そろそろ寿司を食べないと◯ぬ先生   作:カンキツ蜜柑

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 クソ長い野球編終わりますね(7話)。

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『SUSHI-TEC』VS『ベースシボール』#終

 

 現在状況。

 

 回      1 2 3 4 5

 『ベースシ』  3 0 0 /

 『SUSHI-TEC』 0 1 2

 

 場面:ツーアウト、ランナー二塁、バッタースポーツ先生。

 

 この人を抑えて私は……

 

 コハルは自分の内に沸き起こる『なにか』を燃やしながらボール(寿司)を投げる。

 

「───えっ」

 

 アズサは見た。

 

 ボールは凡そ160kmはあるの豪速球。

 

 だが、それに驚いたわけではなく、驚いたのはそのボールの軌道。

 

 歪でありブレがあるそれはまるで螺旋を描くかのような、普通のボールではありえない物理法則を無視した軌道を描く。

 

「うぉあっ!?」

 

「ボール!!」

 

 ボールは何とかキャッチャーミットに収まるが、あまりの挙動にアズサは尻もちをつく。

 

「……まだだね」

 

「それは……どういう……?」

 

 アズサの問いにスポーツ先生は答えない。

 

 集中?私の声が聞こえないほどにコハルに意識を奪われているのか……?

 

 ただ真っ直ぐにコハルに向けられるスポーツ先生の目。

 

 まだ……まだ勝てない!

 

 コハルは内心で叫ぶ。

 

 螺旋を描く軌道、あれはきっとこのボールに込められた『なにか』と私の内の『なにか』が反応している気がする……。

 

 私は……『勝ちたい』。

 

 勝って、皆と試験を受けたい!

 

「うぉぁぁぁ!!」

 

 コハルは思い切り振りかぶって投げる。

 

 寿司(ボール)に勝ちたいという思いが通じる。

 

 今度は星が煌めく流星のようなボール。

 

 一見ただのストレート……!

 

 これは──!!

 

 スポーツ先生はボールをバットの芯に当てる。

 

 ───重いッ!!

 

 勝ちたいという『思い』が『重く』。

 

 伝えたい叶えたい願いは真っ直ぐと。

 

 スポーツ先生はボールとバットの鍔迫り合いをする。木製のバットが軋む音。芯の位置から亀裂が入り……折れる。

 

 バギッ!!

 

「いい、強い心を持った子だ……今回は僕の負けだね」

 

 ボールはふわふわと宙を舞い、ファーストのヒフミのグラブに収まる。

 

 スポーツ先生に……勝った……!

 

「コハルちゃんナイスボールです!」

 

「先生のバット、折れちゃいましたねぇ〜ふふっ」

 

「凄いボールだったね!あれ、どうやって投げたの?」

 

 ヒフミとハナコ、イズミがベンチ戻り際に声をかけてくる。

 

「なんか、ふわふわ〜ってして『勝ちたい』っておもって投げたらアレが……」

 

 投げた感触が手に蘇る。

 

 流星のような球。食いしばる先生の顔。折れるバット。

 

 コハルの『勝ちたい思い』は彼をも上回ったのだ。

 

 

 

 一方、『ベースシボール』側ベンチ。

 

「なんだ最後のは!?」

 

 イオリはコハルが投げた球について言及していた。

 

「わけの分からない軌道の変化球に木製バットを取るほどに重くて速いストレートぉ!?先生が打てなきゃ誰も打てないだろ!!」

 

「腕……痺れる……」

 

 スポーツ先生は手のひらをヒラヒラしながら言う。

 

「先生!どうやってあの球を攻略するんだ?」

 

 イオリは覚醒したコハルをどう攻略するのか、先生に聞く。

 

「あれよりも強く『勝ちたい』と思わなきゃ……だね!皆、勝とう!」

 

 スポーツ先生はチームメイトを鼓舞する。

 

「……そもそも、何で私たちは勝とうとしてるの?私たちが勝ってどうするの?」

 

 風紀委員の一人が何気ないことのように言う。

 

「何でって…………何でだ?」

 

 イオリもこの試合を勝たなければとは思っていたが、思い返せば勝ったところで『試合に勝った』という結果しかない。別に勝ったことでもらえる景品とかそういうものもない。

 

「私、あれ打てる気しないよ〜」

「この試合も遊びみたいなものだしテキト〜で良いんじゃない?」

「ってか、次先生に回る?もう無理じゃない?」

 

 風紀委員が次々に言葉を漏らしていく。

 

「ちょっと、ちょっと待ってよ!皆勝ちたいって思ってないの?」

 

「勝ってどうなるの?結局は『あの子たちを送り届けるか届けないか』でしょ?」

 

「……」

 

