反省も後悔もしていないが、本当にこれで良かったのだろうかという思いは残っているかもしれない。
紆余曲折を経て友人となった兄妹の手によって生徒会に入る事になった件
幼い頃の俺は他人と関わる事に興味が無く、毎日が退屈で何の変化も訪れる事もない日々を過ごしていた。
そんな俺が他人と初めて言葉を交わしたのは小学生の頃の時、偶然にも隣の席になった1人の少年が意味の無い嫉妬や妬み、僻みといった感情を抱いた他の生徒に虐められている所を見て何と無く助けようと思ったのが切っ掛けだった。
その少年は常に張り詰めた雰囲気を纏っており、どこか無理をしているように感じられていて、何かしらの強迫概念に近い何かを宿した印象を受けた。
成績優秀で、ありとあらゆる物を軽くやってのける彼の事を他人からしたらいけ好かない少年に見られても仕方の無いように感じられたが、実際は自分で自分を追い詰めている1人の子供だった。
本当なら面倒事を嫌う俺からすれば他人の世話を焼くような真似はしない主義なのだが、自分自身を無意識の内に追い詰めている彼を見ていられなくなった事もあり、コミュニケーションを図ることにした。
当初の彼は素っ気なく、自分とお前は違う人間なんだと言わんばかりに、簡単に言うと態度がかなり悪くて取り付く島もない状態だったが、それでも諦めず話をしようと声を掛け続けていたある日、彼が同級生から心無い暴言や罵詈雑言を浴びせられていて、尚且つ彼の家族に関することを悪く言う所を見て無性に腹の居所が悪くなった俺は迷わず一直線に進み、彼に悪口を言い続ける同級生を全力で殴りとばした。
一応は教師が来た事もあり大事には至らなかったものの、その日を境に俺は周りから不良として見られる事となり、理由がどうであれ殴り飛ばした同級生を筆頭に多くの同級生から悪質な虐めを受けるようになったのだが、俺が虐められている事に対して反応を示さない上に逆に何故か怖がられた事もあり自然と虐められる事は無くなった。
それから暫く経ったある日の昼休み、教室で本を読んでいた俺に今まで素っ気ない態度を取っていた彼の方から突然話し掛けて来るようになり、紆余曲折を経た末に彼と、彼の妹と、彼らの幼馴染と友人になった。
彼と友人となってからと言うもの俺の日常が変わったのに加え、時偶だが彼に色んな事を相談されるようになっていき、気が付くと何故か知らないが彼の両親や妹からも相談事を受けるようになっていた。
未だ小学生の自分に、そんな相談までするのかと言いたくなる内容の相談をされたりする日々を送っていた俺は、気がついた頃には非公式でありながら相談屋という活動を行うようになっていた。
家族の不和だったり、母親との問題だったり、自分で言っておきながら口出しをしてくる祖父とのトラブルだったりと、普通なら赤の他人には絶対しないような相談を持ち掛けられる俺だったが悪いはせず、むしろ以前よりも生きていると感じられた。
そんな俺は庶民でありながら過去、財政界で活躍する卒業生を多く輩出してきた、日本トップレベルの偏差値を誇る中高大一貫の名門校──『征嶺学園』へと友人に強く勧められた事もあり入学することにした。
入学してからというもの、俺は征嶺学園に同じく入学を果たした彼と、彼の妹と共に過ごしなつつも、時折2人から相談事を受けて真摯に向き合いながら答える日々を送っていた。
あれから沢山の出来事があり俺も今年で16歳を迎える高校1年生となった。
新しく始まる学園生活に胸が高鳴る…等と言うことは当然なく、そろそろ将来の夢や希望を真剣に考えなければならないと思いながら高等部の校舎へと足を踏み入れるのだった。
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そんな気持ちを抱きながら新しい学園生活を迎えた俺だったのだが、現在進行形でかなり面倒な状況に陥っていた。
それが何かと言うと、
「―――そういう事ですので、悠真くんには私の推薦で生徒会入りが決定しました♪」
「いきなり話し掛けて来たと思ったら、お前は突然何を言い出すんだ、有希!?」
お昼休みの時間帯、人目が沢山有るにも関わらず廊下で友人の妹である少女──【周防有希】の口から胃が痛くなるような爆弾を投下されるのだった。
そして何故か有希の隣には今は訳あって苗字が違うものの、有希と血を分けた兄にして俺の友人でもある1人の少年──【久世政近】は、やってやったと言わんばかりのニヤついた表情でサムズアップする姿があったのだった。
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政近side
俺にとってアイツ──【駆動悠真】は、初めて出来た親友である。
「どんな理由が有るにしても、俺の友達とその家族を悪く言うんじゃねぇーッ!!」
そんな叫びと共に、先程まで自分と妹の事を悪く言っていた同じクラスの生徒の顔面を悠真が全力で殴り飛ばす姿が目に映った。
以前から悠真に話し掛けられる事は多かったが、そんな悠真に対して当時の俺は他人と関わろうとせず、言い方を変えていうと他人を見下していた俺は無視や気付いていない振りをしていた。
それにも関わらず悠真は自分の為では無く、友人であるという理由だけで俺の為に拳を振るったことが当時の俺はとても驚いたと共に、今まで悠真に対して酷い対応をしていた事への罪悪感が募った。
この時は教師が駆け付けた事もあり大事にはならずに済んだが、その翌日から悠真は悪質な虐めを受けるようになっていた。
物を隠される事は当たり前で、貴重品を盗まれる日もあった。
それにも関わらず悠真はどこ吹く風と言わんばかりに冷めた様子を見せており、そんな悠真に虐めをしていた同級生たちは徐々に恐怖を感じ、虐めは自然と無くなっていた。
だけど、当時の俺は悠真に助けて貰った事に対しての恩返しが出来ずに終わり悔しさを感じた。
それからというもの、俺は悠真に恩を返す為に友人となって共に過ごすようになったが、それでも俺は悠真に助けられる日々を過ごしていた。
妹に責任を押し付けて逃げた罪悪感や家族間の不和、そして本来なら恩を返すべきはずの俺自身が彼を頼りにして助けられる事実によって、俺の中で悠真を当てにする罪悪感にかられるようになっていた。
妹の有希も同じ思いなのか、時折悠真に対して罪悪感を抱く素振りを見せる事が増えていった。
そんな風に罪悪感を感じながら過ごしていたある日、俺たちの目の前で『あの事件』が起き、それによって悠真に対して俺たちは決して許される事の無い傷痕を残す事となった。
あの時、俺たちが確りとしていれば悠真の身に『あんな事』が起きる筈が無かった。
その事実が今でも俺たちを苦しめている。
だから悠真、もう二度と無茶な事をしないでくれ。
何故なら俺と有希に取って、お前は既に──なのだから。
その思いを胸に、俺は今日も友人である彼に対しての懺悔をするのだった。
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