もし魔術etcが現代社会にあったら、ありそうで無さそうな部活と同好会   作:匿名

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錬金術同好会の場合

 

「ねぇ、先輩、暇ですよー。暇」

 

男子が好きそうな要素を詰め込んだ見た目をした女子高生、高波ヒナは、椅子に座って作業をしている男子高校生の肩を揺らした。

 

「俺は暇じゃない。活動しないなら、この部室で何か他のことでもしといたら良いじゃないか」

 

「ここに所属している人が少なせいで、部活より一個下の同好会って扱いだし、『部』がつく部室をなのるのは、少しおこがましいんじゃないんですか?

それに狭し何もできないんですよーここ。」

 

この教室には3人の同好会メンバーと、教室の三分の一ほどの広さに長机と椅子があるだけの簡素な部屋だった。

 

「いや、スペースが必要って、ここで何する気だよ。だいたい、同好会風情が元々物置だった部屋を使わせてもらってるだけでもありがたいと思えよ。それに、そんなに暇なら俺の隣で寝てる山崎先輩みたいに寝てたらどうだ?」

 

佐藤が、隣の席に座り長机にもたれかかって気持ちよさそうに寝ている女子の先輩、山崎サトミを見る。

 

「べーだ。寝てるだけじゃつまんないです。」

 

「じゃあ、俺のように錬金術同好会の部員らしく、錬金術の活動をするしかないな。」

 

「嫌ですよー、楽しくないですもん。ってか先輩こそ何やってんですか?何かをずっとゴネゴネしてますけど」

 

そう言われた佐藤コウイチは、ギラギラ銀色に輝くものを手で弄んでいた。

 

「Amazonで買ったこの鉛インゴットから金インゴットを生成して億万長者になろうとしてんの。」

 

「それだけで億万長者は無理じゃないですか?そんなの。

錬金術って等価交換じゃないですかー。金作りたいなら金と同じくらいの価値になる大量の鉛が必要になりますよね。金1グラム作るなら、確か最低でも800グラムの亜鉛は必要だった気がしますし。」

 

「そうなんだけどさ、それじゃ夢がないじゃんかよ。俺はお金が欲しい。価値が一緒ならコスパ悪すぎだろ。だから俺は、少ない量の鉛でそれ以上の価値の金インゴットを作り出す努力をしてるんだ。」

 

「無駄な努力をしてるんですねー。」

 

「言ってろ。俺はなんと言われようとも、いつかは成功させてみせる。てか、そんなに暇なら大魔術研究部に入れば良かっただろ。あそこはウチの高校でも強豪部活だし、人も沢山いるだろうし、暇になることなんてないだろ」

 

「いやだよ、あんなところ。あそこから勧誘来たけど断ったし。」

 

「はぁ?断ったのか!?勧誘しなくても自然と人が集まるあの部活がわざわざ勧誘してきたのにか!?信じられない。」

 

「まぁ、ウチは魔法の天才だからねー。そういうのが来ちゃうんですよね。」

 

「そんなの初めて知ったぞ。」

 

「まぁ、ここで魔法使ってないからね。私。」

 

「いや、使えよ。錬金術の活動してるんだから。自慢家に言える事じゃないからな?」

 

「えーやだー。一番ここで年上の山崎先輩もこんな感じだしー。」

 

「てか、そんなに錬金術の活動やりたくないなら、なんでここに来たんだよ、まじで。」

 

「えー、だって、この学校って絶対どこかの部活か同好会に入んなきゃじゃないですか?本当は入らないのが一番なんですけど、それは無理だし、一番ゆるそうなのがここだったから。」

 

「あのな?ここに入るしか選択肢がない俺の身を考えろよ。」

 

「どういうことですかー?先輩。」

 

「俺はな、小さい頃からお金が好きでな。生まれてから高校に入るまで、あだ名が守銭奴だったくらいだ。」

 

「それ馬鹿にされてますよ。」

 

「名誉ある守銭奴だ。馬鹿になんてされてない。まぁ、とにかく、そんな俺は小さい頃に、伝説やおとぎ話で価値の低い物を価値の高い物に変える錬金術という物を知り、それ以来その他の魔術になんて興味すら持たず、ひたすら錬金術の研究の日々を送ったんだ。」