 もし仮に彼女らの言っていた『試験』が本当のことなら私たちはただ邪魔をしているだけに過ぎない。いくらトリニティと言っても私たちと同じ高校生。何故かある会場に死に物狂いで来た彼女らを妨害する必要が私たちには……

 

「否!彼女らは結局は私たちの自宅に侵入してきた取り締まるべき奴らだ!テロリストだ!ここで勝たなければ捕まえることも」

 

「それって試験が終わった後に取り締まればよくない?わざわざ試合してまで長引かせる意味は?」

 

「っぐ……先生!イオリ先輩!なにか言って下さいよ!」

 

「……本当なら今すぐ取っ捕まえたいとこだが……先生から事情は聞いているからと少しの間見逃すことを決めたが……結局は同じなんじゃないか?なら……」

 

「……ッ!先生!……先生?」

 

 スポーツ先生は黙って聞いているだけだった。今もいつもの活発さとは打って変わって静かに聞いている。

 

 先生は風紀委員たちの目を見て一つの質問をする。

 

「君たちは何でトリニティを嫌っているんだい?」

 

「何でって……それは『トリニティの奴らが嫌いだから』だろ?それ以上も以下もないですよ。ただ……嫌いなだけ。理由なんて要らないでしょ?」

 

 一人の風紀委員が言って他の風紀委員も頷く。イオリは先生の言葉を静かに聞き、3番の風紀委員は『何故それを聞くのか?』と疑問に思っていた。

 

「『ただ嫌い』……か。そんなふうに思っている君たちに一つ聞くよ」

 

「私は『ただ勝ちたい』って思うことに理由や疑問があると思うかい?」

 

「「「「「───!!!」」」」」

 

 私たちが『理由はないけれど嫌い』だと思うようにスポーツ先生も『理由はないけれど勝ちたい』と思っている。理由のないものに意味を、理由を求めていたんだと風紀委員たちは気が付く。

 

「これを踏まえて一つ聞くよ」

 

「この試合に全力を尽くさない理由はあるかい?」

 

 全員がそれを否定することができなかった。

 

 そして、先生は続けてこう言った。

 

「もし、この試合に勝てたらさ。スカッとしない?『トリニティに勝ったんだぞ!』ってさ。それだけでやる気出てこない?どう?トリニティの子たちに負けるの、嫌じゃない?」

 

「確かに、嫌だ」

「ですよね、イオリ先輩」

 

「そしてさらに!この試合で勝ったら僕が『ゲヘナの高級焼肉』奢るよ!」

 

「奢り!?」

「マジですか!?」

「……やる気出てきた」

「勝つぞぉ!」

 

「………えぇ」

 

 結局は勝った褒美が欲しかっただけか……とイオリと3番は思った。

 

 そして時は流れ試合は進み──。

 

「ゲームセットォ!!」

 

「いやぁ……楽しかったねぇ!」

「さぁ!スポーツ先生!早く車を出して!」

「試験会場に急がなくちゃいけないんです!」

 

「わかってるさ!さぁ!行くよ!」

 

 回      1 2 3 4 5 結果

 『ベースシ』  3 0 0 0 2 5

 『SUSHI-TEC』 0 1 2 1 2 6

 

 結局、試合は5回に2点決めたものの『SUSHI−TEC』が最終回でアズサが長打を打ち、タイブレークの為一塁にいたコハルがホームへヘッドスライディング……『ベースシボール』は逆転サヨナラ負けをしてしまったのだ。

 

       ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「ここ……だよね……?」

「……え?」

「そんな……」

「は?何これ!?どうなってんのよ!?」

「何で……試験会場が……」

「爆破されているんだ!?」

 

 スポーツ先生が指差す方向を見てヒフミは呆然と、ハナコは思わず目を見開き、コハルは驚き、アズサと先生は理解が追いつかない様子だった。

 

 それもそのはず、試験会場のはずだった建物は倒壊、建物内にあるはずの試験用紙の無事は倒壊具合や所々燃えたりで試験を受けられるはずもなかったのだから。

 

「おっかしいなぁ……情報だとここに温泉があるって言ってたはずなんだけど」

「あるかも、だろ?」

「ハズレっすね〜」

「掘った感じダメそうだけど……部長どうする?帰る?」

「フン、情報は所詮情報。デマをつかまされたってわけだ。ハーッハッハ!メグ、皆!さっさとずらかろうじゃないか!空崎ヒナが来る前にな!ハーッハッハ!ハーッハッハ!」

 

 足早に消えていく温泉開発部。

 

「試験が……」

「これでは中にあるテスト用紙ももう……」

「どうしてこうなってしまったのでしょうか……」

「計算が狂った……くそ、クソぉ……許さん、許さんぞぉ!!温泉開発部ぅ!!」

 

 ただ呆然と立ち去るのを見届けた理解先生たち。そして、床にへたり込み、力のかぎりに地面を殴る理解先生。

 

