更新頻度は遅いと思いますが完結出来るように頑張りたいと思います。
それと今回は難産でした、主に有希の口調が合ってるか分かりませんが楽しめたら幸いです。
ある日の昼休み、食事を終えた悠真が学園内を1人で歩いていた時のことだった。
「あっ! こんな所に居たんですね、悠真くん」
そんな声とともに背後から発せられてきた少女の声に振り返ると、そこには見慣れた兄妹の姿があった。
「ん? 有希に政近か、2人とも俺に何か用か?」
そう言いながら、悠真は友人である兄妹──久世政近と周防有希に問い掛けると、有希は「実はですね…」と言った後に少し間を空けてから、有希の代わりに政近が答えはじめた。
「実は、有希が生徒会にお前の事を推薦したらしくて―――その結果、悠真。 お前の生徒会入りが認可されたんだってさ」
「そう言う事ですので、悠真くんには私の推薦で生徒会に入りが決定しました♪」
「いきなり話し掛けて来たと思ったら、お前は突然何を言い出すんだ有希!?」
思わぬ返答に悠真は人目があるにも関わらず叫ぶ中、そんな悠真に対して政近は満面の笑みを浮かべながらサムズアップをするのだった。
──────────
「──それで? どういった理由で俺を生徒会なんかに推薦したんだ?」
あの後、人目に付きすぎている事に気付いた悠真は政近と有希の2人を連れて空き教室へと向かうと、机を挟み対面で座る形で話していた。
悠真の正直な言葉に政近は若干苦笑気味に居ると、廊下で声を掛けて来た際のお嬢様然とした状態のまま口を開く。
「実は前々から生徒会内で悠真くんをメンバーにするかという話が話題になっていまして、そこで私が推薦する形で生徒会に入って貰おうと言うことになったんです」
「なるほどな〜、だけど生徒会に勧誘するにしても、何で俺なんかを入れようと思ったんだ?」
生徒会に勧誘された事を光栄に思うと同時に何故自分を勧誘してようと考えたのかが分からなかった悠真が呟くと、それに対して政近が答える。
「お前の相談屋としての活動が会長の耳に入っていたみたいで興味が湧いたらしく独自に評判とかを調べたって話だ。 それで調べた結果、お前を生徒会の一員にしようって纏まったんだと」
「(俺の評判か。 どういったものか少し気になるけど、何か知ってはいけない気がするから知らない方が良いかも知れないな) ……なるほど。 事情は大体分かったけど、それよりも有希は何で俺を推薦したんだ?」
「それはですね……悠真くんと生徒会で一緒に仕事をしたいと思ったからなんです」
「そうか、俺と一緒に仕事をしたいのか……えっと、つまりどういう事なんだ?」
有希の言葉の意味が分からず聞き返した直後、政近と有希の2人が音を立てながら椅子から落ちる。
「お、おい、大丈夫か!?」
「だ、大丈夫です……(まさか気付いてない!?)」
「お、おう、特に問題ない……(いやいや流石にそれはないだろ!?)」
悠真の言葉に政近と有希は内心驚いていると、2人の様子に気付いていない悠真は疑問符を浮かべつつ、一つため息を零してから有希に視線を向けながら答える。
「えっと…よく分からないが、既に認可されているのなら了解した。 それじゃあ今日の放課後にでも生徒会に顔を出しに行くよ」
「っ、はい、お待ちしてますね」
「おう。 それよりも政近は生徒会に入るのか?」
「俺は……辞めておくよ」
「そうか。 まあ、生徒会じゃなくても話す機会は有るから特に問題は無いしな」
「ああ」
「それじゃあ、俺はこの辺で失礼するよ」
「この後何か予定でもあるのか?」
「実は図書室で借りてた本を返すのを忘れてな、急いで返却しなきゃいけないんだ。 そういうことなんで、そろそろ行くよ」
「そうですか。 それでは悠真くん、また放課後」
「ああ。 政近もまたな」
「おう、気を付けてな」
「何に気をつけるんだよ……それじゃあ」
そういうと悠真は空き教室から出ていくのだった。
「(まさか俺が生徒会入りするなんてな……)思えば中等部以来だな。 有希ともう一度生徒会をすることになるなんて思いもしなかったが、とりあえず頑張るとしますかね」
こうして悠真の生徒会入りが決まり、新たな日常が幕を開けることになるのだった。
──────────
有希side
空き教室から悠真くんが出ていった後、私は敬愛する兄と2人きりの状況になった。