 

「先輩も頑張ってるんですねー。」

 

「心の底から思ってないだろ。まぁ、いいさ、それなのに、お前も知っての通り、実際の錬金術は同じ価値の物同士でしか作り替えれない。この結論は、割とすぐ出たがそれを認めるのに時間がかかった。認めざる終えなくなった頃にはもう俺は高校生で、ドマイナーな錬金術に日々の時間を費やしていたから、普通の魔術なんてからっきしで、落ちこぼれ認定。どうせ他の所に行っても馬鹿にされるだけだと、山崎先輩の寝所になっているここに来たってわけだ。」

 

「随分、それを認めるのに時間かけちゃいましたねー」

 

「そりゃあ、まぁ俺はこの錬金術に可能性を感じ信じていたからな。言い伝えや伝説では不老不死にもなれるそうだし。」

 

「可能と言い切れない事に対して、自分の大切な人生を代償に追い続けるなんて先輩も男の子ですねぇ。」

 

「悪かったよ。男の子で。」

 

「いやいや、男の子な先輩、私結構気に入ってるんですよー?まぁ、先輩が女の子でも可愛がってあげますけど。」

 

「そうか、魔術があるこの世界、俺が突然女になってもおかしくないからな。そん時はよろしくな。」

 

「はーい。」

 

「…というかさ、ここの高校、部活や同好会に入んなくてもいい唯一の方法があるじゃんかよ。それすれば良かったのに。」

 

「えー?そんなのあるんですか。」

 

「ほら、あれだよ帰宅部。家に帰る事に命かけてるやつら」

 

「あれって、ここの学校側から部活認識されてるし、正式な部活じゃないですか。というか、そこに入った時点でそれはもう部活に入ってますよ。それに帰宅部はテレポート魔術使いの精鋭揃いって聞きますけど。割と熱血らしいし。嫌ですよそんな熱々な所。火傷しちゃいます。」

 

「テレポート魔術いいよなぁ。使えたらわざわざ登校するのに、自転車を必死こいて、こがなくても良いんだよな。」

 

「なら、私が自転車に羽生やす魔法でもかけてあげましょーか?少しは移動も便利になるかも。」

 

「嫌だよ、そんなの。もし空を自転車で移動中にバランス崩して自転車から紐なしバンジーでもしたら、B級ホラー映画みたいな死に方してしまう。」

 

「というか、先輩。さっきからその鉛ゴネゴネしてますけど、やる気ありますか?本当にそんなんで、金になるとでも思ってるんですか?」

 

「なんだよ急に。」

 

「やるならもっと本気でゴネてください。」

 

「本気でごねたって変わる物でもないだろ。」

 

「良いから、やってください。」

 

佐藤は高波に気おされて鉛インゴットを本気で手の中でゴネる。本気ですると自然とゴネるスピードももっと早くなる。

 

「その調子ですよー!先輩。」

 

「お、おう。」

 

高波に佐藤はそう言われて嫌な気はしない。ゴネるスピードも、早くなる。

 

「もっともっとー!」

 

「おう!」

調子が出てきた佐藤は、手の中で鉛インゴットをぐるぐると回し続けた。スピードがどんどん上がり、ついには手からすり抜けてしまった。

 

「「あ」」

 

鉛インゴットは遠心力で飛び出し、空を舞った。そして――

ゴツン!

 

少し鈍そうな音を立てて、隣で気持ちよさそうに寝ている山崎さとみの頭に直撃した。それでも山崎は起きず、夢の中にいた。

 

 

完全に今ので冷めてしまった2人は見つめ合う。

 

「………」

「………」

 

「なんか山崎先輩に申し訳ないですね。」

 

「まぁ、そうだな。本人は気づいてなさそうだが、山崎先輩が好きないちごミルクでも奢るか。」

 

「…そうですね。」

 

 

 

 

 

 

その後、なぜ奢られたか知らない山崎先輩は、2人からそれぞれ一本ずついちごミルクを買ってもらい嬉しそうだったという。

 

 

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