 結局、試験は受けられず不合格となった。

 

「……何か、ごめん……」

 

 スポーツ先生は謝罪をした後に言った。

 

「……お詫びに焼肉に行かない?ゲヘナにある高級焼肉店。奢るからさ」

 

「割り切るしか無いですね……先生」

 

「……クソ。こうなったらヤケだ。お前の財布をカラにしてやるからな……!」

 

「君、クールな頭脳派キャラじゃなかったっけ……?」

 

 ハナコが先生の方にぽんぽんと手を置いて言うと先生は悔しそうに立ち上がり、スポーツ先生の誘いに乗るのだった。

 

 そしてこのあとめちゃくちゃ焼肉した。スポーツ先生と理解先生、補習授業部と美食研究会、イオリや野球を共にした風紀委員たちと先ほどまで敵対していた、それもゲヘナとトリニティが一緒の空間にいる焼肉だったが、思いのほか盛り上がったのだという。

 

「クソッ、クソぉ……(もぐもぐ)」

 

 理解先生はヤケ食いドカ食い。

 

「合格ですわ!これから焼肉美味しすぎ祭りですわ〜!」

「あっ、焼きすぎて焦げちゃった……」

「すいません店員さ〜ん!カルビとロース、タンをそれぞれ五十人前、お願いしま〜す☆」

「美味しい!あっ、私もお願いします!」

 

 美食研究会は店の肉を食い尽くす勢いで食べて……

 

「……(私ほんとに何もしてないけど良いのかな……)あっ、美味しい」

 

 フウカは若干肩身が狭くなりながらも焼肉を堪能する。

 

「はい、コハルちゃん。あ〜ん♡」

「止めてハナコ!一人で食べれるから!」

「つれないですねぇ……先生、私にあ〜ん、してください!」

「……ほれ」

「あ〜ん♡ん〜美味しい」

「え、ええエッチなのは駄目!死刑ぇ!」

「別に普通に食べただけですよ〜?」

「食べ方がいやらしいのよ!!」

 

 ハナコとコハルはいつものようにエ駄死。

 

「これが焼肉……美味しい」

 

 アズサは初めて食べる高級焼肉に感動を覚える。

 

「負けたけど高級焼肉は奢ってもらえるなんてラッキ〜!」

「うんまぁぁい!」

「奢りで食べる焼肉がいっちゃんうまい!」

「肉うま〜♪」

「先生、奢りありがとうございます!」

「うめうめ」

 

 風紀委員たちは焼肉に大喜びで。

 

「あはは……皆さん先生のことも考えて……」

「トリニティのアンタ。そう言えば、聞いたよ。試験に合格しないと退学なんだって?」

「え?あなたは……3番の……はい…あはは、実は……」

 

 3番とヒフミの会話にイオリが入り込む。

 

「そんな試験を受けないといけないなんて……どんだけ頭が悪いんだ?それに、そもそも何でゲヘナで試験なんだ?トリニティでやればいいだろ?」

「それが……」

 

 ヒフミはイオリと3番とゲヘナとトリニティではあるものの何気に会話は弾んでいた。

 

 スポーツ先生はというと……

 

「お会計○○○万円です」

「か、カードで……」

 

 黒服の次にはスポーツ先生が財布の中を破壊されるのだった。

 

「これからは寿司生活……か……まぁ、仕方ないし皆の笑顔が見れたとは言え……とほほ」

 

 いつもはスポーツとして楽しむ寿司を食べる生活を余儀なくされたスポーツ先生なのだった。




 3桁万円の呪い。被害者黒服、スポーツ先生。二人合わせたら4桁万円行く……かも。(戦犯は寿司を愛する者とイズミとアカリ)

 若干カット気味だけど結果的には『SUSHI−TEC』の勝利で幕を閉じました。途中まで『ベースシボール』勝利ルートにしようと思ってたのはまた別の話。結局負けても「楽しかったねぇ!じゃあ楽しませてくれたお礼に送ってあげるよ!」と送ってただろうからね。

 次回からは寿司を愛する者(先生)視点かベアトリーチェ視点からか……どっちにしよう?

 ここから完全に本編と関係のない私の話ですが、最近フレンド申請が来るんですよね。……もしかしてこれを見てくれた人が送ってくれたのかもしれないですね?
 あと、皆さん体操服ユウカは持ってますか?私は持ってないので引きます。ちゃんとフェスまでに3天残る予定だから大丈夫……余程運が悪くなければ……ね。
 正月フウカ、正月カヨコあたりの復刻来たらマジでヤバイ。石が消える。

寿司を楽しむ男先生の名前アンケート

  • スポーツ先生
  • 運動先生
  • 楽しむ(楽)先生
  • 体育会系先生
  • ヘアバンド先生
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