幼馴染は重いジョークがお好き   作:水漏れ老舗

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海のお話






 


おまけ3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よーっす!」

 

 後ろから勢いよく肩を組まれる。

 

 「んだよ?」

 「一条、今度の日曜って空いてる?」

 

 喋りかけているのは俺の友人。入学初日から隣の席だった時からなにかと縁があり、学校では一番仲の良い男友達だ。

 

 「空いてねぇ」

 「ぇー、まじかよ! クラスの連中と海に行くんだ。一条も来いよー!」

 「すまんな」

 

 俺は片手を立て、謝罪のジェスチャー。

 

 「なんで来れねぇの?」

 「ああ…」

 「言えないヤツ?」

 「いや…」

 「も、もしかして女か!?」

 

 友人は声を荒げて、小指をおっ立てた。そんなおっさんみたいなジェスチャーやめてくれ。

 

 「ち、違う」

 「いいや、嘘だな! お前は嘘を吐くとき、右手で腰に手を当てる癖があるから」

 「なっ…!」

 

 気が付かなかった。俺は急いで腰から手を離す。

 

 「で、誰と行くんだ! 俺の知ってる奴か?」

 「だ、だから…」

 「教えろよー、あ、もしかして、お前がよく話題にするアリアさんか?」

 「う」

 「図星かー」

 

 そうだ。

 

 この前、アリアに無理やり約束を取り付けられた。せっかくだから、アリアのプライベートビーチで海水浴を行うということだった。

 

 正直、海はそこまで好きでもない。砂が付くし、暑いし。だから断ろうかと思ってたのだが、勢いで押し切られ、結局日曜に行くことになった。

 

 「前に見かけたことあるぜ。アリアさんってすっげー胸のでかい女子だ!」

 「お前、それ最低の覚え方だぞ」

 「俺は女子に会ってまず見るのは顔じゃ無ぇ、胸だ!」

 「本当に最低だな!」

 

 全世界の女子を敵に回す発言だ。

 

 「かーっ! 羨ましい、俺らは野郎だらけの海物語なのによぉ…。お前は彼女とシッポリかますのか」

 「彼女じゃねぇし、シッポリ言うな」

 

 なんでこう俺の周りには変な奴しか集まらねぇんだ。

 

 「なら一条、彼女いない歴=年齢のこの俺が良いことを教えてやる」

 「え、じゃあ絶対役に立たないと思うんですけど」 

 「時速60キロの車からの風はな、Dカップのおっぱいと同じ感触らしいぞ」

 「本当に役立たねぇな」

 

 彼女いない歴=年齢が頷けるな。

 

 というか割と有名だろ、その知識。

 

 

 

 

 

 

 

 ───────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえマドカ君、何をしてるの?」

 

 出島さんが運転している車に乗り、海に向かう。その途中、俺は車の窓から手を出していた。その行動に怪訝な顔を向けるアリア。

 

 「ん。ちょっと試してみただけ」

 「何を?」

 「でも分からなかったから…」

 「?」

 

 60キロからの風は胸と同じ感触らしいが、正直分からない。そもそも女子の胸を触った経験が無いから証明しようがないんだよな…。

 

 そんなこんなで…

 

 「来たわよ! 海!」

 

 日曜日。照り付ける太陽の下、白い砂浜に俺たちは立っていた。

 

 上機嫌なアリアを横目に俺はため息を吐く。ここはアリアのプライベートビーチ。だからむろん俺たち以外誰もいないし、ベストシーズンの海なのに閑散としていた。

 

 「せめて屋台くらいあれば」

 「屋台?」

 

 アリアは俺の独り言を復唱した。 

 

 「知らねぇか? 海の家。海水浴場は観光地だから、焼きそばやかき氷を売ってる出店があるんだよ」

 「ふーん」

 

 ピンときてないのか、淡白な返答をするアリア。

 

 「海の家で食う焼きそばって結構旨いんだぞ」

 「へー。一度食べてみたいわ」

 

 「なら私が作りましょうか」

 

 ぬっと、出島さんが現れた。いつの間に。

 

 「私、むかし海の家でバイトしていたことがありますので。ですから焼きそばくらいア◯ルでもありません!」

 「は?」

 「あ、すいません。間違えました。焼きそばくらい屁でもありません!」

 「どうやったら間違えるんだよ」

 「お尻違いだね」

 

 まあとりあえず、海の家は出島さんに任せるとしよう。

 

 「おっし、海に入るか」

 「そうねー。あ、海に入る前にちょっとマドカ君来て…」

 

 アリアはパラソルの方に行き、tシャツを脱ぐと、水着姿になった。水着はアリアによく似合っている、フリルの付いた白の水着だった。

 

 「日焼け止め塗ってくれないかしら?」

 「え、やだ」

 

 俺は普通に断った。

 

 「えぇー! なんでよー!」

 「普通に嫌だよ。出島さんに頼めっての」

 「こういうの男の子は興奮するんでしょ?」

 

 否定はできんけど。

 

 「どうでもいいが、そういうシーンよく漫画とかであるけど意味不明だよな。日焼け止めくらい家で事前に塗っとけよっていつも思うんだが」

 「もー、ムードが無いなー」

 

 アリアはプンスコ怒っていた。何故怒る。

 

 「そもそもあれは塗り直してるのよ。家で塗って、海に来て二度塗りするの」

 「あ、そうなのか」

 「そうよ」

 

 なら納得。

 

 「じゃあ頼むわね」

 

 アリアはビーチマットの上にうつ伏せになった。

 

 「だから嫌だっての」

 「『日焼け止めヌルヌル塗れば良い感じに~そのままガチハメ生指導Ⅲ~』」

 「なんでエロ漫画風に言うんだよ」

 

 結局、出島さんに日焼け止めを塗ってもらい、事なきを得た。

 

 そして俺たちは海へと入る。海は青々と輝いており、波が寄せては引くを繰り返していた。

 

 「ねえマドカ君」

 「なんだ?」

 「やっぱり海に来たから、ポロリを期待してるんでしょ?」

 

 唐突に言われる。

 

 「いや全然してねぇが? そもそもポロリってなかなか無いだろ。最近の水着ってそんな取れやすく出来てねぇ」

 

 すぐ取れたら欠陥品だ。

 

 「『海とポロリで即ハメ上等、今度の夏は最高のエロ海物語でした』」

 「だからなんでエロ漫画風に言うんだよ!」

 

 こうしていつもの問答は続いた。

 

 そして出島さんに「お昼ですよー」と声をかけられ、海から一旦出ると、焼きそばの良い香りが鼻をついた。

 

 「美味しそうねー」

 

 出島さんが焼きそばを作ってくれていた。ジュージューと音を立て、鉄板の上でソースの焦げた良い匂いがする。焼きそばが完成すると、わざわざパックに詰めて、出店のような形にしてくれた。出島さん凄い。

 

 「これが海の家なのね!」

 

 アリアは目を輝かせて喜んでいた。

  

 「これですよ。やりますねぇ、出島さん」

 「ありがとうございます」

 「まあまあ見直しましたよ」

 

 やっとあの出島さんを見直すことができた。好感度が地の底から這い出てきた感じだ。

 

 「じゃあ700円です」

 「えっ、金取んの!?」

 「もちろんです。近くのスーパーで私の財布から材料を買いましたので。でも大丈夫ですよ。もしも払えない場合、身体で払ってもらいますから…はぁはぁ」

 「払うよ二人分…!」

 

 俺は出島さんに1400円を投げつけ、逃げ帰った。

 

 危ねぇ。貞操が失われるところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







続くかもしれません。
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