ハリー・ポッターと騎士の帰還   作:味噌サバ

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4. 真夜中の決闘

 

 

最初の飛行訓練の授業の日の夜、大広間で夕食を摂りながらロンと俺は、ハリーからクィディッチのシーカーとなったことを聞いた。

 

 

そのことに二人で歓声を上げていると、マダム・ポンフリーに両足の捻挫を治してもらったばかりのマルフォイが、クラップとゴイルを引き連れながらハリーに決闘を挑んできた。

 

 

ハリーとマルフォイが深夜にトロフィー室で魔法使いの決闘を行うこととなったのだ。介添え人はロンとクラップということになった。

 

 

「本当に来んのかぁ?」

 

 

「あっちが仕掛けて来たんだから、来るにきまってるでしょぉ」

 

 

ソーセージにかじりつきながらそう言うと、ロンはベーコンにむしゃぶりつきながらそう返した。

 

 

飯食いながら喋るなよ、まったく。

 

 

…人のこと言えないけど。

 

 

「でも、大丈夫かな。呪文が出なかったらどうしよう?」

 

 

「そのときは鼻にパンチでも食らわせちゃえ」

 

 

ロンは今度はハリーの問いにそう答える。

 

 

「ちょっと、失礼」

 

 

見上げると、ハーマイオニーが「夜に校内をうろうろするな」と注意した。

 

 

俺は「おっしゃる通りではあるんだよなぁ」と苦笑を浮かべるが、ハリーとロンは「大きなお世話」だと追い返した。

 

 

その後、ロンはハリーに付きっきりで決闘の知識を授けており、俺はその様子を苦笑いで眺めながら宿題にとりかかっていた。

 

 

皆が床に着いた夜遅く、ハリーとロンはこっそりと起き上がった。

 

 

こいつら、本当に行くのかよ。

 

 

「本当に行くのかい?」

 

 

「もちろん、一緒に来る?」

 

 

ハリーの提案に少し考える。

 

 

どうしようかなぁ、正直眠いし行きたくないんだよなぁ。明日も授業あるし、宿題もどうせ出るし。でもなぁ、対決かぁ。見たいっちゃあ見たいんだよなぁ。どうすっかなぁ、俺もなぁ。

 

 

「一緒に来たら、マルフォイの事殴れるかもよ」

 

 

「よし行こうか」

 

 

即決だ。

 

 

マルフォイを殴れるんだったら、100ガリオンだって払うさ。

 

 

塔のらせん階段を下り、談話室へと下りた。

 

 

出口の肖像画の穴に入ろうとすると、近くの椅子から声がした。

 

 

「まさかあなたたちがそんなことをするとは思わなかったわ」

 

 

ランプを手に、ピンクのガウンを羽織ったハーマイオニーが現れた。

 

 

するとロンは「ベッドに戻れよ!」とカンカンになって言った。

 

 

「本当はパーシーに言おうかと思っ「あ!!ハーマイオニー!!」

 

 

ハーマイオニーの言葉を遮り、俺は急に大きな声を出した。

 

 

「そのガウン可愛いね、似合ってるよ」

 

 

話を遮られた上に唐突に褒められ、困惑したハーマイオニーが返答に詰まっている。

 

 

今がチャンスだ!

 

 

「行け行け、いまだいまだ!」と、同様に困惑した様相のハリーとロンに呼びかける。

 

 

一瞬、呆気にとられたハーマイオニーであったが、談話室から出ようとする俺たちに着いて行き、「グリフィンドール全体に迷惑をかけるのよ。私がマクゴナガル先生から頂いた点数を、あなたたちがご破算にするなんて、私いやよ」と廊下にまで着いてきた。

 

 

「じゃあ、今回の分は俺がフリットウィック先生から貰った分でつけといてよ」

 

 

そう返すが、ハーマイオニーは「そういう問題ではない」と突き返す。

 

 

正論だなぁ、そうに決まってる。

 

 

「というか、フィン。あなたまでどうして?」

 

 

「だって、合法的にマルフォイを殴れるかもしれないんだぞ?こんなチャンス逃すのは馬鹿だろう?」

 

 

ハーマイオニーの問いに真剣な顔で返すが、ため息をつかれてしまった。解せぬ

 

 

「もういいだろう。あっちへ行けよ」

 

 

ロンがそう言うと、ハーマイオニーはクドクドと言いながら寮へと戻ろうとした。

 

 

しかし、この間に肖像画の太ったレディは出かけて行ってしまい、ハーマイオニーはグリフィンドール塔から追い出されることとなった。

 

 

「あらら」

 

 

「どうしてくれるの?」

 

 

「ハーマイオニーったら、かわいそうに。そこで待ってれば?」

 

 

「いや、一緒に行くわ」

 

 

「お、やっぱり君もマルフォイを殴りたくなったかい?」

 

 

「違う!」

 

 

