World Days(新版)   作:完結の陽炎

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第5話「加藤姉妹との出会い」

 とある祭りに参加するメンバーは4人。

 私服姿での世界・刹那・七海・光である。

 ちなみに言葉は習い事があるため不参加だ。

 

「光はイカ焼き、七海は焼きそば。刹那、私たちは何食べようか?」

「たこ焼きの半分っこ」

「了解。6個入りなら3個ずつね」

 

 世界と刹那でたこ焼きのシェアをする。

 ふと光がとある女子を気に掛けた。

 誰かを探している様子である。

 それに七海も気付く。

 バスケで試合の相手をしたことがある加藤乙女。

 ポニーテールの髪型が特徴でわかりやすい。

 

「なんだ加藤じゃん。一人で来たの?」

「あ、甘露寺さん。実は妹とはぐれちゃって」

「同い年なんだから呼び捨てでいいって」

 

 一つ下の妹、可憐を探している。

 顔を知らないので携帯で写真を見せてもらった。

 ツインテールをした愛嬌のある顔立ちが印象的。

 世界が探すのを手伝うと言って引かない。

 なし崩しに皆で手分けをして探す。

 しばらくして光が見つけて無事に解決。

 その自然な流れで自己紹介を交わしていく。

 

「えへへ、加藤可憐です。よろしくお願いしまーす」

 

 可憐は相手が年上でも物怖じをしない気さくな性格。

 それでも後輩としての自覚はあるようで、年上の世界たちを苗字に敬称をつけて呼ぶ。

 真っ先に反応をしたのは世界だ。

 

「私のことは世界でいいよ。西園寺さんだとお寺のお坊さんみたいだし」

「わかりました。世界さんって呼ばせて頂きますね」

「私も刹那でいい」

「はい、よろしくお願いします刹那さん」

 

 世界が名前呼びを望み、刹那もそれに合わせた。

 同じにしないと気が済まない刹那の頑固さが垣間見える。

 光と七海はどっちでもいいようで特に指定はしない。

 可憐の呼びたいように呼べばいい。

 そして世界は可憐の呼び方を尋ねてみる。

 

「可憐、可憐ちゃん、かーちゃん、加藤妹。どれがいいと思う?」

「ちゃん付けは恥ずかしいです!! あと私は世界さんのお母ちゃんじゃないですよ!!」

「そうなると可憐と加藤妹のどちらだね。他に何か指定があれば言ってくれればいいけど?」

「普通に可憐でいいですよ。加藤妹って何かオマケっぽく聞こえませんか?」

「そうだよね。あ、じゃあお姉さんのほうも乙女って呼ばないと不公平になるね。加藤さんだと紛らわしくなっちゃう」

「お姉、別にいいよね? 世界さんに名前で呼び捨てされても」

「アンタが言うな」

 

 姉妹を区別するために名前の呼び捨てにする。

 乙女の了解も得ることができた。

 そして世界は早速呼びたくなったので。

 

「乙女と可憐、どっちも可愛い名前で素敵じゃない」

「あ、ありがとう」

「えへへ、なんか照れちゃいますね」

 

 照れるところが姉妹ともにそっくりである。

 ここで刹那は疎外感を味わったのか。

 世界の傍で口説くなとツッコミを入れてきた。

 

「口説く訳ないでしょ。私は女だよ。というかこの二人の可愛らしさなら、彼氏ぐらい余裕でいるでしょ」

「か、彼氏なんていないよ!!」

「でもお姉は好きな人がいる――って痛いよお姉」

「アンタは黙ってなさい」

 

 お喋りな可憐を拳骨で黙らせる。

 ここで食いつくのは野暮だと思い世界は引き下がる。

 それよりも連絡先の交換を持ち掛け、その場の全員と交換を済ませていく。

 ただし、世界は家庭の事情でまだ携帯を持っていないので刹那に頼ったのは余談である。

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 中学3年生も成長期の範疇だ。

 今回の世界は悪い意味での成長といえばいいのか?

 一部の髪が逆立つ現象すなわちアホ毛が発生する。

 

「もぉー、いくら手入れしてもハネが治らない」

「世界、早くしないと学校に遅れる」

「ダメ刹那こんな頭で行けない!! まるで虫みたいだもん!!」

「大丈夫。今の世界もかわいい」

「かわいくない!!」

 

 仕方がないので帽子を着用して隠す。

 校内で外してみたが、触覚のようなアホ毛が目立つ。

 一部の心無い生徒から虫呼ばわりされた。

 それはまだ世界は我慢できたが、刹那のチビ呼ばわりによって、世界の逆鱗に触れる。

 激しい喧嘩になり、先生や親も介入して謝ってもらう。

 こうして表立っての悪口はなくなるが、コソコソとした陰口は止まらなかった。

 

 世界の発案により言葉の部屋で勉強会を開く。

 榊野学園を目指すメンバーが集まった。

 言葉・七海・刹那・世界・光・乙女の6名である。

 

「七海さん、この問いはこうしないと解けません」

「あちゃー、勘違いしてた」

「世界、ここ間違えてる」

「えー、マジ?」

「ねえ黒田、そこの消しゴム取ってよ」

「なによ、ちゃんと手の届く位置に置いておきなよ」

 

 程よいタイミングで言葉の母が差し入れのケーキと紅茶を持ってくる。

 仕事休みの日に受験の応援をしてくれた。

 そして妹の心が世界とお菓子を目当てに混ざって来る。

 

「心、部屋に戻りなさい。私たちはお勉強で忙しいから構ってあげられないの」

「休んでるときならいいでしょ!! ねえ世界さん、いいよね!?」

 

 世界の膝に座って甘えてきた。

 癒しを求めて心の背中から抱きしめる。

 高級ブランドのシャンプーを使っているのか。

 心の髪からいい匂いがしている。

 遠慮のない妹に言葉が叱ろうとすると世界が遮った。

 

「オーケーオーケー。勉強でクタクタだから、こころちゃんがいてくれると元気出ちゃう」

 

 本人がそれでいいと言うなら言葉は何も言えない。

 心と世界の微笑ましいスキンシップである。

 しかし……。

 

「……」

 

 世界に抱きつかれたことがない。

 一緒に寝て手を握ったことはあるのに。

 心はよくて自分はダメなのか?

 そんな思いが刹那の不満そうな目に表れていた。

 

「言、妹を世界に取られちゃうんじゃない?」

「そ、そんなことは……あのせっちゃん」

「なに?」

「すみません。心が世界ちゃんを独り占めしちゃって」

「……別に。私は気にしていない」

 

 光・七海・乙女は口に出さないが察する。

 絶対に気にしているだろうと。

 それだけ刹那の不機嫌なオーラを感じてしまう。

 まさに触らぬ神に祟りなしだ。

 

「こころちゃんも同じ習い事してるんだね。だったらさ、お姉ちゃんの居合の凄さ、こころちゃんが一番よくわかってるんじゃない?」

「うん。でもこころだって負けてないから」

「知ってる。こころちゃんのお母さんに撮影されたものを見たから。凄かったよ」

「そうなんだ。えへへ」

 

 心が照れ笑いをする。

 お世辞ではなく世界は本気で言っている。

 ここから世界と心でチャンバラをやりそうな空気が漂う。

 しかしキッパリと反対をするのが言葉と刹那だ。

 

「ダメよ心」

「世界、ダメ」

 

 心がふくれっ面で不満を示し、世界は当然かと受け入れる。

 あとでトランプの勝負をしよう。

 心はそれで機嫌を直し、世界も辛い勉強をするよりは遊びたいのでウィンウィンであった。

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