちは談話室にはいなかった。

 

 

 

恐らく、2人とも寝室に逃げたのだろう。

 

 

 

「ほら、今日は俺から言っておくから」

 

 

 

ハーマイオニーはしぶしぶといった表情で頷き、女子の寝室へと向かって行った。

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

 

ため息をついて、寝室に向かう。

 

 

 

中では、ハリーとロン、ネビル、ディーン、シェーマスの5人が、例の話で盛り上がっていた。

 

 

 

俺はというと、ハーマイオニーとの約束を無碍にして、その話に加わって笑い転げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝食を摂りにハリーとロンとともに大広間に向かう。

 

 

 

グリフィンドールの席では既にハーマイオニーが食事を摂り終えており、ロックハートの本を読んでいた。

 

 

 

ハリーとロンに厳しめの口調で「おはよう」と言って、再び本に没頭する。

 

 

 

ロックハート著の『バンパイアとバッチリ船旅』だ。

 

 

 

表紙にはロックハートの写真がデカデカと載っており、こちらに微笑みかけてくる。

 

 

 

ロックハートの写真を無視して席に座り、トーストにバターを塗って口に運ぶ。

 

 

 

すると、百羽近くのフクロウが押し寄せて、生徒たちに荷物を届ける。

 

 

 

そんななか、ウィーズリー家の年老いたフクロウ、エロールがテーブルの上に墜落する。

 

 

 

俺とハーマイオニーの間に置いてあった水差しに直撃し、水があたりに飛び散る。

 

 

 

ロンはそんな容体のエロールをさておき、よこされた真っ赤な手紙の方に慄いていた。

 

 

 

「吼えメールだ!!」

 

 

 

近くに座っていたネビルが、ロンと同じくらい緊迫した表情を浮かべる。

 

 

 

ハリーとハーマイオニーは何か分からない、といった様子だが、恐らく俺もひきつった表情になっているだろう。

 

 

 

「開けて、開けないともっとひどいことになるから」

 

 

 

ネビルがロンに優しく語り掛ける。

 

 

 

ロンが手を伸ばして封筒を開封する。

 

 

 

それと同時に、大広間中に怒鳴り声がこだまする。

 

 

 

「ロナルド・ウィーズリー!!!!車を盗み出すなんて、何たることを!!!!一歩間違えれば、おまえもハリーも死んでいたかもしれないのですよ!!!!パーシーから2人が汽車に乗っていないと連絡を受けて、急いでキングズ・クロス駅を出たら車がなくて!!!!どんな思いだったか、おまえは少しでも考えたのですか!!!!もし、また何か問題を起こしたら、お前の耳を引っ張って家に連れ戻しますからね!!!!」

 

 

 

そして、吼えメールは炎を上げて灰塵と化した。

 

 

 

ロンとハリーは泣きそうな表情を浮かべていたが、これ以降、ハーマイオニーは二人とも十分な罰を食らったと考えたようで、今まで通り、2人と仲良く接するようになった。

 

 

 

朝食を摂り終えて薬草学の授業に向かう。

 

 

 

初回の薬草学は、幼生のマンドラゴラの植え替えの授業だった。

 

 

 

マンドラゴラは有毒な触手を持つほか、鳴き声を聞くと数時間、場合によっては絶命することもある危険な作業だったため、特にふざけることもなく真面目に授業に取り組む。

 

 

 

そして、その次の授業は変身術だった。

 

 

 

コガネムシをコートのボタンに変える授業だったが、案の定俺とハーマイオニーがあっという間に終わらせる。

 

 

 

教える側に回っていたが、ロンの杖は暴れ柳にぶつかった際にポッキリと折れており、スペロテープでグルグル巻きになっていた。

 

 

 

そのため、どのように教えてもコガネムシを変身させるどころか、呪文が逆噴射する恐れすらあった。

 

 

 

昼休みのベルが鳴って大広間へと向かう。

 

 

 

ロンはご機嫌斜めで、ハーマイオニーが空気を読まずに変身術で完成させた、大量のコートのボタンを見せる度、不機嫌そうな表情を見せた。

 