「二人とも静かに。なんか聞こえるぞ」

 

 

ハーマイオニーとやり取りしていると、ハリーに静かにするよう注意されてしまった。

 

 

それを受け静かにすると、何かを嗅ぎまわるような音が聞こえてきた。

 

 

「ミセス・ノリスか?」

 

 

ロンが小さな声でハリーに尋ねた。

 

 

しかし、その音の元はミセス・ノリスではなかった。

 

 

医務室から戻ったネビルが合言葉を忘れ、誰かが合言葉を教えてくれるまでずっとここにいたらしい。

 

 

しかし、既に太ったレディは姿を消してしまったため、合言葉を教えても寮に入ることはできなくなってしまっている。

 

 

その旨を伝えると、ネビルは一緒に着いて行くと主張しだしたのだ。

 

 

早く行かなくては時間に間に合わないと焦ったロンは、仕方なくハーマイオニーとネビルの同行を許可した。

 

 

五人は抜き足差し足で四階まで向かい、トロフィー室へと入った。

 

 

部屋に入って数分、マルフォイもクラップもやってこない。

 

 

「やっぱり来ないんじゃねぇの?」

 

 

あくびを噛み殺しながらそう聞くと、その瞬間、隣の部屋から物音がしてフィルチの声が聞こえてくる。

 

 

ミセス・ノリスに生徒を探すよう話しかけているようだ。

 

 

五人は鎧の飾られた回廊をゆっくりと進んでいった。

 

 

しかし、フィルチとの距離は離れるどころか近づく一方で、それにパニックとなったネビルが急に声を上げ、ロンと一緒に鎧にぶつかってしまった。

 

 

ガラガラガッシャーンとすさまじい金属音が響いた。

 

 

「逃げろ!」

 

 

ハリーの声に従い、五人は回廊を疾走した。

 

 

やたらめったらに走るうちに、鍵のかかった扉に出くわした。

 

 

アロホモラ!

 

 

ハーマイオニーがそう唱えると、五人は扉の中に飛び込んだ。

 

 

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ

 

 

どうやら、フィルチは通り過ぎて行ったようだ。

 

 

「ふう…ハーマイオニー、もう離してもいいんじゃない?」

 

 

そう言うが、ハーマイオニーは腕を抱きしめたまま離さない。

 

 

まだ年齢的に胸の膨らみは感じないが、まあこれはこれで役得か。

 

 

「なんだよ、そんなに俺の事が好き…か…よ……」

 

 

部屋のなかを見ると、三つの頭に三組で計六つの目を有する巨大な犬、ケルベロスがそこにはいた。

 

 

やばい

 

 

このままだと

 

 

 

 

食われる

 

 

 

 

 

 

 

誰からともなく、扉を開けて一斉に廊下へと飛び出た。

 

 

コロポータス!

 

 

そう唱えて扉を施錠すると、俺たちはやっと落ち着くことが出来た。

 

 

「…とりあえず、戻ろうか」

 

 

ロンがそう言うと、全員寮に向かって動き出した。

 

 

 

グリフィンドール塔の前まで戻ってくると、太ったレディは既に戻ってきていた。

 

 

合言葉を唱えて談話室に入り、力が抜けたように座り込む。

 

 

「あんな怪物を城の中に入れておくなんて、何を考えてるんだ」

 

 

しばらくして、ロンがそう口を開いた。

 

 

「あなたたち、どこに目をつけてるの?あの犬が何の上に立っていたのか、見てないの?」

 

 

ハーマイオニーがつっかかるように言うと、ハリーは「床の上じゃない?頭三つ見るので精いっぱいだったよ」と返す。

 

 

「俺も、ハーマイオニーが腕を抱き寄せるものだからそっちにドキドキしちゃって、犬の方なんてちっとも見れなかったよ」

 

 

「…ちがう、床じゃない。仕掛け扉の上にいたのよ。何かを守っているのよ」

 

 

俺の言葉に少し動揺したのか、ハーマイオニーは若干頬を染めながらもそう告げる。

 

 

かわいい顔するじゃねぇか。

 

 

「君も女の子らしい顔をするんだね」

 

 

少しからかってみると、ハーマイオニーは未だに頬を染めながらこちらをキッとにらんだ。

 

 

かわいい。

 

 

そして、「では皆さん、お差し支えなければ、休ませていただくわ」と言って女子寮の方へと向かい出す。

 

 

「あ!!ハーマイオニー!!」

 

 

再び大声でハーマイオニーを呼び止める。

 

 

驚いた表情で振り返るハーマイオニーに、俺は真面目な表情でこう言った。

 

 

「おやすみ」

 

 

「…おやすみなさい」

 

 

ハーマイオニーは困惑した表情のまま、らせん階段を上がっていった。

 

 

残された四人も俺以外は困惑した表情を浮かべていた。

 

 

ただ一人、俺だけは満足してうなずいていた。

 

 

 

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