普段なら嬉々として兄との時間を楽しむのだが、今回はそんな気になれなかった。
何故なら、それ以上に私の中で心理的な焦りがあったからだ。
その焦りの原因が何かと言うと、
「お兄ちゃん。 さっきの私って変なところなかったよね!? ちゃんとお淑やかなお嬢様やれてたかな!?」
「お、落ち着け有希!? それといきなりキャラ崩壊を起こすなよ!?」
先程までの悠真くんとの会話をお嬢様モードで行った際に、少しでもオタク脳全開な素の私を出していないか必死に兄へと聞いていた。
悠真くんとの出会いは小学生の頃に遡る。
当時の私は病弱でベッドから出ることすらままならない状態だった。
そんな私にとって兄は憧れであり、敬愛すべき存在でもあった。
周防家の名を一身に背負いながら様々な事を成し遂げる兄の背中をずっと見てきた私は、いつか兄の隣に並び立てる人間になりたいと思うようになっていた。
そんなある日の事、兄が家に初めて学校の友人を招いたのだ。
私はその事に内心とても驚き、兄が連れて来たという学校の友人がどんな人なのか気になっていると、兄が件の友人を連れて私の元に訪れた。
兄に促されるままに部屋に入ってきたのは1人の少年だった。
黒味を帯びた焦げ茶色の髪と紫紺の瞳をしている少年の姿を見た私は、自然と彼の瞳に吸い込まれる感覚に陥った。
初めての事に私が困惑していると、そんな私に当時の悠真くんは優しく声を掛け心配してくながら目の前でハンカチを使ったマジックを披露しだした。
突然の事に驚いている私にマジックを披露し続ける彼は徐に口を開き、
「政近から君が病弱でベッドから出るのすらままならないって聞かされて、どうせならベッドの上に居ても楽しませる事が出来る物を用意したんだけど……もしかしなくても盛大に滑ったか?」
「いや、いきなり目の前でマジックを披露されたら誰だって驚くだろ」
と、兄にツッコまれた悠真くんは「それもそうだな」と返すのだった。
そんな兄と彼の会話に私は思わずクスッと吹き出し、自然と笑顔になっていた。
こうして私と悠真くんの初めての出会いを果たしたのだ。
あの頃の私は病弱で、毎日苦しい思いをしながら過ごしていたが、敬愛する兄と悠真くんのお陰で苦しみを忘れるくらい幸せに過ごせていた。
でも、それから数週間経った後に父と母が離婚した事により私と兄は兄妹で居られなくなった。
離婚の際に祖父が取り決めた事が原因であり、静かにだが確実に私たち家族の間に簡単に消す事が出来ないヒビ割れが生じた。
そんな時だった、私と兄を兄妹で居られなくした祖父に対して彼が、悠真くんが断固として猛抗議しだした。
当然祖父は他人が口出しするなと激怒するも悠真くんは怯むこと無く抗議し続け、やがて2人は討論という口喧嘩をしはじめた。
かなり接戦しているようにも思われたが祖父が劣勢のように感じられ、最終的には悠真くんに打ち負かされる事となった。
「貴方が本当に才能を世の中に還元するのが与えられた者の使命だというのなら、理由が何にせよその若い才能を殺そうとする行為は世の中に還元していると言えるのか?」
底冷えするような言葉と共に偶然にも居合わせた人達の前で言い放たれた悠真くんの言葉に誰も言い返す事が出来ず、せめて2人きりの時や事情をしている人の前くらいでは兄妹として居させてくれるように祖父を説得することに成功した。
こうして私と兄は兄妹として居られる時間を手に入れる事が出来た。
それからなのかもしれない、彼に──悠真くんに対して友人として以外の感情を抱きはじめるようになったのは。
でも、高校生になった今の私は彼に対してこの想いを抱く資格が有るのか時々不安になる。
何故なら数年前のあの日、周防家が──いや、私が原因で彼の右目に消える事の無い傷痕を残す事になったのだから。
あの日の放課後、本来なら私が負うはずだった傷を彼に刻んだのは他でもない私のせいなのだから。
それでも許されるのなら私は、悠真くんに対して抱く想いを捨て去りたくない。
だから悠真くん、いつか貴方に私の想いを告げても良いですか?
面白かったり良かった所が有りましたら、コメントの方をお願いします。
最終確認:サブヒロインは綾乃オンリーかハーレムの何方が良いですか?
-
綾乃オンリー
-
ハーレム