 

 

「午後は何の授業だったっけ?」

 

 

 

ロンとハーマイオニーの言い争いが起きそうになり、ハリーは慌てて話題を変える。

 

 

 

「闇の魔術に対する防衛術よ」

 

 

 

ハーマイオニーがすかさずそう答える。

 

 

 

「なんで君の時間割、闇の魔術に対する防衛術だけ、小さなハートで囲んでいるんだ?」

 

 

 

ロンがハーマイオニーの時間割を覗き込んでそう尋ねる。

 

 

 

するとハーマイオニーは顔を真っ赤にして、時間割を隠す。

 

 

 

「ロックハートのことが好きなんでしょ」

 

 

 

ロンが不思議そうな顔でこちらを見るから、昼食のマッシュポテトを食べながらそう答える。

 

 

 

ロンが信じられないという表情を浮かべる一方、ハーマイオニーは顔を赤くしたままこちらをキッと睨んでくる。

 

 

 

「別に恥ずかしがることはないでしょ。ロックハートのナルシズムな性格は兎も角、顔は良いし。魅力的な男性に惹かれるのは、若い女の子として健全なことだと思うよ、俺は」

 

 

 

ロックハートがナルシズムだという点に、ハーマイオニーから追及を受けたが、それをいなしつつ次の授業に向かう。

 

 

 

結論から言うと、ロックハートの授業はひどいものであった。

 

 

 

クィレルの理論ばかりの授業に比べると刺激的ではあるが、いかんせんロックハートの自己愛傾向が強く、やたらと自慢話をしたがる。

 

 

 

初回の授業では、いきなりテストを配り出したかと思えば、その内容はロックハートの個人的な情報に基づくものであった。

 

 

 

ギルデロイ・ロックハートの好きな色、ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望、ギルデロイ・ロックハートの偉大な業績、などなど…

 

 

 

テスト用紙を見て拍子抜けし、適当に大喜利をしていると制限時間が来て回収される。

 

 

 

自動丸つけ羽ペンが一人でに丸つけを行い、すぐに結果が戻ってくる。

 

 

 

結果は100点満点中、僅か40点だった。

 

 

 

思わず笑ってしまい、初めてこんな点数とったよ、とロンに見せびらかしていた。

 

 

 

ロックハートはその後、しばらくテストの解説を行っていたが聞き流す。

 

 

 

解説が終ったあと、教卓の上にピクシー小妖精がいっぱい入った檻を乗せる。

 

 

 

そして、檻を開けて小妖精たちを部屋中に解き放った。

 

 

 

どうやら、本に書いたような魔法生物との決闘を見せたかったようだが、結果は散々たるものだった。

 

 

 

小妖精たちはネビルを天井のシャンデリアに括り付け、窓ガラスを割って、ロックハートの杖を窓の外に放り投げた。

 

 

 

杖を失ったロックハートは、終業のベルが鳴るとハリーに小妖精の片づけを任せていの一番に姿をくらませた。

 

 

 

仕方なく、小妖精の片づけを手伝っていると、ロンとハーマイオニーの口論が聞こえてくる。

 

 

 

「耳を疑うぜ」

 

 

 

「わたしたちに体験学習をさせたかっただけよ」

 

 

 

「体験だって!?あいつはなにをやってるのか、自分でも分かってないんだよ!ネビルは危うく死にかけたんだぞ!?」

 

 

 

「違うわ。彼って、あんなに目の覚めるようなことをやってるじゃない」

 

 

 

ロックハートをかばい続けるハーマイオニーに、ロンは呆れかえった表情を隠さなかった。

 

 

 





今年はこれにて終了です。

久しぶりに戻ってきて、たったの2話だけ更新してまた来年!ということになり申し訳ないですが、来年中には「秘密の部屋」編・「アズカバンの囚人」編を終わらせられるよう、励んでいきたいです。

末筆ですが、感想・誤字報告など、ありがとうございます!!

励みになりますので、来年もどうぞ、応援のほどよろしくお願いいたしますm(_ _)m

それでは、よいお年を!
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