君は愛しのバニーちゃん   作:天音ろっく

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7)パンパンでパイパイ♡

 

 

 

 嬉しそうな笑顔を見せる美兎ちゃんを見つめながら、俺は携帯越しに顔面を(とろ)けさせた。

 一学期末のテストの点が良かったご褒美として、今、俺は美兎ちゃんと動物園に来ているのだが……。これは、紛れもなくデートと断言してもいいだろう。

 

 

 ──記念すべき、初デートだ!

 

 

 触れ合いコーナーでモルモットと戯れている美兎ちゃんの姿を眺めては、一人によによと鼻の下を伸ばす。

 

 

(モフモフとコラボとか……っ! 最強だなっ!)

 

 

 ここぞとばかりに携帯で盗撮しまくっていると、突然振り返った美兎ちゃんに驚き、慌ててメールを打っているフリをする。

 

 

「瑛斗先生は、どっちが可愛いと思う?」

 

「えっ……!? そりゃ勿論、うさぎちゃ──」

 

 

(……あっ。ヤベッ)

 

 

 慌てていたせいか、思わず心の声で答えてしまった俺。何事もなかったかのようにニッコリと微笑むと、再び美兎ちゃんに向けて口を開く。

 

 

「右の子、かな?」

 

 

(こんなモフモフの毛玉より、美兎ちゃんの方が何億倍も可愛いよ……っ!)

 

 

 そんなことを思いながら、美兎ちゃんの腕に抱かれたモフモフを指差す。

 

 

「でも、やっぱりどっちも選べないくらいに可愛いねっ!」

 

「そうだね」

 

 

(俺は安定の、美兎ちゃん一択だけどね♡)

 

 

「……! 美兎ちゃん。一緒に写真、撮ってあげようか?」

 

「うんっ!」

 

 

(ウオォォー!! ……俺ってば、ナイスアイデアだぜっ!!)

 

 

 これで、可愛い美兎ちゃんの姿を堂々と撮影することができる。そう思うと、心の中でガッツポーズを決めながら歓喜の雄叫びを上げる。

 

 その後、鼻の下を伸ばしながら思う存分に美兎ちゃんの姿を連写しまくったことは──言うまでもない。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 本来の目的であったパンダの展示ブースへと移動してきた俺は、先程撮影したばかりの写真を携帯越しにスライドさせた。

 

 

(あぁ……! か、可愛い……っ♡ 可愛すぎだよ、美兎ちゃんっ!!)

 

 

 モフモフの姿など、ほとんどが見切れてしまっている写真達を眺めては、鼻の下を伸ばしてだらしなく微笑む。

 

 

『──それでは、お待たせ致しました。パンパンの入場です!』

 

「瑛斗先生っ! 『パンパン』が出てくるって!」

 

「…………。うん、楽しみだね」

 

 

 それにしても、パンダの赤ちゃんの名前が『パンパン』とは……。パンダからとった『パン』だか何だかは知らないが、もはや安直を通り越して卑猥(ひわい)にしか聞こえない。

 さっきから、美兎ちゃんが『パンパン』と口にする度、俺の頭の中には『パンパン』の妄想が膨らむばかりだ。勿論、それはパンダの『パンパン』という意味などではなくて、もっと大人の方で──。

 

 

(……グハァーッ!! 美兎ちゃんと今すぐにでも”パンパン”してぇ〜ッッ!!!)

 

 

 動物園も、なんだってこんなに卑猥な名前を名付けたのか。そのお陰で、俺の頭の中は美兎ちゃんとパンパンとセ○クスしている妄想でピンク一色だ。

 流石に、中学生相手に本気で手を出そうだなんてことは思っていないが……。

 もし仮に、万が一にでも——。

 

 美兎ちゃんが誘ってくるなら、俺はいつだってパンパンOKだ。

 

 

(そこは……アレだ、うん。男として? 女に恥をかかせるわけにはいかないし、な? ふふふ♡)

 

 

 一人、そんな妄想を膨らませては、鼻の下を伸ばして怪しげに微笑む。

 

 それにしても、いつの時代もパンダの赤ちゃん人気とは不動のようで、その勢いは凄まじい。周りを見渡せば、『パンパン』目当てで集まった人達で溢れかえっている。

 まぁ、そのお陰で美兎ちゃんとも密着ができると思えば、この群集も息苦しさもそう悪くはない。

 

 

「美兎ちゃん。パンダ、見える?」

 

「うーん……。見えないよぉ〜」

 

「ここからの方が見えるかもよ」

 

 

 そんなことを言いながらさり気なく肩に手を回すと、自然と俺の方へと抱き寄せる。

 

 

「あっ。ふぅ……、っん」

 

 

 

 ────!?!!?!

 

 

 

(ファッ……ツ!?!!?!)

 

 

 人混みに押されて思いの外密着する形になってしまった美兎ちゃんは、その苦しさからか、俺の胸にしがみつくとなんとも(なまめ)かしい声を上げた。

 その不意打ちに、ビクリと肩を揺らした俺はその場でピタリと動きを止めた。

 

 

「……あっ! 『パンパン』見えたっ! 『パンパン』可愛い〜!」

 

 

 パンパン、パンパンと無邪気な笑顔を見せながらも、卑猥な言葉で容赦なく俺の耳を攻め立てる美兎ちゃん。

 

 

(ま……っ、まさか、これは……っ! 言葉攻めっ!!?)

 

 

 ズキズキと痛み始めた股間を前に、一人その場で悶絶する。

 

 

(俺……っ、ホントは攻めたい派だけど……!! うさぎちゃんになら攻められたっていい……っ!!!)

 

 

 未知なる刺激にフラリとよろけると、危うく昇天しかけてなんとか堪える。

 

 

(……ウグッ! あっ、危ねぇ……。俺にはまだ、やることあるんだ……っ!)

 

 

 ──そう。先程からずっと気になっている、この謎の物体の正体を突き止めるという任務が。

 密着した身体から確かに感じる、このプニプニとした柔らかい感触。

 これは、間違いなく──!

 

 

(美兎ちゃんのおっぱい……っ♡♡♡)

 

 

 そうは思うものの、ちゃんとこの目で確認してみないことには……まだ確証が得られない。

 そう思って、チラリと下に目を向けてみる。

 

 

 

 ────!!?!!?!!

 

 

 

(グオォォオーーッッ……!!!? ヤ、ヤベェ!!! し、死ぬ……っ!!! マジで俺、死ぬっ……!!! よっ、ようこそ、おっぱいっっ!!!!)

 

 

 そこにあったのは、小ぶりながらもクッキリとした谷間。これは──!

 

 

 間違いなく、お♡っ♡ぱ♡い♡だ♡

 

 

 尋常じゃないぐらいに血走った瞳をガン開きにさせると、穴が開くんじゃないかってぐらいに目の前の谷間を凝視する。

 

 

(パンパン人気……っ、マジすげぇ!!! ……っ『パンパン』! ”パイパイ”ありがとう……っ!!!!)

 

 

 心の中で『パンパン』に向けてそんな感謝をする。

 

 

「瑛斗先生っ! 『パンパン』可愛──!!? ……キャーーッッ!!!? 瑛斗先生っ! は、鼻血が出てるよ!!?」

 

 

 俺の方を振り向くなり、慌てふためく美兎ちゃん。何やら鞄の中身をゴソゴソとさせると、そこから取り出したティッシュを俺の鼻目掛けてズボッと突き刺す。少しばかり雑な気もしなくはないが、これも天使からの愛ある介抱かと思えば、鼻の奥に感じた激痛など気にはならない。

 何より、俺の可愛い天使ちゃんから愛ある介抱を受けながらも、視界には魅惑の”パイパイ”が広がっているなんて……。

 

 確かに動物園に来たとばかり思っていたが、どうやら俺は天国に迷い込んでしまったらしい。

 ここはまさに──そう!

 

 

 ””♡パイパイ♡パラダイス♡””

 

 

 美兎ちゃんからの懸命な介抱を受けながらも、一向に止まる気配のない俺の鼻血。

 パンダの赤ちゃんを見に来たというのに、結局『パンパン』の姿など一度も確認することもなく。鼻の下を目一杯伸ばした俺は、それはそれはとんでもなく幸せそうな笑顔を咲かせる。

 

 視界に広がる、魅惑的な”パイパイ”。

 

 そんな素晴らしい光景をガン見し続けながら、俺は身体に伝わるプニプニとした柔らかい感触を、時間の許す限り余す事なく堪能し続けたのだった。

 

 

 

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